1人と1匹   作:takoyaki

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百三十四話です。



なんだか、この休日は盛りだくさんだったなぁ………




てなわけで、どうぞ


桃栗三年策三分

「というわけだ。残り二十五秒でここを突破しろ」

ヨルは、レイアの肩に乗り時計を見せる。

「おい、レイア。おたくの友人どうにかなんないの?」

レイアは、苦笑いで返す。

「仕方ない。ホームズの無茶振りに答えるとしよう」

ミラはそう言って片手剣に風を纏う。

「ウィンドカッター!」

風の刃がアルクノアに襲いかかる。

「ヨル!ホームズにやってるあの黒い球わたしたちにも出来ないの?」

「出来たらとっくにやっている!」

そう言ってヨルが尻尾でアルクノアを引っ掛ける。

倒れた兵士にアルヴィンの銃弾が打ち込まれる。

「三散華・追蓮!!」

四連撃をそれぞれ兵士に一撃ずつ加え四人倒す。

「レインバレット!!」

アルヴィンが銃弾を上空に打ち上げる。

「ついでだ!虎牙破斬!!」

目の前の敵を切り上げ、そして、切り落とす。

地面に落とされた瞬間弾丸が雨のように降り注いだ。

突然の上空からの攻撃に敵が怯んだ。

「今だ!」

ヨルの声とともに三人は、一斉にホームズ達に向かって走り出した。

その三人を追撃しようとアルクノアが追ってくる。

「ちっ!」

「いいから走れ!後十五秒だ」

ヨルの尻尾がアルクノアを絡め取り動きを殺す。

「見えた!ホームズとジュードだ!」

レイアの言葉に三人は更に足を早める。

しかし、それをアルクノアが行く手を阻む。

「「魔神剣!!」」

(後五秒!)

ミラとアルヴィンの魔神剣がアルクノアを弾き飛ばす。

僅かにヒビを入れたその隙間にレイア、アルヴィン、ミラは潜り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「来たぞ!」

ヨルの声に振り返るとそこには壁を潜り抜けてやってきた、アルヴィン、レイア、ミラが走ってきていた。

「アルヴィン!援護したまえ!」

そう言ってホームズは、リリアル・オーブを光らせる。

「ジュード!」

「わかった!!」

ジュードは、ホームズに向かって走り、そしてホームズの足を踏み台にする。

「「飛天翔星駆!!」」

ホームズは、そのままジュードを打ち上げた。

「そういうことか!」

天高く打ち上がったジュードを上空のアルクノアが狙う。

それをアルヴィンが片っ端から撃ち抜く。

それでも撃ち漏らした敵は、ミラのウィンドカッターが襲う。

下から狙う敵は、ホームズとレイアが倒していく。

そう、甲板を走り抜けて辿り着くとことははっきり言って無理だ。

なら、上空を飛べばいい。

ただそこで問題になってくるのが、身動きの取れない空中にいるジュードの援護だ。

ホームズにそんな距離のある技はない。なら精霊術をと思ってもそもそもその援護をしているので、彼らの力はアテには出来ない。

そこで考え付いたのが、アルヴィンの銃だ。

銃なら、いくらでも援護が出来る。

だが、宙を舞うジュードを援護している間、アルヴィンが無防備になる。

「うるぁあ!!」

アルヴィンに狙いを定めていたアルクノアをホームズが蹴り飛ばした。

「その為にも君たちを呼んだんだよ」

そう言ってジュードを援護しているミラを見る。

「ま、ミラもあんな事が出来るとは思わなかったなぁ……」

ホームズとレイアは、そのままアルクノアを倒していった。

援護を得たジュードは、エリーゼ達の元へと降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ジュード!?」

突然天から降ってきたジュードにローズは、ポカンと口を開けている。

「文句も回答も後回しにするよ、後三十秒を切った」

そう言ってジュードは、向かってくるアルクノアの顔面を殴りつける。

そして、そのまま回し蹴りを放つ。

「輪舞旋風!!」

ローエンに近づこうとした敵は、物の見事に蹴り飛ばされた。

ローズは、最初こそ戸惑ったが、直ぐに刀を揃える。

「円閃牙!!」

周りのアルクノアを一蹴する。

その瞬間ローズの体にまとわりついていた光が消えた。

(ちっ!クイックネスが解けた!!)

そして、そのままエリーゼに黒匣(ジン)を向ける敵に斬りかかる。

それを狙っていたかのように今度は、別のアルクノアがローズに襲いかかった。

「くっ!」

ローズは、それを刀で受ける。

そして、もう片方の刀を握った手で相手を殴りつけた。

「ぐっ!」

殴られた鼻を抑えているアルクノアを前にローズは、刀を持った手を合わせる。

「獅子戦哮・氷牙!」

冷気の獅子で氷漬けにし、吹き飛ばす。

「紅蓮剣!!」

そのまま振り返りざまにローズは、炎纏った刀で先ほどの黒匣(ジン)を構えたアルクノアを斬り伏せる。

次の敵を探そうとすると辺りを一瞬見回すと別のアルクノアがエリーゼに襲いかかろうとしていた。

距離のせいで蒼破・追蓮も魔神剣も届くのに時間がかかる。

ローズは、急いで駆け出す。

「マズイ!!」

(魔神拳じゃ間に合わない!!)

二人が歯噛みをした時、

「誰でもいい!道を作りたまえ!!」

ホームズの声が聞こえた。

突然の事に文句も何もかも二人は、飲み込んでそれぞれの武器を構える。

「剛・魔神剣!」

「ミュゼ!!」

二人の攻撃により敵は吹き飛び誰もいない空白の道が出来る。

そこをミラ、レイア、ホームズ、アルヴィンの四人が走り抜けた。

「アルヴィン!!」

「分かってるって!!」

 

 

アルヴィンは、エリーゼに狙いを構えていたアルクノアを銃で撃ち抜いた。

「五」

 

 

 

 

レイアは、棍を振るいローエンに襲いかかろうとしていたアルクノアを上空に築き上げた。

「四」

 

 

 

ミラはミュゼを出したばかりで背後に隙のあるジュードに襲い掛かるアルクノアを斬り伏せる。

「三」

 

 

 

ホームズは、ローズの背後にいたアルクノアの脳天に踵落としを食らわせる。

「二」

 

 

 

ジュードは、目の前で自分に振り下ろされる武器をかわし敵に裏拳を放つ。

「一」

 

 

 

 

ローズは、ホームズを除け、ホームズの後ろにいる敵を斬り伏せる。

「零」

 

 

 

 

ヨルは、ニヤリと笑う。

「ローエン!ジャリ!!」

「お任せを!」

ヨルの言葉にローエンが答える。

そして、ローエンより先にエリーゼの精霊術が完成する。

「『ブラック・ガイド!!』」

その言葉と共に堕天使が出現し手に持った鎌でオルダ宮で見せた時より遥かに広範囲の敵を一掃した。

突然の攻撃に戸惑うアルクノアにローエンが追い打ちをかける。

「タイダルウェイブ!!」

ローエン達を中心とし、巨大な渦潮が甲板を覆った。

巻き込まれたアルクノア達はあるものは意識を失い、またあるものは船から叩き落された。

そして、渦潮が止んだ時、アルクノアは誰一人として甲板に立っていなかった。

「や、やった!!」

「まだだよ、レイア」

ジュードは、そう言って自分達の船に降りてくる敵を指差す。

「まあでも、あと二分なら、どうにでもなるだろう?」

 

 

 

 

【おいお前達!聞いて驚け!何があったかしらんが、三十秒でジルニトラに辿り着くぞ!!】

 

 

 

 

そんなホームズの言葉をかき消すようにイバルの声が響いた。

 

 

 

 

 

ヨルは、ローエンを見る。

 

 

 

 

「お前の精霊術の水が重くて、とかか?」

「かもしれませんね」

ヨルの言葉にローエンは、そう微笑んで答える。

アルヴィンは、ホームズの肩をポンと叩く。

「一つの所に俺たちを集めるとはね、やるじゃねーの」

ホームズは、アルヴィンのほめ言葉に肩をすくめる。

「まぁ、アレだ。君達が咄嗟のおれの判断に従ってくれるかは、賭けだったんだけど、上手くいって良かったよ」

「それにしちゃ、色々時間がギリギリだったよね………」

ため息と共にその言葉を繋いだのはレイアだ。

三十秒で合流させたり、敵陣真っ只中に突撃させたりとなかなかの無茶振りだ。

レイアの言葉にホームズは、キョトンとした顔をする。

 

 

 

 

 

「でも君達なら出来るだろう?」

 

 

 

 

 

当たり前のように紡がれた言葉に一行呆れて頭を押さえる。

「あ、あれ?おれなんか変なこと言った?」

「ううん。別に」

ジュードは、笑って答えた。

いや、ジュードだけではない。

他の面子も笑っている。あのローズもだ。

ホームズは、そんな面子を見て首を傾げる。

「変なの」

『『お前が言うな』』

ミラ達の心が一つとなった言葉が共に空中戦艦に響いた。

ローズは、それに参加せずやれやれとため息を吐いていた。

 

 

 

 

 

空中戦艦は、イバルの言った通り三十秒後に着水し、辿り着いた。

ホームズ達の船出は、迷うことなくエレピオスとリーゼ・マクシアの戦いへと突き進んでいった。

 

 

 

 

 





今回の話、ワール○トリガーのあの話を見て書きました。

バラバラの場所にいる皆がひとところに一気に集まるという流れが個人的に好きで好きで、テンション上がって上がって………
てなわけで、今回書きました。



ま、全員同じ甲板にいたんですけどね(笑)




では、また百三十五話で( ´ ▽ ` )ノ

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