1人と1匹   作:takoyaki

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百八十一話です。



ゴールデンウィーク!!



ちはやふるの下の句見てきました。



あんなに文句のでない実写化もあるんですね………


予言耳に逆らう

「アルヴィン!!」

レイアの声が轟く。

ホームズとローズの戦いが行われている中、アルヴィンには、プレザの氷の矢が迫っていた。

動けないでいたアルヴィンと氷の矢の距離が縮まっていく。

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、そんなに死にたいのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呆れたような声とともにヨルが生首となって二人の間に割って入た。

 

 

 

 

 

ヨルは生首のまま氷の矢を丸呑みにすると、いつもの姿に戻ってレイアの頭に乗る。

レイアと何やら喋っているが、アルヴィンの耳には入らない。

(戦えんのか………俺……)

今まで裏切るなんて何度もやってきた。

だが、それでもミラを見殺しにしてからアルヴィンの中に何かのスイッチが入ってしまった。

今まで見て見ぬフリを続けてきた、その行動の意味を考えてしまう。

そして、それを考えてしまうからこそ、目の前のプレザと戦えるのか、迷ってしまう。

「どうする?あの猫女と戦えないなら、誰かに代わってもらったらどうだ?」

そんなアルヴィンの考えなどお見通しとでも言うようにヨルが問いかける。

アルヴィンは、俯いている顔を上げ首を横に振る。

「いや、これは……こればっかりは……俺がやらなきゃいけないことだ」

アルヴィンは、そう言うと大剣を担ぎ上げ、プレザに向かって走り出した。

プレザに向かって大剣を振るう。

プレザは、それを一歩身を引いてかわし、回し蹴りを放つ。

プレザのヒールがアルヴィンの鼻をかすめる。

「くっ!」

何とかかわしたアルヴィンにプレザは、本にマナを込めて殴りつける。

思わぬ追撃にアルヴィンは、態勢を崩す。

その隙にプレザは、本をめくる。

アルヴィンは、それを見ると地面に落ちそうになる体を踏み込んで堪える。

(詠唱が完成するより早く!)

「舐めないことね」

プレザは、冷たくそう告げるとアルヴィンが攻撃に転じるより早く地面をふみつける。

光の陣が展開され、アルヴィン達を拘束する。

「こ………んの!」

せめて銃だけでも動かそうとするが、プレザの守護方陣は、それを許さない。

ヨルのいる方を見るが、レイアと共に拘束されていて生首になれそうもない。

全ての手が塞がれた、そう思った瞬間、アグリアを中心に炎が渦巻き一気に広がる。

目の前に迫り来る炎にアルヴィンは、身構える。

「ダイダルウェイブ!!」

しかし、その炎を遮るようにローエンの水の精霊術が炎を打ち消す。

液体から気体と変わり急速に増えた体積により、アルヴィン達は吹き飛ばされた。

衝撃に揺れる頭を押さえながら、アルヴィンはプレザを確認しようとする。

すると、プレザは、アグリアと戦っているレイアに精霊術を放とうと氷の矢を用意していた。

「──────っ!!」

アルヴィンは、銃口をプレザの本に合わせる。

(外してたまるか!!)

引き金を引かれた銃は、プレザの本を弾き飛ばした。

本が手から離れたことにより、プレザの精霊術は、かき消えた。

プレザは、驚いたようにアルヴィンを見ると悲しそうに顔を伏せ、そして、本を拾おうとする。

「ハァ!!」

そこをジュードの拳が襲いかかる。

突然の攻撃にプレザは、本で防ぐので手一杯だ。

「ファイアーボール!」

術後調律されたローエンのファイアーボールがプレザに襲いかかる。

プレザは、思わず吹き飛ばされた。

「お前ら…………」

「全部後だよ、アルヴィン」

「えぇ。アルヴィンさん一人にまかせるには、荷が重そうですから」

ローエンとジュードに言われアルヴィンは、顔を伏せる。

「全部後、な」

「えぇ。全部後です」

厳しい口調で返しながら、ローエンは細剣を構える。

「ふふふ、女一人に随分な布陣じゃない」

プレザは、所々火傷を負いながら立ち上がる。

「レイアには、ヨルがいるからね。アルヴィンにだって誰かいなきゃ」

ジュードの言葉にプレザは、寂しそうに笑う。

今のアルヴィンの居場所は、自分の隣ではない。

それがはっきりと分かってしまった。

(問題は、彼がそれに気付いているか、ね)

アルヴィンに視線を向けるとプレザは、本のページに指をかける。

その瞬間、ページがめくられるその前にジュードとローエンが踏み込んだ。

「掌底破!」

「マーシーワルツ!」

迫り来る剣と拳。

プレザは、ページをめくるのを諦めただ本を両開きにする。

「ドラゴネスハンド!」

本から水の龍が現れ、ジュードを弾き飛ばす。

「ゔっ!!」

しかし、攻撃を防げたのはジュードだけだ。

ローエンの攻撃は、プレザに届く。

プレザは、痛みに顔を歪めると自分の尻尾を鞭のように振るいローエンにぶつけた。

「く…………!」

思わず後ろに下がるローエン。

「まずは、厄介な貴方からにするわ。指揮者(コンダクター)!」

プレザは、ローエンに狙いを定めた。

そのプレザの道を遮るようにローエンのナイフが地面に刺さる。

「これは……」

「私をなめてもらっては困りますよ」

地面にあるナイフは、一つではない。

プレザを中心に三角形を描くようにそれぞれの頂点に三つのナイフが刺さっていた。

ローエンが軽く手を振ると結界が発動する。

「ちっ!!」

プレザは、舌打ちをすると結界に閉じ込められるより前にその場から離れた。

下がった所をローエンのナイフがプレザの腕を貫く。

「くっ……………!」

思わず痛みに顔をしかめながらもプレザは、本をめくる。

本当は、戦いたくない。

だが、ガイアスに仕えると決めた今、アルヴィンを助ける理由はない。

アルヴィンが、こちらを選んでくれればという期待がなかったと言えば嘘になる。

というより、二人の道が交わるのは、そこしかない。

しかし、アルヴィンはこちらを選ばなかった。

アルヴィンは、プレザを選ばなかったのだ。

裏切ることなどいつものことだ。

(気にしてないかと思ってたんだけど………)

プレザは、そのまま地面を踏みつけ、光の陣を出現させる。

「守護方陣」

追撃を仕掛けようとした、ローエン、ジュード、アルヴィンは拘束される。

「随分辛そうな顔をするようになったわね」

その切っ掛けを与えたのが自分ではないことぐらい分かる。

それが、アルヴィンの選択に繋がるのだ。

寂しい事だ。悔しい事だ。辛い事だ。

「さよなら、アル」

プレザは、そう言うと精霊術を完成させた。

水瓶が現れ、水を吐き出しながら動けないアルヴィンへと迫る。

アルヴィンの後ろに広がるのは崖だ。

プレザは、アルヴィンをとらえた瞬間守護方陣を解除するつもりだ。

解除されれば、何ものにも拘束されなくなったアルヴィンは、そのまま崖下へと真っ逆さまだ。

迫り来る水の奔流を見ながらアルヴィンの心は、冷え切っていた。

常に人を裏切ってきたアルヴィンだ。いつこうなってもおかしくなかった。

それがたまたま、今回だったと言うだけだ。

 

 

─────賭けてもいい、お前の様な奴はろくな目に合わせないし、ろくな目にも合わない。──────

 

 

 

いつかのヨルの言葉がアルヴィンの脳裏に蘇る。

目の前で辛そうに精霊術を展開するプレザとそして、撃ってしまったレイア。

二人のことと、そして今の状況。

 

 

 

 

(あーあ、こんなもんだよな、そりゃあ)

 

 

 

 

 

 

アルヴィンは、弱々しくニヤリと笑った。

 






これは、アレだ……絶対二百話いく……



ではまた百八十二話で( ´ ▽ ` )ノ

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