1人と1匹   作:takoyaki

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百十四話です




漫画の登場人物を見てこういう人がいます。



「こんな奴、現実にいないよ(笑)」

人が楽しんでるそばでこそ、こういう事を言う奴がいます。


……これ、別に現実じゃないんだけど、創作物なんだけど、なんで区別つかないの?



………そんなわけで、少女漫画を読んで一言。





あんな爽やかイケメン現実にいるわけねーよ!!



………………

……………

…………

……




醜い心の内晒したところでどうぞ




逃がせば勝ち

「ジャオさん……」

「後にしろ!ホームズ!今はこっちが先だ!」

ホームズの発言にヨルの言葉が響く。

アルヴィン、ホームズ、ジュード、エリーゼは、戦場を走り抜けていた。

しかし、黒ずくめの兵達は、次々と襲ってくる。

「まだいる!」

「とにかく逃げる事だけ考えろ!」

ジュードとアルヴィンは、そう言って敵をなぎ倒していく。

そんな二人の背後に別の兵達が現れるが、ホームズは、空中で回し蹴りをし、なぎ倒す。

そんなホームズに打ち込まれる弾丸。

回避不能に見えた弾丸は、突然出現した、光の陣で行動を遮られる。

ホームズは、弾丸の飛んできた方を睨むと人差し指を向ける。

尻尾がそれに従うように伸び拘束する。

そして、ホームズはヨルの尻尾を持つとそのまま大きく地面に叩きつけた。

伸びている兵士を見てホームズは、何かに気づく。

「勘だけど、こいつらアルクノアじゃないかい?」

「どういう事ですか?」

「おれの勘が正しければ、突如出現した兵士と、アルクノアつまり、敵勢力がふたグループきてる」

ホームズは、考え込む。

「………ヤバイな」

そういうホームズにアルヴィンのヴァリアブルトリガーが放たれる。

ホームズは、首を振ってかわし、ホームズに当たらなかった弾丸は、真後ろにいたアルクノアに炸裂した。

アルヴィンは、そのまま周りにいる兵士を切りつける。

「そりゃあ、びっくりだ。敵さんが多いなんて初めて知ったよ」

嫌味たらしくアルヴィンは、ホームズに言い返した。

ホームズは、アルヴィンの嫌味に取り合わずリリアルオーブを輝かせ、アルヴィンのリリアルオーブと結ぶ。

「はいはい」

ホームズは、適当にそう言いながら地面をトントンと叩く。

アルヴィンは、無言で銃と大剣を合体させる。

「合わせたまえ」

「了解」

「ジュード!エリーゼ!おれ達の周りに」

二人を呼び寄せると、ホームズはダンと地面を力強く踏み込む。

アルヴィンは、地面に大剣と銃が合わさったものを突き刺す。

「「守護氷槍陣・改!!!」」

巨大な光の陣が現れた瞬間次に地面から氷の槍がその陣を埋め尽くす様に出現した。

「ぐあぁ!!」

しばらくすると氷の槍は、弾けて消え去った。

軒並み兵達は倒れているが、それでも普通に立っている奴らがいる。

それどころか、まだ増える。

「…………きりがない」

『ぼくたちに任せてー』

ティポがそういった瞬間、銃弾が飛んでく。

銃弾は、ホームズ達の脇をギリギリで過ぎ去っていく。

「ダメだねぇ……多分、彼ら積極的にそれを潰しに来てる」

「そんな……!」

「エリーゼ!できるだけ、精霊術以外で頼むよ」

「いや、精霊術無しじゃこれ、きついだろ……」

次々と増える兵。

上空から、打ち込まれる別の砲弾。

絶体絶命だ。

(状況整理しろ!)

ホームズは、今起こっている事を整理する。

絶対絶命を打開し、切り抜ける手がかりを探すのはこれからやらなければならない。

ホームズの母の教えだ。

「一、おれ達は、今兵士達に襲われている。

二、兵士達の武器は黒匣(ジン)、連射式の銃、後は幾つか。

三、兵士達の目的は、エリーゼとティポ、そして、おれとヨル………」

ホームズは、そこで気付いた。

この場をどうにかする事ができる事を。

そんな考えに至った所、黒ずくめの兵士がホームズに躍りかかった。

ホームズは、容赦無く回し蹴りを兵の顔面にぶち込み、そして地面に叩きつける。

「………ふむ、空気で降りてきただけあって、兵士の方は大分鎧の強度が低いねぇ……」

ホームズは、顎に手を当てながら考え込む。

(もう、これしかない)

ホームズの碧い瞳に覚悟の炎が宿る。

 

 

 

 

 

 

「ジュード、アルヴィン。エリーゼを守りながら先に行っておくれ。

こいつらは、おれがどうにかする」

迫り来る兵達を前にホームズは、そう告げた。

「なっ!?」

「ダメだ!ホームズ!!」

驚くアルヴィンとそれを止めるジュード。

ホームズはジュード達に目を向ける。

「彼らが狙ってるのは、おれとエリーゼだよ。だったら、分断させるのが、妥当ってものだろう?」

「ダメです!」

『そんなのゆるさないぞー!』

エリーゼとティポも反対するが、ホームズは取り合う気もない。

「他に方法はないだろう?ジャオさんのおかげ兵が減っている、今しか逃げ出すチャンスはないんだゼ?

これ以上引き伸ばせばどんどん兵達は増えてくる」

しかし、ジュードもエリーゼも容認しない。

「………ダメだよ、ホームズ」

ジュードは、ポツリとホームズに目の前の敵、そして、消耗しているホームズ。

どう考えてもここでホームズ一人を残して別れれば、それがどういう意味を持つかは明白だ。

助けを求めるようにジュードは、ヨルを見る。

ヨルはホームズにいう。

「せめて、チャラ男かつり目のガキにはいてもらったらどうだ?」

「いや、ダメだねぇ。精霊術士を援護するんだ。二人の方がいい」

キッパリと言うホームズにヨルはため息を吐く。

「ま、俺もあまり賛成はしないが、悔しい事にこいつの言う事に筋は通ってる」

ヨルは欠伸を一つ。

「第一、俺には基本的に拒否権はない」

面倒臭そうにヨルはそう言った。

「何もせずに殺されるのもシャクだ。忌々しいが、乗ってやるホームズ」

「涙が出るほど嬉しいよ、つーか、死なないでしょ?ジランドの命令が出てるんだよ?」

「阿保、お前がどれだけアルクノアに恨みを買ってると思ってんだ」

ホームズは、ヨルの台詞を聞いて軽く肩を竦める。

どうやら、最初から分かっていたようだ。

そんなホームズを見てエリーゼは、ギュと杖を握る。

「ホームズ!!」

しかし、そんなエリーゼの叫びホームズは、適当に手を振って答える。

ヨルと適当な会話をするホームズは、もうジュード達の方を見ていない。

「やっぱり、ダメだよ!ホームズ!一人で残るなんて!!」

ジュードの言葉にホームズは、振り返らずに肩にいるヨルを指差す。

「ヨルがいるよ」

「俺の数え方は、一人じゃないだろ」

彼らのくだらない会話している間も去り行く足跡が聞こえない。

おかしな話だ。

初めて出会った時ホームズは、自分が彼らから逃げることを考えるので精一杯だった。

それが今はどうだ。

ホームズは、自分が逃げることは考えず、彼らを逃がそう(・・・・)と精一杯だ。

(何が起こるか分からないもんだねぇ……)

焦りと懐かしむ気持ちとそれともう一つ渦巻く感情の中ホームズは、そんな胸の内を吐き出すようにため息を吐いた。

どうしたものかと。

何せ、このままでは、確実に全滅だ。

「………随分と愛されたもんだねぇ……」

ホームズの言葉に感情はない。

「ホームズ一人で残すわけには、行きません」

「ま、そういう事らしいぜ」

エリーゼもジュードもアルヴィンも武器を構えている。

その言葉を聞きホームズが言い返す。

「馬鹿な事言うんじゃあない!!この状況が分からない、君たちじゃないだろう!!」

ホームズは、そう言って歯をくいしばった。

これ以上ジャオのような人をホームズは、見たくないのだ。

だが、それはジュード達も同じこと。

「だからって!ホームズ一人で置いて行くわけに行かないよ!」

「言ったはずです!ホームズ一人だけ戦わせないと!」

エリーゼの言葉を聞くとホームズは、頭をかきむしって叫ぶ。

「じゃあ、どうしろって言うんだい!このままじゃ、確実に全員死んじゃうだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一人じゃなけりゃいいんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞き覚えのある声とともに、無数の光の矢が、黒ずくめの兵達に降り注ぐ。

 

 

 

「ぐあぁ!!」

しかも、物の見事に鎧の隙間に打ち込まれていた。

 

 

 

「……俺も残るから、お前さん達はとっとと人形の嬢ちゃん連れて逃げな」

 

 

 

 

ピチャリピチャリと静かに足音は、ホームズの隣まで歩いていく。

 

 

 

 

「……ここで来てくれるとは思いませんでしたよ、マーロウさん(・・・・・・)

 

 

 

ホームズの言葉にマーロウは、ニヤリと笑ってもう一度弓を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

「なかなか、冴えた登場だろ?」

 

 

 

 

 

 

そう言って再び矢を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









タイトルを少し似せました。


こういうイタズラはやっていて楽しいです。




ではまた百十五話で( ´ ▽ ` )ノ

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