1人と1匹   作:takoyaki

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百三十五話です!


筆が乗ったので、ついでに投稿です!



そう言えば先日防災訓練が職場でありました。


新社会人ということで、ロープを身体に括り付けて約十メートルの高さから降りました。


めちゃくちゃ怖かったです。


後、壁で肘を擦りました。


これよりも高いところから降り人ってやっぱりすごいですね………


てなわけで、どうぞ


ジルニトラ
呉越同艦


「どわぁっ!」

ホームズは、着水した衝撃に思わずよろめいた。

目の前にはジルニトラ。

そこにジュードが飛び込んでいく。

ジルニトラの甲板には黒匣(ジン)を構えたアルクノアがずらりと並んでいる。

「──────っ!」

「ウィンドカッター!」

思わず身構えたジュードの背後からミラがウィンドカッターを放つ。

そして、そのままジュードの隣に降り立つ。

それに続くようにホームズ達もジルニトラに降り立った。

「おい!」

ヨルの言葉に顔を上げると別の空中戦艦からアルクノアが降りてきていた。

ホームズ達が載っていた空中戦艦から攻撃を仕掛けるが、それでも減る気配がない。

ジルニトラに降り立った二人がホームズ達に襲いかかる。

ホームズは、向かってくる二人のアルクノアの顔面を掴むとそのまま甲板に叩きつけた。

甲板が凹む程の衝撃に、フルフェイスの鎧の二人は、気絶した。

しかし、敵はまだ降りてくる。

「あぁ、もう!ゴチャゴチャとうるさいっ!」

ミュゼは、鬱陶しそうにそう言うとそのまま上空に上がっていき、手のひらの上に球体を作る。

ヨルがヒゲをピクリと動かす。

(あれは………)

手のひらの上に現れた球体は、やがて膨らみそして、空中戦艦を閉じ込めた。

更にそれだけでは終わらない。

膨れ上がった球体は、今度は元の大きさに縮んでいき、船を潰した。

「おいおい、マジかい」

ホームズは、そのミュゼの強さにそうもらすと半眼になる。

「というか、ミュゼ?それぐらいの事ができるならもっと初めからやってくれないかい?」

「あら?これは、ジュードの使役のおかげなのよ?」

小首を傾げてふふふと笑う。

「ジュードが使役してくれたおかげで私にも力が戻ってきたのよ」

とても穏やかに笑われてしまい、ホームズは言葉がない。

「凄まじい力だな」

「流石ミラのお姉さん!」

戦慄しているミラを他所にレイアは、感心しきってそう言う。

「頼もしいです」

エリーゼとティポはニコニコと笑いながらそう言った。

ホームズは、そんな二人を見て倒れているアルクノアを見る。

「おれも頑張ったんだけどなぁ……」

「ホームズの場合、いつ怪我をするかって考えると不安で不安で……」

ジュードは、はははと乾いた笑いで返す。

「まぁ、賭けてもいいが、今回も無傷じゃ済まんぞ」

「だよね……」

ヨルの言葉にジュードはため息を吐く。

ホームズは、そんな彼等を見て半眼を向ける。

「あっそう。そこまで言うんなら、見せてやる!今回、おれは無傷で切り抜けてみせる!!」

「ホームズ、頭になんかついてるけど」

ホームズの頭には、ティポがかじりついていた。

血が一筋流れる。

「…………」

「早速、終わったけど」

ジュードの冷静な突っ込みが甲板に染み渡る。

ホームズは、無言でティポを剥がすとエリーゼの顔に投げる。

「何するんですか!」

「そりゃあ、こっちのセリフだ!!」

『デコピンのお返しだぁー!!』

十二歳と同レベルの喧嘩をするホームズを他所にミュゼは、ミラの方を向く。

「私はここに残って皆さんに力をお貸しします」

「………どういうつもりだ?」

ミラがミュゼに不思議そうに尋ねるとミュゼは軽く微笑む。

「ここが落とされたら終わりでしょう?」

「まあ、そうよね。援軍なんてこられたらたまったもじゃないわ」

ローズの言葉にミュゼは、頷きジュードを見る。

「ジュード、ご無事で」

そう言うと今度はミラに視線を向ける。

「あなたもよ、ミラ。忘れないで、あなたはマクスウェルなのよ」

ミュゼは、そう言うと空へと飛んで行った。

顔を伏せているミラにローエンが声をかける。

「時間がありません。敵の増援を防いでいる、今が好機です」

「………なら、ここは二手に分かれた方が良さそうだ」

ミラの言葉にガイアスが歩き出し、ジュードを横目で見る。

「わかってるよガイアス。僕のなすべきことを忘れるな、でしょ?」

ジュードの言葉を聞くとガイアスは止めていた足を進める。

「奴らの企みここで必ず阻止する!目標はジランド、そしてクルスニクの槍だ」

ガイアスがそう言い切るとイバルが空から降りてきた。

「ゲッ……」

露骨にヨルは嫌そうな顔をする。

その声にホームズは、エリーゼと諍いを一旦止めヨルの視線の先を見る。

するとホームズもヨルと同じ顔をしてため息を吐く。

そんなヨルに構わずイバルは、着地の姿勢から立ち上がる。

「おれも手を貸しましょう!ミラ様!」

「お前、まだいたのかよ」

『邪魔だからこっちくんなー!』

アルヴィンとティポの言葉にイバルは、胸を反らして笑う。

「はっはっは。当然だ。俺はガイアスにつこう」

尊大な態度のイバルにガイアスたちは顔色を変えずにイバルを品定めする。

「では、ジャオの抜けた穴を埋めてもらおう」

「余裕」

ウィンガルの言葉にイバルは更にニンマリと笑い指をビシッと突き出す。

そんなイバルをガイアスたちは無言で睨む。

「よ、よゆうだ」

流石に地雷を踏んだことに気がついたのだろう。

イバルから余裕が消えた。

「行くぞ!」

ガイアスの言葉に四象刃(フォーブ)の三人が歩みを進める。

「貴様には、負けんぞ!ニセモノ!」

「早く来なさい、おバカさん」

「無礼な奴だ!だが許そう!」

余計なことを言っているイバルをプレザが黙らせていた。

そんなイバルをホームズはじとっと湿度の高い目で見た後ミラの方を向く。

「………あれ、本当に巫女?」

「まぁ、無能な奴ではないのだがな」

ミラは、ため息が止まらない。

そんな中プレザが足を止めアルヴィンを見る。

「アル……」

「なんだよ」

不機嫌さを隠すことなくアルヴィンは、即答する。

「………死なないで」

プレザは、返事も聞かずガイアス達についていった。

「アルヴィン?」

ローズがそんなアルヴィンを不思議そうに見ている。

「どうした?ローズ?」

アルヴィンの質問にローズは、肩をすくめる。

「いや。女の人相手に言い方キツイなと思って、アルヴィンらしくないわね」

「………おたくもホームズと話さないのな。らしくないんじゃねーの?」

ローズは、目を見開いて思わずうつむく。

「…………貴方には、関係ないわ」

「そう言うこった」

アルヴィンは、肩をすくめる。

「私達も行くぞ」

ミラの言葉に一同は、続いていった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「ジルニトラ………ジルニトラ……うーん……」

「どうしかしたのですか?ホームズさん?」

歩きながらブツブツと繰り返すホームズにローエンは、不思議そうに尋ねる。

「いやね、実は何処かで聞いたことがあるんだよ………」

「ジルニトラを?」

「うん。どーこだったけなぁ……絶対聞いたことあるんだけどなぁ………」

緊張感のない声を上げながら首を捻るホームズは、扉を潜り抜けた。

「いたっ!」

そんなことをしているとアルヴィンの背中にぶつかった。

「急に止まらないでおくれよ……」

「なら真っ直ぐ進んでいくか?」

そう言ってアルヴィンは、正面を指差す。

そこにはアルクノア達が武器を構えて佇んでいた。

ホームズは、アルヴィンの言葉に肩をすくめる。

「お望みとあらば」

そう言うと腰を少し落とし、一気に駆け出した。

地面を滑る様にポンチョをはためかせ、駆けるホームズ。

そんなホームズにアルクノアの一人が合わせるように巨大な爪の様な籠手を構える。

カウンターを狙っているのが見て取れる。

ホームズは、アルクノアの籠手のギリギリ間合いの外で両手を地面に着く。

そして、それをバネにし、前方宙返りをする。

そのまま突っ込んでくるだけだと思っていたアルクノアの籠手は、虚しく空を切る。

そんなアルクノアの脳天にホームズの宙返りの遠心力と重力を乗せたホームズの踵が落とされる。

「ローエン!!」

「お任せを」

二人のリリアルオーブが輝き、アルクノアの一人を巨大な水泡が包みこみ宙に浮かせる。

「ヨル!!」

「ったく!」

ヨルは巨大な生首となりジャンプをしようとするホームズとタイミングを合わせて更にホームズを高く飛ばす。

ホームズは、真っ直ぐに足を掲げそのまま水泡に向かって打ち下ろす。

「「蒼華月瀑封!!」」

水泡地面に叩き落されたアルクノアは、そのまま意識を失い、割れた水泡は、辺りを巻き込んだ。

水泡の攻撃から逃れたアルクノアは、遅れて着地したホームズに背後から襲いかかった。

「私をお忘れ?」

しかし、それをローズの二刀が防いだ。

アルクノアは、更に力を入れる。

ローズを女と理解し力勝負を仕掛けてきた。

その目論見が分からないローズではない。

ローズは、俯いたままジリジリと後ろに下がる。

「ローズ!」

加勢に駆けつけようとするレイアとジュードの前にホームズが出て止める。

「ほっときなって」

「なんで!?」

「力勝負じゃ不利だよ!」

「そうだねぇ………」

幼馴染みコンビに攻められてホームズは、ため息を吐く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「相手の方が」

 

 

 

 

 

 

ローズは、一瞬だけ上体だけ後ろに引く。

相手は、それにつられるままに前のめりになる。

そこをローズは、一気に押し返した。

支えを失ったところにローズの体当たりをくらいバランスを失うアルクノア。

ローズは、それを待っていた。

「獅子戦哮………」

ローズは、両手を合わせる。

アルクノアの身体が地面に届く前にローズは、技の名を叫ぶ。

「………氷牙!!!」

文字通りの氷を纏って獅子はアルクノアに食らいついた。

食らい付かれたアルクノアは、そのまま地面に叩きつけられ気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ね?」

ホームズは、煙管を咥えながら指をさす。

流れる様な体当たりにレイアとジュードは、ぽかんと口を開けている。

側で見ていたエリーゼが納得したように呟く。

「そういえば、ローズの先生は、マーロウさんでしたね」

『ホームズよりも強かったよねー!』

単純な話一級品との力勝負なら嫌という程やっているのだ。

今更、雑魚程度に挑まれた力勝負で遅れなど取らない。

(本当にローズのことよく分かってるよね)

レイアは、思わず頬が緩みそうになる。

だが、今のホームズとローズのことを思うと少しだけ悲しくなる。

そんな百面相を繰り広げるレイアをホームズは怪訝そうに見る。

「…………どうしたんだい?君、気持ち悪いよ」

「…………ホームズさぁ、そういうとこ本当に残念だよね」

レイアの本気でドン引きした表情にホームズは、こめかみを引きつらせる。

「ねぇ……その顔本気で止めて。男の子は、そういうの弱いんだから」

胸がキュンどころか、ぎゅっと握りつぶされる感覚に近い。

そんな二人に構わずローズは、ふぅっと一息をついて歩み進める。

すると、カンという音が聞こえる。不思議に思って下を向くと小さなボタンが無数にあり、小さな棒が伸びている物体を手に取る。

「何、これ?」

「いいもの拾ったな」

アルヴィンは、そう言ってローズから謎の機械を受け取る。

「これ、相当使えるぜ?」

ニヤリとアルヴィンは、笑いながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

リーゼ・マクシアの逆襲劇は、まだ始まったばかりだ。








まだまだ始まったばかり!


ではまた百三十六話で( ´ ▽ ` )ノ

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