1人と1匹   作:takoyaki

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三十二話です。



遅くなりましたが、評価お気に入りして下さった皆さん、本当にありがとうございます!!


では、どうぞ


立てば綽々、座れは牡丹、暴れる姿は赤い薔薇

「つまり、マーロウさんから、俺が来ている事を聞いた、と」

「そ♪」

「だから、どこにいるのか、さがしていた、と」

「そ♪」

ホームズは、襲ってくる頭痛を押さえる。

道理で、タイミング良くローズに会うはずである。

「あの野郎……」

ホームズは、ため息を吐く。

とりあえず、文句を言わねば気が済まない。

具体的な方法は、腹に飛び蹴りで、いいだろう。

ホームズは、そう考えるとミラ達に言う。

「とりあえず、マーロウさんのところに行ってくるよ。ミラ達は先に行ってておくれ。用事を済ませたらすぐに行くから」

言い終えるとホームズは、ミラ達の返事も聞かず、ヨルを肩に乗せ走り出した。

「分かったと言ってないのだが……」

ミラはポツリと言う。

「というか、何しに言ったのでしょう?まあ、予想はつきますが……」

ローエンは、髭を触っている。

「大方、マーロウさんに、飛び蹴りでもかまそうとしてるんでしょ。どうせ、返り討ちに合うのが関の山だろうけどね」

ローズは、ひらひらと手を振りながら答える。

「ま、馬鹿はほっといて、とっと闘技場に行きましょう」

「………ローズも出るの?」

「当たり前でしょ。そうしないとワイバーンには乗れない。乗れないと旅についていけない」

レイアの質問にローズは、答えながら、屋台で売っている串焼きを2本買う。

「なら、どうすればいいか」

そう言って、一本をレイアに投げて寄越す。

多少危なっかっしかったが、どうにかキャッチする。

「考えるまでもないでしょう?」

言いながら串焼きにかぶりつくローズ。

『エリー達にはくれないの?』

「勘弁してね。そこまで、私にお金の余裕はないの」

「だったら、何でわたしだけ?」

レイアの疑問に、ローズは少しためらって話す。

「んー……お礼と、前払いってところかな」

「お礼と……前払い?」

「そ」

ローズは、そう言うとパクパクと串焼きを一気に食べる。

「ホームズにとってこの街は、余りいい思い出のある街じゃない」

「……もしかして、ホームズの言っていた街って、ここ?」

いい思い出がないという事から、ジュードは、予想する。

「そ。大正解。ここは、幼いホームズを死ぬほどいじめ抜いた街よ」

レイアは、やっぱりと言う顔をする。

そもそも、ホームズの瞳の色を褒めた女の子に、出会ったのは、2回目に訪れた時だと言っていた。

つまり、ホームズの瞳の色を褒めた女の子、ローズ・クリスティがいる時点で、それは、わかりきっていた事なのだ。

「……レイア、もしかして気付いてた?」

ジュードは、鋭く察知する。さすが、幼馴染みと言ったところだ。

「うん、ホームズの目の色を褒めたローズがいるんだもん。そうかな、と思うには、充分だよ」

ローズは、レイアの言葉に笑みを浮かべる。

「そこまで、知っているなら、話は早いね」

「話が見えないのですが………」

ローエンが、エリーゼ達を代表して、言う。

「まあ、あれよ。ホームズは、昔霊力野(ゲート)がない事で散々いじめられていたんだよ」

「とはいえ、行商人の母親の面子もあるから、やり返す訳にもいかない。そんな訳で、この街にいる間は、ずっとそれに耐える事しか出来なかったのさ」

ホームズが話してくれた内容をローズは、簡潔にまとめる。

「そんな過去があるからさ、この街から、離れた後どうしてるか気になっていたんだけど……」

ローズは、レイアを見る。

「?」

「友達と仲良くやっているようで安心したよ」

「わたし?」

レイアは、突然話を振られて驚いている。

「そうでしょ?だって、目の色を褒められた事を話す程だもん仲がいいんじゃないの?」

そう、ホームズはいじめられた事は、ジュード達にも話したが、瞳の色を褒められた事を話したのは、レイアだけなのだ。

まあ、レイアしか聞かなかったのだが……

「じゃあ、お礼って……」

「そ。あんな性格がお世辞にもいいとは言えない奴と、友達になってくれた事に対してよ」

ローズはにっこりと笑っている。

「本当に心配だったんだよ。あんな性格だし、喋る猫を連れてるし、霊力野(ゲート)はないし、正直また、ロクな目にあってないんじゃないかと思っていたのよ」

ジュード、アルヴィン、エリーゼのホームズを殺しかけた、連中は、気まずそうに目をそらす。

ミラはそんな事お構いなしに、ローズをまっすぐ見ている。

「そんなホームズが、友達を連れて来た。こんなに嬉しい事はないわ。ま、一番仲が良いのが、女の子って言うのが、気に食わないけど……」

ローズは、とても嬉しそうにそう、はなした。

レイアは、その様子を見ていてこっちまで笑顔になってきた。

「ホームズの事心配してたんだね」

「まあね」

そんな微笑ましい光景の中、ミラが一つ爆弾を放り込む。

 

 

「今、『一番仲が良いのが、女の子って言うのが、気に食わない』と言っていたが……あれはどういう事だ?」

 

 

ローズは、ミラの言葉に笑顔が凍り付く。

そして、皆から目を逸らす。

「………言ってない」

さっきまでの、滑らかな喋りからは、想像も出来ないボソッとした、テンションだった。

それを聞いて、ジュードとミラ以外は、みんなは何と無く理解した。

(10年も待ってたんだもん。その結果の再会が、あれじゃあ怒るのも無理はないよ)

レイアは、心の中でため息を吐いた。

「いやー確かに言ったよねぇ、だって、俺聞いたもん。な、優等生、お前もそうだろ?」

しかし、すべて、察しているアルヴィンは、心の中だけでなく、ニヤニヤしながら、ローズをからかっている。

ローズの顔はどんどん赤くなっていく。

「え?ん、まあ、いってたと思うけど……」

まだ、イマイチ、ピンときていないジュードは、アルヴィンの問いに戸惑いながらもそう答える。

「……言ってない」

顔を真っ赤にしながら、説得力ゼロの言葉を言う。

しかし、アルヴィンは畳み掛ける。

「いやいや、ジュードだって、ミラだって聞いてるんだぜ。言ってない、なんて事はないだろう。

というわけで、ミラ様の質問にそろそろ答えてあげたら」

「アルヴィン……その辺にしとかないと……」

「言ってないったら、言ってない!」

「ぶふぉお!」

「鉄拳制裁を受けるよって……遅かったか……」

身長差があった為顔に手が届かなかったので、腹にパンチを食らわしていた。

アルヴィンは、辛そうに腹を押さえている。

『ザマミロー』

「自業自得です」

ローエンと、ティポに冷たい言葉を投げられる。

肩で息をしながら、ローズは続ける。

「そんな事一言も言ってない!」

「分かったから、落ち着いて……」

レイアが、必死になだめる。

「結局どういう事なのだ?」

ミラは、近くに漂っていたティポに聞く。

『ヤキモチ焼いちゃっ………ふぐう!』

すぐさま、ティポを締め上げるローズ。

「ああ、ティポ!」

エリーゼが、びっくりしている。

「わー、ローズ!ストップストップ!」

レイアは、必死にローズを止めるが、後ろでまた不吉な声が聞こえる。

 

「ふむ、もしかして、じぇらしいという奴か?」

「ああ、そうか、レイアと仲が良いってのが、少し気に食わなかったんだ」

「───!」

「落ち着いて!」

デリカシーのない、ジュードとミラに掴みかかりそうなローズをレイアは、羽交い締めにして止める。

「だって、だって……」

「わかったから……」

顔を真っ赤にしているローズを何とかなだめる。

そして、レイアは言葉を続ける。

「とりあえず、ホームズとわたしは、友達。それに変わりはないよ」

ローズは、一瞬太陽のような笑顔をするが、直ぐに元に戻る。

「……別にそれを私に言わなくてもいいんじゃない?」

どうでもいい様に言うローズ。

声は弾んでいるのだが……

(メンドくさい子だなぁ……)

レイアは、少し頭痛がしてきた。

しかし、ローズも大分落ち着いてきた。このまま何事もなくいけばいいのだが……

「もしや、ローズが付いて行きたい理由とは、ホームズか?」

ミラが再びぶっこんできた。

ローズは、再度顔を赤くするが、さっきとは、打って変わって冷静に言う。

「……それが全部て訳じゃないわ」

((((認めたな……))))

ジュード達は心の中で突っ込んだ。

しかし、ローズの口調は、真剣そのものだ。

「クルスニクの槍は、兵器。だから、それの使い道なんてア・ジュールとの戦争以外にないわ」

顔の赤みも大分引いて来て、まっすぐと、ミラをみている。

「マクスウェルが、危ないと思うものを私達に向かって使わせる訳にはいかない」

拳をさらに強く握る。

「だから、ついてく。文句は、言わせない」

さっきまでの色恋沙汰で、大慌てしていた彼女とは、比べものにならない程の顔つきになった。

「分かった。頼りにしているよ、ローズ」

「任せて」

にっこりと笑うローズ。

「まあ、でも、ついて来た理由の何割かは、ホームズなんだろ」

アルヴィンの余計な一言で、ローズの笑顔が凍り付く。

今にもアルヴィンに掴みかかりそうなローズをレイアは、止める。

「落ち着いて!大丈夫!大丈夫だから」

「ふむ、そうだな。レイアも似たようなもふぐぅ」

今度はレイアが、慌てる番だ。

レイアは、ミラの口を慌てて押さえる。

「ちょっ、レイア!ローズを離すなぁああああ!」

レイアの拘束から、解放されたローズは、そのままアルヴィンに飛び蹴りをかます。

「………関係なくはないかもしれなくはない」

飛び蹴りをかました後、肩で息をしながら言うローズ。

「えーっと……どっち?」

顔赤くしたまま、ジュードから、顔を逸らすローズ。

一方レイアは、

「別にいいだろう。ホームズが、理由な訳ではないのだから……」

「わかった!わかったから!ストップ!」

顔を赤くしながら、ミラを止めていた。

エリーゼは、巻き込まれない様にするので、精一杯だ。

 

「みなさん、お若いですね」

ローエンは、微笑みながら、ポツリと言った。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

「遅かったかじゃないか……」

疲れ切った顔をした面々を見ながらホームズは聞く。

ホームズは、ジュード達より先に闘技場についていた。

「こっちにも色々と事情があるんだよ……ていうか、どうしたの、ほっぺ?」

レイアの指差す、ホームズの頬には、湿布が貼ってある。

「マーロウさんに飛び蹴りをしようとしたら、返り討ちに合った」

「ね。私の言った通りだったでしょ」

ローズは、得意満面に言う。

「君は、そのドヤ顔を今直ぐ引っ込めたまえ。それよりも、何かあったのかい、レイア?みんな随分疲れてるけど……」

「ああ、気にしないで。年頃の女の子に悩みは尽きないんだよ」

「ふーん?ミラは、何か知ってるかい?」

話を振られたミラは、苦笑いをする。

「まあ、色々だ」

「おたく、何でローズには聞かないんだ?」

「………あ」

ついさっき思いついた様に手をポンと叩くとローズに聞く。

「何があったんだい?」

「……私これでも17歳で、年頃なんだけど、忘れてたね?」

ローズは、ギロリと睨む。

「(17歳だったんだ。てっきり同い年かと……)」

「(ホームズといい、ローズといいどうして年上にみえないんだろ?)」

「(見える様な振る舞いをしてないからじゃねーの)」

「「(それだ!)」」

レイア、ジュード、アルヴィンは、小声でボソボソと話し合っていた。

「デリカシーがないにも程があるわね。そんなだからモテないのよ」

「……何か言い返したらどうだホームズ」

「グゥの音もでないよ。ていうか、ピンポイントで、人の心抉ってきたんだけど……」

ヨルの言葉に涙声で返すホームズ。

「まあ、ホームズがモテないのはいつもの事だ。そんな事より、とっと力試しとやらをやってしまおう。ユルゲンス、頼む」

ミラは、さらに傷付いたホームズを放置して、ユルゲンスに言う。

「いいのか?一応獣隷術で、魔物を制御し、危険のない様にするが、それでも何が起こるか分からないんだぞ。何だかみんな疲れてる様だし、もう少し休んでから……」

「疲れたからこそ、早く終わらせたい。頼む」

ミラが間髪居れずに、言うとユルゲンスは、ため息を吐いて闘技場へと通した。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「わあ!立派な舞台だね」

舞台に立つとレイアは、感嘆の声を上げる。

円の床。そして、それを取り囲む様に掘りがあり、そして、そこでの戦いを全ての方向から、見える様に客席がぐるっと取り囲んでいる。

「あんまりはしゃがないでよ」

ジュードが、レイアに注意する。さっきの落石で、重くはないにしろ、レイアは怪我を負ったのだ。

レイアは、ジュードのその物言いに、げんなりする。

「男なんだからさ、もっとこう、燃え来たぜー!みたいのないの?」

「ないよそんなの」

レイアの力説は、ジュードの『そんなの』の一言で、済ませれてしまった。

「ホームズ、貴方もよ」

ローズは、キョロキョロしているホームズに注意する。

「そわそわしてる君に言われたくないね」

しかし、半眼でローズに返す。

ローズは、気まずそうに目を逸らす。

「それより、怪我は大丈夫?」

「え……うん」

そんなホームズ達に構わずジュードは、レイアに尋ねる。

レイアは、唐突に聞かれて少し戸惑ったようだ。

そして、ニコッと笑って腰に手を当てて朗らかに言う。

「それに、こんな状況になったら治らざるを得ないでしょ」

そんな会話をしていると、ユルゲンスが、ミラに尋ねる。

「そろそろ始めてもいいか?」

「ああ。始めてくれ」

「それじゃあ、私達は、客席で見させてもらうよ」

ミラの言葉ににっこりとするとユルゲンスは、客席に登って行った。

彼らが、客席に上がるとホームズ達が逃げられない様に、跳ね橋が上がり、向こうから魔物、ランドーゴブリンが4匹やって来た。

それらを確認すると、各々が、それぞれの武器を構える。

「へぇー二刀流かい?ローズ」

「見ての通りよ」

ホームズの問いにローズは、当たり前の様に言う。

「足を引っ張るなよ、小娘」

ヨルの言葉に皮肉っぽい笑みを浮かべると、

「貴方の相棒に言っといて頂戴」

さりげなく、ホームズを口撃した。

「別に相棒じゃない」

心底嫌そうにヨルは、否定する。

「出来ればもう一つの方も否定して欲しかったなぁ………」

ホームズは、ため息を一つ吐くと、魔物に向かって駆け出した。

 






ギャップが素敵な部門………
そんな物があるんですね………



では、また三十三話で( ´ ▽ ` )ノ
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