1人と1匹   作:takoyaki

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さてさて、後編です。



ホームズの喋り口調がひらがなになってるのは、まだ対応出来てないからってことで、どうか一つ。



てなわけで、どうぞ


温泉でパニック!

「で、なに?ようするに若返りの湯(ガチ)だったと……そういう事?」

「そうだ」

温泉宿の休憩所でローズ達は座っている。

それぞれの席には食事が置いてある。

ぱっと見は、親戚一同での食事会だ。

和やかに見える。

しかし、

 

 

 

 

 

 

「どうすんのよ……これ」

 

 

 

漂う空気は、お通夜そのものだ。

 

 

 

 

 

お子様ランチを呑気に食べている三人を見て深くため息を吐く。

 

 

 

 

 

「まあ、そう、きをおとさないでおくれ、ローズ」

 

 

そう言いながら、目の前のローズの食事に手を伸ばす。

ローズは、それを叩いて止める。

「いた!?いたいけな、こどもになんてことするんだい?」

「貴方が、幼気だった事なんて一度もないわ」

「レイア、きいたかい?!ローズが、ひどいこといってるんだけど!」

「まあ、ローズがただしいね」

「ひていはしない」

「じゃなくて、はなしもどそうよ」

ジュードの言葉にもう一度現状と向き合う。

子供三人、どう考えてもナハティガルに挑むには、戦力不足。

「……ローエンは、そんなことなさそうね」

「えぇ、身体が軽いくらいです」

そう言ってローエンは、黒くなった顎髭を触る。

「大体、十年ぐらいみなさん若返っているようですね……」

「あれ?何でヨルは何も変わってなかったの?」

ローズが不思議そうに首を傾げる。

「今更変わるか。二千年以上生きてるんだぞ、俺は」

机の下に隠れながら呟くヨル。

一応猫の姿をしてる手前、食事処で堂々としていられない。

「あぁ、成る程」

ローズは、納得してもう一度見たくもない現実に目を向ける。

子供三人が黙々とお子様ランチを頬張っている……

「問題は、幾つかあるんだけど……貴方達似合い過ぎよ」

「ほめてくれて、どうも」

ホームズは、適当に返すとケチャップライスにスプーンを入れる。

「ローズ、イバルはどうした?あいつならなにかしっているだろう?」

「なんか、リスの人生相談されて山の中」

「あいつ、本当に使えないな」

ヨルの呟きが机の下から聞こえる。

そんな事を話している間に、ホームズ達は食事を終える。

それを見計らったかのように、コーヒーが並べられる。

皆はそれに手をつける。

「具体的に、どうやったら戻るのか考えましょう」

「そうだな」

ミラは、そう呟く。

すると、レイアが真っ先に手をあげる。

「おゆのせいでこうなったんだから、みずをかければいいんじゃない?」

「ばかもやすみやすみいいなよ」

ホームズは、半眼で返す。

「ふむ、ありだな」

「なわけないだろう!」

賛成しているミラに全力のツッコミを入れる。

何せ次の展開の予想が出来ないホームズではない。

「てなわけで、ホームズ、ためしにやってみろ」

「ほら、みろきたよ!ぜったいにくるとおもった!!だいたい、なんでいつもいつもおれなんだい!?」

ホームズは、こめかみをヒクつかせながら尋ねる。

「なんとなくだ」

「きみ、いいかげんにしたまえよ!!ぜったいやだ!」

ぎゃあぎゃあと喧嘩をする二人を見ていたエリーゼが首を傾げる。

「ところで、ホームズ?どうしてコーヒーに手をつけないんですか?」

その瞬間、ホームズの動きがピタリと止まり、全員から目をそらす。

「コーヒー……きらいなんだよ……」

基本的に苦い物が嫌いなホームズは、コーヒーが大の苦手だ。

事実、過去に吹き出したこともある。

「好き嫌いは、よくありませんよ、ホームズ」

エリーゼは、珍しくホームズに説教をする。

年齢と身長が逆転したのが効いているのだろう。偉くぐいぐい来る。

「いや、そうはいってものめないものは、のめないし……」

渋るホームズの頭をがしっとローズが掴む。

「さて、好き嫌いがある子には、しつけが必要よね?」

「ちょ、いた!いたたたた!」

「とりあえず、冷水から始めましょ」

「ばかいってんじゃないよ!」

ローズは、悪態を吐くホームズを外へと連れだす。

「ローエン、精霊術お願いね」

「了解しました。弱めでやらせてもらいますね」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「………やっぱり無理だったか……」

「あたりまえだろう!!」

全く姿が変わらないホームズは、びしょ濡れになった服をぎゅっと強く絞りがら声を荒げる。

「てきとうなかんがえで、てきとうにこうどうするんじゃないよ!!」

怒っているのは分かるのだが、子供姿で言われても大して迫力はない。

「つーか、わかりづらいだろうけど、すごいえづらだったからね!」

ホームズが、ずびしっとローエンに指を向ける。

アルヴィンは、隣で苦笑いをする。

「まあ、いい年こいた中年がガキに精霊術ぶつけてたからな……」

指摘されたローエンは、ホッホッホと笑っている。

ホームズは、思わず握りこぶしを固める。

そんなホームズの頭をエリーゼがタオルでゴシゴシとふく。

「……エリーゼ、きみなにやってるんだい?」

『年下の世話をするのは当たり前でしょー』

ティポの言葉にホームズは、タオルをむしり取る。

そして、怒りを押し殺した目で睨む。

「……エリーゼ……いいかげんにしたまえよ……ガキのくせに……」

「今のホームズが言うんですか……」

エリーゼは、呆れながらホームズ(ガキ)を見る。

もちろん怒っているのは分かる。

しかし、子供の姿の上に元々の垂れ目も相まって可愛らしいことこの上ない。

「きいてないだろ、きみ!そんなじゃね、ろくなやつにならないよ!」

「なんか、今ならホームズのどんな暴言でも許せる気がする……」

ローズは、可愛らしく地団駄をふんでいるホームズを見てそう言う。

「分かります。普段のホームズからは、想像も出来ません」

エリーゼもそれに同調する。

普段からホームズの精神年齢の低さに呆れることが多いが、今のホームズは、普段の精神年齢にぴったりだ。

「いやぁ、子供のころはこの喋り口調にイライラしたけど、こっちの方が年上になっちゃえば、何てことないわね」

ローズは、うんうんと頷く。

「としうえって……きみ、17さいだろ!なにいってるんだい!!」

ホームズの言葉にも二人は動じない。

「少し生意気な感じがするだけです」

『背伸びしてる感じが可愛らしいー』

エリーゼもローズに同調する。

ホームズのこめかみに青筋が浮かぶ。

「んだと!このばーか!ばーか!」

ついにボキャブラリーが消えたホームズは、単調な言葉を言い始める。

「おお、普段の私なら我慢の限界なのに……」

『寛容になれるよねー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まないた!ぺったんこ!ちへいせん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拳骨の音が二発響き渡った。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「エリーゼ」

「はい」

「とりあえず、頭に刺激を与えても治らなかったわね」

「そうですね」

『二回も当てたのに効果なしだもんねー』

二人とぬいぐるみが話している傍でホームズは、頭から煙を出して倒れている。

「ホームズ、だいじょうぶ?」

「なんとか……というかふたりともてかげんぬきだったんだけど……」

むくりと起き上がるホームズにレイアは、冷たい視線を送る。

その視線は、思わず背筋が凍傷になる程冷ややかだ。

「まあ、いまのは、ホームズがわるいとおもうけどね」

「ねぇ、そのめはゆうじんにやるものじゃないとおもうんだけど……」

「わたしは、ホームズのともだちのまえに、おとめのみかただから」

「……あぁ、そう」

げんなりとしながらホームズは、皆を見る。

相変わらず対策をみんなで考えている。

「こういうのは、どうかしら」

ローズが手を叩く。

「小さい子って苦いものが苦手でしょ」

ホームズは、ぴくりと耳を動かす。

「だからさ……」

次の言葉が予想出来たホームズは、耳を塞ぐ。

 

 

 

 

 

 

「苦いものを克服すればいいと思うのよ」

「名案……ですね」

ローズの提案にエリーゼが楽しそうに乗っかり、ちらりとホームズを見る。

「……ホームズ、呼ばれてるぞ」

「しらない、つーかおもいからおりておくれ」

ホームズは、頭の上にいるヨルに悪態を吐く。

そして、そのまま、そろそろと逃げようとする。

しかし、そんなホームズの手をがしっと掴み話さないミラ。

「……おんなのこに、てをにぎられるなんて、こーえーだなぁー」

ホームズは、頬を引きつらさながら手を振りほどこうと力を入れる。

「かくほしたぞ、ローズ、エリーゼ」

「でかした」

ローズは、そう言うとホームズを抱き上げる。

「はなせーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ローエン」

「はい」

「もう、目的忘れてるよな、あいつら」

「……多分、きっと、恐らく、覚えていると思いますよ」

「説得力無いことこの上ないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、さあ、ホームズ寒かったでしょう?ぐいっと、どうぞ」

そんなホームズの机にあるのは、湯気の立った温かいコーヒーだ。

「………コーヒーのかおりは、すきなんだよねぇ……」

ホームズは、目の前の黒い液体から目をそらす。

当たり前だが、ブラックだ。砂糖もミルクも何にもない。

ホームズは、尚も勧めてくる二人に口を開く。

 

 

 

 

 

 

「このかおりには、リラックスこうかが、あってココロにもいいんだよね。かあさんもしょうばいがいきづまったときは、よくのんでいたし……そのおかげで、とりひきが、うまくいったときとのほうが、おおかったんだよ。あと、コーヒーのいれかたにもコツがあるらしいね。そのコツをしってるかしらないかで、だいぶデキがちがうんだって。このコーヒーは、それをちゃんとそれをおさえてるのかな?コツといえばさ、このコツってゴゲンは、なんなんだろうね?コツコツやるからだってどこかのキセルオトコは、いってたけど、コツコツやらなくてもコツをつかんだら、できるようになっちゃうよね?だったら、どうもちがうとおもうんだけど、みんなは、どうおもう?あぁ、そうそうコーヒーついでにいうならコーヒーのおかしってオイシイよね。なんでだろう?やっぱりかおりがきいてるのかなぁ?コーヒーのいいところは、あとは、しょーしゅーかな?それがあるかないかでへやのにおいがだいぶちがうもんね、あとは……」

 

 

 

 

 

 

「御託はいいわ、簡潔に述べなさい」

「……コーヒー……のみたくないです」

ホームズは、さっきまでペラペラと動いていた口を止めてポツリとこぼす。

「却下」

しかし、ローズから告げられた答えは残酷だった。

「じゃあ、せめて、さとうか、ミルクだけでも……」

「却下」

「おに!あくま!ずんどう!」

「エリーゼ、このコーヒーの温度っていくつ?」

「のむ!のみます!のみますから、おれのあたまのうえで、コーヒーをかたむけないで!」

ホームズは、必死にそう言うと嫌そうな顔をしながらコーヒーを全て飲んだ。

「にがい……」

顔を歪めながら全て飲んだホームズ。

当たり前だが、体に変化はない。

「……やっぱりか」

ローズは、そう言って次の手を考える。

「きみ、いま、やっぱりっていっただろう?」

「気のせいよ」

ホームズは、こめかみを引きつらせる。

ジュードは、成り行きをずっと見守っていたが、遂に口を開く。

「あのさ、おんせんのセイブンをしらべようよ」

ローズ達は一瞬何を言われているか分かっていなかったが、おおっと手を叩く。

代わりにジュードは、ため息を一つ。

「ぼくのわかるはんいで、しらべるから、だれかおんせんのおゆをとってきて」

ジュードの出したコップを真っ先に掴むホームズ。

「ふふふ……すっかり、わすれていた」

ホームズは、不敵な笑みを浮かべている。

「おれは、いま、こども!ごーほーてきにおんなゆにはいれるゼ!」

「は……?って、待て待て待てまて!」

「だれがまつか!ばーか!」

ローズの制止も聞かずホームズは、走り出した。

「エリーゼ!」

「はい!」

二人も急いで駆け出した。

嵐の過ぎ去った光景を呆然と見つめるジュード達。

「……なにやってんだか……」

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

女湯まで来たホームズは、看板を乗り越えて入る。

それに続くように、ローズとエリーゼも後を追う。そして、最後に離れられないヨルが後を追う。

全力ダッシュのホームズは、そのまま風呂場のドアを開ける。

しかし、そこにはだれもいなかった。

 

 

 

 

 

 

若干遅れたヨルは立ち止まって看板を読み上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「《清掃中………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームズは、誰もいない目の前の光景にため息を吐く。

「はぁ。まあ、しかたないか……」

もう諦めてゆっくりとした足で風呂場に踏み出す。

「見つけた!!」

「待ちなさい!ホームズ!」

「うお!」

しかし、ホームズに安らぎを許さない二人が襲い来る。

ホームズは、思わず逃げようとして走ろうとする。

しかし、踏み出す筈の右足は、大きく宙を舞う。

 

 

 

そのままもんどり打ってコケ、洗面器の山に突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……滑るので気をつけてね☆

 

 

 

私はご飯を食べてます》か……頭の悪そうな文章だな……」

遠くから派手な音が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「そこでおとなしくしてなさい」

「はい……」

ローズは、そう言って温泉のお湯を汲むため湯船に歩みを進める。

倒れたホームズは、コップをローズに取られて惨めに正座させられていた。

エリーゼは、隣でホームズが足を崩さないよう見張っている。

「なんだ?結局滑ってコケたのか?」

遅れてやってきたヨルは、正座をしているホームズを呆れ顔で見ている。

「やっぱりって……わかってたならおしえておくれよ……」

「言う前に走り去ったろお前。ま、知ったところで教えなかったがな」

意地の悪い顔でそういうヨルにホームズは、洗面器を投げつける。

かんっと音が鳴りヨルにヒットする。

「てめー……」

「ふふん」

鼻で笑うホームズにヨルは洗面器を投げ返す。

放たれた洗面器は、吸い込まれるようにホームズの顔にヒットする。

「このやろう……」

そこからは、醜い応酬の合戦だった。

ローズは、頼まれたお湯を掬おうとするが音が気になる。

「あのね、ホームズ!もっと大人し……くっ!!」

ヨルが弾いたホームズから放たれた洗面器がローズの顔面を襲う。

 

 

 

 

 

 

 

空を舞う洗面器。

 

 

 

 

 

立ち上る湯柱。

 

 

 

ローズは、洗面器がぶつかった拍子に足を滑らせ湯船に、若返りの湯(ガチ)に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「なにしてんの、ローズ……」

「なんでしょうね……」

子供の姿になったローズは、ジュードの言葉に顔を背ける。

背けた先には、笑いを堪えるホームズがいるのが若干、いや、かなり目障りだ。

ミラはそんなローズを見て、ふむと考え込む。

「はいったじかんにかぎらず、10ねんわかがえるのだな」

「よかったわね、かしこくなって」

ぶすっとした顔で返し今度は、ホームズのほっぺたをつねる。

「いたたたた!なにをするんだい!?」

「あなたのせいで、こうなったのよどうしてくれるのよ!」

「べつにくびからしたと、はらからうえは、たいしてかわらないんだから、いいじゃないか」

「……どうやら、ほんかくてきにいたいめにあいたいみたいね」

ローズは、殺気を込めてホームズの頬をつねる手を強める。

「いままでも、てかげんしてなかっただろう!!

いまさら、なにをいってるんだい!」

「せっかく、せいちょうしたのにぜんぶパー!どうしてくれんのよ!」

 

 

 

嘆くローズにホームズは、優しい顔で口を開く。

 

 

「あぁ、だいじょーぶ。いまのきみもじゅーぶんすてきだよ」

 

 

 

 

思いがけずにホームズから飛び出た爆弾に思わずうつむくローズ。

「あ……ありがとう……」

そんなローズに周りが思わずニヤニヤと見つめ、次の言葉を待っていると

 

 

 

 

 

 

 

「……なんて、いうとおもうか!こんのクソたれめ!!」

ローズは、直ぐに顔を上げ、ホームズの顔面に一発食らわせ、高らかに告げる。

「そんなんで、てれるとおもうか!むしろさついがわいたわ!」

「いや、てれられたら、きみのことほんきでしんぱいするところだった」

「……あんしんして、いまのあなたのほうがじゅうぶんかわいいわ、ホームズちゃん?」

ホームズの額に青筋が立つ。

しかし、出来るだけ冷静さを保ちながらホームズは、返す。

「そうだね。へたすりゃ、きみよりかわいいもの、おんなのこのローズちゃん」

ローズは、ふっと軽く笑う。

ホームズもそれに答えるようにふっと笑う。

そして、二人はお互いに掴みかかる。

ついに、取っ組み合いの喧嘩が始まった。

座布団が飛び、埃が舞い上がる。

 

「だいたいね、さっきまで、おれをオモチャにしてただろう?!そんなことしといて、じぶんだけぶじでいようなんて、そんなことできるわけないだろ!じごーじとくだよ!ばーか!」

「ばかがばかっていうな!ばか!」

「ならきみも、ばかっていわないほうがいいだろうね!ばか!」

「なんですって?!」

「きみのあたまがさえわたってってるのみたことないもの!」

「あなたにいわれたくないわ!ばか!」

「だったら、おれにそういわれないようにそのはいいろののーさいぼーをかつようせるんだね、ばか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ……」

醜く争う二人を見て、ジュードは、ため息を吐く。

「所で、ジュードさん成分の調査の結果は?」

そんなジュードにローエンが尋ねる。

「まあ、やっぱり、ぼくのしらないものだった……」

「どうすんだよ、優等生。俺のいまの身体、若いけど筋力が足りねーんだけど……」

結局この方法もダメだった。

ローエン以外この身体は、はっきり言ってハンデ以外の何者でもない。

八方ふさがりもいいところだ。

すると、ジュード達の元へ見覚えのある人影がやってくる。

「ここにおられましたか!」

イバルだった。

相変わらずのハイテンションだ。

ヨルは、尻尾でイバルの足を縛り転ばせる。

「『ここにおられましたか!』じゃねーんだよ!ざけんな!なんだこの温泉は!」

そう言って小さくなったジュード、レイア、ミラに視線を向ける。

その中で佇むミラに睨まれたイバルは、なんとか起き上がる。

「ええっと……」

「はなせ、このおんせんはなんだ?」

イバルは、戸惑いながら説明をする。

「この温泉は、若返った気分を堪能するものです。

時間にしておよそ十年。それ以上は、若返りません。

しかし、念のため、十二歳未満は立ち入り禁止にしているのです」

本来なら、九歳が危ないのだが、一応の安全策をイバルなりに嵩じていたのだろう。

だから、エリーゼは入ることができなかったのだ。

「ですので、旅に疲れたミラ様に童心に返って休んでいただこうっと思いまして……」

イバルの言葉にミラは頷く。

「なるほど。そのこころづかい、かんしゃする。しかし、それもありがたいのだが……」

ミラはそう言って醜い掴み合いしているホームズとローズに視線を向ける。

「それよりもどうやったら戻るんだ?」

ミラの質問にイバルは、普通に当たり前のように返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「時間が経てば勝手に戻りますよ。

温泉の効果は、せいぜい三時間ぐらいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミラ達の時が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

「イバル……」

レイアは、呆れながらイバルを見る。

「もうちょっと、はやく知りたかったなぁ……」

そう言って目を向ける。

 

 

 

 

 

 

そこには、お互いに頬をつねり、罵り合う二人がいた。

 

 

 

 

 

 

「どうすんのよ、アレ」

容姿通りの低レベルな喧嘩を繰り広げる二人を前にレイアは、大きくため息をついた。

 

 

 

 

 

「ま、ほっとけほっとけ」

「それに限ります」

 

 

 

 

 

ヨルとローエンは、そう返した。

 

 

一行は、それ従ってその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 







この後も勿論大騒ぎです。




企画募集は、明日いっぱいって事でどうか一つ!


では、また次回で!

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