連続投稿、いっくぞ!!
「物の見事に落とされたねぇ………」
ホームズは、上を見上げて思わずため息を吐く。
ウィンガルの最後の一撃によって一行は、それぞれ一人ずつ離れた足場にいた。
「どうするんだ?飛ぶには無理があるぜ」
アルヴィンの視線の先には、一行がいる。
確かに飛んで、合流するには無理がある。
『アルヴィンなら、大丈夫だよー!嘘つきなんだから!』
「あん?」
ティポの言葉に不機嫌そうに聞き返すとエリーゼがにこにこしながら現れる。
「アルヴィンなら、届きますよ。ムリっていうのは、嘘です」
その言葉に微妙にショックを受けたアルヴィンは、遠くを見つめる。
「だんだん、俺の扱いが酷くなってくな」
「自業自得ー!!」
「うるせぇ、ホームズ!!お前に言われたくねーよ」
「言われたくないなら、努力したまえよ」
「減らず口を…………!」
アルヴィンが拳を握り締める。
「あ、私の刀あったわ、ラッキー」
ローズは、アルヴィンとホームズの罵り合いには、構わず先ほどウィンガルに落とされた刀を拾っていた。
「それで、どうするのかしら?」
ローズの言葉を聞きながらレイアは、自分達のいた場所を見上げる。
「上に戻る道もないよ。ホームズ非常識・改できそう?」
レイアの言葉にホームズは、首を横に振る。
「無理だねぇ。多分、登ってる途中で時間切れだ」
そう言って一行の場所をざっと把握する。
「みんなのところに飛び移ってもいいけど、おれ一人が合流してもねぇ……」
「一箇所に集めようにもその時点で時間切れだ」
つまり、肝心のガイアス戦で手札を一枚失ってしまう。
レイア達が頭を捻っている。
そんな中、ローエンが上空を見つめる。
「ローエン、ウィンガルが無事だとは思えない」
ミラが離れた足場から尋ねる。
「はい。ただ、最後にウィンガルさんの声が聞こえた気がしたのです」
「なんて言ってたの?」
ジュードの言葉にローエンは、少しだけ言葉に詰まる。
「よく………聞き取れませんでしたが……」
そして、首を横に振る。
「ジュードさんが、気にしても仕方のないことですよ」
そう言って鼓舞するように口を開く。
「それよりも、この状況からどうやって先に進むか考えましょう。
ホームズさんに一箇所に集めてもらい、その後、ヨルさんが補給すると言うのも手でですが………」
「時間がかかるな」
ミラの言葉にこくこくホームズとヨルが頷く。
「だったら、方法は一つ、別々に進もう」
「どのみち、私達の目的は、一つか」
ジュードの提案にミラが頷く。
「ヨル、ガイアスとミュゼはどこにいる」
ヨルは髭をピクリと動かす。
「ここの最深部にいる。ま、何処からでもいけるだろ」
そう言いつつヨルは、ニヤリと笑う。
「ま、途中で移動してたら知らんがな」
「保険のかけ方がカッコ悪いわー……」
隣で聞いていたホームズは、ため息を吐いた。
「俺が一番にガイアスの所にたどり着くぜ!」
そんな中、アルヴィンが立ち上がって宣言する。
「その嘘もお守り代わりに受け取っておきましょうか」
「あんたまで………ったく」
ローエンから辛辣な返しにアルヴィンは、思わずたじろぐ。
ローエンは、そんなアルヴィンに構わず先に進む。
「よーし!わたしが一番乗りするからね」
レイアがむんと胸を張る。
「みなさん、ガイアスのところで会いましょう!」
『エリーゼかっこいいー!』
「それじゃあ私も一番乗りを目指すわ」
ローズは、腰に刀を納め、髪を結び直して、気合を入れる。
ホームズは、そんなローズを見ながら首をかしげる。
「そんな、髪留め持ってたってけ?」
ローズは、大きくため息を吐く。
「今更………?まあ、仕方ないわよね……」
ホームズから貰った髪留めの紐を壊してしまったため、あまり強く出れない。
「似合ってるね」
ホームズは、そう言うと背を向けてガイアス達の元へ走り出した。
「………………………へ?」
不意打ちの言葉にローズは、理解が追いつかない。
レイア達も目を丸くしている。
「んじゃあ、また後で!」
ホームズは、そう言うと軽やかに下の足場へと飛び降りた。
「さらっと言ったね」
「もっと聞きたいなら、合流しかないなローズ」
「ミラも言うようになったわね………」
ローズは、大きく息を吐き出すと熱くなる頬をパンと叩く。
「よし!」
ローズは、そう言って走り出した。
「みんな、また後で」
ジュードがそう言うとローズは、後ろで手を振って返した。
◇◇◇◇
「邪魔!!」
ローズは、目の前の魔物を切り裂く。
迫る魔物をローズは、最小の動きで斬り伏せていく。
周りには、もう魔物がいないことを確認するとローズは、歩き出した。
コツコツとなる足音がやけに大きく聞こえる。
いつもは、自分の足音など気にならないぐらい賑やかなのだ。
そんな中を歩むローズは、思いを巡らせていた。
ローズには、考える事が山ほどある。
中でも重要なものは、あの女性からの宿題だ。
ホームズの事だ。
どう償おうか悩んでいたところ、ホームズに釘を刺されてしまった。
「………まあ、大体答えは出てるんだけれども」
ローズは、そう呟きながら歩み進める。
「にしても……これ、終わったらどうしようかしら……」
ローズには、ホームズのような目標もない。
ジュードの
(戦いに挑む前から、戦いの後のことを考えている自分が馬鹿みたいね)
だが、考えずにはいられない。
そして、分かっている。
今、この場で出る答えではない。
ローズは、自分の刀を見る。
誰かに自分の傷を押し付けたくない、そう思い強くなろうと力を得た。
だが、それは結局、傷付けてはならない人を傷つけた。
力は、あれど強くはない。
ならば、強くなろう。
それは、この刀を取ること決める時に誓ったことだ。
ローズは、大きく深呼吸をする。
「結局のところ、これしかないわ」
刀の位置を整える。
「勝ち取る。目標も未来も。今は悩む時間はないけれど、これが終われば好きなだけ悩めるもの」
ローズは、そう言うと決意を新たに歩みを進めた。
◇◇◇◇
「ガラにもないことは、言うもんじゃないぞ。しぼうふらぐになるからな」
「ヨル、それってどういう意味だい?」
ホームズは、小走りで道を進んでいた。
目の前にあの魔物が現れる。
精霊術で出来た魔物は、あっという間にヨルに丸呑みされた。
「ある行動やある言葉の後に死ぬ奴だ。具体的に言えば……」
「そっちじゃあない!誰がしぼうふらぐの説明しろって言ったよ!?ガラにもないのほうだよ!」
「なんだ、そっちか」
「こっちだよ!あれ?あっちだっけ?」
「どっちだ」
こそあど言葉で混乱しているホームズを放置してヨルは、続ける。
「似合ってるとか言わないだろ、お前」
ヨルに言われホームズは、首をひねる。
「そう?」
どうやら心当たりがないようだ。
また一つ、モテない理由を見つけたヨルは、馬鹿にするように鼻で笑って会話を終わらせる。
会話が終わり静寂が訪れる。
隣には、誰もいない。
その道を鳴らす足音は、ホームズだけ。
最初は、軽快に進んでいた足音もだんだんと歩くスピードに変わっていった。
「………なんか、静かだねぇ」
「あれから二年は、こんなもんだったろ」
ヨルは、そう言って返す。
「ここ最近が賑やかだっただけだ。静かになったわけじゃない」
ヨルの言葉にホームズは、微笑む。
「そっか……」
無遠慮なことを言うミラ、
少々、胡散臭かったアルヴィン(ホームズが言えた義理ではないが)、
何故か同レベルの喧嘩をしたエリーゼ、
優しく、時に厳しく皆を見守っていたローエン、
数少ない友人のレイア、
迷い、傷つきながら、それでも前を向いて進むジュード、
そして、色々、本当に色々あったローズ、
ここまでの多人数で旅をしたことは、ホームズにとって初めての経験だ。
「それも、もう直ぐ終わりだねぇ……」
「あの王に勝とうが負けようがな」
「負けるつもりもないけど……でも、そうなんだよね」
皆それぞれ、この戦いのあとに思い描く、未来がある。
それに向けて歩き始めれば、一緒にはいられない。
「寂しくなるねぇ」
「始まったものには、いつか終わりが来る。それは、仕方のないことだ」
ホームズの言葉にヨルは、そう返す。
ホームズは、頷いて言葉を開く。
「立ち上がるフリで始めた旅がこんな事になるなんて、あのときは、思いもしなかったなぁ」
「……まあな」
ヨルは、あの雪の日の消えそうなホームズの背中を思い出す。
「まだ、フリか?」
ヨルの質問にホームズは、苦笑いを浮かべる。
「分かってるくせに」
「……レイアの言った通り、エレンピオスについて、整理がついたのか、やっぱり」
「まあねぇ」
そう言って指輪を見る。
「あとは、母さんと父さんの両親を探して報告すれば、おれの旅は、終わるね」
「その後は?」
「さてね。また、別の目的で旅でもしようかねぇ」
ホームズは、そう答える。
その言葉には、過去に押し潰されないよう誤魔化す儚さは、ない。
前に進む意思が、込められていた。
ヨルの目を見たホームズは、肩をすくめる。
「前に進めるよ、おれは。大切な人達を思い出に、大切
前向きなのに何処か暗い調子のホームズにヨルは、尻尾を揺らす。
「それが、人間の強さだ」
ホームズは、ヨルの言葉に寂しそうに笑う。
「別れた人間を思い出にして進むんだから、やっぱり前に進むって言うのは、残酷なことなんだよね」
結局、過去は寄り添わない。
かつて寄り添っていたという思い出だけを与えるのだ。
ヨルは、欠伸を一つする。
「思い出は、力だ。背負うものでも忘れるものでもない。奴らと過ごした日々は、思い出としてお前の力になる」
ヨルの言葉にホームズは、目を丸くした後頷く。
「そうだねぇ……無かったことにはならないものね」
ホームズは、そう言って肩を回して気合を入れる。
「んじゃあ、蹴りをつけに行こうか。思い出を力にしてね」
では、今回の章の振り返りは?
『再会』です。
えぇ、記念すべきローズ再登場の章です。
そう、ヒロイン!!これから見せ場だよね!!頑張って!!
この章を書いている時、ベルセリアが発売されると大変盛り上がっていました。主に私が。
さてと、色々ありましたが、次のバトルに行くのに必要な章です。
頑張ってねホームズ!!
では、また二百二十七話で( ´ ▽ ` )ノ