1人と1匹   作:takoyaki

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百四十話です


なんか、本当に二百話いきそうで怖くなってきました


ついにニチアサ8時も終わってしまいましたね……


まだちょっとやるそうですが、今回が実質最終回ということでなんだか、寂しいです。
でも、いい最終回でした。


次のライダーですが、写真で見るよりも動いたほうが格好いいですね。



てなわけでどうぞ


借りがモノを言う

「ヨル!」

ヨルは口から黒球を出す。

吐き出された黒球は、ホームズの右足を黒霞で包む。

「行くゼ!」

ホームズは、ジランドに向かって飛び上がった。

(馬鹿め!空中では身動き出来まい!)

ジランドは、ホームズに向かって照準を合わせる。

しかし、銃弾が発射されると同時にヨルの尻尾が襲いかかる。

尻尾は、銃身を弾き銃弾を見当違いの方向に照射させた。

ホームズは、銃弾を食らうことなくそのままジランドに向かって踵を落とした。

「くそっ!」

ジランドは、一歩後ろに引き何とかかわす。

ジランドに当たるはずだったホームズの踵は、そのまま落とされ地面にひびを入れた。

ホームズは、そのまま踵落としの足を軸にして蹴りをもう一度放つ。

その瞬間ホームズに向かって氷の矢が襲いかかった。

「ホームズ!!」

ミラが間に入りマナの盾を作り出す。

ジランドは、その隙に大きく距離をとった。

「やっぱりこいつら、厄介だねぇ……」

ホームズは、そう言って再びジランドと向き合おうとする。

「おい、ホームズ」

そんなホームズにヨルが声をかける。

「なんだい?」

「セルシウスと戦え」

「は?」

ホームズは、訳が分からないという風に首をかしげる。

「貴様が言ったんだろ、奴の天敵は俺だと」

精霊術が形を成したものというなら、確かに精霊術を喰うヨルは、源霊匣(オリジン)のセルシウスにとって天敵以外の何者でもない。

「………建前はわかった。本音は?」

「奴にはちょっとした因縁がある」

「おれもジランドをぶっ飛ばしたいんだけど」

ホームズが即答すると、ヨルは、少しとぼけた顔をする。

「ファイザバード沼野での出来事覚えてるか?」

「色々あり過ぎてどれのこと言ってるか分からないんだけど………」

「薬を嗅がされて気を失ったお前にパナシーアボトルを飲ませた奴だ」

ニヤリと底意地の悪い笑みを浮かべているヨルを見てホームズは、しまったという顔をする。

そんなホームズに構わずヨルは続ける。

「俺、言ったよな?貸し(イチ)だって?」

ヨルのその憎たらしい言葉にホームズは、歯軋りをするが直ぐに抵抗は諦め、ため息を吐く。

「………分かった。商人として借りを作っとくのは、あまり良くないしね」

ホームズは、そう言うとミラに背中を向けたまま続ける。

「てなわけだ、ミラ。セルシウスはこっちに任せてくれないかい?」

その言葉にミラは、少し驚く。

「確かに、そっちのほうがいいだろが………いいのか?ジランドと因縁があるようだが………」

「それは、君たちが晴らしてくれるんだろう?」

ホームズのいたずらっぽい笑みにミラは、目を丸くした後、真剣な顔で頷く。

「いいだろう」

「よし」

ホームズは、左手の盾を調整し、セルシウスに向かって駆け出した。

ミラは、それを見届けると片手剣を振るう。

ジランドは、一歩下がって躱す。

そして、ミラに銃口を合わせる。

引き金が引かれる瞬間、アルヴィンの銃弾がジランドの銃口を弾く。

弾かれた銃口から発射された銃弾は、ミラの頬をかすめて飛んで行った。

「チッ………!」

ジランドは、再び銃を構えようとする。

「飛んでけーーーーっ!!」

そこにローズの放った刀が襲い来る。

ジランドは、ローズの刀をかわす。

かわされた刀はそのままミラへと直進して行った。

ミラは、飛び来る刀の柄を持つとジランドに一刀を振るう。

迫り来る一刀をジランドは、銃身で防ぐ。

その隙にミラの二刀目がジランドに襲い来る。

「チッ!」

振るわれた刀はジランドの服を僅かに掠めた。

刀をかわされたミラは、そのまま勢いを殺さず体を回し、

「受け取れ!」

自分の片手剣を走り向かってくるローズに投げた。

ローズは、それをキャッチすると同時に両刀を高々と掲げる。

「崩襲剣!!」

叩き落される剣の衝撃にジランドは、弾き飛ばされた。

「ボルテックチェイサー!!」

ジランドは、吹き飛ばされながらも雷の銃弾を放つ。

「ぐっ!?」

技を出したばかりの隙を狙われたローズは、かわす事かなわず攻撃を食らう。

「ローズ!」

レイアが慌てて駆け寄ろうとする。

「レインバレット!」

しかし、ジランドは、更に追撃を仕掛けた。

ローズに駆け寄ったレイアのその場所は、レインバレットの範囲だ。

「ヤバイ!」

雨のように降り注ぐ銃弾に思わず二人が息を飲む。

「『ブラックガイド!!』」

突如レイアとローズの上空に堕天使が現れ、鎌で銃弾を薙ぎはらう。

「チッ!」

再び銃を構えるジランド。

「飛んでけ!」

そこに打ち上げられたジュードが上空から落ちてくる。

「「飛天翔星駆!!」」

アルヴィンとジュードの声が響き渡る。

ジランドは、それを銃身で受け流し、拳を放つ。

「グゥ!」

ジュードは、何とか攻撃を受けきる。

しかし、ジランドから距離が開いてしまった。

ジランドは、直ぐにジュードに狙いを定め引き金を引く。轟音が響き渡る。

ジュードに弾丸が届くかに思えたその瞬間、ローエンのナイフが銃弾を弾いた。

「やってみるものですね……」

ローエン自身も驚いているようだ。

『すごいぞーローエン!!』

ティポは、クネクネと動く。

ジランドは、ぺっと唾を吐き捨てる。

「………来い!セルシウス!」

「無駄だ」

ミラは、そう告げる。

「精霊術がメインのセルシウスでは、ヨルとホームズに勝てない」

更にそう続けた。

ジランドは、それを聞くと顔を俯かせる。

そんなジランドにミラは、刀を向ける。

「ホームズがセルシウスを倒す間に私達がお前を倒す」

「………………ハ」

力強いミラの言葉のあと、ジランドから小さく息が漏れた。

「?」

不審に思って首を傾げると背後で轟音が響き渡った。

衝撃と共に砂煙が舞い上がる。

その瞬間ジランドの高笑いが上がった。

「何か、勘違いしているようだな」

「なんだと?」

ミラは、余裕を崩さないジランドを不思議そうな顔で睨む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつがいつ、精霊術タイプだと言った?」

 

 

 

 

 

徐々に砂煙が晴れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつのメインは、近接格闘だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂煙が晴れると壁に背を預けているホームズが現れた。

「ホームズ!!」

ジュードの言葉に返事しようとして口から、血を吐き出した。

ジランドは、その隙に弾を込める。

セルシウスもその隣に立つ。

二人のリリアルオーブが耀いた。

「決めるぞ、セルシウス」

セルシウスは、両手を前にジランドは、銃口を構える。

 

 

 

 

 

 

「「パーフェクトバニッシュ」」

 

 

 

 

 

 

 

二人から巨大な紫の光の砲撃が一行を襲う。

「ぐっ!」

光の砲撃の威力で皆一様に膝をつく。

「くそ!これが、源霊匣(オリジン)の力か………」

ミラが悔しそうに睨みつける。

そんななか、ジランドは、面白そうにホームズを見た後ミラを見る。

「これが道具の差だ」

横に佇むセルシウスを自慢げに見せる。

「あいつを信じて任せたのが失敗だったなぁ?」

そう言ってセルシウスの頭を掴む。

「ホームズのことやセルシウスの事を何も知らないから、こうなるんだ」

ミラは、その言葉を聞き顔をニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿な事を言うな。ホームズの事を何も知らないのは、お前の方だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、セルシウスの態勢が崩れた不思議に思って、足を見るとヨルの尻尾が巻き付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつは、もう裏切らないと言っていた。

だったら、私の期待も裏切らないだろう」

 

 

 

 

 

 

 

尻尾に巻きつかれたセルシウスは、宙に引っ張り上げられた。

 

 

 

 

 

「だぁあああらっ!!」

そのまま壁を転がすように振り回す。

セルシウスの体は壁を引きずり回されていた。

巻き上がる砂けむりの量が尋常ではないスピードと威力を持っているかが、目で見て分かる。

「ぁぁぁあああら!!」

その容赦のない攻撃に空いた口がふさがらないミラを除いた一同を他所にホームズは、セルシウスを床に叩きつけた。

ミラは、ニヤリと笑う。

何せ、ホームズがそれだけで終わるはずがないのだ。

「引き寄せる!!」

ホームズは、そのままセルシウスを引き寄せるとそのまま腹に蹴りを放つ。

「紅蓮脚!!」

炎のおまけつきで。

「っづあ!!」

セルシウスは、短く声を漏らすとそのまま弾き飛ばされた。

「あー……口の中がしょっばい」

ホームズは、そう言って血をぺっと吐き出す。

「強いね、流石大精霊。思わず泣いちゃうよ」

ホームズは、にぃっといたずらっぽい笑みを浮かべながらそう返した。

それからジュード達の方を向く。

「ほらほら、おれの心配はいいから君たちは、君たちで頑張りたまえ」

「安心しろ。心配なんてしない」

ミラの言葉にホームズは、やれやれとため息を吐く。

「もう少し優しくてもバチは当たらないと思うんだけど?」

「優しくすれば調子に乗るのが目に見えてるからな」

ホームズとミラがそんな会話をしているとジランドが銃を構える。

背中を壁に預けるように倒れるセルシウスを見てジランドは、顔を険しくし、銃を放つ。

銃弾は、セルシウスの顔の真横に突き当たる。

「………道具の分際でオレに恥をかかせるな」

「ハイ、マスター」

セルシウスは、ゆっくりと立ち上がった。

ジランドは、それを満足そうに見つめる。

その光景をみて一行不愉快そうに眉をひそめる。

「さぁ、マクスウェル、どっちの道具が上か勝負といこうじゃないか」

エリーゼとレイアがムッとした顔をする。

「ホームズは、道具なんかじゃ……」

「まぁ、スペックだけでいけば、セルシウスが上だな」

「うぉい!勝敗つけんの早いよ!」

遠くから聞こえるホームズの突っ込みに我関せずという形でミラは、言葉を続ける。

「頼んだぞ、ホームズ」

その力強い目で言われホームズは、うなずき返すとセルシウスに向かい合う。

そして、二人は一定の距離を保ったまま、走り出した。

ジランドとミラは向き合う。

「流石、マクスウェル。中々非情なご決断だ」

ジランドは、楽しそうに言う。

「あぁ。あいつが道具なら、決してセルシウスとぶつけたりしない。とてもじゃないが信じられないからな」

ミラは、刀を構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「だが、仲間なら任せられる。仲間だから信じられる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミラの言葉に一行の武器を握る言葉に力が入る。

レイアとエリーゼも嬉しそうに笑っていた。

ローズは、ミラに片手剣を返す。

「こりゃあ、ホームズもついにぼっち脱脚ね」

ミラからは、刀を返してもらいそのままローズは、構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、仕切り直しだ。ジランド!」

 

 

 

 

一行は、心を一つに踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








ヨルに借りを作るとこういうことになるんです。


自分の借りた分は忘れてそうですがね(笑)



ではまた百四十一話で( ´ ▽ ` )ノ

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