1人と1匹   作:takoyaki

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百十六話です!



本当は、木曜に更新のつもりだったんですが、ジャンプを読んでもうテンション上がって仕方ないのでUPしました。

テンションの上がる出来事とは?

聞かずもがなという奴ですね。



そう!テイルズの新作の発表です!!


余りにも早すぎて色々と考えたくない大人の事情を考えてしまいますが、ここは素直に喜びましょう!
五千円近く出すもののやなところをやる前から探しても仕方ありませんしね♪


てなわけでどうぞ


撃っていいのは……?

「よく、ここが分かりましたね」

「ローズとばったり会ってな。そしたら必死の形相でお願いされたんだよ」

「それはそれは」

ホームズは適当に返すと後ろを振り向く。

マーロウは、再び弓を引き絞り放つ。

「ほれ、あと一押し説得しろ」

「言われなくても」

ホームズは、そう言って言葉を続ける。

「ま、そんなわけだ。みんな先に行っておくれ」

アルヴィンは、頭の後ろをかく。

「そんな言い方あるかよ」

「……うん。ホームズ」

「分かったって、必ず戻るよ」

ホームズは、ジュード達に背中を向けた。

「あぁ、そうだ」

背を向けたまま、ホームズは何かを思い出したように続ける。

「君たちが残るって言ってくれた時、白状しちゃうとね……情けない事に嬉しかった」

そのまま頬をぽりぽりとかく。

「ありがとうね」

エリーゼとジュードは少し肩をすくめる。

「ただし!それの倍以上に鬱陶しかった……今後はそんな事、無しにしておくれよ」

その台詞を聞いてエリーゼとジュードは、しらっとした目を向ける。

アルヴィンは面白そうに笑っている。

「ホームズは、そんなんだから友達がいないんです」

「………せめて、そこは少ないにしておくれ、エリーゼ」

困った様な顔をするホームズを見てエリーゼは、思い出したように微笑む。

「そうでしたね。そんなんだから、友達が少ないんですよ、ホームズ」

ホームズは、ひらひらと手を振って前を向いた。

言いたいことは言った。

それ以降ジュードもエリーゼもアルヴィンもホームズもヨルもマーロウも振り返ることはなかった。

ホームズは、彼らが去るとマーロウに目を向ける。

「あの、気になっていたんですけど、その武器どうしたんです?

召喚の精霊術は、潰したはずですけど……」

「お前ら二人して同じこと聞くのな……復活させたんだよ。ローズに潰されたせいでもう一度一からやり直しだった。

時間がかかったのは、そのせいだ」

「あぁ、なるほど」

マーロウは、そう言って弓を引く手を止め、ホームズに水の入った瓶を渡す。

「これ、エリクシール?」

「やる、飲んどけ」

ホームズは、言葉に素直に従って瓶の中身を飲み干した。

すると、先ほどまでの疲れが嘘のように消し飛んだ。

睡眠をとったかのようにホームズの身体に力が戻った。

そんなホームズに兵士が襲いかかる。

ホームズは、瓶をぶつけ、そして、回し蹴りを腹に叩き込む。

意識を失った兵を掴むとそのまま持ち上げ、自分の後ろにいる兵達に投げ飛ばす。

「……隙を作ったな?」

そう言ってマーロウは、目の前の的に弓を引く。

その放たれる殺気に兵士たちは慌てふためき更に銃弾を放つのだが、当たらない。

頬をかすめる銃弾に一瞥をくれる。

「やれやれ」

マーロウの手からマナが溢れそれを弓が矢へと形を整える。

マーロウ自身にマナを矢に変化させる力はない、弓が変えているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「覚悟出来てんだろうな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と同時に矢は放たれた。

放たれた矢は同時に無数に分かれ、矢は兵達に突き刺さる。

しかし、幸い急所は外れている。

「ぐ………これぐらい!」

「んなわけねーだろ」

向かってくる兵達に向かってマーロウは、指をパチンと一発鳴らす。

するとそれを合図に兵達に刺さった矢は爆発した。

「うわああああ!!!」

自分の身体の一部が弾け飛んだ兵士達は急いで退却していく。

残った兵士達は、弓を打たせなように遠距離から銃を連射しようとした。

しかし、兵達が構えるより早くマーロウは次の矢を放っていた。

銃を構えるより早く矢に刺さる兵士達。

「い、いや、いやだ───!!お願いだ!助けてくれ!止めてくれ!!」

周りがどのようになったか見ていない訳ではない。

恐怖が襲いかかる。

その様は、惨めで哀れだ。

しかし、

「……却下だ」

そう言って再度爆発音が響きわたる。

「凄いですね、それ……」

「ま、でも、ここらで打ち止めだな」

マーロウがそう言った瞬間弓の弦が消えた。

「えっ?」

「時間制限があんだよ……お気に入りなんだが……連発すると弦が痛んじまってなぁ……こうしてしまいこんで自動回復に努めるんだよ」

マーロウは、そうため息をついて両手を組み、そして、その中にしまう。

代わりに矛を取り出した。

矛を構えるとマーロウは、ニヤリと笑う。

「事、突進に置いて槍に勝るものはないぜ」

「矛ですけど、それ……」

「どっちも似たようなもんだろ」

ホームズが、マーロウに呆れた瞬間、兵達の足元が爆発した。

先ほどの矢がまだ地面に残っていたのだ。

それと同時にマーロウは、踏み込んでいた。

爆発で、戸惑っている兵士達を矛で蹴散らしながら進んでいく。

兵達は、マーロウに銃を放とうとするが、味方の兵が邪魔で下手に発砲出来ない。

マーロウは、突進で相手の度肝を抜くと武器を切り替える。

「密集地帯じゃあな?」

出てきたのは、一振りの日本刀だった。

マーロウは、左手から引き抜くと同時に回転する。

「円閃牙ァ!!」

マーロウを中心として、兵達は切りつけられ吹き飛ぶ。

「うわぁあああ!!」

マーロウの周りにいた兵達は、ことごとく倒されていく。

「な………何をやっている!黒匣(ジン)を使え!!早く!」

「魔神剣・焔!!」

しかし、それをマーロウは許さない。

マーロウから放たれた炎の剣戟は、兵達をなぎ倒して進む。

近距離から攻撃をすれば、刀で斬られ、かといって遠距離から離れて戦おうとしてもマーロウは、それを許さない。

ようやく兵達はマーロウの規格外の強さに気づいた。

詠唱という無駄な手間をかけずに力を使える、自分達の方が一枚上手だと思っていた。

しかし、マーロウにはそのアドバンテージも意味をなさない。

一対十なんてレベルではない戦力差を平気で覆してくる。

兵達は、寧ろ恐怖し始めていた。

「…………っ!間違うな!我々の目的は、その男を倒すことではない。

その黒猫を連れた男を捉えることだ!!」

一人の兵の言葉に兵達は、ハッとして今度はホームズに襲いかかる。

「……まぁ、そう来るよねぇ……」

ホームズは、顔が引きつるのを感じる。

マーロウのような無双は、夢みたいなのものだ。

(まあ、でも、何回も戦ったんだから、強くなってる……はず!)

敵の数を見てもホームズは、己を鼓舞する。

 

 

 

 

 

 

『勘違いしちゃいけないよ、ホームズ。命懸けの戦いをしたから強くなるわけじゃない』

 

 

 

 

ホームズの脳裏に蘇る言葉。

思わず心を折る言葉だが、続きの言葉が蘇る。

 

 

 

 

 

『まぁ、でも、命を賭けて戦ったんなら、強くならなきゃ損だよねぇ』

ホームズは、静かに足に力を込めながら上げる。

爆砕陣にしては、大きいタメにマーロウは、遠目で見ながら首を傾げる。

 

 

 

 

 

 

 

行商人()の息子なら、得する方を選びたまえ』

 

 

 

 

 

 

 

「ヨル、見極めたまえ」

「……なるほど。ふむ」

ヨルはそう言って金色の目を凝らす。

そして、尻尾で示す。

 

 

「そこだ」

 

ホームズは、ヨルの示した位置を思い切り踏みつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔王地顎陣!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆砕陣とは、比べ物にならない威力。

ヨルは此処まで来るのに散々霊勢を見てきた。

だから、不安定な場所を見極めることが出来る目が鍛えられていた。

だから、ホームズはそこを渾身の力を込めて踏み抜いた。

ヨルの力を借り、更に力を込め、今は亡きジャオの技をホームズは再現しきった。

命を賭け、削った戦いで得たものは全てホームズとヨルのもの。

彼らは知ったことを過ごしたことを無駄にしない。

迂闊に近寄った面々は爆発に巻き込まれ中に浮くか、派手に吹き飛ぶ。

勿論吹き飛んだだけではない。

「ぁあ"あぁあ"あっ!」

足が砕け激痛に悶えている兵がそこにいた。

突然光景に戸惑っている連中にホームズは、躍りかかる。

一人の顔面に蹴りを食らわせるとそのまま顔を足場にし、バク宙して、今度は背後にいる兵の士頭に体重を乗せ着地をする。

更にそのまま目の前に向かってきた兵士に回し蹴りを食らわせる。

ご丁寧に関節を狙って。

「がぁっ!!」

地面てもがいているいアルクノア兵の腹を踏みつける。

踏みつけられた兵は声もなく気を失った。

ホームズは、群がる兵を更に蹴り飛ばす。

「文字通り、命懸けで成長したんだ……君たち程度に負けるものか」

そう言うホームズの背後にジャオを殴った大型の爪のような籠手を嵌めた兵士が襲いかかろうとしていた。

しかし、それは突如現れたマーロウの一刀の元に切り捨てられた。

「………本当、お前母親そっくりだ」

「それ、ガイアス王にも言われました………」

そんな事を言っているとホームズの目の前で兵士が踵を鳴らす。

すると靴がスイッチが入ったように光る。

そして、人間とは比べ物にならないスピードで回し蹴りを放った。

ホームズは、それを後ろに下がってかわす。

「やれやれ、鍛え方が足りないんじゃないのかい?」

ホームズは、蹴りを外した兵士の顔を思い切り掴み持ち上げる。

そして、そのまま地面に叩きつけた。

「キックってのは、こうやるんだよ」

そう言ってホームズは、地面に叩きつけた兵士の腹にサッカーボールキックを食らわせる。

ラ・シュガル軍の鎧より防御力が薄いのが災いしたようだ。

身体に響き渡る衝撃に声もなく兵士は、気を失った。

蹴りを食らった兵はそれこそボールの様に吹き飛び、更に別の兵士の意識を奪った。

「何処かで見た蹴りだな!」

マーロウは、そう言って群がる兵を切り倒していく。

「奇遇ですね、おれもです!」

そして、マーロウの背後に襲いかかる敵をホームズは、蹴っ飛ばしていく。

敵は減っている。

しかし、終わりが見えない。

マーロウは、リリアルオーブが輝かせながら、刀を投げ捨て両手を組み、新たな武器を引っ張り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出てきた武器はアルヴィンやエレンピオス人が使う武器、銃だった。

リーゼ・マクシアに銃という武器はない。

だから、マーロウが持っているはずはないのだが、マーロウの手に収まっているそれは、間違いなく銃だ。

ホームズは、その銃を見てひとつの可能性に辿り着く。

(そうか、母さんのを見て、見よう見まねで作ったんだな……)

しかし、だからと言って普通は、作れるわけがないのだが。

「まあ、此奴を普通というのには無理があるだろ」

ヨルの言葉と共にマーロウのリリアルオーブの輝きは、最高潮(オーバーリミッツ)に達した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「覚悟しろよ」

 

 

 

 

それが、秘奥義の開始だった。

 

 

 

 

 

 

マーロウは、撃鉄を引き、銃にマナを込めていく。

紫の光が銃を怪しく光らせそれは、銃口に集中していく。

銃口に集まらなかったらマナは、やがて銃口の前に魔法陣を描き出す。

 

 

兵達は銃を撃つが、余りに濃密なマナにマーロウの周りの空間が歪んで見えてしまい、狙いが定まらず、見当違いの方向に飛んでいく。

 

 

「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだぜ?」

 

マーロウは、放たれる銃弾に一瞥すると銃口に現れた魔法陣が彼の視界に映る兵士の前全てに現れる。

 

 

 

 

「轟け撃鉄………」

 

 

 

 

そう言ってマーロウは、人差し指に力を込める。

 

 

 

 

 

 

「別れを告げる歌となれ!」

 

 

魔法陣は、輝き敵兵達はまぶしくて目を開けていられない。

 

 

 

 

「"エターナル・フェアウェル"!!」

 

 

 

 

 

カチリと引き鉄を引く音共に撃鉄が轟音で振り下ろされる。

轟音は、言葉通り目の前の的達に別れを告げる鎮魂歌(レクイエム)なって辺りに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放たれたマナの塊は、陣を通り、それぞれの陣を目指し四方八方に散っていく。

 

 

 

 

 

 

兵達は避けようとするが、マナの銃弾は、陣を追っていく。

銃弾は、兵達の胸を次々に貫き、絶命に追い込んでいった。

兵達が動かなくなるのを見届けるとマーロウは、銃を下ろす。

 

 

 

 

「さて、こんだけやりゃあいいだろ」

「ですね」

そう言って二人は走り出そうとした。

やるだけの事はやった。

後はミラ達と合流するだけだ。

 

 

 

 

 

(みんな無事でいておくれ!)

 

 

 

 

ホームズが心中で願ったその瞬間マーロウに冷気が襲いかかった。

「──────なっ!?」

マーロウの足は地面に縫い付けられたように氷漬けにされた。

冷気は、まだ終わっていない。

ヨルはその冷気を辿って崖の上を確認する。

 

 

 

そこには、セルシウスとジランドがいた。

 

 

「まさか………!!」

 

 

 

 

 

ホームズが気付くと同時にマーロウに向かって氷の矢が降り注がれた。

 

 

 

 

(くそ!これじゃあ!!)

ホームズの方が先に進んでしまった為、投げているヨルの精霊術喰いも間に合わない。

かといって、ヨルを投げている間もない。

ホームズは、顔から血の気引くのを感じていた。

直ぐに踵を返し、マーロウに向かって走り出した。

肩でヨルが何かを言っているが、そんな事を耳に入らない。

いや、入れている余裕なんてない。

今のホームズにとって優先すべきは、マーロウだ。

これ以上自分の知り合いが死ぬのはごめんなのだ。

自分の知り合いの死。

それは、ホームズにとって味わいたくのないことだ。

自分の死よりも。

この辺が、歪んでいると言われる所以なのだが。

しかし、そうは言ってもそれがホームズだ。

だからこそ、この状況を身体全体がそれを拒否したと言っていい。

頭には血が上り、心臓はいつも以上に動き、踏み込んだ足にはかつてない力が込められていた。

 

 

 

 

 

 

 

(頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む………頼むからっ!)

「────っ間に合えぇえええええええ!!!」

ホームズは、地面を踏み込みマーロウの前へと向かって飛び込んだ。

 

 

 

 

 

ホームズは、完全にマーロウの盾になるつもりだ。

一秒が一時間に感じるほど、ホームズは空中にいた。

雨は数えらるような早さでゆっくりと地面に落ちていく。

氷の矢がマーロウの目前まで迫っている。

しかし、ホームズの判断が功を制した。

この調子なら氷の矢が届くより、ホームズが盾となる方が早い。

(間に合った!)

ホームズは、安堵に包まれた。

様々な策を消してこれを選んだ甲斐があったというものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それを容認しない男がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームズが命を捧げて守ることを良しとしない男がここにいる。

 

 

 

 

 

 

 

その男……マーロウは、フッと微笑んで自分の前に出ようと迫ってくるホームズに裏拳を食らわせ、来た方向に返した。

 

 

 

 

 

 

 

ホームズは、突然の事に何が起きた信じられなかった。

マーロウからゆっくりと離れていく身体を自覚し、暫くしてして、ようやく何をされたか、気づいた。

 

 

 

ホームズは、目を見開き手を伸ばす。

 

 

 

「マ───………!」

 

 

 

 

吹き上げる水飛沫と轟音。

 

 

氷の矢は、マーロウを一片の慈悲もなく貫いた。

 

 

 

 











では、また百十七話で

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