1人と1匹   作:takoyaki

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二百十九話です。



遅くなりましたが、新社会人の皆様、おめでとうございます!!
一年目と言うのは、辛いことばかりだと思いますが是非潰れないように気を付けてください。
因みに、私の一年目は、仕事場には、気分上々を聞きながら向い、暗い夜道を帰る時は、don't cry anymoreを聞きながら帰っていました。
この二曲と友達に勧められたニチアサ8時の後番組のスマイルの世代に支えられていました。
…………うん、やべぇな。文章にするとどれだけ追い詰められていたか客観的に分かりますね。

てなわけで、どうぞ



舌先惨寸

「おーっと、てめーら動くなよ」

ホームズを人質に取った男は、会場に飛び込んだ面々にそう言う。

「この可愛いお嬢さんの死ぬところなんて見たくないだろ?」

「可愛いお嬢さんだって」

「知らないって幸せだよな」

「夜の世界は、騙し合いですから」

アルヴィンとレイアとエリーゼがボソボソと喋っている。

よく見るとダンス会場には、男達が各々武器を構えて立っている。

どうやら、逃げ出したのは、客だけで、使用人達は逃げ遅れたようだ。

「俺たちが要求するのは、ただ一つ!そうそれは!「女物のドレス」だ!って違う!誰だいらない言葉被せたのは」

ヨルである。

ちゃっかり、テーブルの上に逃げていた。

突然の変態宣言に一行は、引いている。

「なんだ、その目は!!俺は男だ!そんなものを着る変態なんているわけないだろ!!」

(目の前にいるんだけど………)

呆れてものも言えない面々を自分に恐れたと思ったのか、男は、咳払いをして脅迫を続ける。

「ともかく、ドロッセルとかいう女領主がいるはずだ!そいつを出せ!」

ローエンが髭を触る。

「ローエン、やっぱり私が………」

前に出ようとするドロッセルをローエンが制する。

「下手に貴方が出て仕舞えば、ここにいる方達が巻き添えを食います」

ローエンの指摘にぐっ、ドロッセルは堪える。

「というか、ホームズは何で捕まったままなんだ?」

アルヴィンの疑問にレイアが解答案を一つ提示する。

「案外、警戒してるんじゃない?」

「いやでも、さっきから口に手を当てて欠伸を見えないようにしてるよ」

ジュードの指摘にエリーゼとローズの額に青筋が浮かぶ。

「精霊術の用意は?」

「出来てます」

「いや、まって!」

慌てて二人を止めるレイア。

「とりあえず、使用人の方達を逃しましょう」

ローエンが、そう提案すると、ジュードとアルヴィンが動き出す。

ドレスを着た女性陣は、動くだけで目を引く。

よって、影の仕事は男性陣が行う。

代わりに女性陣は、敵の目を出来るだけ、引きつける。

「何故、ドロッセルを狙う?」

ミラがその時間を稼ぐ。

その質問に男は、鼻で笑う。

「年若い領主、利用しない手はないと、俺の雇い主は、考えているようだぜ」

「年下の女性にしか強気に出れないなんて、器の大きさが分かるわね」

ローズは、馬鹿にしたように返す。

「まあ、そういうな。世の中色々なんだよ」

そう言ってホームズにナイフを突きつける。

「さて、いいからドロッセルとやらを出しな」

もう一度男は、同じ要求をする。

「さもなけれ『きゃー!』、この可愛『いやー!』お『たすけてー!』んか『私は、関係ないですわー!』ぞ」

合間にいちいちホームズの声(女声)が入って何を言っているか分からない。

ローズが、耳に手を当てる。

「ごめんなさい、もう一度。大きな声で」

「チッ!だから!『きゃあー!!』れば、『いやぁー!!』いお嬢『たすけてー!!』ら殺『私は関係ないですわぁー!!』……ってうるせぇっ!!お前が大声だしてどうすんだよ!!」

「仕方ないでしょう!?こんな状況でニコニコ笑えるわけないじゃないですか!!」

(さっき、欠伸してたよね?)

ニコニコは、無理でも欠伸は余裕だ。

「ごめんなさい、もう一度」

「ドロッセルを出せ!!」

今度は、簡潔にまとめてきた。

ドロッセルがローエンの袖を引っ張る。

ローエンが止める間もなくドロッセルが前に出る。

「貴方は、自分が捕まえてる人間も分からないのですか?」

それよりも早く捕まっているホームズが意味深に笑う。

男は、驚いて目を丸くする。

「まさか……お前が?」

「いきなり大当たりを引くから驚きましたわ」

 ホームズは、そう言って微笑んでいる。

 

 

 

(いや、それは流石に無理があるだろ………)

 

 

 

 

一行の声にならない言葉が会場に降りてくる。

「お前だったのか?」

(嘘!信じるの?!)

レイアは、思わず目を丸くする。

「違います!私が、ドロッセルです!その方は、ホームズさんです!!」

ドロッセルの言葉に男は、ホームズを見る。

「お前じゃないのか!?」

「騙されてはいけませんわ!世の中には女装の一環でドレスを着てダンスパーティーに参加する変態だっているのです!!」

(((それお前だろ)))

一行の心が一致した瞬間だった。

男は、信じられないような顔でドロッセルを見る。

「マジか……どう見ても女にしか見えないぜ」

(((いや、実際女だし……)))

「私がドロッセルです!!」

「あなたは、私の言うことが信じられないんですの!?」

「何で俺が女同士の勝敗を決める男みたいになってんの!?」

ホームズのせいで更に事態は混迷を極めた。

何がタチが悪いと言えば、ホームズは相変わらず嘘一つ付いていないのだ。

「もうヤダ。頭痛い………」

ローズは、ズキズキする頭を押さえる。

「もう、ホームズ諸共吹っ飛ばした方が早くないか?」

ミラは、疲れて雑な提案をしてきた。

「二人とも堪えて!!」

まだ避難が終わってないのだ。

レイアは、そう言うとヨルに小声で話しかける。

「ねえ、生首には、なれなくても尻尾を伸ばすのは?」

「まだ無理だ」

つまり、こっそり男を拘束することは出来ないというわけだ。

「というか、あいつ、女領主の顔知らないんじゃないのか?でなければ、ホームズの事、女領主かどうかで判断に迷わないだろ?」

ヨルの言葉にレイアが今までの会話を思い出す。

「言われてみれば………じゃあ、あの人何にも下調べしないでこんなことしたの?」

「無計画ってのがピッタリだな」

そうこうしているうちに男がしびれを切らした。

「あぁー、もう!!メンドくさい!!お前も来い!!女二人ぐらい人質にしてやる!!」

男は、そう言ってドロッセルを呼びつける。

「(ヤバイ!!)」

レイア達の身体が緊張で強張る。

「(避難まであと少しだ。どうにかしろ)」

ヨルが、レイアに耳打ちする。

「どうにかって………!」

元々、こう言うのはレイアよりローエンの方が得意だ。

だが、ヨルに耳打ちをされた事でレイアは、焦りだしてしまった。

そして、

 

 

 

 

 

「待って!本物のドロッセルは、わたしだよ!!」

 

 

 

 

 

ドロッセルがまた増えた。

一行は、狐につままれたような顔をしている。

「(お前まで、何を言ってるんだ!!)」

「(だって!だって!)」

ヨルの言葉にレイアは、半泣き小声で答える。

「お前ら、一体、ドロッセル何人いるんだ!!」

男からの突っ込みに返す言葉もない、普通なら。

たが、今は普通の時ではない。

一時のノリとテンションとパニックで出た言葉に乗っかるしかない。

「一人に決まってるじゃん!!それを見抜くのが、あなたの仕事だよ」

「(仕事にしたらダメだろ)」

「(ヨル、うるさい)」

軽く咳払いして精一杯の憎たらしい笑みを浮かべる。

「それも出来ないんじゃまだまだだよね」

ホームズの真似をしているのだろうが、完全に引きつっている。

「んなまどろっこしい真似は、しない!!ドロッセルが出ないなら、この黒ドレスの女を殺す!!」

「いいの?その人がドロッセルかもしれないよ?」

レイアの言葉に男は、動きを止める。

その時、ミラが一歩前に出る。

「因みに言っておくと私が本物のドロッセルだ」

(貴女も乗るの!?)

ローズは、あんぐりと口を開ける。

だが、その口は直ぐに閉じる羽目になる。

何故なら、ミラが目配せをしているのだ。

(えー………私も………)

ごほん、と咳払いをする。

「何を言っているの?私がドロッセルよ?」

ドロッセル、大増殖だ。

もう混沌(カオス)と化している。

男は混乱し始めた。

本物だという証拠は、ない。

だが、偽物という証拠もない。

「待てよ……」

そう一人だけ、名乗っていない人間がいる。

「そこのガキ、人質交代だ」

エリーゼだけは、違う。

領主と名乗るには、少し無理がある。

だが、

『え?いいのー?ホー……ムグムグ』

エリーゼが慌ててティポの口を塞ぐ。

「いいんですか?ドロッセルかも知れない人を手放しても?」

そう、まだ疑惑は完全に晴れたわけではない。

男の動きは、再び止まった。

「ッチ!いいからとりあえず武器を捨てろ!!」

男は、舌打ちと共に怒号を吐く。

今までの流れで男の怒りのキャパは、限界だ。

俗に言う堪忍袋の緒が切れそうというところだ。

「分かった」

アルヴィンは、静かに頷く。

「鉛玉から捨ててやるよ」

そう言ってアルヴィンは、銃弾を放った。

だが、放たれた銃弾は、男に当たることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

男ではなく、その真上にあるシャンデリアの留め具に当たった。

それは、砕け散るとそのまま二人に向かって落下した。

男は、ホームズを放置して逃げ出した。

そう、人質を手放させるには、これしかない。

人質ごと命の危険に巻き込む。

ホームズは、男が逃げると同時に自分もテーブルの上に逃げ出した。

「おとり、ご苦労さん」

「いやー……大変でしたわ」

若干いつもの調子に戻りそうになったが、慌てて淑女モードになり不敵に微笑む。

「では、ダンスの続きと洒落込みましょう!」

 

 

 

 

指をビシッと立てる。

 

 

 

 

「いっつぁ、しょーたいむっ!ですわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ((発音悪っ!!))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホームズの発音は、さておき、パーティーは、まだまだ終わらない。

 

 

 

 

 







さて、お次の章は「真実」です。
色々な隠し事が明らかになって行きましたね。


1人と1匹最大のどんでん返しとして、作りました。
結構、驚いてもらえて何よりです。

これを書いた時は、まだまだ一年目の右も左も分からない中、前任者に尋ねても自分で考えてと言われ、何でも聞いてって言ったよね?と誰もが思う疑問を飲み込みながらもやった仕事は物の見事にミスり、それを直すため残業し、終電を使い、最寄り駅から二キロ歩きながら考えました。
疲れて何となく見上げた星空は、とても綺麗で、何だか少しだけ元気が出ました。
それがなければ謎を解いた後のレイアとのやり取りは、また別のものになっていたと思います。

さて、章自体としましては、ミラが謎解きに加わるのは、予想外でした。
本来は、ミラが解く謎は、もう少し後の予定で尚且つミラが解くわけではなかったのですが、あれよあれよという間にあんな形に。
ああ、これが勝手にキャラが動くというやつかと感心してしまいました。
謎は解けましたが、ホームズの旅は更に辛いものになって行きます。


長くなったのでこの辺で!
ではまた、二百二十話で( ´ ▽ ` )ノ
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