遅くなりましたが、評価お気に入りして下さった皆さん、本当にありがとうございます!!
では、どうぞ
「つまり、マーロウさんから、俺が来ている事を聞いた、と」
「そ♪」
「だから、どこにいるのか、さがしていた、と」
「そ♪」
ホームズは、襲ってくる頭痛を押さえる。
道理で、タイミング良くローズに会うはずである。
「あの野郎……」
ホームズは、ため息を吐く。
とりあえず、文句を言わねば気が済まない。
具体的な方法は、腹に飛び蹴りで、いいだろう。
ホームズは、そう考えるとミラ達に言う。
「とりあえず、マーロウさんのところに行ってくるよ。ミラ達は先に行ってておくれ。用事を済ませたらすぐに行くから」
言い終えるとホームズは、ミラ達の返事も聞かず、ヨルを肩に乗せ走り出した。
「分かったと言ってないのだが……」
ミラはポツリと言う。
「というか、何しに言ったのでしょう?まあ、予想はつきますが……」
ローエンは、髭を触っている。
「大方、マーロウさんに、飛び蹴りでもかまそうとしてるんでしょ。どうせ、返り討ちに合うのが関の山だろうけどね」
ローズは、ひらひらと手を振りながら答える。
「ま、馬鹿はほっといて、とっと闘技場に行きましょう」
「………ローズも出るの?」
「当たり前でしょ。そうしないとワイバーンには乗れない。乗れないと旅についていけない」
レイアの質問にローズは、答えながら、屋台で売っている串焼きを2本買う。
「なら、どうすればいいか」
そう言って、一本をレイアに投げて寄越す。
多少危なっかっしかったが、どうにかキャッチする。
「考えるまでもないでしょう?」
言いながら串焼きにかぶりつくローズ。
『エリー達にはくれないの?』
「勘弁してね。そこまで、私にお金の余裕はないの」
「だったら、何でわたしだけ?」
レイアの疑問に、ローズは少しためらって話す。
「んー……お礼と、前払いってところかな」
「お礼と……前払い?」
「そ」
ローズは、そう言うとパクパクと串焼きを一気に食べる。
「ホームズにとってこの街は、余りいい思い出のある街じゃない」
「……もしかして、ホームズの言っていた街って、ここ?」
いい思い出がないという事から、ジュードは、予想する。
「そ。大正解。ここは、幼いホームズを死ぬほどいじめ抜いた街よ」
レイアは、やっぱりと言う顔をする。
そもそも、ホームズの瞳の色を褒めた女の子に、出会ったのは、2回目に訪れた時だと言っていた。
つまり、ホームズの瞳の色を褒めた女の子、ローズ・クリスティがいる時点で、それは、わかりきっていた事なのだ。
「……レイア、もしかして気付いてた?」
ジュードは、鋭く察知する。さすが、幼馴染みと言ったところだ。
「うん、ホームズの目の色を褒めたローズがいるんだもん。そうかな、と思うには、充分だよ」
ローズは、レイアの言葉に笑みを浮かべる。
「そこまで、知っているなら、話は早いね」
「話が見えないのですが………」
ローエンが、エリーゼ達を代表して、言う。
「まあ、あれよ。ホームズは、昔
「とはいえ、行商人の母親の面子もあるから、やり返す訳にもいかない。そんな訳で、この街にいる間は、ずっとそれに耐える事しか出来なかったのさ」
ホームズが話してくれた内容をローズは、簡潔にまとめる。
「そんな過去があるからさ、この街から、離れた後どうしてるか気になっていたんだけど……」
ローズは、レイアを見る。
「?」
「友達と仲良くやっているようで安心したよ」
「わたし?」
レイアは、突然話を振られて驚いている。
「そうでしょ?だって、目の色を褒められた事を話す程だもん仲がいいんじゃないの?」
そう、ホームズはいじめられた事は、ジュード達にも話したが、瞳の色を褒められた事を話したのは、レイアだけなのだ。
まあ、レイアしか聞かなかったのだが……
「じゃあ、お礼って……」
「そ。あんな性格がお世辞にもいいとは言えない奴と、友達になってくれた事に対してよ」
ローズはにっこりと笑っている。
「本当に心配だったんだよ。あんな性格だし、喋る猫を連れてるし、
ジュード、アルヴィン、エリーゼのホームズを殺しかけた、連中は、気まずそうに目をそらす。
ミラはそんな事お構いなしに、ローズをまっすぐ見ている。
「そんなホームズが、友達を連れて来た。こんなに嬉しい事はないわ。ま、一番仲が良いのが、女の子って言うのが、気に食わないけど……」
ローズは、とても嬉しそうにそう、はなした。
レイアは、その様子を見ていてこっちまで笑顔になってきた。
「ホームズの事心配してたんだね」
「まあね」
そんな微笑ましい光景の中、ミラが一つ爆弾を放り込む。
「今、『一番仲が良いのが、女の子って言うのが、気に食わない』と言っていたが……あれはどういう事だ?」
ローズは、ミラの言葉に笑顔が凍り付く。
そして、皆から目を逸らす。
「………言ってない」
さっきまでの、滑らかな喋りからは、想像も出来ないボソッとした、テンションだった。
それを聞いて、ジュードとミラ以外は、みんなは何と無く理解した。
(10年も待ってたんだもん。その結果の再会が、あれじゃあ怒るのも無理はないよ)
レイアは、心の中でため息を吐いた。
「いやー確かに言ったよねぇ、だって、俺聞いたもん。な、優等生、お前もそうだろ?」
しかし、すべて、察しているアルヴィンは、心の中だけでなく、ニヤニヤしながら、ローズをからかっている。
ローズの顔はどんどん赤くなっていく。
「え?ん、まあ、いってたと思うけど……」
まだ、イマイチ、ピンときていないジュードは、アルヴィンの問いに戸惑いながらもそう答える。
「……言ってない」
顔を真っ赤にしながら、説得力ゼロの言葉を言う。
しかし、アルヴィンは畳み掛ける。
「いやいや、ジュードだって、ミラだって聞いてるんだぜ。言ってない、なんて事はないだろう。
というわけで、ミラ様の質問にそろそろ答えてあげたら」
「アルヴィン……その辺にしとかないと……」
「言ってないったら、言ってない!」
「ぶふぉお!」
「鉄拳制裁を受けるよって……遅かったか……」
身長差があった為顔に手が届かなかったので、腹にパンチを食らわしていた。
アルヴィンは、辛そうに腹を押さえている。
『ザマミロー』
「自業自得です」
ローエンと、ティポに冷たい言葉を投げられる。
肩で息をしながら、ローズは続ける。
「そんな事一言も言ってない!」
「分かったから、落ち着いて……」
レイアが、必死になだめる。
「結局どういう事なのだ?」
ミラは、近くに漂っていたティポに聞く。
『ヤキモチ焼いちゃっ………ふぐう!』
すぐさま、ティポを締め上げるローズ。
「ああ、ティポ!」
エリーゼが、びっくりしている。
「わー、ローズ!ストップストップ!」
レイアは、必死にローズを止めるが、後ろでまた不吉な声が聞こえる。
「ふむ、もしかして、じぇらしいという奴か?」
「ああ、そうか、レイアと仲が良いってのが、少し気に食わなかったんだ」
「───!」
「落ち着いて!」
デリカシーのない、ジュードとミラに掴みかかりそうなローズをレイアは、羽交い締めにして止める。
「だって、だって……」
「わかったから……」
顔を真っ赤にしているローズを何とかなだめる。
そして、レイアは言葉を続ける。
「とりあえず、ホームズとわたしは、友達。それに変わりはないよ」
ローズは、一瞬太陽のような笑顔をするが、直ぐに元に戻る。
「……別にそれを私に言わなくてもいいんじゃない?」
どうでもいい様に言うローズ。
声は弾んでいるのだが……
(メンドくさい子だなぁ……)
レイアは、少し頭痛がしてきた。
しかし、ローズも大分落ち着いてきた。このまま何事もなくいけばいいのだが……
「もしや、ローズが付いて行きたい理由とは、ホームズか?」
ミラが再びぶっこんできた。
ローズは、再度顔を赤くするが、さっきとは、打って変わって冷静に言う。
「……それが全部て訳じゃないわ」
((((認めたな……))))
ジュード達は心の中で突っ込んだ。
しかし、ローズの口調は、真剣そのものだ。
「クルスニクの槍は、兵器。だから、それの使い道なんてア・ジュールとの戦争以外にないわ」
顔の赤みも大分引いて来て、まっすぐと、ミラをみている。
「マクスウェルが、危ないと思うものを私達に向かって使わせる訳にはいかない」
拳をさらに強く握る。
「だから、ついてく。文句は、言わせない」
さっきまでの色恋沙汰で、大慌てしていた彼女とは、比べものにならない程の顔つきになった。
「分かった。頼りにしているよ、ローズ」
「任せて」
にっこりと笑うローズ。
「まあ、でも、ついて来た理由の何割かは、ホームズなんだろ」
アルヴィンの余計な一言で、ローズの笑顔が凍り付く。
今にもアルヴィンに掴みかかりそうなローズをレイアは、止める。
「落ち着いて!大丈夫!大丈夫だから」
「ふむ、そうだな。レイアも似たようなもふぐぅ」
今度はレイアが、慌てる番だ。
レイアは、ミラの口を慌てて押さえる。
「ちょっ、レイア!ローズを離すなぁああああ!」
レイアの拘束から、解放されたローズは、そのままアルヴィンに飛び蹴りをかます。
「………関係なくはないかもしれなくはない」
飛び蹴りをかました後、肩で息をしながら言うローズ。
「えーっと……どっち?」
顔赤くしたまま、ジュードから、顔を逸らすローズ。
一方レイアは、
「別にいいだろう。ホームズが、理由な訳ではないのだから……」
「わかった!わかったから!ストップ!」
顔を赤くしながら、ミラを止めていた。
エリーゼは、巻き込まれない様にするので、精一杯だ。
「みなさん、お若いですね」
ローエンは、微笑みながら、ポツリと言った。
◇◇◇◇
「遅かったかじゃないか……」
疲れ切った顔をした面々を見ながらホームズは聞く。
ホームズは、ジュード達より先に闘技場についていた。
「こっちにも色々と事情があるんだよ……ていうか、どうしたの、ほっぺ?」
レイアの指差す、ホームズの頬には、湿布が貼ってある。
「マーロウさんに飛び蹴りをしようとしたら、返り討ちに合った」
「ね。私の言った通りだったでしょ」
ローズは、得意満面に言う。
「君は、そのドヤ顔を今直ぐ引っ込めたまえ。それよりも、何かあったのかい、レイア?みんな随分疲れてるけど……」
「ああ、気にしないで。年頃の女の子に悩みは尽きないんだよ」
「ふーん?ミラは、何か知ってるかい?」
話を振られたミラは、苦笑いをする。
「まあ、色々だ」
「おたく、何でローズには聞かないんだ?」
「………あ」
ついさっき思いついた様に手をポンと叩くとローズに聞く。
「何があったんだい?」
「……私これでも17歳で、年頃なんだけど、忘れてたね?」
ローズは、ギロリと睨む。
「(17歳だったんだ。てっきり同い年かと……)」
「(ホームズといい、ローズといいどうして年上にみえないんだろ?)」
「(見える様な振る舞いをしてないからじゃねーの)」
「「(それだ!)」」
レイア、ジュード、アルヴィンは、小声でボソボソと話し合っていた。
「デリカシーがないにも程があるわね。そんなだからモテないのよ」
「……何か言い返したらどうだホームズ」
「グゥの音もでないよ。ていうか、ピンポイントで、人の心抉ってきたんだけど……」
ヨルの言葉に涙声で返すホームズ。
「まあ、ホームズがモテないのはいつもの事だ。そんな事より、とっと力試しとやらをやってしまおう。ユルゲンス、頼む」
ミラは、さらに傷付いたホームズを放置して、ユルゲンスに言う。
「いいのか?一応獣隷術で、魔物を制御し、危険のない様にするが、それでも何が起こるか分からないんだぞ。何だかみんな疲れてる様だし、もう少し休んでから……」
「疲れたからこそ、早く終わらせたい。頼む」
ミラが間髪居れずに、言うとユルゲンスは、ため息を吐いて闘技場へと通した。
◇◇◇◇
「わあ!立派な舞台だね」
舞台に立つとレイアは、感嘆の声を上げる。
円の床。そして、それを取り囲む様に掘りがあり、そして、そこでの戦いを全ての方向から、見える様に客席がぐるっと取り囲んでいる。
「あんまりはしゃがないでよ」
ジュードが、レイアに注意する。さっきの落石で、重くはないにしろ、レイアは怪我を負ったのだ。
レイアは、ジュードのその物言いに、げんなりする。
「男なんだからさ、もっとこう、燃え来たぜー!みたいのないの?」
「ないよそんなの」
レイアの力説は、ジュードの『そんなの』の一言で、済ませれてしまった。
「ホームズ、貴方もよ」
ローズは、キョロキョロしているホームズに注意する。
「そわそわしてる君に言われたくないね」
しかし、半眼でローズに返す。
ローズは、気まずそうに目を逸らす。
「それより、怪我は大丈夫?」
「え……うん」
そんなホームズ達に構わずジュードは、レイアに尋ねる。
レイアは、唐突に聞かれて少し戸惑ったようだ。
そして、ニコッと笑って腰に手を当てて朗らかに言う。
「それに、こんな状況になったら治らざるを得ないでしょ」
そんな会話をしていると、ユルゲンスが、ミラに尋ねる。
「そろそろ始めてもいいか?」
「ああ。始めてくれ」
「それじゃあ、私達は、客席で見させてもらうよ」
ミラの言葉ににっこりとするとユルゲンスは、客席に登って行った。
彼らが、客席に上がるとホームズ達が逃げられない様に、跳ね橋が上がり、向こうから魔物、ランドーゴブリンが4匹やって来た。
それらを確認すると、各々が、それぞれの武器を構える。
「へぇー二刀流かい?ローズ」
「見ての通りよ」
ホームズの問いにローズは、当たり前の様に言う。
「足を引っ張るなよ、小娘」
ヨルの言葉に皮肉っぽい笑みを浮かべると、
「貴方の相棒に言っといて頂戴」
さりげなく、ホームズを口撃した。
「別に相棒じゃない」
心底嫌そうにヨルは、否定する。
「出来ればもう一つの方も否定して欲しかったなぁ………」
ホームズは、ため息を一つ吐くと、魔物に向かって駆け出した。
ギャップが素敵な部門………
そんな物があるんですね………
では、また三十三話で( ´ ▽ ` )ノ