1人と1匹   作:takoyaki

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二百四話です。


久々にドラえもんを読みました。


やっぱり、名作だと思います


てなわけで、どうぞ


門を叩く

「エラリィさんに渡された地図だとこの辺に何か部屋があるはずだけど……」

ホームズは、そう呟きながら廊下を走っていた。

目の前には、行く手を阻む機械が現れる。

「ホームズ!脚!」

ジュードの言葉にホームズは、脚を構える。

そして、ジュードが飛び上がったと同時に脚を振り抜く。

「「飛天翔星駆!!」」

ホームズは、ジュードを大砲の様に機械に向かって蹴り飛ばした。

大砲となったジュードは、機械達を蹴散らす。

目の前の機械は破壊したが、耳を澄ませると別の機械の音が聞こえる。

「っ!キリが無い!」

「ホームズ、その地図の部屋で態勢を整えるぞ!」

「だよねぇ」

ホームズは、そう言って辺りを見回す。

この近くにあるはずなのに見つからない。

すると壊れた機械の陰になって扉が隠れていた。

「あった!」

ホームズは、機械を蹴ってどかすと部屋に飛び込んだ。

一行も後を追って部屋に入った。

機械は、キョロキョロと辺りを見回して部屋の前にくる。

近く機械音にホームズ達は、息を殺して通り過ぎるのを待つ。

待っていると機械は、ゆっくりと遠ざかっていった。

「はぁ………」

ホームズが安堵してため息を吐く。

その部屋には、機器が所狭しと並んでいた。

「なんだい、これ?」

ホームズから出た質問にアルヴィンが機器を簡単にいじる。

源霊匣(オリジン)の研究データみたいだな………」

そう言って更にアルヴィンは、機器をいじる。

「間違いない……アルクノアから送られたデータで、源霊匣(オリジン)、ヴォルトってのを作っていたらしいぜ」

「ヴォルト……」

ミラがポツリと呟く。

「ヨル、知ってるかい?」

「雷の大精霊だ………なるほど、雷を何らかのエネルギーにしようとしたわけか……」

ヨルの言葉にジュードが俯く。

「ジランド、本気で源霊匣(オリジン)でエレンピオスを救おうとしてたんだ………」

ホームズも複雑そうに腕組みをしている。

アルヴィンは、機器を弄りながら眉をひそめる。

「……ん?源霊匣(オリジン)のやろう、半刻前に起動された記録があるな……」

ローエンが、顎髭を触りながら考え込む。

「誰かが、起動させたのでしょうか?」

「それは、分からねーが、どうやらこの階の上にいるらしいぜ。追うか?」

アルヴィンに尋ねられたジュードは、頷く。

「そうしよう。もしかしたら、動かしたのは、ガイアスかもしれない」

ジュードの言葉にミラが振り返る。

「何か、心当たりでもあるのか?」

「確証はないけど、ガイアスはジランドと同じ事を考えたのかもしれない」

ミラが考え込む。

源霊匣(オリジン)の可能性か……」

ホームズは、組んでいた腕を解く。

「まあ、確かに精霊を殺す黒匣(ジン)に代わるものがあれば、エレンピオスだって滅ぼさなくてもいいもよねぇ」

ホームズの言葉にジュードが頷く。

「僕、ガイアスと会って話がしたい」

ジュードの言葉に辺りは水を打ったように静まり返った。

沈黙を破る様にレイアが、口を開く。

「行くのはいいけど、ガイアスが黒匣(ジン)を壊そうとしてたら戦うことになるんじゃないの?」

レイアの心配を他所にジュードは、力強く頷く。

「その時はその時だよ」

ジュードの言葉にローエンが尋ねる。

「いいのですか?ジュードさんは、ガイアスさんを尊敬しているのでしょう?」

そう言ってミラに目を向ける。

「ミラさんを信用するのと同じ様に」

ミラは、それを聞いて驚いた表情になる。

「………私と同じ」

小さく呟かれたそれは、誰にも拾われることはなかった。

アルヴィンが腕を組む。

「そんなんで、本気でやりあえんのかよ」

そんな事を言ったアルヴィンにエリーゼが怒ったように頬を膨らませる。

「アルヴィンは、どうしてそんなことばかり言うんですか!!」

『さっきの説教もそうだぞーー!!」

エリーゼとティポに責められてたじたじとなるアルヴィン。

アルヴィンを責めるエリーゼにジュードは、優しく諭す。

「いいんだ。エリーゼ」

ジュードは、そこで言葉を区切ると再び続ける。

「僕はガイアスを尊敬している。でも、だからってガイアスと同じ道を歩く必要はないんだよ」

ジュードの言葉にエリーゼは、ホームズの方を向く。

エリーゼの視線に気付いたホームズは、肩をすくめる。

「別にいいだろう?というか、おれも尊敬する人と戦ったことぐらいあるし」

さらりと言ったホームズにエリーゼは、目を丸くする。

「だ、誰と?」

「マーロウさん」

間髪入れずに答える。

ホームズの答えにエリーゼは、一瞬顔を伏せる。

ホームズは、それに構わず続ける。

「マーロウさんも言ってだろう?何が大事かって」

自分の胸にホームズは、手を当てる。

「おれは、マーロウさんのことを尊敬している。母さんと何やかんやで渡り合った人だからねぇ」

ホームズは、そう言ってエリーゼに視線を向ける。

「それでもおれは、マーロウさんと戦った。結局、それより大事なものがあったからねぇ」

そう言ってジュードにホームズは、視線を向ける。

「だから、ジュードも尊敬よりも大事なものがあるんだったら、そっちを取るといいよ」

ホームズの言葉にジュードは、頷く。

「うん。そうじゃなきゃ、ミラやガイアスみたいな大人になれない」

「………ジュード」

ミラが静かに頷く。

そんな中、ヨルが口を開く。

「それで、結局これからどうするんだ?」

ヨルの言葉にホームズがアルヴィンの方を向く。

「とりあえず、起動された源霊匣(オリジン)のところ行けば?どうせ、何にも手掛かりないし、もしかしたらガイアスがいるかもしれないゼ?」

「なるほどな」

アルヴィンは、そういって機械をいじる。

「ヴォルトの源霊匣(オリジン)を屋上で起動したみたいだぜ」

アルヴィンの返答にジュードは、頷いて扉をそっと開けて部屋の外を確認する。

そして、何もない事を確認すると部屋から出るよう指示を出し、一行もそれに従って外に出た。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

屋上に向かう階段を上りながらエリーゼは、ホームズの方を見ている。

「何だい?」

視線に気付いたホームズが振り返ると、エリーゼは言いづらそうに口を開く。

「あの、ローズを待たないんですか?」

「…………待ったって仕方ないだろう?」

ホームズは、そう返す。

「………あの子は、自分の意思で残ったんだもの」

続けられたホームズの言葉にエリーゼは、かける言葉が見つからない。

そんな沈黙を破るようにヨルが口を開く。

「何よりあの豆腐メンタルに期待するだけ無駄だろ」

ヨルの言葉にホームズが掴みかかる。

ヨルは、ホームズの手が届く前にレイアの頭に避難する。

レイアは、じとっとした目を頭にいるヨルに向けたあとホームズの方を見る。

ローズの事を気にかけているのが手に取るように分かる。

「誰かが背中を押してあげられるといいんだけどね」

「そうだねぇ………」

残念ながらホームズには、出来ない。

ホームズなら、こう言うだろう。

別に瞳の色ぐらい気にしないと。

だが、ローズはその言葉を一番聞きたくないのだ。

ホームズは、俯きかけるが頭を振って切り替える。

「まずは、源霊匣(オリジン)だ。きっとロクなことになってないだろうしねぇ」

ホームズは、そう言ってジュードに続いて屋上に出る。

そこには濃く暗い紫色の球体があった。

「なに?これ?」

ホームズは、自分の顔が引きつるのを感じていた。

「ヴォルト、雷を司る大精霊だ」

ヨルがそう言った瞬間球体は、軽く弾む。

弾んで地面に着いた瞬間轟音と共に電撃が走る。

「きゃあ!」

『ビリビリするー』

エリーゼとティポの言葉と共にレイアは、棍を構える。

「まさか、暴走している?」

ヴォルトは、見るからにまともではない。

ホームズは、子猫ヨルを半眼で見る。

「まだ、元に戻らない?」

「こいつを喰えれば戻れるが……」

「そもそも喰える状態じゃないと?」

「そういう事だ」

しれっと言い放つヨルにホームズは、ため息を吐く。

「ジュード、来た道戻らない?ガイアスもいないしさ」

「こんなの残して帰れないでしょ!」

「ですよねぇ………」

ホームズは、脚を一歩前に出した。

セルシウス戦は、ヨルのおかげでどうになった。

だが、源霊匣(オリジン)相手なら文句なしの切り札のヨルが今回は、完全にお荷物なのだ。

「まあいい。不利なのはいつもの事だ」

「何事も諦めが肝心だ」

「切り替えと言って欲しいねぇ」

ホームズは、そのまま暴走する源霊匣(オリジン)、ヴォルトに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

轟音が鳴り響く。

どうやらここの棟ではないようだが、何かが起こっているようだ。

あれからひとしきり泣いた後ローズには、何も残らなかった。

ここにいる意味も、ここまで来た意味も、これからついて行く意味さえも。

自分が投げ捨てた刀に憎しみを向けられればまだ楽だったが、ローズにとっての刀はマーロウさんとの絆でもある。

それを自ら汚してしまった事も分かっている。

そんな堂々めぐりを繰り返していてローズは、動く事が出来なかった。

「でも………いい加減でなきゃ……」

そう言って立ち上がろうとするとドアをノックする音が聞こえる。

「ちょっと!鍵かけて行ったんですか!!」

ガチャガチャと散々ドアを確かめる音が響く。

そして、しばらく無音になる。

去ったのかと思いローズが今度こそ立ち上がろうとした時、ノックとは思えない轟音と共に扉がローズの鼻先をかすめて後ろの壁に叩きつけられた。

「やっと、空いた………これで何もなかったら………どうしてくれようか………」

ドアを吹き飛ばした衝撃のせいで埃が舞いがり誰がそこにいるか分からない。

誰がやってきたにせよ、ローズの命が危ない事に変わりはしないが、それでも気になってしまう。

あの扉を壊した腕力を持った人物は、誰なのか?

声を聞く限りは、女性なのだが、身長が高い。

埃がゆっくりと晴れて行くとそこには、すらっとした長身そして、長髪の金髪を無造作にまとめた女性が、疲れたように立っていた。

しかし、ローズの姿を確認した瞬間、エメラルド色の瞳を輝かせた。

 

 

 

 

 

 

「黒髪の女の子ー!!いいですね!羨ましいですね!!あなた、お名前は?あ、名前を名乗るなら、先に貴方が名乗るのが礼儀じゃないの?とか、そんな台詞は受け付けていないですから。本名は……私の本名恥ずかしいので、当分名乗る気はないのです!!」

出会って数秒でべらべらと好き勝手な事を喋る女にローズは、困惑しながら口を開く。

 

 

 

 

 

「ローズ・クリスティです…………」

 

 

 

 

 

ローズは、そう言うのが精一杯だった。

 







そろそろ終盤ということで、章ごとに振り返っていこうと思います。


というわけで、一章、ホームズとヨル


全てはここから始まった…………なんて言うと格好いいですが、ぶっちゃっけ、章ごと区切ろうと思ったのは、この章からではありませんでした。


まあ、それはさておき思い出としましては、とにかく大変だった記憶があります。
ホームズに秘密があるので、どうしたって三人称で進めなければなりません。
ですがまあ、慣れていないので苦労しました。
そして、ホームズの性格を摑むのにも苦労しました。
更にすぐに戦闘シーン、映像は出来ているのにそれを書くのが凄く苦労しました。
とまあ、とにかく苦労と試練の連続でした。


それでもやっぱり、ここで彼らに出会ったので大事な章です



ではまた二百五話( ̄∇ ̄)

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