1人と1匹   作:takoyaki

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番外編第二弾!!

Wi-Fi環境化に奇跡的に一時的にこれたぞー!!




温泉回だぞー!!



てなわけで、どうぞ


ぶらり湯けむり旅事情……?

「温泉に行こう」

「は?」

突然のミラの言葉にホームズが首を傾げる。

「イバルから手紙が来てな、ニ・アケリアで温泉が湧き出たので、是非来て欲しいと言われたのだ」

「イバルって?」

ローズは、首を傾げる。

「ミラの巫女、ジュードを敵視してるだよねぇ」

ホームズは、嫌な顔をしながら言う。

何せ初対面で殴られたのだ。

楽しそうな顔で話せる訳がない。

「温泉ね……」

ローズは、考え込む。

「うん、悪くないんじゃない?」

ジュードとレイアも頷く。

「ええ、ジジイも楽しみです」

ローエンも楽しそうだ。

 

 

 

 

「よし、行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ここか……」

ホームズは、ニ・アケリアを見渡しながら呟く。

丸い建物に変わった模様がかたどられている。

流れる空気も心なしかゆったりとしている。

ローズも伸びをする。

「のどかなところね……」

「のどかな時間ももうすぐ終わりだな」

そう言ってヨルは、尻尾で前を指す。

 

 

 

 

「ミラ様ー!!!」

イバルが全力疾走でやって来た。

ホームズは、深いため息を吐く。

「お久しぶりです!ミラ様!」

「うむ」

「里に来ると聞いて今か今かとお待ちしておりました!」

大変嬉しそうに言った後ジロリとジュードを睨む。

「やはり、貴様も来たか偽物!!」

「偽物?」

ローズは、首を傾げる。

「……ミラの巫女でもないのにジュード、ミラの手伝いをしてるだろう」

ホームズがそっと耳打ちする。

「ああ、なるほど?」

ローズは、納得したのかしてないのか首を傾げたままだ。

それから、今度はホームズを見ると舌打ちをする。

「やはり、まだ生きていたか……」

「随分と嬉しそうで何よりだよ」

ホームズは、ため息を吐く。

「それより、イバル。温泉は何処だ?」

「は、ミラ様こちらです」

先ほど不機嫌を何処かに消し飛ばし大変にこやかな笑顔で言うイバル。

「あれね……えーっと、なんだか、テンションの落差の激しい人ね」

「言葉を選んでるな、小娘」

ヨルは、呆れているローズを流し見る。

「ほら来い!と・く・べ・つ・に、案内してやる」

そんなローズとヨルの会話に構わず、イバルは声を張り上げる。

「そりゃぁ、どうも。涙が出るほど嬉しいね」

悪態で返すホームズをレイアとジュードが苦笑いで見て続いていく。

それに伴う様に一行も歩き出した。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ここだぞ!」

イバルは、建物を指差す。

建物の後ろからは、湯気が登っている。

どうやら、ここが温泉宿のようだ。

イバルは、そう自慢気に言った後、ローズの方をいかぶしむように見る。

「……それで、さっきからお前は何だ?」

ローズは、ずっとこの建物に行く間中イバルを観察していたのだ。

ホームズは、首を傾げ、隣にいるレイアに耳打ちする。

「もしかして、イバルにホの字かな?」

「馬鹿も休み休み言いなよ」

レイアは、半眼でホームズを睨む。

「馬鹿に馬鹿って言われた……」

本気で落ち込むホームズに一発入れようとするが何とか理性の力で堪えるレイア。

そんな二人を他所にローズは、イバルに質問をする。

「貴方って、二刀使いなの?」

「は?まあな」

突然の言葉に戸惑うもイバルは、頷く。

それを見たローズは、満足そうに頷くと腰にある刀を見せる。

「手合わせしない?私と」

「はぁ?!何で俺がお前なんかと!」

嫌そうな顔をするイバルにローズは、言葉を続ける。

「ほら、二刀使いって中々いないのよ。私以外にあまり知らないし……だからね?」

「『ね?』じゃない!ごめんだ!そんな事!だいたい俺にはマクスウェルの巫女としての仕事が……」

「イバル、私は大丈夫だ。存分にローズと手合わせするといい」

横で聞いていたミラにあっさりと許可を出させれる。

それを見るとローズは、満足そうに頷く。

「ほら、マクスウェル殿もこう言ってることだし、ね?」

そこで区切るとローズは、ニヤリと底意地の悪い笑みを浮かべる。

「まぁ、負けるのが怖いなら、止めてあげてもいいけど?マクスウェルの巫女殿?」

「上等だ!!見てろ俺の強さにギャフンと言わせてやる!付いて来い!」

ローズの挑発にあっさりと乗ったイバルは、ローズを連れてミラの社へと向かっていく。

「ギャフン?」

聞き覚えのない言葉にジュードが首を傾げる。

「気にしたら負けだよ、ジュード君」

ホームズがそう言うとイバルがくるりと振り返る。

「あぁ、ヌイグルミのガキ!」

突然呼ばれたエリーゼは、驚く。

「お前は、入れないぞ。十五歳未満は、入浴禁止なんだ」

「えぇ!」

『差別すんなー!!』

「絶対入るなよ!」

そう言って、最後にそう言い残すとイバルは、ローズを連れて行った。

落ち込むエリーゼの肩をポンと叩くアルヴィン。

「まぁ、気落とすなよ、エリーゼ……」

「何の為にここまで……」

「げ、元気出して、エリーゼ」

ジュードは、励ましながらホームズの方を見る。

ホームズにも慰めて貰おうと思ったのだが……

「そっか、君は入れないのか……」

ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるホームズ。

「残念だったねぇ、代わりにおれが入ってたっぷり感想を聞かせてあげるよ」

とても楽しそうだ。

ジュードが隣にいるレイアに話しかける。

「あれ、絶対この前の鍋での事を根に持ってるよね」

「だね。あんな事ばかりやってるからモテないんだろうね」

ボソボソと話す幼馴染みコンビ。

ホームズの言葉にエリーゼは、むっと顔を膨らませるとティポを飛ばす。

ホームズは、ひらりとティポをかわす。

驚くエリーゼに、ホームズはドヤ顔で語る。

「ふ、甘いね、エリーゼ。一体何回ティポと闘っていると思ってるんだいっ?!」

しかし、語っている間に後ろから噛まれた。

全てを見ていたレイアは、半眼だ。

「……ホームズっていくつだっけ?」

「確か十八歳だった筈ですね」

ローエンは、淡々と返す。

「さて、精神年齢の低い男はほっといて……」

ミラはパンと手を叩く。

「入るか」

「そうだね」

そう言って一行は、温泉へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

「痛たたたたた!ちょっ、取れない!禿げる!毛が消える!

ねぇ、誰か取って!外して!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「はぁ……傷に染み渡る……」

ティポを引き剥がしたホームズは、のんびりと温泉に浸かっていた。

「五臓六腑に染み渡るって奴だね」

「随分とジジくさいですね、ジュードさん」

ジュードの言葉にローエンは、戸惑い気味だ。

「まぁ、疲れを取るにはもってこいだな」

「あぁ、やはり温泉はいいもんだな」

珍しくご機嫌なヨルがスイスイと温泉を泳いでいる。

「で、それはともかく……アルヴィン、君は何をやってるんだい?」

ホームズは、そう言って壁の隙間を懸命探しているアルヴィンを見る。

「バカヤロウ!ロマンの探求だ!」

「あ、覗きね」

「何で一発で分かるの?」

即時に理解したホームズにジュードは、呆れ顔だ。

「止めときたまえ、アルヴィン」

ホームズは、そんなアルヴィンを止める。

珍しい年上の対応にジュードは、ホームズを少し尊敬する。

「地平線を見たってしょうがないだろう」

「……なんの話?」

突然の事にジュードは、分からず頭を捻る。

「馬鹿、今あっちにはローズもエリーゼもいないんだぞ!」

「アルヴィン、おれが間違っていた」

ホームズは、きりっと顔を引き締めてアルヴィンに続く。

ようやく何を言っているのか理解したジュードは、汚物を見るような目でホームズとアルヴィンを見る。

どう見ても止まりそうにない。

そんな二人を見た後ジュードは、ため息を吐く。

「ローエン、ヨル……」

ジュードは、止めてもらおうと彼らの方を見るが、温泉を楽しんでいてそれどころではない。

「ま、ほっとけほっとけ」

「それに限ります」

ヨルは、欠伸を一つ。

 

 

 

 

 

 

「どうせ、直ぐに痛い目に合うんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリーヴェデルチ!」

「「ギャァアあああ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

ミラの詠唱と共に空を舞う、ホームズとアルヴィン。

 

 

 

 

 

 

どぼん、と派手な音を立てて二人は、温泉に叩き落された。

それにより舞い上がったお湯が時間差で雨のように降り注ぐ。

 

 

 

 

 

 

「マクスウェルに、その様な蛮行を働こうとは……」

壁越しで見えないはずなのに、般若の顔が何故か想像出来る。

「次はないと思え」

「「……ふぁーい」」

お湯に浮かびながら、ホームズとアルヴィンは返事をする。

「自業自得です」

「な、ほっといて正解だったろ?」

「分かってたなら止めて上げればいいのに……」

ジュードは、ため息を一つ。

「ほら、二人とも後は大人しくしてようね」

「それに限るねぇ、ほらアルヴィンも」

「あぁ」

そう言って二人は、静かに温泉に浸かる。

 

 

 

 

 

しかし、ここで問題が生じる。

 

 

 

 

 

静かに入ると聞こえるのだ。

女湯の声が全部。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「やっぱり、大きいよね……いいなぁ、羨ましい……」

「ん?あぁ、これか?」

「他に何が……」

「羨ましい、か……しかし、大きければ大きいで大変なんだが」

「どうせ肩がこるとか言うんでしょ」

「何故分かった?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

「……彼女ら、聞こえてることに気づいてないよね?」

「……うん」

呆れ顔のホームズと若干顔の赤いジュード。

「精霊の主さまも随分と無防備なこって」

アルヴィンは、そう言ってニヤリと笑う。

「僕、のぼせそうだから出るね」

「馬鹿、入ってなよ!」

出ようとするジュードをホームズが止める。

「みなさん、お若いですね」

ホッホッホとローエンは、愉快そうに笑っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「この温泉は、肩こりに効くな。心なしか身体が軽くなって来た」

「そう、よかったね……って、ミラ!!」

「何だ?」

「何だ、じゃないよ!縮んでない?!」

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「なんか、向こう……大騒ぎだけど……」

「縮んでるとか、何とか……」

そう言ってホームズは、手を見る。

 

 

 

 

 

 

 

「ジュード君………」

「どうしたの?」

「おれの手ってこんなに小さかったけ?」

 

 

 

 

ホームズがそう言って見せる手は、子どもの手だった。

 

 

 

 

 

 

「「な?!」」

 

 

 

アルヴィンとジュードは、声を上げる。

そして、御多分に洩れず、ジュードも……

 

 

 

 

「僕も小さくなってる!!!」

「ちょっ……やベーぞ、この温泉!早く出るぞ!」

 

 

 

 

 

全員が慌てて風呂から上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「さて、確かここね」

イバルとの手合わせを終えたローズは、テクテクと温泉宿に戻ってきた。

ローズは、場所を確認すると扉を開け固まる。

ロビーに入ってすぐに、ローエンとアルヴィンが目に入る。

「ローエン?」

「えぇ、そうですよ」

「ローズ」

「気づかなかった……なんか、若くなった?」

「ローズ……」

そうローエンからシワが減り、髪が少し黒くなっているのだ。

「どうやら、この温泉には若返りの効果があるらしいぜ」

「ねぇ、ローズ」

そう言ってちょいと手を振るアルヴィン……みたいな人物。

青年と少年の中間のような姿になっている。

「嘘!そんなに変わるものなの?!」

「……ローズってば!」

「なんかな、えらい若返っちまってなぁ……」

「へぇー」

感心するローズ。

決して彼らの隣に視線を合わせないしかし……

 

 

 

 

 

 

「いいから、こっちをむきたまえ、ローズ!!げんじつをみたまえ!」

この言葉に動かされ、首を横に向ける。

 

 

 

 

 

そこには、気まずそうに目を逸らしたエリーゼと、

 

 

 

子供が三人いた。

 

 

 

それぞれ子供服に身を包んでいる。

 

 

 

 

「えぇっと……どちら様?」

変な汗が流れるのを感じながら、尋ねるローズ。

 

 

 

「ジュードだよ」

小さな少年は、ジュードと名乗った。

よく見るとつり目が印象的だ。

黒い羽織ものをしている。

「ミラだ」

力強く小さな身体を凛として張る少女は、ミラと名乗る。

いつもと違い普通の服に身を包んでいる。

「……レイアだよ」

少し落ち込んだ少女は、俯き加減に手を挙げ答える。

背中のひらひらは、健在だ。

「ホームズ」

碧い目を半眼にしてブスッとした表情で答える、ホームズと名乗る少年。

着ているポンチョは、いつもより少し小さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ツッコミきれるかーーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ローズの絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 







タイトルは、変えさせて貰いました。


オチがこれなんで……
流石にタイトルでオチの話をする訳には、いかないので……


そして、書いていたら思ったより長くなったので、二つに分けました。



では、また後編で( ´ ▽ ` )ノ

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