1人と1匹   作:takoyaki

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二百十一話です。



雪だ!寒いぜ!家から出たくないぜ!



てなわけで、今回からサブイベント編です。
いくら何でもラスボス待たせすぎじゃね?とか時間は気にせずに読んでください(笑)





サブイベント!
急いでは事を仕損ずる


「お、ついたついた」

ホームズは、呑気な声を出す。

例の丘にたどり着くと空間に空けられた穴は、少しだけ小さくなっていた。

「ジュード、頼む」

ミラの言葉にジュードは頷いて次元刀を取り出し切る。

すると、見覚えのある裂け目が現れた。

アルヴィンは、それを見て考え込む。

「アルヴィン?」

ホームズが首を傾げる。

「俺達、このままでガイアスとミュゼに勝てるのか、って思ってね」

「弱腰でどうする?」

アルヴィンの発言にミラが言うとレイアとエリーゼが頷く。

「たぶん、アルヴィンが言いたいのは、そういうことじゃないよ」

アルヴィンが頷く。

「リーゼ・マクシアに戻ってやれることがあるんじゃねーの?」

『リーゼ・マクシアに戻れるのー!?』

ティポが声を上げる。

ミラは、考え込む。

「ふむ……世ノ精途(ウルスカーラ)を通ってリーゼ・マクシアに行くことは可能だろうな」

ローエンは、厳しい面持で頷く。

「そうですね。我々は、誰の助けも期待できません」

「準備は、万全にというわけか」

「ちゃんと、考えようぜ。俺達しかいないんだ」

「そうだね」

レイアは、伸びをしながら答える。

「アルヴィン、立派になって……おれは嬉しいよ」

「否定する気はないけど、お前にだけは、言われたくないな……」

嘘泣きをするホームズを半眼で睨むアルヴィン。

ホームズは、嘘泣きはほどほどに懐ろから鍵を取り出す。

「それは?」

「マーロウさんに渡されたんだ。マーロウさんの家に行けば使う場所が分かるみたいだけど……」

「マーロウさん」の言葉にローズは、少し俯くが直ぐに頷く。

「行ってみる価値はあると思うわ」

ジュードは、頷く。

「じゃあ、とりあえず、シャン・ドゥを目指そうか?」

ジュードの提案に一行は、同意した。

そして、問題になるのがこの穴だ。

「わたし、一番」

レイアは、そういうが早いか軽やかに飛んで穴に飛び込んだ。

さらっとやってのけたレイアにホームズは、開いた口がふさがらない。

「確か、前回は、貴方とヨルが醜い争い繰り広げて一番最初に入ったわよね」

ほぼ、落下だった。

「なんだい、そのまるでレイアがすごいみたいな言い草は!!」

「お前らがダメだという話だろ」

「ミラ………」

ど直球の言葉のデッドボールにホームズは、膝をつく。

「エリーゼ」

そんなホームズに構わずアルヴィンは、エリーゼを呼ぶ。

エリーゼは、素直にアルヴィンの隣に立つとそのままアルヴィンの腰に抱きついた。

アルヴィンは、それを軽く支えるとそのまま穴に飛び込んだ。

「…………あの子達、いつの間に仲良くなったんだい?」

「お前が気付かない間だろ」

ホームズは、肩をすくめる。

「さて、虎穴入らずんば虎児を得ずってね」

「虎穴の方が幾分もマシだがな」

「一言多い!!」

そう言ってヨルを肩に乗せて次元の穴に飛び込んだ。

ローズが残り、無言で穴を見つめる。

(…………今の流れで、ローズと飛び込まないんだ)

「言いたいことがあるなら、口にしたほうがいいわよ、ジュード」

ローズの冷え切った声がジュードの背後から響く。

ジュードは、ビクッと体を震わせる。

ローズは、刀を見ると気合をいれる。

「よし!」

掛け声もそこそこにローズは、飛び込んだ。

「いずれにせよ、行き先は、一つ。なるようになりますか」

ローエンも年齢を感じさせない軽やかな動きで穴に飛び込んだ。

ジュードは、それを見て苦笑いを浮かべる。

「なんだか、僕たち前よりバラバラじゃない?」

「いいじゃないか、別に」

「そっか」

ジュードとミラはどちらともなく笑う。

「それじゃあ、いくよ」

「ああ」

二人は、同時に穴に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「来たね、二人とも」

ホームズは、やって来たミラとジュードにひらひらと手を振る。

「あれ?こんなところだっけ?」

以前に来た時とは、様子を変えた世ノ精途(ウルスカーラ)にジュードは、首を傾げる。

「どうやら、前回とは違う場所に出ちまったようだぜ」

アルヴィンは、腕を組みながらそう答える。

「恐らく、ミュゼの力でこの世界を作り変えているのだろう」

「……なんでもありだねぇ」

ホームズは、溜息をつく。

「ところで、レイアは?」

「あー…………」

先ほどから確認するがレイアの姿だけが見えないのだ。

ジュードの質問にホームズは、目を反らす。

すると、レイアが走って戻ってきた。

「レイア、どこ行ってたの?」

ジュードの質問にレイアは、自分の来た方向を指差す。

「あっちの方に似たような裂け目があったよ。なんか、リーゼ・マクシアに繋がってるみたい」

「まさか、入ったの!?」

「うん」

ジュードは、痛む頭を抱える。

ヨルは、欠伸を一つする。

「とりあえず、そこの穴に入るってもんだろ」

「そうだね」

一行は、その穴を目指して歩き出した。

レイアに案内されながら穴を通るとミラの社に出た。

「おっどろきーー!!」

ホームズがすっとんきょうな声を上げる。

ジュードたちも後から出てくる。

「本当に戻ってきちゃった……」

半信半疑といった気持ちが滲み出ている。

ホームズは、考え込む。

「さて、とりあえず、シャン・ドゥを目指すかい?」

「気軽に言うな、阿呆。何日かかるか分からんぞ」

「阿呆は、君だ。今、おれ達の手元には、次元刀の欠片があるんだよ」

ヨルの言葉をぴしゃりと遮ると、ジュードの方を向く。

「それじゃあジュード、もう一回よろしく」

ジュードは、頷いて小刀の次元刀を振るう。

空を切り裂き同じ切れ目を作り出した。

「なんか、直ぐに閉じそうだし早くした方がいいかも」

ジュードの言葉に一行は、次元の裂け目に飛び込んだ。

二度目の裂け目を超えた先は、シャン・ドゥだった。

突然現れた一行を道を行く人々は、怪訝そうな顔でこちらを見ている。

ホームズは、それを気にする様子も見せずに頷く。

「よし、それじゃあ先ずはマーロウさんの家に………」

「悪い。その前に俺の家行っていいか?」

ホームズの言葉を遮ってアルヴィンが言う。

ホームズの脳裏にあの教会の夜の出来事が蘇る。

あの時、ホームズは、アルヴィンから聞いた。

アルヴィンの母親は、亡くなっている。

「………いいよ。何かと人手がいるだろう?おれも行くよ」

遺品の整理をするのに一人は辛い。

精神的にも物理的にも。

「人手?なんで?」

レイアが首を傾げる。

レイア達は知らないのだ。

アルヴィンは、気まずそうに頭をかく。

「あー……ホームズの次いでだ。みんなにも来てもらっていいか」

「……………いいけど」

その少しだけ悲しそうな言い方に一行は、頷くしかなかった。

 

 








というわけで、章の振り返りを。
『闘技大会』

この辺りからバトルシーンを書くのが好きになりました。
書いてて楽しいし、それにあった曲のプレイリストまで作ってノリノリで書いていました。
まあ、上手いかと聞かれればまた微妙な話ですが…………
バトル以外としましては、ローズ戦に続く伏線が結構入っていたりと中々重要な章となりました。
この頃には、すっかりオリキャラ達のキャラも掴めてきて楽しかったです。



では、また二百十二話で( ´ ▽ ` )ノ

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