1人と1匹   作:takoyaki

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百九十五話です


今回から新章です!!
それはさておき、「ペット」見てきました。
久々に映画で笑いました。

てなわけで、どうぞ




エレンピオス
合縁血縁


「…………」

ホームズは、ゆっくりと目を開けるとそこには、見たことのない天井があった。

「って、どこだいここ!?」

「騒がしいな………」

ヨルがちょこんと座っていた。

「エレンピオスだろ。どう考えたって」

「……………………あ」

ホームズの脳裏に今までのことが蘇る。

マクスウェルのこと、ミュゼのこと、ガイアスのこと……

「ああああああああああああああああ!!」

ホームズは、叫びながらドアを開けて飛び出る。

「みんな!?」

「いるから、静かにしろ」

飛び込んだ部屋には、ミラ達が集合していた。

どうやらホームズが最後だったようだ。

ホームズの顔を見るとミラは満足そうに頷く。

「どうやら『しぼうふらぐ』は、回収しなかったようだな」

「………君、大分余計な言葉覚えてきたよね」

ホームズの感想などミラにとってはどこ吹く風だ。

ホームズは、頬を引きつらせながらキョロキョロと辺りを見回す。

そんなホームズの疑問をローズな先回りする。

「バランさんの家よ」

「バランさん?」

ローズの答えにホームズは、首を傾げる。

「やあ、起きたみたいだね」

そんな会話をしていると眼鏡をかけた青年が現れた。

「あなたが、バランさんです?」

「そうだよ。アルフレドとは従兄弟だよ」

「アルフレド?」

「俺のこと」

アルヴィンがそう返すとホームズは、なるほどと頷く。

「偽名だったのかい?」

「そゆこと」

アルヴィンは、そう言った後バランに視線を向ける。

「にしてもよく俺が分かったな。もうすっかり変わってたろ」

アルヴィンの言葉にバランは、机の上で何かを弄りながら答える。

「その銃、叔父さんのだろ?」

「………あぁ」

「叔父さんに感謝しとくんだね」

バランの言葉にアルヴィンは、寂しそうな顔をする。

「でも死んだんじゃあな……」

「それもそうか」

バランは、軽くそう返すとあれ、ないなぁと言いながらガチャガチャと物を探していた。

「あぁ、あそこだ」

バランは、そう言うと立ち上がって右足を引きずりながら歩き出した。

ジュードは、バランの引きずられている右足を見る。

「変わった人ですね」

「エレンピオス人全員がああってわけじゃないぜ」

エリーゼの感想にアルヴィンが答える。

「足のこと?」

バランは、そう言って右足を見ているジュードに問いかける。

「あ、いえ」

「ジュード」

引きずる足をずっと見ていたジュードをレイアが短く諌める。

バランは、そんな二人に手を振る。

「いいよ。子供の時の事故でね」

そう言うと器具を完成させる。

ジュードは、その器具を見て目を丸くする。

「それって………」

「おや、向こうから来たんなら、馴染みはないと思っていたんだけど………」

そう言ってバランは、器具、黒匣(ジン)を足につける。

黒匣(ジン)!!」

ミラが武器に手をかける。

「待ってくれ、ミラ」

アルヴィンの言葉にミラが動きを止める。

そんな二人に構わずバランは、器具を装着し終える。

「これがないと歩けなくてね」

その言葉にミラは、自分の足についているジンテクスを見る。

「あ、あの、バランさん」

そんな中ホームズが、ギュッと手を握り意を決して尋ねる。

口が渇く、言葉が何度も詰まりそうになる。

「何?」

「………ルイーズ・ヴォルマーノの名前に覚えはないですか?」

ようやく絞り出せた名前。

その名前の意味が分からない一行ではない。

ホームズのこの旅の目的は、両親の故郷に行くことなのだ。

今その目的に手が伸びるのだ。

「知ってるよ」

バランの言葉に身体が震えるのを感じていた。

ようやくだ。ようやくたどり着いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

黒匣(ジン)のスペシャリストだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………え?」

ホームズの思考が止まった。

他の面子も同じように狐につままれたような顔をしている。

研究者どころではない、スペシャリストだ。

「ちょっと待って………だって確か、軍にいたって………」

「そうだよ。彼女は、その黒匣(ジン)を扱う技術を評価されて軍に入ったんだよ」

「憲兵みたいな仕事をしてたって………」

「軍の研究所を追い出されたんだよ。とはいえ、彼女、性格はともかくそれ以外も化け物レベルで優秀だったから辞めされることなく、別の部署に飛ばされたんだ」

思わぬ母の経歴に思わずホームズは、頭を抱える。

「作り方から壊し方まで、あの人の右に出る人はいなかったよ」

ホームズ達は知らないが、ドライバー一つで黒匣(ジン)を壊している。

「………というか、何でバランさんそんなに詳しいんです?二十年は前の話ですよ」

アルヴィンと従兄弟のバランがそこまで年をとっているようには見えない。

どう考えてもその頃はまだ子供なはずだ。

「あぁ、彼女語り草だから。伝説だよ伝説」

「……………」

二十年という月日を超えてなお語り継がれるルイーズにホームズは、もう何を次に聞いたらいいか分からない。

「(ヨル)」

「(いや、これは流石に知らなかった)」

フードにいるレイアとヨルが小声でそんな会話をしている。

「………っと、そうだ!実家は!?実家は、どこなんです?」

ようやく次に聞くべき質問を思い出したホームズにバランは、首をひねる。

「うーん………流石にそこまでは、分からないかな……」

そう言った後ゴソゴソと机の上を漁り、紙を引っ張り出す。

「あぁ、この人なら知ってるかも。なんか昔一緒に仕事したことあるとか言ってたから」

ホームズは、渡された紙を見る。

その紙を他の面々も覗き込む。

しかし、

「……………読めない……」

レイアが代表して呟いた。

エレンピオスの文字で書いてあるため読めなかった。

「『研究者名簿』………って、これ、内部書類じゃないですか!!おれに渡していいんです!?」

「アレ?読めるの?」

「そりゃあそうですよ!母さんに教えてもらったんですから!」

「………母さん?」

バランは、首をかしげる。

ホームズは、しまったという顔をする。

「君名前は?」

「ホームズ」

「違う違う、フルネームだよ」

ホームズは、バランの言葉に少しずつためらってから答える。

「………ホームズ・ヴォルマーノです」

「っていうことは、ルイーズさんとベイカーさんの息子さんか」

「嘘、どうしてホームズのお父さんの名前まで?」

驚いているレイアにホームズは、首をかしげる。

「そりゃあ、母さんのことを知ってるんだもの。父さんのことを知っていても不思議じゃないだろう?」

絶対とは言い切れないが、それでも別に不思議なことではない。

「ああ、まあ、それだけじゃないんだよ」

バランは、そう言ってホームズとアルヴィンを見る。

 

 

 

 

 

 

「ベイカーさんはね、スヴェント家の血を引いているんだ」

 

 

 

 

 

 

 

「……………………へ?」

今度こそホームズの思考は停止した。

「まあ、あまり大きな声では言えないけど、ベイカーさんはスヴェント家のとある女性が浮気の果てに生んだ子供なんだ」

完全に止まったホームズを放置してバランは、言葉を続ける。

「大変だったんだよ。何せその女性と男性の瞳は黒、なのに碧い瞳の子供が生まれたんだもの。当時の当主の家族は大騒ぎさ」

「当主?」

ジュードが首を傾げながらたずねる。

「その女性って………」

「うん、当主の女性だよ」

バランから語られる軽快に語られるスヴェント家のスキャンダル、そしてホームズの血筋に一同は、開いた口が塞がらない。

そんな中、正気に戻ったアルヴィンがポンと手を叩く。

「つまり、俺とホームズは遠い親戚にあたるわけか」

「マジかァァアアアァァアアア!!」

ホームズは、ついに膝から崩れ落ちた。

そんなホームズを見ながらレイアは、頷いている。

「まあ、なんか、納得出来るところは、あるよね」

割と失礼なことを言っているレイアにホームズは、突っ込む気力もない。

「つーか、バラン、お前なんでそんなことまで知ってんだよ」

「あぁ。スヴェント家では、文字通り黒歴史となっていてね。喋られないようにと言われていたんだけど…………」

そう言ってからニヤリと笑う。

「まあ、ここだけの話ってのは、みんなが知っていることさ」

人の口に戸はかけられないということだ。

バランの解説を他所にホームズは、頭を抱えている。

「………対応仕切れない………ジャブにフックに右ストレートときて最後にデンプシーロールを食らった気分だよ」

「何を言っているかさっぱりわからんが、動揺していることは分かった」

ミラの言葉にホームズは、もう言い返す余裕もない。

「それで、名前は?」

アルヴィンが研究者名簿をホームズから受け取る。

ご丁寧に丸まで付けてある。

「えーっと……『エラリィ』?」

「その人に話を聞くしかないね」

レイアの言葉にジュードは、頷く。

「とりあえず、やることが決まるまでは、ホームズの両親の手がかり探しをしようよ」

「良かったわね、ホームズ」

しかし、ホームズはそれどころではない。

頭を抱えてごろごろと床を転がっている。

よほど、自分の血筋がショックだったようだ。

「つーか、何?傷つくんだけど。俺と親戚なのがそんなに嫌なの?」

「誰だってこうなるよ!アルヴィン、君だって突然、シャール家の血を引いてるなんて言われれば驚くだろう?!ショックだろう!?」

「まあ、言いたいことは分かるけどよ………」

ホームズの言葉にアルヴィンは、苦笑いしながら頷く。

ジュードは、こめかみを指で押さえながら考え込む。

「まあ、でも言われてみれば、ヨルが『スヴェント家』という名家を知っているのがへんだよね………」

ジュードは、そんなホームズを見ながらそう呟く。

「どいうこと?」

首をかしげるレイアにジュードが説明する。

黒匣(ジン)のことは、教えてないのに『スヴェント家』なんて事を教えてるってことは、つまり………」

「ホームズさんを語るうえでは外せない、ベイカーさんの出自に関わるということですね」

ローエンの言葉にジュードは、頷く。

ジュードのそんな推理を他所にホームズは、床をのたうちまわっている。

バランは、面白そうに手を叩いて笑った後、ジュード達の方を向く。

「まあ、何をするにしても腹ごしらえが必要だろう?ご飯作るから、それまでこの辺を見てきなよ」

ローズ達は顔を見合わせるて頷く。

「それじゃあ、お願いします」

「分かった。腕によりをかけて作るよ」

バランは、笑顔で頷く。

ローズは、床にいるホームズに目を向ける。

「ほら、エレンピオスを見に行くわよ。貴方の目的でしょ」

「…………それもそうだね」

ホームズは、むんっと起き上がり、頬を叩く。

「まあ、アレだ!せっかく目的地に着いたんだ!テンション上げてこう!!」

不自然にテンションを上げたホームズを先頭に部屋をで行った。

 

 

 

 

 

 







はい、なんかもう色々盛り沢山ですね!
幸先のいいスタートを切れてなによりです(笑)


では、また百九十六話で( ̄∇ ̄)
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