1人と1匹   作:takoyaki

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三十一話です。



遅れてしまい、申し訳ない!m(_ _)m


てなわけで、どうぞ


女の顔は三度もない

「えーっと、この子は……」

「いい。自分の名前ぐらい自分で名乗れるわ」

そう言ってホームズを遮ると、ローズは、ジュード達に名乗る。

「私の名前は、ローズ。ローズ・クリスティ。生まれも育ちもこの街よ。ホームズとは、昔一緒に遊んだ仲よ」

「ホームズの幼馴染み?」

「まあ、そんなところね」

それに反応する様にそれぞれが、自己紹介を始める。

そんな中ホームズは、ため息を吐く。

「ヨル……君、気づいていただろう。彼女が、ローズだって」

「当然だ」

ニヤリと笑いながらヨルは、ホームズにそう返す。

この騒動に発展する事を楽しんでいたのだろう。

「さて、私の存在をすっかり忘れていた、馬鹿はどこのどいつかな?」

自己紹介を終えたローズは、ホームズの方をジロリと睨む。

ホームズは、目の前で手を降りなが、弁明する。

「いや、別に忘れてた訳じゃないよ。ただ、10年も会ってなかったら、誰だか分からなかっただけだよ」

「ローズさんは、気付いていたようですよ」

ローエンの言葉にホームズは、押し黙る。

レイアは、それらの会話を聞きながら、考えていた。

「もしかして、ホームズの目の色を褒めた女の子って……ローズ?」

「ん、まあね」

ホームズは、軽めに答える。

ローズは、その言葉を聞いて、眉をピクリと動かす。

「ふむ。思い出話に花が咲いているところ悪いが、そろそろ行かないか」

ミラは組んでいた腕をほどいて言う。

「どこへ行こうとしてるの?」

「ワイバーンのところだ」

「だったら私も付いて行くわ、どうせ暇だし」

ローズは、そう言うと、歩き始めた。

「いや、来なくていいよ。だいたい、なにしに行くんだい?」

「観光客を案内するのに理由がいる?」

ホームズは、思わず苦笑いする。

そう、傍から見ればホームズは、ともかく、ジュード達は、ただの観光客なのだ。

「ほら、ついて来て」

彼女に言われるがままに、彼らは付いて行った。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「それにしてもさ、『また来るよ』とか言っといて、全然来なかったよね」

「いいじゃないか別に……また、来ただろう?」

「10年も経ってるけどね」

ホームズの弁明に、にべもなく返す、ローズ。

「……もしかして、怒ってる?」

「笑っているように見える?」

とてもいい笑顔で、ホームズを見る。

(やばい、目が笑ってない……)

ホームズは、顏を青くする。

「(ヘルプー……)」

ホームズは、目でジュード達に助けを求める。

しかし、ことごとく目を逸らされてしまう。

「(おい、ヨルどうにかしておくれよ)」

「(阿呆!お前のせいだろうが!俺の方こそ、巻き込まれていい迷惑だ)」

誰にも助けて貰えないホームズは、肩にいるヨルに助けを求める。

しかし、ヨルとしてもこんな面倒臭い事はごめんなのだ。

「(なに、他人事の様に言ってるんだい!4割程君のせいだろう!何で、分かってた癖に彼女が、ローズだって言わなかったんだ!)」

「(面白そうだから)」

「(このクソ猫!)」

小声で醜い言い争いをする、ヨルとホームズ。

その様子をジュード達は、眺めている。

「ちょっと、レイア、いい加減ホームズを助けてあげたら」

「いや、あれは無理でしょ……」

絶対零度を醸し出しているローズを見て、レイアは言う。

『でもさ〜、友達だって気づかなかったんだから、当たり前と言えば当たり前だよねー』

「ティポ!」

ティポの無遠慮な一言をエリーゼが、たしなめる。

「ま、ここがホームズさんの正念場ですね」

「楽しそうに見えるのは、気のせいか?ローエン」

ミラの言葉にローエンは、なにも言わない代わりに、とても楽しそうに笑っている。

 

 

「だいたい、なんで顏を出さなかったのよ」

「いや、そのね、母さんが、商売のルート変更しちゃったからさぁ。しょうがなかったんだよ」

 

 

「どう思う、レイア?」

ジュードは、小声でレイアに尋ねる。

「嘘じゃないと思うよ。何てったって、ホームズのいい所は、嘘をつかない所だもん」

「悪い所は?」

「本当の事を言わない所」

「……てことは、今回も……」

そう、今回も嘘は、言っていない。

もっとも、ルート変更した理由は、シャン・ドゥに親子揃って立ち入り禁止になったからなのだが……

 

 

「ふーん……まあ、いいけど」

少し胡散臭そうに、ホームズをローズは見る。

「……と、着いたわ。コレがワイバーンよ」

そこには、翼の生えた生物がいた。

「なるほど。空を飛んで行くのか……」

ホームズは、ポツリと呟く。

そんな中、ティポが調子に乗って檻のそばまで近づき、見事に威嚇されている。

驚いた、ティポは、そのまま、ジュードにかぶり付く。

そんなコントをローズは、笑いながら見ている。

「やっと笑ってくれた……」

「良かったね、ホームズ」

げんなりしながら言うホームズをレイアは、ねぎらう。

待ってる事の多かったレイアとしては、自業自得の様な気もするが、それでもホームズの様子を見ればそう言わざるを得なかった。

 

 

「君達、ワイバーンの檻の前で何をしている。それは、我らキタル族のものだ」

そんなホームズ達に、キタル族の民族衣装と思われる衣装に身を包んだ三人組が、近づいて来る。

(ラッキー♪)

ホームズは、内心でほくそ笑んだ。

いきなり交渉の機会(チャンス)が、やってきたのだ。これを逃す手はない。

ワイバーンを見に行ったら、キタル族も来た。まさにカモがねぎを背負って来たというやつだ。

 

「このワイバーンを手に入れたい。どうやって檻を破壊しようか考えている」

 

しかし、ミラのこの一言により、カモがねぎをを背負って逃げていきそうになる。

 

「な……?!」

思わず、身構えるキタル族達。ローズも腰に有る二刀に手をかける。

「ち、ちょっと、ミラ……」

レイアは慌てる。

「ローズ、君も落ち着いて……彼女、別に悪気があって言ってる訳じゃないんだよ」

ホームズも、どうにかこうにかローズを宥めようとする。

「ホームズ、あなた達は、一体何しにきたの?」

ギロリと今にも刀を抜きそうな勢いで、ホームズを睨むローズ。

「ワイバーンを借りに来たんだよ。ね、ジュード」

結局、ジュードに丸投げしたホームズにため息を一つ吐いて、ジュードが説明する。

「あの……ワイバーンを貸してもらう事ってできませんか?」

ジュードの説明に1人のキタル族の男が、食ってかかる。

「いきなり何を言い出すんだ。……こんな事をしている場合じゃない。早く代表者を見つけないと」

その様を一通り眺めたミラは、ワイバーンの方に向き直り、ひと睨みする。

すると、ワイバーンは、今まで上げていた首を下げ、服従の様子を示す。

キタル族とローズは、目を見張る。

「嘘でしょ……獣隷術を使わずにワイバーンを服従させるなんて……」

ローズがただ、驚いている中、キタル族のもう1人の男は何か思案している。

「この人達ならひょっとして……」

「まさか、この人達を?本気なの?」

対する女性は、信じられないという風に聞き返す。

その男は、頷くとミラ達に顏を向ける。

「私は、キタル族のユルゲンス。街が賑わっているのには、気付いたか?」

「ええ、まあ」

ユルゲンスの言葉にホームズは、返事をする。

「実は、十年に一度、部族間で行われる闘技大会が、明日開催される」

(そりゃあ、賑やかになるわけだ……)

ホームズは、一人納得していた。

一応、ホームズは、ここに来た事がある。なので、この大会がどれ程重要なものかという事も知っている。

「だが、我がキタル族は、唯一の武闘派である族長が、王に使えているため、参加出来ないのだ。伝統ある我が部族が、戦わずして負けてしまう」

「そりゃあ、災難ですね……」

ホームズの相づちに、ユルゲンスは少し微笑んで頷く。そして、ミラを見る。

「君には何か特別な力を感じる。どうだ、我々の一員として、大会に参加してみないか?」

「はいはい!参加します」

ユルゲンスの提案に、レイアは迷わず、そして、間髪いれずに手を上げた。

「レイア……」

ジュードは、呆れ顔だ。

「君はもう少し先の事を考えて行動した方がいいね……」

ホームズからも釘を刺され、レイアは気まずそうに笑いながら頭をかく。

「参加するれば、この者たちを貸して貰えるのか?」

ミラは、そこが重要だとばかりに尋ねる。

「もちろん、そのつもりだ」

ユルゲンスは、ミラの質問にそう答える。

「ただし、優勝が条件だ」

その一言を加えて。

「足元見やがって……」

「聞こえるよ、ヨル。もう少し気を遣っておくれ」

ヨルの悪態をホームズは、宥める。

ユルゲンスは、ヨルの悪態に気付かず、そのまま続ける。

「それと、事前に君達の実力を見せて貰おう」

その言葉を聞き、レイアは、段々とテンションがあがってきている。

「ミラ、いいよね?」

「うむ、ワイバーンを手に入れる為だ」

レイアは、ミラのその一言で、押し殺していたテンションが、表に出てきた。

「やった〜!闘技大会なんてもえるなー」

レイアの上がっているテンションとは、対象的にジュードは首を傾げている。

「でも、部族の大会に僕達が出ちゃって大丈夫なんですか?」

ジュードの問いに、もう一人のキタル族の男が答える。

「問題ない。優秀な戦士を連れて来る事は、部族の地位を高める行為として、過去にも会ったことだ」

 

 

「ははっ。また、随分とテキトーだねぇ」

 

 

アルヴィンが、ひょっこりやって来て、なかなか失礼な事を言う。

そんな彼にホームズは、肩を竦める。

「別に、そうでもないんじゃない?強い戦士とやらを連れてくるのもある意味、実力って奴だよ」

「モノは言いようだな」

「まあね」

「2人とも……」

ホームズもホームズでなかなか、失礼なことを言っているので、今度はジュードが注意する。

「しっかし、まあ、少し目を離した隙に面白そうな事に首突っ込んじゃってえ……おまけに美人まで増えてるし」

そう言って、アルヴィンは、ローズを見る。

ローズは、にっこりと笑って胸の前に手を当てる。

「お褒めの言葉どうも。私は、ローズ・クリスティ。ホームズとは、昔馴染みというか、幼馴染みというか……まあ、そんな関係。貴方は?」

突然の自己紹介に少し、面食らいながらも、アルヴィンも自己紹介をする。

「俺の名前は、アルヴィン。ホームズとは、同じ旅をする仲間ってところかな。な、ホームズ?」

「そうだねぇ……ま、そんなところかな」

ホームズは、何とも言えない表情で、アルヴィンに言う。

アルヴィンには、前の戦闘で、殺されかかったのだ。まだ、過ごした日が浅いので、自信をもって言い切れない。

「つれない返事の仕方だねえ……一緒に繋がった仲じゃないか」

「また、随分と誤解を招く言い方だねぇ……ただの、共鳴術技(リンクアーツ)だろうに」

ホームズは、引きつりながら、アルヴィンを見る。

アルヴィンは、肩を竦めている。

「ま、それはともかく……俺も混ぜてくれないのかあ?」

そんな軽い調子のアルヴィンにティポが、声を荒げる。

『どこ行ってたんだよ〜!こちとら、恐怖体験してたんだぞー!」

「わりーわりー。

でも、こうして何かあったと思ってすぐ駆けつけた訳だし、勘弁してくれよ、な」

顔の近くで、チョイっと手を振るとアルヴィンは、そう言った。

そんなアルヴィンを見て、ユルゲンスがジュード達に聞く。

「で、結局彼は仲間か?」

「そうだぜ。これで全員集合」

ユルゲンスは、アルヴィンの返答に納得すると、言葉を続けた。

「では、力を見せてもらおう。空中闘技場に来てくれ」

「分かりました」

ジュードは、返事をする。

ユルゲンス達は、ジュードの返事をきき、恐らく準備のためだろう、早々にその場から去った。

完全に姿が、見えなくなると、ローズが、ホームズに掴みかかっ

た。

「?!どうしたのさ?」

「……普通の人間は、ワイバーンなんて欲しがらない。おまけに獣隷術なしで従わせるなんて、まず無理」

一つずつ確認する様に喋るローズ。口調が荒い。恐らくホームズが迂闊な返答をすれば、鉄拳制裁が飛んでくるだろう。

ローズは、胸ぐらを一層力強く掴み上げる。

「そんな人達と、貴方は今一緒にいる……答えて、ホームズ!貴方は、何に関わろうとしているの!」

口調は確かに荒い。しかし、ホームズを心配しての事なのだろう。

その気持ちは嬉しいが、あまり、クルスニクの槍の事をべらべらと喋るわけには、いかない。

「……っつ、とりあえず、離しておくれよ」

「貴方が、話してくれたらね」

「それは、難しいねぇ」

つまり、話す気はない、という事だ。

「……!」

ローズからの鉄拳制裁が飛んでくる。

ホームズは、顔面にモロに食らい、地面に落とされる。

「痛いなぁ……」

唇を切ったようでホームズは、ポンチョで拭っている。

そんな事をしていると、再び胸ぐらを掴まれて、立たされる。

「もう一度聞くわ、貴方は何に関わろうとしているの?」

「内緒。男は秘密があった方が恰好いいからね」

ホームズは、あくまで言う気はない。

ある程度事情を知っているマーロウならともかく、何も知らないローズに話すのは、得策ではない。

「───!」

「もうよせ。私が話す」

再び拳を固めるローズをミラが止める。

「ミラ、やめたほうがいいんじゃない?」

ホームズは、不安そうに聞く。

「危機を知らせるのに渋る理由はない。お前が話しづらいなら、マクスウェルである私が話そう」

そう言って、ミラはローズに説明をした。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「なるほど、理解したわ」

ミラから簡単な説明(アルクノアとエレンピオス抜き)を聞いたローズは、そう頷いた。

「で、そんな大事な事を貴方は私に黙ってたわけね」

「言う訳にいかないだろう。国家レベルの話だよ……マーロウさんならともかく、君みたいな無関係の一般人に言えるもんか」

ホームズの言い分をローズは、刀の柄をコンコンと指で二回程叩きながら、聞く。

その後しばらく思案する。

そして、おもむろに口を開く

 

 

 

「……そうね………だったら、私もその旅に着いて行くわ」

 

 

 

「………は?」

ローズの思いもよらない答えに、ホームズは、聞き返す。

「それで、私も無関係の一般人ではなくなる。いくらでも、話ができる。これで文句ないでしょう、ホームズ」

「………いや、何を言ってるんだい?」

ローズのむちゃくちゃな言い分にホームズは、ドン引きしている。

「ラシュガルの王様が、そんな兵器を作ってる、なんて、ア・ジュールにしてみれば、脅威。付いて行かない理由の方がないわ」

「ふむ。ならば、お前も私達と来るか、ローズ」

「さっきから、そう言ってるでしょう、マクスウェル様」

ローズは、イタズラっぽくウィンクして答える。

その後、ジュード達の方にくるっと振り返る。

「そゆわけだから、みんな、これからよろしく」

突然の仲間入りにミラ以外は、言葉を失っている。

 

 

「ホームズ……」

ジュードは、いつも言われているセリフをホームズに言う。

 

「君の幼馴染みどうにかならない?」

「出来たら苦労しないよ………」

ホームズは、痛む頭を押さえながら言った。

 

 








恒例のテイルズ人気投票!
結果がちらほらと出されていますね!
「やっぱりこいつだよな」って感じの一位でした。
個人的には、文句なしというところでしょうか。


でばまた、三十二話で( ´ ▽ ` )ノ
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