1人と1匹   作:takoyaki

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二十四話です。



本編再開!


てなわけで、どうぞ(^^)


出会い
遭い縁奇縁


「はぁー、今日もいい天気だなぁー」

青空の下、 ホームズはそんな事を呟きながら、宿屋ロランドの玄関掃除をしている。

ミラが来てから早いもので、3週間が過ぎた。ミラもリハビリの成果が着実に出て来ており、大分歩ける様になっている。

そして、ホームズも………

「やっと、怪我治ったよ……」

怪我が完治していた。3週間の労働により、治療費は全て払い終えたのだ。

では、何故働いているかというと、答えは簡単、宿泊費分の金がないのだ。そのため。労働により、払っているのだ。

爽やかな日差しの下、ホームズは掃き掃除に勤め、そして、ヨルはホームズの肩で欠伸をする。彼らは地味にル・ロンドの名物となっているようで、近所の人にもよく声を掛けられている。

「ホームズ」

突然の呼び声にホームズは掃き掃除の手を止め、その声の主に尋ねる。

「どうしたんです?ディラック先生?」

「こんな物が届いた」

声を潜めて見せた物はジュードの手配書だった。ホームズは、思わず顔をしかめる。

「君、知っていたな?」

「ええ、まあ、知ってましたよ」

「何故黙ってた?」

静かに、しかし、怒りを押し殺しているようだった。

「言えるわけないでしょう?あなたの息子、指名手配犯になってますよ、なんて」

何処かで言ったようなセリフをディラックにも言う。ディラックは少し、ため息を吐く。

「少し、動揺していたようだ。すまない」

「別に構いませんよ」

ホームズの言葉にディラックは、少し落ち着いたように、もう一度尋ねる。

「君は、私の事を、この手配書で知ったな」

そう言って、ディラックはジュード・『マティス』の部分を指差す。

「そうですよ」

「ジュード達は何をしたんだ?文面を読む限りは、何かを盗んだようだが……」

ホームズはディラックの言葉にホームズは肩を竦める。

「そんな事をおれに聞かれたって困りますよ」

ホームズの言葉に、ディラックは固まる。それもそうだ、自分は一体何をしているのだろうと。いくら、彼がエレンピオス人とは言え、彼自身はエレンピオスの手掛かりを探している、ただの青年だ。そんな、彼が国の話など知っている訳がない。

「……それもそうだな。すまなかった、仕事中に。」

「イイですよ、別に。」

ディラックはその言葉を聞くと、治療院に戻って行った。

その後ろ姿が完全に治療院に消えるとヨルは少し、小馬鹿にした様に鼻を鳴らす。

「何が『そんな事をおれに聞かれたって困りますよ』だ。少しも困っていないだろう、お前」

ホームズはミラからクルスニクの槍の事を聞いている。これで、何も分からない訳がない。どう考えてもそれに関する何か以外考えられない。

そんな、ヨルの思惑を知ってか知らずか、ホームズはヨルの言葉に流し目で、ニヤリと、底冷えのする様な笑みを浮かべる。

「困るさ。だって、嘘をつかなきゃいけなくなるだろう?俺は出来るだけ、嘘はつきたく無いんだ」

そんな、ホームズを見るとヨルは呆れた様に言う。

「いい性格してるよ、お前」

「そりゃどうも……と玄関掃除はこれぐらいかな。後は中の掃除だね」

ヨルの皮肉をどうでも良さそうに返事をすると、ホームズは宿屋ロランドに入って行った。

 

◇◇◇◇

 

 

ホームズはロビーを拭き掃除をしていた。3週間も経っているので、大分上手くなっている。

すっかり、床も机も綺麗になり満足そうに一息付く。

すると、ガラガラと玄関の扉が開く。

 

 

「いらっしゃいま……せ?」

 

 

レイアと入って来たお客を見て、ホームズは固まる。

 

「どうしたの?ホームズ?固まっちゃって」

 

顔面蒼白になって、ホームズは口をパクバクさせて何とか言葉を絞り出す。

「………えーっと」

「ああ、今日一日泊まることになった、ローエンとエリーゼだよ」

「いや、知ってる」

片や得意先の老執事、片や自分を殺しかけた女の子。知らない訳がない。

「しばらく、ジュード達と一緒に旅をしていたんだって」

「お久しぶりですね、ホームズさん」

「え、ええ、お久しぶりです」

『何でお前らがここにいるんだー!』

ローエンの穏やかな挨拶に対して、やたら喧しく叫ぶ、紫のヌイグルミ。

「本当に……何でいる……ですか?」

そして、控え目にエリーゼが聞く。

ホームズは頬を引きつらせながら質問に応える。

「何で、君達は人の話を聞かないし、自分のやった事を忘れてるんだい?」

ジュードの父親に話を聞きに行こうとして、殺されかけ、治療費の借金を背負ったのだ。

その借金をやっと返し終わったところなのだ。

「話が見えないのですが……」

「わたしは、何となく分かったけど……」

不思議そうな顔をしたローエンと察して苦笑いしているレイア。

恐らく、ホームズはいつもの如く誤魔化すので、レイアは先回りして説明する事にした。ヨルの事、ホームズが何故旅をするのか、等々。

 

 

 

「なるほど、ヨルさんにそんな秘密が……いや、お陰で謎が一つ解けましたよ」

「謎?」

「稀に、ホームズさんが1人で喋っている所を見かけることがあったので、一体、誰と喋っているのだろう?と思っていたのですよ」

ローエンの言葉にヨルは馬鹿にする様にホームズに言う。

「どうやら、変質者の仲間入りを果たさずに済んだようだな」

「お陰様でね」

額に青筋を浮かべながらホームズはヨルに返す。

「あの……ヨルは、今は危なく無い……ですか?」

エリーゼの言葉にホームズは苦笑いを浮かべる。

「ああ、まあ、直接的にマナを搾り取るなんて事は出来ないよ」

「どうして……それを…先に言ってくれなかったんですか?」

「言う前に君達が高らかに、討伐宣言して襲ってきたからに決まってるだろう」

ホームズは苛立ちを押し殺す様にエリーゼに即答する。

「で、お前らは何しに来たんだ?」

ヨルは2人に聞く。その言葉を聞いて、ローエンは苦笑いをする。

「……猫が喋るというのは少し、慣れませんね」

ローエンのその言葉にヨルは半眼になる。

「近くでヌイグルミがベラベラ喋ってる癖に何を言ってやがる、ジジイ」

ホームズはヨルの最後の言葉にキッと睨み、アイアンクローを決める。

「すいません、躾がなっていなくて……」

ホームズは平謝りする。

「いえいえ、別にイイですよ」

ローエンは穏やかな笑みを浮かべている。ホームズとしては、得意先の執事にそんな口をきかれると冷や汗ものなのだ。

「ここに来た目的はですね、ミラさんのお見舞いに来たのですよ」

『でも、もう歩ける様になっててビックリしたー』

「もう、明日には出発なんだって。もっとゆっくりしてけばいいのにね」

レイアは少し、残念そうに言う。

瞬間、ホームズの時間が止まった。

 

「いつ出発だって?」

「明日」

「誰が?」

「ジュードとミラ」

 

ホームズは現実に戻るまで少し時間がかかった。

 

 

「何であの子はそういう大事な事を言わないんだぁーーー!」

現実に戻るとホームズは頭を抱えて、そう叫んだ。

 

「え、え、え?どうしたのホームズ?」

訳の分からないレイアはホームズに聞く。

ホームズは顔を挙げると困ったような顔をしている。

「おれもミラ達と一緒に旅に行く事になったんだよ!」

「聞いてないよ!わたし!」

ホームズの叫びに負けないぐらいの音量で、レイアは言う。

その言葉にホームズとヨルは顔を見合わせる。

「あれ?言ってなかったけ?」

「こいつの母親には言ってたな」

腕を組んで少し考える、ホームズ。

そして、爽やかな笑みを浮かべると、レイアに言う。

「そゆことだから!」

「誤魔化したね!」

「ごめんなさい!今回はガチで忘れてましたぁ、許して下さい!」

そう言うと頭を抱えて次の小言に耐える準備をする。

しかし、いつまでたっても次の小言は来なかった。

ホームズは恐る恐る顔を挙げるとそこには、何かを考えるレイアがいた。

「レイア?」

ホームズが怪訝そうに聞いたが、レイアは気付かず、あさっての方向を見て、ヨシ、と気合いを入れると。そのまま自分の部屋に戻って行ってしまった。

「どうしたんだろう?」

ホームズは不思議そうにレイアの歩いて行った方角を見ている。

そんなホームズにヨルは欠伸を一つすると、口を開いた。

「さてな。まあ、ろくな事は考えていないだろうな」

「だろうね」

ホームズはため息を一つ吐く。そして、ローエン達の方を振り返る。

「じゃあ、部屋に案内しますね」

「お願いします」

ローエンはそう返事をし、エリーゼはそれに続いてお辞儀をした。

そして、部屋まで案内し終えると、マティス治療院までダッシュで向かった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「ミ───ラ────!!」

地の底から響き渡る様な声で、ホームズは最後の調整を終えたミラに詰め寄った。

「ホームズ?どうした?」

「『どうした?』じゃない!!どうして、明日出発だっておれに教えてくれないの?」

ミラはその言葉にハッとすると、まっすぐにホームズをみて言う。

「すまない。忘れていた」

そのとても謝っているとは思えない余りの堂々とした様子に、ホームズは、こめかみをひくつかせる。

まあ、見えないだけで、ミラは誠心誠意、謝っているのだが……

「そう言う事はちゃんと言ってね。おれだって出発の用意をしなくちゃいけないし……」

「ちょっと待って……」

ホームズの言葉を手で遮ってジュードは尋ねる。

「何で、ホームズの旅支度に僕らの出発日が関係するの?」

「え……いや、何言ってるんだい?おれたちも一緒に行くからに決まってるだろう」

ホームズは首を傾げながらジュードに言う。

「僕、何も聞いてないよ!!」

そんなホームズにジュードは声を荒げる。

「……ミラ」

「何でも私のせいにするな。お前の責任でもあるだろう。ジュードにちゃんと伝えてない、お前が悪い」

「その言葉、そっくりそのまま返してあげるよ」

睨み合う2人。ジュードはため息を一つ吐く。

「………ホームズもミラもこれからは、ちゃんと報告してね」

「はい……」

「分かった」

ジュードは彼らの口論をそう止めた。

ホームズはその言葉を合図に元来た道を歩いて行く。

「じゃあ、おれは帰るけど、く・れ・ぐ・れ・も、おれを置いて出発、なんて事はしないでね。分かった?」

そう、ジュード達に念を押して。

 

 

 







UAが、6000を超えました(ヒャッホー!)
これも、皆さんのおかげですm(_ _)m
本当にありがとうございます。

それでは、また、二十五話で( ´ ▽ ` )ノ
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