1人と1匹   作:takoyaki

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十一話です。



早くシンフォニアをクリアしなくては。


いつかの敵は今日の友

「ハア、ハア、車椅子に乗って……はしゃいでお……まけに、海に落ちるなんて……き……み……いくつだい?」

「15さ……いです」

「お前も……後先考えずに飛び込みやがって……いくつだ?」

「………さ……いです」

なんとか、海から上がった2人と1匹(と車椅子)は息も絶え絶えに会話をした。

そして、レイアはなんとか、近くにいる人に声をかけた。

「ごめんなさい、大丈夫でした……か?」

レイアは顔あげながら聞いた。

ちなみに、ホームズは顔をあげる余裕はない。まだ、息切れしている。

「レイア………ただいま」

つり目の少年、ジュード・マティスは少し戸惑ったようにいった。

「なんで、ジュード?」

「は、ジュード?」

ホームズも顔をあげる。そこには、まごうことなき、自分達を殺しかけたジュード・マティスとミラ・マクスウェルがいた。

対するレイアも戸惑っている。

「え、えーー、何してるの!?」

「あ、それ、おれが言おうと思ってたのに。」

ジュードは呆れたように戸惑ったようにしていた。

「レイアこそ……」

「あ、それおれも聞きたい」

「僕は君にも同じ質問がしたいよ」

ジュードはジト目で、ホームズを見る。

そんな2人に構わず、レイアはジュードの質問に答えた。

「ああ、これは、この子達がかけっこで競争したいっていうから、わたしを押してハンデ付けないと勝負にならないって思って」

「レイアが1番楽しんでたように見えたけど……」

「それでさ……ジュードはなにしてるの?」

「知り合いか?ジュード?」

今度は背中にいる、ミラが聞いて来た。

「その、幼馴染みなんだ」

ジュードの答えにミラは納得すると、今度はホームズ向かって聞く。

「なるほど、それで貴様は何故ここにいる」

「ホームズの知り合い?」

レイアはホームズ聞いた。ホームズはなんとも言えない顔で頷いた。お互いがお互いの事を知っているのだ。知り合いと言っても嘘ではない。

「ミラ、て言うらしいよ。周りの連中がそう呼んでた」

「答えろ」

ミラはホームズに向かってもう一度言った。

聞かれたホームズはいつものように人差し指を1本立てて口に当てて言った。

「内緒。男は秘密があった方がかっこいいからね」

「借金返せなくてうちで働いてるの」

「ちょ、もうちょっとなんか、言い方ないの?」

格好付けたホームズを他所にレイアが血も涙もないないバラし方をした。

「借金?何故そんなものをした?」

「君がそれを聞くかい……」

ホームズは恨めしそうに言った。そんな2人を見てレイアは不思議そうにホームズに聞いた。

「何かあったの?」

ホームズは再度人差し指を一本立てると口に持って行き言った。

「内緒。男は秘密があった方が……」

「ああ、はいはい。つまり、言う気はないんだね」

レイアはホームズの言葉を遮ると、ミラに向き直っていった。その時、ホームズは悲しそうな顔をしていたが、知ったこっちゃない。いい加減そのセリフにも、うっとおしくなってきたところだ。

「よろしく、ミラ」

レイアはミラにそう、挨拶をした。

 

 

 

 

その直後、ミラの足がレイアの目にとまった。

 

 

 

 

 

 

 

ミラの包帯でそれぞれぐるぐるに巻かれた、両足が。

「ちょっと、彼女の足……」

すぐにレイアは子供達の方を向いて指示を出した。

「至急大先生に連絡お願い。急患が来るって」

「ラ、ラジャー」

そう言うと子供達は走って行った。

今度はジュード達に向かって車椅子を渡し

ながら、言った。

「これ、使って。家に帰るんでしょ、わたしも行く。ホームズ達はどうする?」

「おれも行くよ。誰かさんのせいで包帯びちゃびちゃだからね。代えて貰わないと」

「あはは、……ゴメン」

レイアは乾いた笑いをして、すぐに謝った。

「……反省してください。おかげで、寝巻きと合わせて2着しかない服の1枚がびしょ濡れで着れなくなっちゃったんだから」

ホームズはジト目を向けながら言った。その後、ジュード達に近づき彼らにだけ聞こえるように囁いた。

「というわけで、おれは今いろんな意味で満身創痍なんだ。だから攻撃しないでおくれよ」

そう言うと有無言わさず、ミラを車椅子に乗せた。

「ほら、ジュード、あとよろしく!」

ホームズはミラを乗せた車椅子をジュードに押し付けると、てくてくと先に歩いて言った。

「ちょっと、一緒に行かないの?」

「先に包帯を直しておかないと、君達の診察の邪魔になるだろう。」

レイアの問いにホームズはそう答えるとまた、マティス医院まで、歩き出した。彼らが見えない所まで来ると、ヨルが聞いた。

「本音は?」

「これ以上怪我をしたくない」

「ヘタレ」

「言ってろ」

ヨルとそんな会話をしながら、ホームズはだんだんと歩くペースを速めていった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「なるほど、そう言うわけでまたきたのか……」

「ええ、まあ、ごめんなさい」

「レイアは泳げるから、心配ないぞ」

「ええ、みたいですね」

ホームズはマティスの診察と言うよりも、包帯を巻き直してもらっていた。ちなみに診察の順番はホームズの状況に同情してくれた人達が譲ってくれたものだ。

「今日の仕事を今回の診察費として、計算させてもらうぞ」

つまり、プラマイゼロ。

「はい……分かりました」

「よし、終わりだ」

そう、ホームズに言うとマティスは包帯を巻き終えた。

「濡れた服の代わりに、この入院服をつかうといい」

そう言って、ディラックは半そで半ズボンの紐で縛るタイプの入院服を差し出した。

「ありがとうございます」

「替えの下着はあるのか?」

「給料前借りして昨日買ったので、ありますよ」

そう言って、ホームズは着替え終えた。そして、いつものポンチョを羽織った。

すると、ちょうどその時エリンが車椅子に乗ったミラを押して入ってきた。相変わらず、ホームズに敵意をむきだしだった。

「あなた、急患よ」

その言葉にディラックは真剣な顔になると、ミラを診た。

「じゃあ、おれはこれで」

あんまり長居してもしょうがない。それに、殺気たっぷりの目を向けられるのも居心地が悪いこと、この上ない。

「うむ。ああ、もう無茶はするんじゃないぞ」

「了解です」

ホームズは、診察室を出た。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

ホームズが待合室に行くと、ジュードとレイアがいた。どうやら、何か話しているようだ。ちなみに、ヨルは隣で座っている。

「やっほー」

とりあえず、黙って立っている訳にもいかず、ホームズは挨拶をした。

すると、レイアが怒ったようにホームズを睨みつけながら詰め寄って来て言った。

「『やっほー』じゃない!!どうして、怪我の事を黙ってたの!」

「いや、何を言っているんだい?怪我した事は知ってるだろう?」

そうじゃなくて、と要領を得ないホームズの返答にレイアは頭を掻きむしっている。

「どうして、怪我の原因がジュード達に襲われたせいだって言わなかったの!」

「誤解を招く言い方だね」

真剣に聞いてくるレイアに少しおどけたようにホームズは返した

「ふざけないで!」

対するレイアはそんなホームズの軽口を取り合わず、有無を言わさない勢いで問い詰めた。

ホームズはそんなレイアにひとつため息をついた。そして、考える。こんな事をペラペラと喋る奴は1人、いや、1匹しかいない。

「……………ヨル」

「俺じゃない。そのガキが喋ったんだ」

ヨルは、ジュードを見ている。

「俺がどんな存在で、そして、お前がそんな俺を平気で連れている事。さらに、お前が、俺の命を守る為に、自分の命を守る為に、こいつらと戦った事をな」

ホームズはその話を聞くと呆れるようにジュードに言った。

「君ね……人がせっかく黙っていたのに、自分で、喋っちゃうんなんて。全く、まあ、気持ちは分からんでもないけどね……」

そう言ってホームズはレイアを見る。幼馴染みの側にかつて、リーゼマクシア中で脅威を振るい、マクスウェルを筆頭とした精霊たちを敵に回した、化け物とそれを平気で連れている奴がそばにいる。なのに当の本人は、全く危機感を持っていないのだ。だから、自分達が、やった事を喋ったのだろ。結果全部バレしまったのだが。ホームズはジュード見て言う。

「君はお人好しだね……」

「さあ、答えて!」

レイアは詰め寄る。ホームズはハア、ため息を吐くとと諦めたようにそして、小馬鹿にするようにレイアに言った。

「あのね……『あなたの幼馴染みに殺されかけました』なんて、言えるわけないだろう」

もう少し正確に言うなら幼馴染みの、ジュードの話をとても楽しそうに話すレイアにそんな事は言えなかった、と言うのが本当のところなのだが…、本人がそばにいるので言わないでおいた。

「まあ、それもそうだね」

レイアはジュードを見て、それからホームズを見た。

「ホームズも他人(ひと)の事『お人好し』なんて言えないよ。というより……」

「自分を殺しかけた奴らを庇うなんて異常、いや、化け物とでも言うべきか」

レイアとヨルの口撃をホームズは食らった。

「君達ね、人の事を傷付けるのも大概にしなよ」

ホームズは胸を抑えながら恨めしそうに言った。

そんなホームズにジュードは言った。

「今は、ヨル君だっけ?その子が…」

「『君』はやめろ」

ヨルは嫌そうに口を挟んだ。

「あれ、レイアにはそう言われてるじゃないか」

ホームズがそう言うとヨルは遠い目をしながら言った。

「あの娘に何を言っても無駄な気がする……」

「ああ、それ、当たりだよ」

ヨルの言葉を瞬時にジュードは肯定した。

「……それ、どういう意味?」

「そういう意味だ」

ヨルはそう言うとホームズの肩に飛び乗った。レイアはまだ、言いたい事があったのだが、それよりも先にジュードが、ホームズに言った

「ヨルが、今は危険じゃないという事をレイアから聞いたよ。ゴメンね、いきなり攻撃したりして」

「……本当に死ぬかと思ったよ」

ホームズは苦虫を噛み潰したような顔をしながらいった。

それと、と続けた。

「レイアを助けようとしてくれてありがとう。結果はどうあれ」

「最後の一言いらない」

ホームズは苦虫を5、6匹噛み潰したような顔をしながら言った。

「わたしからも、ありがとう。結局、自力でどうにかなったけど……」

「………どういたしまして」

ホームズは苦虫を5、6匹噛み潰して渋柿を食べたような顔をしている。

対するヨルは笑い転げている。

ホームズは、そんなヨルの耳を有無言わさず引っ張った。

「いてえな。耳を引っ張るのやめろ」

「君も人の事笑うのやめろ」

そう言うと彼らは睨み合った。

そんな彼らをジュードは眺めながらレイアに言った。

「僕は彼らの事を少し誤解していたかも知れないな」

レイアは少し微笑むとジュードに言った。

「今なら仲良くできそう?」

レイアとしては、大切な友人たちとそして、特別な幼馴染みには仲良くして欲しいのだ。

「それは、試して見ないと分からないよ」

ジュードも微笑みながら言う。

ちょうどその時、ディラックが診察室から出て来た。

「父さん……」

ジュードは、何とも言えない顔をしながら言った。そんなジュードに一瞥をくれると口を開いた。

「来なさい。それと、ホームズ」

「はい?」

突然話を振られてホームズはマヌケな返事をした。

「患者が呼んでいる」

「……ミラがですか?」

「他に誰がいる」

「デスよね」

もう、悪い予感しかしない。

「第二治療室だ」

「……了解です」

そう言うと、ホームズはジュード達に手を振り、ヨルを連れて向かった。

 







さて、エクシリア2の後にやったのは、


グレイセスFです。


少年編、青年編と別れているのには、驚きました。


個人的には、ソフィと教官とシェリアのトリオが結構好きです。でも、アズベル、シェリア、ソフィのトリオも捨てがたいです。
戦闘システムは慣れれば、かなり面白いと思うのですが、慣れる前にクリアしてしまいました。
ぜひ、2周目をしたいと思っています。


因みにどうでもいい事ですが、ラスボス戦の時に、友達から、どうでもいいメールが届いて、それに気を取られて全滅しました。

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