1人と1匹   作:takoyaki

223 / 242
二百二十二話です。


数字に戻すと222で、ニャー、ニャー、ニャーです。



ええまあ、だから、どうしたいう話ですけれども



てなわけで、どうぞ


ネコを被る

「というわけだから、何もないよ」

「女の子と二人で過ごして何もないってどういうことよ」

「いや、風邪ひいたから何もないってわけじゃあないよ」

「貴方でも風邪ひけるのね」

「ねぇ、何が言いたいんだい?」

レイアとローズとホームズのなんとも言えない会話にヨルは、ため息を吐く。

「おい、そろそろ移動しないか?ここにいると一生やってるぞあいつら」

「あぁ、うん」

ジュードは、そう言って少し迷うが次元刀を取り出す。

 

 

 

「どうなんですか、先生?妹は、歩けるようになりますよね」

そんなことをしていると診察室の方から、幼い男の子の必死な声が聞こえてきた。

好奇心に負けたホームズは、扉を少しだけ開けて、様子を伺う。

「落ち着け、ソラン。結論から言うとマァムは、手術をすれば歩けるようになる」

「ほんとうに?」

「あぁ」

ディラックの肯定の言葉にソランと呼ばれた少年は、嬉しそうだ。

「だが」

ディラックは、続ける。

「手術の後は、数節に渡る辛いリハビリが必要になる」

その言葉にマァムは、顔を俯かせる。

「痛いの?」

「大人でも泣き出すほどだ」

マァムは、言葉が出ない。

ディラックの言葉に食ってかかるのは、ソランだ。

「話が違うじゃないか!!ル・ロンドのマティス先生は、機械を使って歩けるようにしたって聞いたのに!」

ディラックは、眉をひそめる。

「…………誰に聞いたか知らないが、そんな便利なものはない」

「大丈夫!リハビリなんて耐えられるよ!」

冷たく言い放ったディラックの後にレイアが、診察室に入ってそう言った。

因みにホームズは、突き飛ばされた。

「わたしも小さい頃大ケガしちゃったけど、この先生にリハビリしてもらったの」

胸を張って言うレイアにマァムは、顔を上げる。

「お姉ちゃんも?」

「うん。おかげで今は、こんなに元気」

「本当、無駄に元気だよ」

アルヴィンは、肩をすくめて言う。

「無駄ってどういうこと?」

「そういう事」

アルヴィンに食ってかかるレイアにホームズは、起き上がりながら返す。

騒ぐ面々を見ながらミラは、記憶の紐を辿る。

「そう言えば、レイアは、昔怪我をしたと聞いたが?」

「うん。本当にリハビリもやりきって凄かったんだよ」

ミラは、ジュードの言葉に首をかしげる。

(確か、レイアは、ジュードのおかげだと言っていたが……)

レイアは、ホームズ達との言い合いを切り上げると、マァムの方を向く。

「だから、先生を信じて頑張るんだよ。目つきは悪いけど名医だから」

「………………」

ディラックは、何か言いたげだが、レイアは、どこ吹く風だ。

ディラックは、ため息を吐く。

「ジュード、来たなら休んで行きなさい。母さんも喜ぶ」

ジュードは、目を丸くした後頷いた。

「それじゃあ、おれ達は、レイアの宿にでも泊まるかい?」

そう、レイアの実家は、宿なのだ。

部屋さえ空いていれば泊まる事も出来るを

ホームズの提案にアルヴィンが頷く。

「親子水入らずの邪魔をしても悪いしな」

「いいよ!それじゃあ、お母さんに伝えてくるね!」

レイアは、意気揚々とロランドの宿に戻っていった。

「あの子、家出娘の自覚あるのかい?」

ホームズが首を傾げたのとソニアの怒鳴り声が聞こえたのは同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「うぅ、こってりしぼられた………」

「なんで、おれまで………」

翌朝、レイアとホームズは、ぐったりしていた。

「下手に庇うからだろ」

ヨルの言葉にホームズは、ため息を吐く。

「やっぱりほっとけば良かったなあ……」

「あのさぁ、わたし達友達だよね。なんでそんなにしみじみと言うの?」

「君にだけは、言われたくない」

レイアの言葉にホームズは、そう返すと立ち上がる。

言い切ったホームズとは、対照的にレイアは、まだ何か言いたげだ。

「さて、レイア、挨拶は、済ませたかい?」

そんなレイアに構わず尋ねるとレイアは、ため息を吐いて立ち上がる。

「昨日たっぷりと」

「んじゃあ、ジュード達を呼びに行くとしようかねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

マティス医院に行くと出入り口のところが騒がしかった。

「?どうしたんです?」

不思議に思ったホームズが慌てているディラックに尋ねる。

「あぁ、ホームズか」

驚いて振り返ったディラックは、ホームズを見て少し落ち着く。

「……昨日きた、兄妹覚えているか?」

「えぇ。まあ」

「兄のソランが行方不明なんだ。見ていないか?」

「いや、見てないです」

ホームズは、首を横に振る。

「そうか………わかった、ありがとう」

そう言ってディラックは、駆け出していってしまった。

「何だか、大騒ぎだねぇ」

ホームズは、腕を組んでジュードを見る。

見るとジュードは、こめかみに指を当てて考え込んでいる。

ホームズは、少し眼を細める。

「何か、心当たりでもあるのかい?」

「……うん。多分、バイカール廃坑だと思うんだ」

「何でまた?」

「昨日の夜、父さんとウォーロックさんが、何かの機械をそこに捨てたって話してたんだ。それをソランも聞いてたから」

「なら、行くしかないだろ」

アルヴィンの言葉に頷くとジュードは、ローエンとエリーゼの方を向く。

「二人は、残って帰りを待ってもらっていい?特にエリーゼは、マァムを元気付けてあげて」

「分かりました」

『まかせろー』

「皆さん、お気を付けて」

ローエンの言葉に頷くと一行は、駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「それで、来たはいいが俺に探せというんだろ?」

「流石、ヨル。察しがいいねぇ」

ホームズの言葉にヨルは盛大にため息をつきながら髭を動かしてマァムを探す。

しばらくして尻尾で方向を示す。

その方向に夜目が利くホームズを先頭にして走り出す。

ホームズは、走りながら考え込む。

「それで、ソランって子は、ディラックさんが言っていた都合のいい機械とやらを探しに来たってことかねぇ?」

「まあ、それ以外に理由はないよね」

ホームズの考えに頷くジュード。

(前にレイアが言っていた事を考える限り、多分その機械ってのは………)

「恐らくそれだろう」

「おわっ!人の頭の中読まないでおくれよ、ミラ!!」

「別に。私も似たような事を考えていただけだ」

ミラは、そう答えると足を速める。

「だったら、なおさら急がないと」

「……ねぇ、さっきから話が読めないんだけれど」

「安心しろ、直ぐに分かる」

そう言ってヨルが尻尾で示す。

そこには、マァムが何かの前で立っていた。

「やっと見つけた。これが、先生の隠した機械だな。これがあればマァムも」

ソランの前にある、機械。それを見た瞬間、ローズは、眉をひそめる。

「あれって………」

見間違える筈もない。

今まで散々見てきたのだから。

「早く離れて!黒匣(ジン)が暴発する!!」

レイアの血相変えた言葉にソランは、思わず縮こまる。

「早く!!」

「でも、これがあれば……」

「でももへちまもない!!」

ホームズのその言葉と同時にヨルの尻尾が伸びた。

伸びた尻尾は、ソランに巻き付く。

巻きついたのを確認するとホームズが思い切り引っ張る。

引っ張られたソランは、宙を舞ってホームズに落ちる。

ホームズは、何とかキャッチする。

それと同時に黒匣(ジン)は、爆発した。

「ふぅ、間に合った」

ホームズは、ソランをそっと下ろすと、ヨルに視線を向ける。

「尻尾戻ってたねぇ、やっぱり」

「やっぱりってお前……気付いてやがったな」

「当然」

いつの間にやら、本来の姿に戻った時の副作用は、全て解けていたようだ。

「それにしてもヨルが人間を助けようとするとはね………」

ホームズは、ヨヨっと泣き真似をしているとヨルは、ニヤリと笑う。

「当然だ」

「本音は?」

「助けにいったホームズに巻き込まれたくない」

アルヴィンは、質問した自分に嫌気がさした。

ローズは、そんなホームズ達に構わずレイアに尋ねる。

「それにしてもよく、アレが黒匣(ジン)だって分かったわね」

「うん……昔、わたし、大先生がしまいこんであった黒匣(ジン)を弄って暴発させて大怪我しちゃったから………」

黒匣(ジン)の暴発………?」

ジュードは、考え込むとアルヴィンとホームズの方を向く。

「やっぱり、父さんは」

アルヴィンは、首を横に振る。

「俺の口からは言えないな」

ホームズは、肩をすくめる。

「そのために聞くために来たんだろう?ジュード」

二人の言葉にジュードは、頷く。

「分かった。取り敢えず帰ろう」

 

 

 

 






さて、章の振り返りですが…………えーっと、うん、やめようかな………いや、やっぱりやりますね。
大問題の章です。
『残された者たち』
ちょいちょい、こういう場で書いていますが、とある漫画家さんも言っているように主人公に手加減なんてしてはいけないと思っています。
前にもいったように展開は、これを書く前から考えていました。
経緯を事細かに話すと字数が飛んでもなくなるのでまた別の機会に回しますね。
私自身上げて落とす展開が好きなので、大雑把に登場人物を考えて、大筋を決めた後、どこで、どう叩き落そうか考えていました。
それで、まあ、思いついたのかアレです。
とりあえず、考えていたことを全て出しきれたと言える章です。


余談ですが、別の後書きでも書いたようにハミル戦のBGMは、The Everlasting Guity Crownです。
まあ、歌詞がぴったりすぎたのでローズのテーマソング扱いもしています。



さて、長くなったのでこの辺で


では、また二百二十三話で( ´ ▽ ` )ノ

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