GW楽しんでいきたいです。
「さてさて、面倒な事に首を突っ込む羽目になりそうだね」
「自分のせいだろ」
「おっしゃる通り」
ホームズとヨルはミラを治療院に送り届けるとそのまま、宿屋ロランドまで暗い夜道にコツコツと足音、そして話し声を響かせて歩いていた。遠めから見るとヨルの金色の目がホームズの肩の上に浮いている様に見える。
そんな会話をしているとロランドに辿り着いた。よく見ると真っ暗ではない。
「あれ?食堂の方、灯りが付いてる」
「ん、ああ、そうだな。誰かいるんじゃないのか?」
「かもね……」
そういいながらホームズは玄関の扉開け、食堂の方を見る。
するとそこには、1人の女の子、レイア・ロランドが……
「勉強してたんだろうね……」
「……見る影も無いな」
何やらノートの様な物を広げながら、四人掛けの机に頭を置いて寝ていた。
必死に眠気と戦った証拠に筆記用具を手に持って寝ている。
「起こしてあげた方がいいかねぇ?こんなところで寝てたら風邪を引いちゃうよ」
「お好きにどうぞ」
ヨルのやる気のない返事にホームズは取り敢えず、手近なノートを丸めると……
スパン!とそのまま強めに叩いた。
「……あ、おかえりホームズ、ヨル君」
「ただいま。いや、おはよう、かな?」
ホームズと寝起きのレイアと目が合う。レイアは少し痛そうに頭をなでると、ホームズに言う。
「贅沢は言わないけど、もう少し優しく起こして欲しかったな。」
「君にだけは言われたくないね」
ホームズが思い出すのは、ル・ロンドに来た翌朝の出来事だ。色々と考えがあったにせよ、危うく1日の始まりが、一生の終わりになりかけた、あの、レイアの起こし方。思い出すだけでも、心拍数が全力疾走後みたいに上がる。
苦虫を噛み潰した様な顔をしていると、レイアが向かいに座る様に促した。
ホームズは大人しく従い、レイアと向かい合わせに座る。
「ところで、ヨルが食堂に入っちゃってるけど、いいのかい?」
「別に大丈夫でしょ、ヨル君、猫じゃないわけだし。ただし、説明するのが大変だから、お母さん達の前ではやらないでね」
「りょーかい。肝に命じておくよ。それで、おれを座らせて何がしたいんだい?勉強は?」
「大丈夫、後でやるよ」
レイアはそう言うと、ふう、と息を吐くと唐突に話始めた。
「わたしね、昔大怪我をした事があるんだ。ジュードの家、マティス治療院にね、見たことない機械があったんだ」
マティスの家、見た事のない機械、それから導き出されるのは
(
ホームズはレイアの話から推測していた。まあ、所詮推測の域をでない物なので、そうそうにその推測から離れた。
そんな、ホームズに構わずレイアは自分の幼い頃の話を続ける。
「子どもだったからね、それで遊んでいたんだ。そしたらさ、それが暴発しちゃって……今のミラみたいにね、足が…動かなくなっちゃったんだ」
ホームズは息を呑む。目の前の少女が過去にそんな大怪我を負っていたとは思いもしなかったのだ。
なにせ、今では普通に歩けているし、戦えてもいる。こんな状態の彼女を見て、過去にそんな大怪我を負っていたと想像する方が無理だ。
そう考えてホームズは一つの考えに辿り着いた。そんなホームズにレイアは察した様に頷いた。
「ホームズの想像通り、わたしはね医療ジンテクスを使ったんだ。今でこそ、こんな風に話せるけど、当時大変だったよ。矛盾してる様だけどね、痛いなんてもんじゃない激痛が常にあるんだよ。リハビリもとにかくキツくてね……本当に大変だった」
「君はそれを乗り越えたんだね」
ホームズが感心した様に言うとレイアは少し困った顔をし、そしてそれから首を横に振った。
「わたし1人じゃ絶対に無理だったよ」
一旦そう言葉を切る。そして、その当時の事を思い出すように語る。
「いつもね、リハビリなんてもうやめたい!て思ってたんだ。でもね、その度にジュードがね、根気強く励ましてくれたんだ。どんな言葉だったかな……とにかくおかげでさ、リハビリを諦める事なく、ご覧の通り今ではこんなに元気に歩けるようになったんだ」
そう言って最後には満面の笑みを見せた。
「終わりかい?」
「うん。」
「どうして、そんな話をおれにしたんだい?」
ホームズは折れていない左手で頬杖をつきながら、とても不思議そうに聞いた。
すると、レイアはホームズの目を真っ直ぐ見据えて口を開いた。
「ホームズの話を聞いたからね、今度はわたしがホームズに話さなきゃと思ったんだ。……自分の辛かった話を。それぐらいしなきゃだめだと思ったんだよ」
そう言うレイアは目も口調も全て、真剣だった。
ホームズは頬杖をやめると椅子に深く腰掛けて小さく、けれどもとても嬉しそうに笑った。
「君は本当にいい奴だね……」
「そうかな?」
レイアは少し照れた様に言う。
ホームズは何かに納得した様に、口を開く。
「そうか、その頃からジュードに惚れてた訳か……」
「まあね、……て、ん?ちょ、ちょ、ちょっと待って」
今度は顔を真っ赤にしている。段々ボリュームが上がっている事に気付いていない。
「え、え、えーーー、いつから!いつから!知ってたの?!」
ホームズはさっきまでの嬉しそうな笑みを引っ込めて、今度は完璧に呆れた様な顔をしている。
「いや、最初から…」
「隠してるつもりだったのか……」
「ヨル君まで!!」
ヨルはヨルで呆れていた。
「というより、出会って数日のおれらでも気付いたのに…ジュードはあれ、気付いてないよね」
すると、今度は別の意味で顔を赤くしながらレイアは机を拳で叩く。
「そうなんだよ!全く気付いてないんだよ!見たでしょ、あの素っ気なさ!小さい頃からずっっっとそうなんだよ!」
思い返すのは、あのボルテナ街道での会話だ。
ホームズはレイアを可哀想な子を見る目をしている。
「そんな目で見ないで!!」
再度机をダンッと叩く。
「うるさいよ!!レイア!今何時だと思ってるの!!」
いつの間にかレイアの母、ソニアがそこに居た。レイアはギギギっと首をソニアの方に向けた。顔は真っ青だ。
ホームズはホームズで焦った様に肩を見る。しかし、ヨルはいなかった。どうやら、いち早く気配を察知して逃げたようだ。
「ごごごごめんなさい」
レイアは急いで謝った。傍目から見ても可哀想なくらい怯えていた。哀れに思ったホームズは、助け船を出す事にした。
まあ、話題を振った張本人なのだが。
「まあまあ、ソニアさん。レイアも年頃何だから、想い人の話じゃ声を荒げますよ。だから、それぐらいで……」
「想い人?ああ、ジュードの事」
一瞬怪訝そうな顔をしたが、直ぐに納得した様に言った。
「いや、何でお母さんまで知ってるの!!」
「……気付かれてないと思ったてのかい?因みに言うとお父さんも知ってますよ」
さっきまでの迫力は何処へやら。今では完璧に脱力している。
逆にレイアはどんどんヒートアップしていく。
「嘘!本当に!?何で?!」
「だから、うるさいっ言ってるでしょう!!それとホームズ!!」
だが、すぐに復活したようだ。
「ハイ?!」
突然矛先がこちらに向いてホームズはビクッと肩を竦める。
「あまり、この子を甘やかさないでちょーだい。直ぐに調子に乗るんだから」
「き、肝に命じておきます」
ホームズは余りの迫力に気圧されながら何とか言葉を紡ぐ。
その言葉に満足そうに頷くと、ソニアは……
「さて、それじゃ2人はコッチに来なさい」
ホームズとレイアの襟首を掴んでズルズルと外に向かって歩き出した。
「え、待って待って何でおれも?」
「レイアを甘やかした罰です。」
「おれ、怪我人なんですけど……いや、何でもないです」
ソニアのいつの間にやら取り戻していた迫力に気圧され、ホームズは口をつぐんだ。
そして、2人は外に連れ出され、そのまま2時間正座で説教を聞くハメになった。
そして……
「今日は2人とも反省しなさい」
そう言ってガチャリと玄関に鍵を掛けて2人を締め出した。
「……嘘でしょ?」
ホームズは信じられないとばかりに言葉をこぼす。
対するレイアは慣れっこの様で引きつり笑いをしている。
「多分今夜は帰れないよ」
「本当に言ってるの?だって、仮にも年頃の男女だよ。そんな2人を夜の街にほっぽり出す、普通?」
「まあ、ホームズなら何も起こらないでしょ」
ホームズは何とも言えない微妙な表情をする。
「あのね、そうやって無条件に信用するのはどうかと思うよ。おれは君が、将来何も考えずに男の家に泊まりそうで怖いよ」
「だって、ホームズ怪我人じゃん」
ホームズの説教などどこ吹く風とばかりにレイアは言う。
ホームズは左手を顎に手を当てて、しばらく考えると、ジト目になり、口を開く。
「いざとなったら、自分の方が強いと……」
「うん!」
ホームズは右腕の包帯を見ると引きつり笑いをする。
「取り敢えず、ここに居てもしょうがないし、港の方にいかない?ってヨル君が中か……」
「いや、そっちは心配ないけど……勝手に何処かに行っていいの?」
「大丈夫だよ。わたしもいつもそうしてたし」
「反省する気ある?」
ホームズのツッコミが静かに夜のル・ロンドに響いた。
◇◇◇◇
「まさか、今日だけで3回もここに来るとはね……」
「わたしだって予想しなかったよ」
2人はベンチに座って海を眺めながら今日の出来事を振り返る。
レイアの飛び込み、ホームズの過去話、そして、今度はいい年こいて、説教をくらい締め出されるというザマ。
「……1日と経っていないのにロクでもない思い出しかないんだけど」
ホームズのため息の音が響く。レイアは苦笑いするしかない。すると……
「まるで、お前の人生の様だな」
ホームズの隣からやたら低い声が聞こえた。
「わぁああ!!びっくりした。おどかさないでおくれよ。ヨル」
ホームズの文句なんてどこ吹く風。いつの間にやら、ホームズの肩に乗っていたヨルは夜の海を眺めていた。尻尾を揺らし、金色の目を光らせながら。
レイアも驚いた様でヨルを指差しながら、口をパクパクさせている。
「どうして!!だって、確かにここに着くまでヨル君いなかったよね!!」
「ああ、いないぞ」
「だったらなんで?」
レイアの質問にヨルは尻尾をゆらゆらと揺らしながら答える。
「ホームズとの距離が一定以上離れると、俺はこいつの所まで、俺の意思と関係なく勝手に、瞬間移動するんだ。まあ、これも封印の時に掛けられた制約の一つだな」
ヨルの説明でレイアはようやく納得が言ったように手をポンと叩いた。
「成る程ね、
ホームズは人差し指と親指で拳銃のようにし、レイアを指差して、少しおどけたように言う。
「そゆこと。ま、こんな風に突然現れるからさ、出来るだけこんな事が無いように、いつも一緒いるわけなんだよ」
突然黒猫が現れたら大騒ぎだ。
ホームズもそれが分かっているからそういう事が無いように気を付けているのだ。
そんなホームズの説明を聞くと レイアは何かを思い出した様にハアとため息をつく。
そんなレイアにホームズはいかぶしげに尋ねる。
「どうしたんだい?」
「まさか、お母さんやお父さんにばれてた事もショックだけど、まさか、ホームズにまで、ばれてるとはね……」
その言葉にホームズは得心がいったように手をポンと叩く。
「ああ、ジュードの事……」
「というより、ホームズに気付かれるってお前……相当だぞ」
ヨルは呆れたように見下している。猫に眉はない。しかし、もしあったなら、『片眉を挙げて』なんて表現がピッタリの顔だ。
対するホームズの顔は納得のいかないと言った感じで眉間にシワを寄せている。
「おれって恋愛ごとに対して鈍い?」
「自覚なかったのか?」
ヨルはレイアに対しての目よりさらに冷たくなっている。
しかし、ホームズの目は段々輝いていく。
「ということは、おれが気付いていないだけで、おれの事が好きな女の子がいる?!」
「「は?」」
突然の頭の悪いホームズの発言に思わずヨルとレイアの声がハモった。そんな彼らに構わずホームズはベンチから立ち上がり演説は続ける。
「やったね、ついに、ついに、つ・い・に!おれに春がやって来たよ、来ましたよ。正直、自分より年下の奴が短期間にあれだけ女の子と交流を深めてたなんて羨まし事この上なかったけど!!どんだけ、ジゴロ何だと思ったけども!!」
「えらい言われようだぞお前の幼馴染み」
「いや、本当の事だし……というか本当に年上だったんだね。てっきり、同い年かと思ってたよ」
「たれ目とアホ毛とあの服装でー3歳て感じだな」
ヨルとレイアはホームズに聞こえないように小声で内緒ばなしをしている。
しかし、ホームズはそんな事にお構い無しで、折れていない左腕をさながら演劇のように広げレイアと、そして、ホームズから逃げるようにベンチにいるヨルの方を振り返る。
「おれにもその可能性がある!!そう、おれが気付いていないだけで!気付いていないだけで!!」
「……何で2回言ったんだろう?」
「……大事な事だからだろう」
「そうなんだろう!!ヨル!!」
「ああ、そうなんじゃないか(笑)」
もう、どうでも良さそうに返事をするヨル。
「何だその目は!!」
ホームズは思わずヨルに掴みかかる。いや、もうすでにヒゲを引っ張っている。
レイアは完全に呆れている。しかし、ふと思いついたように言う。
「もしかして、ホームズってさ、誰が誰の事を好きって事に気付かないの?」
「正解。……そういう事だ、ホームズ。お前の事が好きな女の存在に気付いていない訳じゃない」
ヨルのその言葉にホームズは信じられないと言うように目をひらくとガックリと肩を落とす。
「そんな……」
その悲壮感は目も当てられない。ヨルは見下しているし、レイアは苦笑いしている。
「というか、そんなホームズに気付かれたわたしって一体……」
「よっぽどだな。そして、それに気付かないつり目のガキも相当だな」
「だよね……」
うなだれているホームズを余所にレイアとヨルは話を続ける。
「こいつの鈍さは母親お墨付きだったからな……『君はもう少し、いや、かなり人間関係に注目しなさい。でないと、馬鹿まっしぐらだよ。』って」
「随分と厳しいね……」
レイアは思わず腕を抱える。
「こいつ見てると、本当にその通りだと思うな」
さっきまでの醜態とそして、今のザマを見てヨルは言う。
レイアはそんなホームズを見てさっきから気になっていた事をヨルに聞く。
「そう言えば、ホームズにはさ、浮ついた話とかないの?」
ヨルはゆらゆらと尻尾を揺らしながら、考える。何かあったっけと。そして、1人の少女を思い出す。
「あったな、そう言えば。こいつの……」
「わああ!言うなよ君!!」
いつの間にやら復活したホームズがヨルの口を抑える。
しかし、もう遅かった。レイアの目が期待で輝いている。
「で、どうなのホームズ?!」
「内緒。男は……」
「ホームズの場合、秘密があってもなくても大して変わらないよ」
ホームズの言葉を遮ってレイアは言う。対するホームズは少し、フリーズすると笑顔になる。
「わあい、嬉しいな」
「悪い意味でな」
「分かってるよ!!」
ヨルは容赦無くホームズに言う。ホームズはそんなヨルをキッと睨むとレイアの方を向く。
そして、観念したように話始めた。
「別に君が期待してる様な話じゃないよ」
そう言葉を一旦切ると左手で自分の碧い目を指差す。
「この目の事を散々馬鹿にされたって話しただろう。実はね、1人だけ、褒めてくれた女の子がいたんだ。
いつものように泣いてる所を見られない様に隠れていたらさ、人が通りかかる様な気配を感じたんだ。だから、ふと、顔を上げたんだ。だって、いじめてくる奴らからは逃げなくちゃいけないからね」
ホームズはベンチに深く腰掛けた。
「そしたらさ、目が合っちゃったんだよね。びっくりだったよ。まさか、女の子とは思わなかったね」
ホームズは喋るの渋っていた割にはとても懐かしそうに、楽しそうに話している。
「まあ、同時にしまったと思ったけどね。思わず『あっ』て言いそうになったよ。いつものように馬鹿にされるんじゃないのか、て怖かった。そしたらさ、その女の子ったらさ、開口一番におれの目の色を褒めたんだよ。『綺麗な目の色だね』て。あれは嬉しかったね。人生でBest3に入る嬉しい出来事だったよ。
それから、しばらくその街を出るまでその女の子と遊んだ、と言うより話した、て感じかな。色々な話をしたよ。好きな動物、好きな食べ物、それから、母親の事。今考えるとなんて事ない話だけどね。
まあ、仲良かったて訳さ。だから、お別れの時は悲しかったし、寂しかったなぁ」
ホームズはそう言うと夜空を見上げる。三日月が輝き、そして、星もちらほらと輝いている。
「今その子がどうしてるかは知らない。何せ、10年近くその街には行ってないからね。行商人の
ホームズは最後にそう言って締めた。
レイアはその話を聞いて思わず笑顔になった。しかし、少し気になる事があった。
「素敵な話だね。でも、どうして、ジュード達にはその話をしなかったの?」
ホームズは一瞬、きょとんとすると当然のように答えた。
「だって、聞かれなかったから……」
「……ああ、そう」
レイアは少し面食らったが、こういう奴だという事を改めて思い直した。
「なるほど、つまりそれがホームズの初恋て訳だね」
レイアは得心のいったように言う。対するホームズはよく分からないと言う顔をしている。
「どうだろうね……うーん、もしかしたら、そうかもしれないし、違うかも知れないし……」
「はっきりしないねー。ヨル君が話そうとした時、あんなに慌てたから、てっきりそうかと思ったよ」
「何か恥ずかしいんだよ、その話」
ホームズはレイアの方を向かず空も見上げず、そっぽを向いている。
そんなホームズを見て、レイアは何となく察した。しかし、それを本人にいう程野暮ではない。
「お前の母親が言うには、それは『初恋』だそうだ」
正真正銘の野暮がいた。レイアの気遣いを全部ぶち壊した黒猫ヨル。レイアはジト目をヨルに送る。しかし、ヨルはどうってことないようだ。
そこで、レイアはふと思った事を聞いた。
「あのさ、もしかして、ヨル君、その場にいた?」
「居たぞ。ついでに言うならそのガキの前で喋った。」
可哀想にと少し同情する。何せこの可愛らしい外見から出てくるのは想像も出来ないような低い声。小さい子の夢を一瞬で破壊したのだろう。
レイアはその考えを終わらせるとホームズに言う。
「あのさ、そう言えばヨル君との出会いってどんな感じだったの?」
これは、レイアがずっと聞きたかった質問だ。
この奇妙な関係はいつから始まったのだろう、と。どんな始まりだったのだろう、と。
レイアの質問にホームズとヨルは顔を見合わせる。彼らは少し考えているようだ。
そして、ホームズが口を開く。
「うーん、まあ、夜も長いし話して上げるよ。
出会ったのはそうだねぇ、さっき話した女の子に出会う少し前かな……」
過去編って本当に難しいなあ………