1人と1匹   作:takoyaki

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二百十七話です。



サブイベント!それは、悪ふざけの集大成!!



てなわけで、どうぞ




お色直し?

「こんな時で、皆さんには、大変言いづらいのですが……」

闘技大会終え、ローエンの希望によりカラハ・シャールに来た面々は、ドロッセルに頼まれごとをされていた。

「頼まれごとって……この前、ガンダラ要塞の他にまだあるんです?」

首を傾げるホームズにドロッセルは、言いづらそうに目をそらす。

「えぇ。まあ……封鎖されたガンダラ要塞を解いてもらって、更にこんなお願いをするなんて図々しいことは百も承知なのですが……」

ドロッセルは、本当に申し訳なさそうにしている。

そんなドロッセルにホームズが、慌てて手を振る。

「いや、大丈夫ですよ!ここにいる面々に遠慮なんてしないでください」

「本当ですか!!確かに聞きましたよ!」

ドロッセルは、両手を組んで身を乗り出した。

「う、うん」

その態度の変わりようにホームズは、ついて行けない。

「実はですね、皆さんには私と一緒社交会に出て欲しいんです!!私一人で出るのは、心細くて……」

『『え?』』

ドロッセルからの提案に一行は、目を丸くする。

「それって………まさか、」

「えぇ。ダンスもありますので、皆さんにはドレスアップもしてもらいますよ!」

トントン拍子で決まっていく。

迂闊なことを言ったホームズは、後ろを振り向けない。

「いや、あの、それは………」

ローズが何とか断ろうとするとエリーゼが、クイっと袖を引っ張る。

『ドロッセルを助けてくれないのー?』

確かに多少強引だったとは言え、困っているのは、本当だ。

とはいえ、素直に頷けない。

何故なら……

「で、でも……ダンスなんて踊れないし……」

「私が教えますよ」

ドロッセルが胸を張る。

ジュードが、ポンっと手を叩く。

「でも、ほら、僕達には、教えられませんよね?確か、女性と男性でステップが違うって聞いてますけど」

「ジュードさん。私が教えますよ」

ローエンが胸に手を当ててにこやかに答える。

「アルヴィンは、踊れるの?」

「まあ、昔散々見たからな……」

忘れがちだが、エレンピオスの良家の出だ。

「ホームズは?」

「母さんに仕込まれたから一応。何だったら、男のステップも女のステップも出来るよ」

「ホームズは、お母さんに何を仕込まれているんですか………」

「何だろうね」

エリーゼからの返しにホームズは、遠くを見つめる。

レイアは、意を決して頷く。

「よし、出よう!!こんな機会滅多にないしね」

「それもそうだな」

ミラも同意している。

女性陣が着々と決意を固めている中、ローズだけが斜め下を向いている。

「ローズ!ドレスを着る機会なんて早々ないんだし、やろうよ!!」

レイアの言葉にローズは、更に俯く。

ホームズは、首を傾げる。

「もしかして、スカートが嫌なのかい?」

思わずむせるローズ。

どうやら当たりのようだ。

「袴だって似たようなものだろう?」

「違うわよ!これは、限りなくスカートに近いズボンよ!!」

「じゃあ、タキシード着るかい?」

「その二択しかないの!?」

「そりゃあ、そうだろ」

ヨルが呆れたように返す。

ローズは、ドロッセルのお願いを聞いてあげたいという思いと、ドレスを着たくないという間で悶々としていた。

「別に、ドレスのスカート下すぐに下着ってわけじゃないから大丈夫だよ」

ホームズは、そう言って助け舟を出す。

「下にズボンみたいなタイツをを履くから」

「うーん………それなら……」

ローズは、そう言って渋々了承した。

 

 

 

 

 

((なんで、ホームズ知ってるんだろ………))

 

 

 

 

 

 

一行にしこりを残して。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

そんなわけで付け焼き刃で、訓練してダンスをマスターした面々は、社交会の会場に来ていた。

「う、ちょっと苦しいね」

ジュードは、ちょっとだけネクタイを緩める。

「あんまり緩めすぎるとだらしないから程々にな」

「アルヴィンさんが言いますか……」

「ローエン、どういう意味だ?」

「内緒です。男は、秘密があったほうが格好いいですから」

何処かで聞いたような台詞を吐きながら二人は、話している。

ジュードは、ため息を吐く。

三人ともタキシードに身を包んでいる。

「ミラ達、遅いね」

「女性を待つのも男の嗜みですよ」

そんなことを話していると、女性陣三人が現れた。

ミラが、水色のドレス、エリーゼがいつもの紫色を少し淡くしたドレス、レイアが薄い黄色のドレス、ローズが赤を基調としたドレスだ。

ジュードは、ポーっとしている。

「む?どうしたジュード」

「ううん。似合ってるよミラ」

ジュードの褒め言葉にミラは、満足そうに頷く。

『どうだー!アルヴィン!』

「見違えたな、エリーゼ」

アルヴィンの褒め言葉に若干喜んだ後、直ぐに咳払いをして、ジトっと見る。

「普段は、ダメみたいに聞こえます」

「ホームズみたいなこと言うなよ……」

そんな会話をしている面々に一人レイアが不満げだ。

「まあ、分かってたけど……」

ジュードは、ミラの方を見ている。

「レイアさんもお似合いですよ。ご自分で選ばれたのですか?」

ローエンの質問にレイアは、笑って答える。

「うん。何となく、これかなー?って」

「自分に似合うものを選べるという事は大事なことですよ」

「上手いね、ローエン」

「ほっほっほ」

ローエンは、愉快そうに笑う。

「なら、私は、大事なことも出来てないのかしら……」

その横でローズは、顔に影を作っている。

ローエンは、首をかしげる。

「いえ、お似合いですよ」

レイアが、言いづらそうに説明する。

「わたしが選んだんだよ……」

ローズ自身が、自分に合った服を選んだ訳ではないのだ。

「赤を選ぶとは中々思い切ったことをしましたね」

「まあ、ローズっぽくない?」

情熱の赤だ。

感情で動き、激情をぶつけるローズには、ある意味ぴったりだ。

「さて、これで全員揃ったな」

「ドロッセルさんは?」

「何かやる事があるとかで後で合流だ」

ジュードが尋ねるとミラがそう返す。

そして、ドロッセル以外の面々を確認してレイアが首を傾げる。

「あれ?ホームズがいないよ」

そう、先ほどから全く見ていない。

ジュード達も困った顔をしている。

「僕達も見てないんだよ」

ミラが首を傾げる。

「何故、いないんだ?」

「ホームズの服だけなかったとか?」

エリーゼが、思いついたようにそう言う。

「いや、あるには、あったけど服の丈のが長すぎて困ってるとか?」

これは、アルヴィンだ。

確かにそんなに身長の高い方ではないホームズなら、十分にあり得る。

「着方が分からないんじゃないの?」

ローズが投げやりにそう返す。

「慣れて無さそうだもんね」

ジュードは、頷いている。

そんな面々にレイアは、チッチッチと指を振る。

「分かんないよー、案外超着こなしてるかもしれないよ」

「何で、こっち見るのよ、レイア」

ローズが頬を引きつらせながら返すとレイアが顔を近付ける。

「いい?例え、どんな状態でも似合ってるねって褒めるんだよ!いい!?」

「え、ええ」

レイアの圧力に気圧されていると、扉の向こうからホームズとドロッセルの会話が聞こえてくる。

 

 

「ドロッセルさん、何でおれの服だけないんです?」

「まあまあ、代わりの服があったからいいでしょう?」

 

 

その会話に一行がエリーゼを見る。

「予想通りです」

『読みやすいねー』

 

 

 

 

 

「というか、これ、大分丈が長い気がするんですが……」

「こんなものですよ」

「大変ですね」

 

 

 

 

 

 

今度は、アルヴィンを見る。

「まあ、期待を裏切らないよな」

 

 

 

 

 

「というか、着方分からなかったら大分時間がかかったんですけど……」

「私がいなかったらどうなっていたんでしょうね」

「逃げましたけど」

 

 

 

 

 

 

 

この会話に今度は、ローズが一行の注目を浴びる。

「え?というか、ドロッセルさんに自分の着替え手伝わせたの?」

「ちょと、引くな……」

アルヴィンが呆れているとガチャとドアノブが回される音がする。

そして、ゆっくりとドアが開かれ、ピンクのドレスに身を包んだドロッセルと、

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ黒なドレスに身を包んだホームズが現れた。

その姿は、誰も予想を裏切っていた。

いや、正確に言うならレイアの予想の若干斜め上をいった姿だ。

つまるところ、

 

 

 

 

『『超着こなしてるー!!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

一部の隙もない程にホームズは、ドレスを着こなしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





もうね、悪ふざけ全開行きました。



実は、とある別のゲームと若干ネタ被りしまして………迷いましたが、『いや!女装なんてよくあることだし!それに、ここで、この服を着ないのは、ホームズじゃない!!』という強い確固たる決意のもと書かせていただきました。


次回も馬鹿騒ぎです。
さて、てなわけで、章の振り返り『ナハティガル王』
ホームズの歪みが少しずつ現れてきましたね。
そんな事もありつつ、エクシリアの山場の一つです。
色々書いては消しを繰り返しましたが、やっぱり、ここは、ローエンに締めてもらいたいなと思いあのような形になりました。
確か、単純作業のバイト中、飽きないように悶々と考えていた記憶があります。
多分、その鬱憤を晴らすが如くバトルには、色々詰め込んでありますね。



では、また二百十八話で( ´ ▽ ` )ノ

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