1人と1匹   作:takoyaki

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百八十七話です。



ベルセリア楽しみですね………



てなわけで、どうぞ


ベールが取れる

「あぁ、そうか。マクスウェルに聞けるのは、ミラやヨルの事だけじゃないね」

ホームズは、思い出したようにポンと手を叩く。

「それもそうだね。エレンピオスのことも聞けるね」

レイアもうむうむと頷く。

そう、ここのところ忙しくて忘れがちだったが、ホームズはエレンピオスへの行き方を知りたくて仲間になったのだ。

レイアは、そんなホームズを見て首をかしげる。

「そう言えば、ホームズ」

「なんだい?」

「エレンピオスがどんなところか聞いてないの?」

レイアの質問にホームズは、首をかしげる。

「そう言えば聞いてないなぁ………なんか色々エレンピオスに関することは本当に少ししか聞いてないんだよねぇ……」

せいぜい両親達の故郷ということぐらいしか聞いていない。

「ヨルも?」

「(俺は、後、スヴェント家とやらが名家だってぐらいだな)」

ヨルは、小声で話しながら頷いている。

「(まあ、言う必要ないと思っていたんじゃないか。行けば分かることだし、関係のないことだから)」

ヨルの言葉にホームズは、肩をすくめる。

「かもね」

そう言って改めてホームズは、今いる場所を見る。

「変な場所です……ここ」

エリーゼの言葉にローズは、頷く。

あたり一面に広がる青空。

所々にあるアーチ状の何か。

そして、極めつけは、足下に広がる鏡ような地面。

まったく濡れないところを見ると水面ではないようだが、それと見間違うほど透き通っていた。

ホームズは、目を輝かせてあたりを見ている。

「凄いねぇ………」

「ホームズ、ここに来た目的忘れてないでしょうね」

ローズが呆れながら言うとホームズは、肩をすくめる。

「当然だろう?忘れたくても忘れられないよ」

ホームズがそう言って指差す。

指差すその先には、宙に浮く機械の椅子に座っている老人がいた。

「私が作り出した人間界と精霊界を繋ぐ唯一の(みち)世精ノ途(ウルスカーラ)。それを通ってきたのが、お前たちか………」

低くしわがれた声で紡がれる言葉。

ジュードは、一歩だけ前に出る。

「………あなたが、マクスウェル?」

「いかにも。私が精霊の主マクスウェル………まさか、ここまで来る人間がいるとは」

ようやく対面したマクスウェル。

ジュードは、拳をぎゅっと握りしめる。

「あなたに聞きたいことがあるんだ。

………ミラのこと教えて欲しいんです」

「………」

押し黙るマクスウェル。

そんなマクスウェルにレイアが尋ねる。

「ミラは、あなたの代わりになったと聞きました」

「その理由を聞かせてもらえませんか?」

エリーゼが最後にそう尋ねるとマクスウェルは、静かに瞼を閉じる。

「そうか、お前達がミラと供にした者たちか……」

ジュードは、静かに頷く。

「僕は、ミラと出会って、旅して色々考えた。力のこと、なすべきことの事……そして、ミラが……ミラが……」

ホームズは、言葉を紡いでいくジュードを静かに見守る。

「ミラが死んでようやく分かった」

ジュードは、半歩体を前に出す。

「僕が本当にやりたいことに!

今やらなきゃいけないことに!」

「なんだそれは」

マクスウェルの問いかけにジュードの琥珀色の瞳に力がこもる。

断界殻(シェル)をなくして、リーゼ・マクシアもエレンピオスも助ける」

ローズは、思わず手をぎゅっと握りしめる。

マクスウェルは、ジュードの言葉に息を飲む。

「なんと愚かな!外には黒匣(ジン)で溢れている!リーゼ・マクシアを滅ぼすつもりか!!」

ジュードから思いもしなかった言葉を聞かされマクスウェルは、激昂した。

ホームズは、ため息を吐く。

ジュードも何か琴線に触れたことに気づく。

「そうか、あやつの死の意図が読めずにおったが、今確信した」

マクスウェルは、ぎろりとジュード達を睨む。

「ミラが使命を忘れ、あのような真似をしたのは、お前達が原因だったのだな!」

「おいおい、ちょっと待っておくれよ」

「黙れ!」

ホームズの制止を一蹴するとマクスウェルは、さらに言葉を続ける。

「………此度お前たちは、断界殻(シェル)をなくし、世界を滅ぼそうとしている」

「マクスウェル!話を………」

怒りに震えるマクスウェルにジュードの言葉、届かない。

「破壊者どもめこの世界より消えよ!」

膨れ上がる殺気と共に椅子に取り付けられた機械の盾が展開される。

「………ジュード君、君は正直すぎるよ」

呆れたようにジュードを咎めるホームズ。

「でも……!」

「まぁ………」

ホームズは、迫り来る盾に回し蹴りをぶつける。

「嫌いじゃあないゼ、そう言うの!」

赤い剛招来のオーラを纏ったホームズの回し蹴りと盾がぶつかり、鈍い音が響く。

ホームズの蹴りによって、弾かれる。

「貴様………」

「まあまあ、話ぐらい聞いておくれよ、マクスウェル」

ホームズは、腰に手を当て右手を広げる。

「おぬしら、自分が何をやろうとしているのか分かっているのか?」

「分かっていますとも!だからです!」

マクスウェルの言葉にローエンが返す。

「あなたにミラのこと聞きたかったの!」

レイアが棍を突きつける。

「……リーゼ・マクシアの真実。どうしてミラがエサなんて言われたのかをな!」

アルヴィンは、肩に大剣を乗せる。

「知ってどうする?何かが変わるのか?」

「そんなのわからないよ!」

マクスウェルの言葉にジュードは、真っ先に言い返す。

「でも、知らなきゃ変わらないのは、分かる」

ジュードの言葉にマクスウェルは、考え込む。

「ねぇ、マクスウェル。包み隠さず全部話しておくれよ。

この子のことも含めて」

ホームズは、そう言ってフードからヨルを引っ張り出す。

瞳を閉じているヨルの顔は真っ黒で何を考えているか分からない。

「ほう…………」

マクスウェルは、目を細める。

「ちょっ、ホームズ!!」

ローズは、ホームズの突飛な行動に思わず目を剥く。

先ほど、話を聞くどころではなくなるから出てくるなと言ったばかりなのだ。

しかし、今、ホームズの方からヨルを引っ張り出した。

火に油を注ぐことは簡単に予想できる。

「封印を解いたのか?」

だが、意外にもマクスウェルは、穏やかだった。

「まあね」

「何を願った?」

「平和かな?」

ホームズは、ニヤリと笑いなが、黒猫をつまんでマクスウェルに見せる。

嘘は言っていない。

街を襲う魔物を退治してくれて頼んだのだ。

平和を望んだと言えばその通りだ。

「どうだろう?せっかく連れてきたことだし、この子事も含めて全部話してくれないかい?」

「手土産というわけか?」

「どう取るかは、君次第だよ」

ホームズは、そう言って下からジロリとマクスウェルを睨む。

マクスウェルは、ホームズとしばらく睨み合った後、口を開いた。

「……リーゼ・マクシアは、二度危機に陥った」

マクスウェルは、言葉を続ける。

「一つは、二千年前、黒匣(ジン)が登場したこと」

マクスウェルの座る椅子の尾のようなものがゆらゆらと揺れる。

「そしてもう一つは、それより五百年前に起きている」

マクスウェルは、ジロリとヨルを睨みつける。

「そこのシャドウもどきが我々に反旗を翻したのだ」

反旗(丶丶)?………」

ローズがゴクリと唾を飲みながら聞き返す。

「どういうこと?それじゃあ、まるで…………」

「そやつは本来、こちら側にいるものだ」

マクスウェルは、言葉を更に続ける。

「精霊は、世代交代をする。例えば、今の炎の大精霊イフリートが死ねば、次の炎の大精霊イフリートが生まれると言った具合にな………だが……」

目の前の黒猫をマクスウェルがジロリと睨みつける。

「一つだけ例外がいた」

ジュード達は息を飲んでヨルを見る。

「まさか………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、そやつは例外中の例外、先代の闇の大精霊シャドウだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






精霊は、世代交代をする。なら、今より前がいてもおかしくない!
てなわけで、考えついたヨルの正体です。
もういくつか隠し要素はありますが………

ヨルの正体は、不明のまま行こうかなとも思っていました。
訳が分からないから怖いってのが、あると思うので。
でもまあ、重要キャラの正体不明です!で終わる話を自分が読みたいかと言われれば、まあそんなことはないので、この辺で出しました。


次回は、更に詳しく!!


てなわけで百八十九話で( ´ ▽ ` )ノ

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