1人と1匹   作:takoyaki

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二百二十六話です!!


連続投稿、いっくぞ!!


先のことを言えば猫が笑いころげる

「物の見事に落とされたねぇ………」

ホームズは、上を見上げて思わずため息を吐く。

ウィンガルの最後の一撃によって一行は、それぞれ一人ずつ離れた足場にいた。

「どうするんだ?飛ぶには無理があるぜ」

アルヴィンの視線の先には、一行がいる。

確かに飛んで、合流するには無理がある。

『アルヴィンなら、大丈夫だよー!嘘つきなんだから!』

「あん?」

ティポの言葉に不機嫌そうに聞き返すとエリーゼがにこにこしながら現れる。

「アルヴィンなら、届きますよ。ムリっていうのは、嘘です」

その言葉に微妙にショックを受けたアルヴィンは、遠くを見つめる。

「だんだん、俺の扱いが酷くなってくな」

「自業自得ー!!」

「うるせぇ、ホームズ!!お前に言われたくねーよ」

「言われたくないなら、努力したまえよ」

「減らず口を…………!」

アルヴィンが拳を握り締める。

「あ、私の刀あったわ、ラッキー」

ローズは、アルヴィンとホームズの罵り合いには、構わず先ほどウィンガルに落とされた刀を拾っていた。

「それで、どうするのかしら?」

ローズの言葉を聞きながらレイアは、自分達のいた場所を見上げる。

「上に戻る道もないよ。ホームズ非常識・改できそう?」

レイアの言葉にホームズは、首を横に振る。

「無理だねぇ。多分、登ってる途中で時間切れだ」

そう言って一行の場所をざっと把握する。

「みんなのところに飛び移ってもいいけど、おれ一人が合流してもねぇ……」

「一箇所に集めようにもその時点で時間切れだ」

つまり、肝心のガイアス戦で手札を一枚失ってしまう。

レイア達が頭を捻っている。

そんな中、ローエンが上空を見つめる。

「ローエン、ウィンガルが無事だとは思えない」

ミラが離れた足場から尋ねる。

「はい。ただ、最後にウィンガルさんの声が聞こえた気がしたのです」

「なんて言ってたの?」

ジュードの言葉にローエンは、少しだけ言葉に詰まる。

「よく………聞き取れませんでしたが……」

そして、首を横に振る。

「ジュードさんが、気にしても仕方のないことですよ」

そう言って鼓舞するように口を開く。

「それよりも、この状況からどうやって先に進むか考えましょう。

ホームズさんに一箇所に集めてもらい、その後、ヨルさんが補給すると言うのも手でですが………」

「時間がかかるな」

ミラの言葉にこくこくホームズとヨルが頷く。

「だったら、方法は一つ、別々に進もう」

「どのみち、私達の目的は、一つか」

ジュードの提案にミラが頷く。

「ヨル、ガイアスとミュゼはどこにいる」

ヨルは髭をピクリと動かす。

「ここの最深部にいる。ま、何処からでもいけるだろ」

そう言いつつヨルは、ニヤリと笑う。

「ま、途中で移動してたら知らんがな」

「保険のかけ方がカッコ悪いわー……」

隣で聞いていたホームズは、ため息を吐いた。

「俺が一番にガイアスの所にたどり着くぜ!」

そんな中、アルヴィンが立ち上がって宣言する。

「その嘘もお守り代わりに受け取っておきましょうか」

「あんたまで………ったく」

ローエンから辛辣な返しにアルヴィンは、思わずたじろぐ。

ローエンは、そんなアルヴィンに構わず先に進む。

「よーし!わたしが一番乗りするからね」

レイアがむんと胸を張る。

「みなさん、ガイアスのところで会いましょう!」

『エリーゼかっこいいー!』

「それじゃあ私も一番乗りを目指すわ」

ローズは、腰に刀を納め、髪を結び直して、気合を入れる。

ホームズは、そんなローズを見ながら首をかしげる。

「そんな、髪留め持ってたってけ?」

ローズは、大きくため息を吐く。

「今更………?まあ、仕方ないわよね……」

ホームズから貰った髪留めの紐を壊してしまったため、あまり強く出れない。

「似合ってるね」

ホームズは、そう言うと背を向けてガイアス達の元へ走り出した。

「………………………へ?」

不意打ちの言葉にローズは、理解が追いつかない。

レイア達も目を丸くしている。

「んじゃあ、また後で!」

ホームズは、そう言うと軽やかに下の足場へと飛び降りた。

「さらっと言ったね」

「もっと聞きたいなら、合流しかないなローズ」

「ミラも言うようになったわね………」

ローズは、大きく息を吐き出すと熱くなる頬をパンと叩く。

「よし!」

ローズは、そう言って走り出した。

「みんな、また後で」

ジュードがそう言うとローズは、後ろで手を振って返した。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「邪魔!!」

ローズは、目の前の魔物を切り裂く。

迫る魔物をローズは、最小の動きで斬り伏せていく。

周りには、もう魔物がいないことを確認するとローズは、歩き出した。

コツコツとなる足音がやけに大きく聞こえる。

いつもは、自分の足音など気にならないぐらい賑やかなのだ。

そんな中を歩むローズは、思いを巡らせていた。

ローズには、考える事が山ほどある。

中でも重要なものは、あの女性からの宿題だ。

ホームズの事だ。

どう償おうか悩んでいたところ、ホームズに釘を刺されてしまった。

「………まあ、大体答えは出てるんだけれども」

ローズは、そう呟きながら歩み進める。

「にしても……これ、終わったらどうしようかしら……」

ローズには、ホームズのような目標もない。

ジュードの源霊匣(オリジン)の研究は、もちろん協力するつもりだが、それでもローズの力では限界がある。

(戦いに挑む前から、戦いの後のことを考えている自分が馬鹿みたいね)

だが、考えずにはいられない。

そして、分かっている。

今、この場で出る答えではない。

ローズは、自分の刀を見る。

誰かに自分の傷を押し付けたくない、そう思い強くなろうと力を得た。

だが、それは結局、傷付けてはならない人を傷つけた。

力は、あれど強くはない。

ならば、強くなろう。

それは、この刀を取ること決める時に誓ったことだ。

ローズは、大きく深呼吸をする。

「結局のところ、これしかないわ」

刀の位置を整える。

「勝ち取る。目標も未来も。今は悩む時間はないけれど、これが終われば好きなだけ悩めるもの」

ローズは、そう言うと決意を新たに歩みを進めた。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「ガラにもないことは、言うもんじゃないぞ。しぼうふらぐになるからな」

「ヨル、それってどういう意味だい?」

ホームズは、小走りで道を進んでいた。

目の前にあの魔物が現れる。

精霊術で出来た魔物は、あっという間にヨルに丸呑みされた。

「ある行動やある言葉の後に死ぬ奴だ。具体的に言えば……」

「そっちじゃあない!誰がしぼうふらぐの説明しろって言ったよ!?ガラにもないのほうだよ!」

「なんだ、そっちか」

「こっちだよ!あれ?あっちだっけ?」

「どっちだ」

こそあど言葉で混乱しているホームズを放置してヨルは、続ける。

「似合ってるとか言わないだろ、お前」

ヨルに言われホームズは、首をひねる。

「そう?」

どうやら心当たりがないようだ。

また一つ、モテない理由を見つけたヨルは、馬鹿にするように鼻で笑って会話を終わらせる。

会話が終わり静寂が訪れる。

隣には、誰もいない。

その道を鳴らす足音は、ホームズだけ。

最初は、軽快に進んでいた足音もだんだんと歩くスピードに変わっていった。

「………なんか、静かだねぇ」

「あれから二年は、こんなもんだったろ」

ヨルは、そう言って返す。

「ここ最近が賑やかだっただけだ。静かになったわけじゃない」

ヨルの言葉にホームズは、微笑む。

「そっか……」

無遠慮なことを言うミラ、

少々、胡散臭かったアルヴィン(ホームズが言えた義理ではないが)、

何故か同レベルの喧嘩をしたエリーゼ、

優しく、時に厳しく皆を見守っていたローエン、

数少ない友人のレイア、

迷い、傷つきながら、それでも前を向いて進むジュード、

そして、色々、本当に色々あったローズ、

ここまでの多人数で旅をしたことは、ホームズにとって初めての経験だ。

「それも、もう直ぐ終わりだねぇ……」

「あの王に勝とうが負けようがな」

「負けるつもりもないけど……でも、そうなんだよね」

皆それぞれ、この戦いのあとに思い描く、未来がある。

それに向けて歩き始めれば、一緒にはいられない。

「寂しくなるねぇ」

「始まったものには、いつか終わりが来る。それは、仕方のないことだ」

ホームズの言葉にヨルは、そう返す。

ホームズは、頷いて言葉を開く。

「立ち上がるフリで始めた旅がこんな事になるなんて、あのときは、思いもしなかったなぁ」

「……まあな」

ヨルは、あの雪の日の消えそうなホームズの背中を思い出す。

「まだ、フリか?」

ヨルの質問にホームズは、苦笑いを浮かべる。

「分かってるくせに」

「……レイアの言った通り、エレンピオスについて、整理がついたのか、やっぱり」

「まあねぇ」

そう言って指輪を見る。

「あとは、母さんと父さんの両親を探して報告すれば、おれの旅は、終わるね」

「その後は?」

「さてね。また、別の目的で旅でもしようかねぇ」

ホームズは、そう答える。

その言葉には、過去に押し潰されないよう誤魔化す儚さは、ない。

前に進む意思が、込められていた。

ヨルの目を見たホームズは、肩をすくめる。

「前に進めるよ、おれは。大切な人達を思い出に、大切だった(・・・)人達にしてね」

前向きなのに何処か暗い調子のホームズにヨルは、尻尾を揺らす。

「それが、人間の強さだ」

ホームズは、ヨルの言葉に寂しそうに笑う。

「別れた人間を思い出にして進むんだから、やっぱり前に進むって言うのは、残酷なことなんだよね」

結局、過去は寄り添わない。

かつて寄り添っていたという思い出だけを与えるのだ。

ヨルは、欠伸を一つする。

「思い出は、力だ。背負うものでも忘れるものでもない。奴らと過ごした日々は、思い出としてお前の力になる」

ヨルの言葉にホームズは、目を丸くした後頷く。

「そうだねぇ……無かったことにはならないものね」

ホームズは、そう言って肩を回して気合を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃあ、蹴りをつけに行こうか。思い出を力にしてね」

 

 

 

 

 







では、今回の章の振り返りは?



『再会』です。




えぇ、記念すべきローズ再登場の章です。
そう、ヒロイン!!これから見せ場だよね!!頑張って!!
この章を書いている時、ベルセリアが発売されると大変盛り上がっていました。主に私が。
さてと、色々ありましたが、次のバトルに行くのに必要な章です。
頑張ってねホームズ!!


では、また二百二十七話で( ´ ▽ ` )ノ
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