1人と1匹   作:takoyaki

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二百十三話です。



続くサブイベント、待たせるラスボス




てなわけで、どうぞ


いつかの敵も今日の敵

「さて、ついたけれど………」

所変わってマーロウの家。

中に入った一行は、鍵の使い所を考えていた。

扉らしい扉に鍵を差し込むのだが、どの鍵穴もうんともすんとも言わない。

ホームズは、溜息を吐く。

「ローズ、どこか思い当たるところないかい?」

「そんなこと言ったって、扉はそこが最後よ」

「ふーむ…………」

ホームズは、頭をひねる。

ここまで来れば考えられることは一つだ。

「隠し扉かな?」

ホームズの言葉にアルヴィンとローエン、それとレイアが目を輝かせる。

「ロマンだね」

「ロマンだな」

「ロマンですね」

「だよね!」

四人の上がったテンションについていけない、残りの四人。

「うーん、そう?」

「そうだよ!」

乗り切れないジュードを差し置いてレイアは、拳を固める。

「さてと、あの人の性格を推理してみようか!」

テンションの上がるホームズ。

「どこかな、本棚?食器棚?それとも………」

「本棚だ」

ヨルがホームズの言葉を遮る。

「……なんで?」

「精霊術の気配を感じる。正解かは、分からんが取り敢えず試してみろ」

ほぼ正解の手掛かりにローエン、アルヴィン、レイア、ホームズは、言葉がない。

取り敢えず本棚に鍵穴がないかを探す。

そして、すぐに見つかった。

ワクワクは、五秒と経たずに終わってしまった。

「……とりあえず入れるかなぁ……」

カチンと小気味のいい音が響くと、本棚は、ゆっくりと部屋へ向かって開いていく。

ホームズは、その様子を見ながら一言。

「君って空気読めないよね」

「お前にだけは言われたくない」

 

 

 

 

一行は、扉の向こうへと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

取り敢えず明かりを確保するためにも扉を固定し開けっ放しにしておいた。

「何かしら、ここ?」

その埃っぽい部屋にローズは、顔を顰めている。

部屋の中には、何もないのだ。

意味深に隠されていたにしては、妙な風景に一行は、首をかしげるばかりだ。

ホームズも辺りを見回し手掛かりを探す。

「ヨル、何か気配は感じないのか?」

ミラの言葉にヨルは、欠伸を一つ。

「それを言うならこの部屋中から感じる。だが、それが何なのか分からない」

ヨルは、まだ生首になれるほど回復していない。

よって精霊術を食べることが出来ないのだ。

「手詰まりですか………」

ローエンは、顎髭を触る。

そんな中、ホームズは作業の手を止めてローズに近づく。

どんどん迫ってくるホームズにローズは、後ずさりする。

「待って、動かないでおくれ」

止まったローズにホームズが手を伸ばす。

ローズは、自分の顔が赤くなるのを感じていた。

ホームズの手は、ローズの髪を優しく触って離れた。

その様子を一部始終見守っていたレイア達は、ニヤニヤ笑っている。

ローズは、顔を真っ赤にしたまま、ホームズをもう一度見る。

ゴミでも取ってくれたのら感謝しなくてはならない。

できるだけ素直に。

「……………………それ、何?」

ホームズの手元には、動く節足動物。

何となく続きは分かっている。

ホームズは、コホンと咳をしてウィンクしてみせる。

「女郎蜘蛛、ついてたゼ☆」

「うっわあーーー!!」

ローズは、思わずホームズを殴り飛ばした。

殴り飛ばされたホームズは、そのまま扉にぶつかった。

扉は、ゆっくりとしまった。

「ご、ごめんなさい………その驚いてしまって………」

慌てて謝るローズ。

ホームズは、そんなローズを見て驚いている。

「そんな……ローズが暴力ふるって謝ってるよ………どういうことだい?」

その瞬間ローズの動きが止まる。

「あ、嘘嘘!気にしてないよ!いつも謝ってくれるよね」

「いや、そんなことより……」

扉が閉まった瞬間真っ暗になるかと思われた部屋に明かりが灯った。

そして、部屋が突然広がり、辺りに武器という武器が現れた。

「………何これ」

 

 

 

 

 

 

 

 

『そう、部屋に入ったら扉を閉める。当然のマナーだな』

 

 

 

 

マーロウの声が響き渡った。

「マーロウさん……!」

ローズが慌てて声の在り処を探す。

ヨルは、首を横に振る。

「精霊術で声だけをこの空間に留めたんだろう」

ヨルの言葉にローズ唇を噛み締める。

『この声を聞いてるってことは、俺はドジって死んじまったってことだろうな。鍵を託したのは、ホームズかローズか……』

ホームズは、ぎゅっと鍵を握る。

『ローズに託したなら、ホームズはいないな。ホームズに託したんならローズもいるだろ』

師匠というだけあってローズの事も読み切っている。

『出来ればお前ら二人の生き様とかをもう少し見守っておきたがったが、どうにも無理ってことだな』

マーロウの声に二人は思わず涙が溢れそうになる。

『ローズ』

マーロウの声にローズは、顔を上げる。

『師匠らしいことが出来たかは、不安だが、俺はお前の師匠でよかった』

「マーロウさん……私も貴方の弟子でよかった………」

それからしばらく間の後、また名前を呼ばれる。

『ホームズ』

ホームズもまさか自分が呼ばれると思っていなかったらしく驚いて顔を上げる。

『楽しかったぜ』

「こちらこそ」

ホームズは、ニヤリと笑う。

『それとヨル』

ヨルは、耳の動きだけで答える。

『ホームズのこと頼むぞ』

「前も聞いたし、約束も果たした」

ヨルは、つまらなそうにそう答えた。

『さて、大方予想もついてるだろが、ここにある武器は俺が、精霊術で引っ張り出した奴らだ』

壁には確かに見覚えのある武器から全く見たことのない武器まで様々だ。

『もう、俺には必要ないしお前たちにやる。好きなものを持っていくといい。どれもこれも一級品通り越して特級品だ』

「ほんとう!?」

レイアは、驚きの声を上げる。

自分達を散々苦しめたあの武器たちが今、ここにあるのだ。

『ただまあ、代わりと言っちゃあ何だが、お前達頼みたいことがある』

「………頼みたいこと?」

ジュードが首を傾げる。

『闘技大会に出てくれないか?』

一行にあの時の出来事が蘇る。

『お前らには、酷い目に合わせたが本来ならシャン・ドゥの大切な祭りなんだ。だから、出来ればお前達に出場して盛り上げてもらいたい。もちろん強制じゃない断ってくれても別に構わない。ただ、出来たら出て欲しい』

マーロウの言葉はそこで区切れると再び響き渡る。

『さて、色々言っちまったが、取り敢えず最後に言っとく』

「………」

 

 

 

 

『しっかりな』

 

 

 

 

 

 

マーロウの言葉はそれっきり聞こえなくなった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「どうする?」

アルヴィンの言葉にホームズは、だんまりだ。

ホームズ自身としては、出てあげたい。

だが、ジュード達が嫌だと言ってしまえばそれまでだ。

「いいんじゃないか?出てしまえば」

ミラの言葉にホームズ達は振り返る。

「え?てっきり反対するかと思ったんだけど………」

「まあ、あまり私も好きではないが、そうだな………」

ミラは、そう言って片手剣を手に取って軽く素振りをする。

「お前風にいうなら、義理と人情という奴だ」

手に持った片手剣を見てホームズは、なるほどと納得する。

「まあ、それに武器を試しに使っておいて悪いことは無いだろ」

ヨルの提案にローエンが頷く。

「武器は、使い慣れておくに限ります」

アルヴィンは、大剣を選んでいる。

「俺もマクスウェル戦で壊れちまったしな……いい機会だ」

「私も」

「僕も」

ジュードもレイアも大分無茶な戦い方をした。

エリーゼもローエンも折角なので選んでいる。

「サイズ合うかな………」

ホームズは、不安になりながら探している。

ジュードの籠手にしろ、ホームズの靴にしろ身につけるものは、やはりサイズの合うものに限る。

「うーん………マーロウさんの方がデカイからなぁ……おれたちは、諦めるしかないかも……」

そんなことを言った矢先に二人は、ありとあらゆるサイズの揃えられた籠手と靴を発見した。

「……………やばい、ツッコミたい」

「……………ツッコんだら負けだよ」

何のために自分が身につけられないサイズまで用意しているのか、マーロウが生きていたら是非とも問い詰めたいところだ。

「単純に投擲用だろ」

「一級品を超える特級品を!?」

ヨルの解説にホームズは、目を剥く。

「と言うか、マーロウさん一体どうしてこんなに持ってるんだろう………」

ジュードの疑問にヨルが答える。

「ホームズの母の話によると、昔、賭けに大勝ちして大金を手に入れたらしい。人生を10回遊んでお釣りが返ってくるほどのな」

「………それ、私も聞いたことあるわ。まさか……」

ローズの頬が引きつる。

「そう。その金をありったけ使ってこの武器達を揃えたらしい。手に入らないものは、一流の職人を使って作らせたんだと」

ローズは、お目当の刀を見つけながらため息をつく。

「ずっと不思議だったのよね……そんな大金があるにしては、質素な生活だったから……」

長年の疑問が氷解したローズだが、微妙に納得がいかない。

「少しぐらい残しとけば良かったんじゃないの?」

「会ったことのない友人と親戚が増えて、とても覚えてらんないから、消し去りたかったんだとさ」

「ハハハ………」

ジュードは、引きつり笑いをしながら籠手を嵌めてみる。

それは、今まで使っていたんじゃないかと思うほど馴染んだ。

「凄い………!」

ホームズも試しに安全靴を履いた。

「お、いい感じ」

辺りを見回すとみんなも頷き合っていた。

「よし、それではエントリーと行こう」

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

【さあ!では第1ステージお次の組は、こいつらだ!!】

朗々と響く実況と共にミラ、アルヴィン、ジュードが入ってきた。

まだ出番ではないその他の面子は、観客席から、会場を見下ろしていた。

【さて、もう一度ルールを説明しよう!!

今回は、第3ステージまである。

それぞれ、第1ステージの成績上位者が第2ステージに、そして第2ステージの成績上位者が更に第3ステージに進める!ここまではいいか野郎共!!】

おぉーー!!という歓声が答える。

ホームズは、眉を顰めながらその様子を眺めている。

もう既にミラ達の前に別の組が同じルールにのっとって、試合をしていた。

その内容は中々に、

「エグいんだよねぇ………」

【やってきたな三人組!お前達には、とある精霊術で作り出した仮想敵を倒してもらう!それを倒したスピードの速さを競うってわけだ!?単純だろう!?分かりやすいだろ!?】

ミラは腕を組みながら聞いている。

「なんだか、前と実況のテンションが違うな?」

「そこじゃないよ、ミラ」

見当外れの方向に首を傾げているミラにジュードがやんわりとツッコむ。

そうこうしているうちに精霊術が発動し、仮想敵が光で形を成していく。

【ルールは、簡単!癖なんかない!だったら何に癖がある?何が難しい?】

ミラ達の前に仮想敵が纏っていた光が弾け飛んだ。

【そう!チームメンバー共通(丶丶)して闘いたくない敵が現れる!】

個人に限定すれば他のメンバーが倒せばいいという話になるがメンバーが共通に闘いたくない相手となると話は、簡単に進まない。

ホームズ達が観客席から見ていた他のチームもとても戦い辛そうだった。

だからこそ、倒すまでに掛かった時間というのが競われる要素なのだ。

【さあ!お前らの闘いたくない相手は、誰だー!!】

 

 

 

 

 

 

 

そこにいたのは、アホ毛をぴょこんと立てたたれ目の碧い目(丶丶丶)をしたホームズがいた。

肩にはお約束のようにヨルを乗せている。

 

 

 

 

 

「………おれ?」

 

 

 

 

 

 

ホームズは、観客席で目を丸くしている。

【おーっと!突然現れた多分男性!これは、誰だ!?お前らのなんなんだー!?】

「多分って何だい……疑うまでもなく男性だよ」

【それじゃあ、行くぞ試合開始だ!!】

 

 

 

 

 

 

その号令と共に三人は、躊躇なんてものを捨て去り真っ直ぐにホームズに突撃した。

そして、風よりも速く仮想敵ホームズを消し去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「ぶっちぎりで一位だな」

「第1ステージ突破おめでとうございます」

試合が終わると各チームの結果が発表されていた。

ジュード達は、どのチームよりも更に速かった。

「本当すごいよ、ジュード達」

「ええ、驚いたわ」

『流石、ジュード!ミラ!』

「アルヴィンも」

各々それぞれジュード達を讃えている。

「なんか、すっげえ、納得いかない!!」

約一名を除いて。

ホームズは、膝から崩れ落ち四つん這いになりながら叫んでいた。

「戦いたくない相手だよね!?何であんなに躊躇わずに倒せるんだい?!」

「いや、だってホームズ相手なら時間を伸ばせば伸ばすだけ不利になるだけだし………」

「先手必勝なんて生ぬるいことは言わない。先手必殺だ」

ミラが胸張って言う。

「というか、揃いも揃ってどうしてホームズなんだ?」

ヨルは、首を傾げている。

「ミラならジュードだろ、ジュードならミラ……あぁ、そうかそういうことか」

ヨルは、尻尾を揺らす。

そう、この時点でジュードとミラは、共通の戦いたくない敵のカテゴリーから外れるのだ。

となれば、三人が戦ったことがあり、勝てそうな相手のくせに勝てなかったホームズが出てきてしまうのは、仕方ないことだ。

「勝てる要素があんなにあってもなんか、毎度毎度楽勝っていかないもんな……」

「ちょっと、毎度毎度戦ってるみたいな言い方止めて」

ホームズの指摘にエリーゼがコホンと咳払いをする。

「ホームズと戦ったことのある人」

全員手を挙げた。

「自業自得だな」

「ちくしょー!!」

ヨルの言葉がトドメとなりホームズは、そのまま走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第2ステージに出場の組そろそろ控え室の方にお願いします」

 

 

 

 

 

 

会場係の声にジュードは、ため息を吐く。

「次の出場するはずだったのってだれだっけ?」

「私とホームズ」

ローズは、答えを最後に一行に沈黙が降りる。

ホームズは、走り去ってしまった。

探している時間はない。

幸い、どのステージにどのメンバーが出るのかはその都度選べる。

勿論、重複しないことが条件だ。

「誰が出ましょうか……」

ローエンの言葉に、一人心を決めた。

「私が出ます」

『いつもフォローさせるのがレイアじゃかわいそうだもんねー!』

エリーゼの言葉レイアは、感激していた。

「ありがとう、エリーゼ!」

ローエンは、あのカン・バルクでのことを思い出し優しく微笑んでいた。

「さて。じゃあ、誰がホームズを探しに行く?」

ミラの言葉にレイアは、全ての結末を理解した。

 

 

 

 

 

 

 

「だよねー………はぁ………」

 

 

 

 

 

 

舌の根も乾かぬうちにやってきたオチにレイアは、溜息と共にホームズを探しに行った。









闘技大会編続きますよ。


てなわけで、章の振り返りです。
『カン・バルク』
まあ、見直してみると三話しかありませんね。
とはいえ、次の話と章を分けたかったので無理矢理作った記憶があります。
内容としては、レイアだけでなくホームズにも辛い思いをさせようと思って作ったような気がします(笑)
そして、気付きづらいですが、エリーゼに謝ってもらってもホームズは、いいよとは言っていません。
それなりに彼にもポリシーがあるということです。
まあ、ラストのぐだぐだで全部台無しですが……




長くなったのでこの辺で。ではまた二百十四話で( ´ ▽ ` )ノ
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