1人と1匹   作:takoyaki

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三十六話です。



ちょっと短いかな?


てなわけで、どうぞ


喧嘩する程仲が良い?

「へぇー、そんな事が……」

レイアは微笑みながら、ローズを見る。

ローズは、顔を赤くして、そっぽを向いている。

『んー微笑ましいー!』

ニタァと、ティポが笑いながら言う。

「落ち着いて、ローズ!」

ティポに掴みかかろうとするローズを、レイアが羽交い締めにする。

「友達になるのって大変なんです……ね」

「まあ、そういう事も無くはないって感じかな」

レイアは、落ち着いた様子のローズを離してそう答えた。

「ふむ、人間と言うのは中々難儀なものだな。だからこそ、私はそんなお前達が好きなのだがな」

ミラは少し微笑みながら言う。

エリーゼもつられて笑う。

しかし、話題にされた当の本人は、違うようだ。

「もう、いいでしょ!!この話すっごい恥ずかしいんだよ!何、『私と……友達になってくれない』って!過去に戻れるなら、幼い私を殴り飛ばしてやる!!!」

 

顔を真っ赤にして叫んでいる。

 

誰に向かって怒っているのか、もはや分かったものではないが………

その時、コンコンとドアがノックされる。

 

 

「ホームズだけど、入るよ………」

 

 

 

 

「今来んな、バーカ!!」

「ぶっ!!」

ローズは入ってきたホームズに枕を投げつける。

まさか、枕が飛んで来るとは思わなかったホームズは、もろに食らってしまった。

 

「ホームズ、大丈夫?!」

一緒に入ってきたジュードか心配そうに見ている。

後ろにいた、ローエンとアルヴィンは、ポカンとしている。

レイアは、あぁ、と顔を手で覆う。

(タイミング悪いなぁ……まあ、ある意味いいのか……)

「なにするんだい………ローズ…………!」

しかし、そんな事はホームズには、関係ない。

ホームズは、こめかみをひくつかせている。

怒りを抑えるのに必死な様だ。

「枕投げ」

ホームズに背を向けてしれっと答える。

その言い草にホームズの堪忍袋の尾がきれる音がする。

投げつけられた枕を持つと、そのまま、後ろを向いているローズに投げる。

顔が赤いのを抑える為に心を鎮めようしていた。

しかし、怒りで再び顔が赤くなる。

「貴方はどうしてそう、タイミングが悪いの!!」

「わけの分からん事しといとて、言う事がそれかい?!」

ローズの剣幕にホームズも負けじと言い返す。

「ああ、もうやめなよ」

ジュードとレイアがそれぞれ止めに入る。

2人はどうにかこうにか気を落ち着ける。

「で、ホームズ、何の用?」

「何の用って………明日の打ち合わせだけど………」

レイアの質問に、ホームズは戸惑いながら応える。

『そんな事の為にガールズトークを邪魔したのかー!』

「ガールズトーク?」

ホームズは、ティポの言葉に首を傾げている。

『そだよー。ローズから、ホームズとの出会いから友達までのエピソードを聞いてたんだよー』

その言葉を聞いて、今度はローズではなく、ホームズが顔を赤くする。

「き、聞いた……の?」

ホームズの問いにレイア達、女性陣は頷く。

ホームズは、顔を赤くしたまま、ローズの方を見る。

「どうして、言っちゃうのさ!ものすっごい恥ずかしいんだけど!!」

「私は貴方と違って秘密主義者じゃないの!そ、それに、昔の話だもの、私は何とも無いわ」

目を逸らしながら言葉をつっかえつっかえ、絞り出す。

 

 

 

そんなローズに構わず、ジュードは、レイアに尋ねる。

「どうな話だったの?」

「えっとね………」

レイアは、ジュード達に今の話を教える。

 

 

 

「……………」

レイアやジュード達を他所に、下らない事を言ったローズをホームズは、半眼で見ている。

「何よ!その目は!」

「『私と………友達になってくれない』だっけ?」

「〜〜〜〜〜!」

ローズの顔がかつてないほど赤くなる。

反対にホームズは、だんだん勝ち誇った顔になる。

「ざまぁないね、ローズ。さっきのセリフをもう一度言っておくれよ」

「………だったけ?」

「ん?」

ローズの言葉聞き取れなかったホームズは、聞き返す。

その様子を察したローズは、もう一度言う。

 

 

「『えへへ、嬉しいね。ぼくも君と友達になりたいなぁ』だっけ?」

 

 

今度はホームズが顔を赤くする番だ。

ローズは、意地の悪い笑みを浮かべている。

「男が『えへへ』て………ないわー。いや、ほんとにないわー」

ホームズの顔がどんどん赤くなっていく。

「き、君ねぇ、人の心を抉るのやめてくれないかい……」

しかし、そんなホームズの願いも虚しく、ローズは、さっきのお返しとばかりにさらに叩き込んで来る。

「『えへへ』なんて、笑いが許されるのは、かわいい女の子だけよね」

ホームズの顔は赤いままだ。いや、更に酷くなっている。

「じゃあ、君も無理だね」

しかし、しっかりと言い返す。

気のせいでなければ、ローズの方からブチっという音が聞こえてくる。

「ええ、どうせ、私には似合わないわよ。寧ろ貴方が女装すれば、許されるかもしれないわよ。貴方、かっこいいというより可愛いタイプの顔つきだもの。特にたれ目が」

「いいやがったね………気にしてたのに」

ホームズからも、ブチっという音が聞こえてくる。

「『えへへ』って………ぷっ、可愛い、可愛い」

ローズの馬鹿にした様な言い草に、ホームズは、更に顔を赤くしていく。

そんな様子を見ていたレイアとジュードとアルヴィンは、ボソボソと話す。

「ホームズが、あんなに恥ずかしがってるの初めて見るよ」

前に港で見た時とは、比べものにならない程ホームズは、顔を赤くして、動揺している。

「僕も」

「というか、もう少しかわいげのあるケンカをして欲しいもんだね。あんな、全力で人の傷を抉るような真似しなくてもいいのに……」

ホームズは、ホームズでローズにとんでもない事を言っているし、ローズはローズで誰もが何と無く思っていたが口に出さなかった事を言っている。

「お互いしてやってるのが始末が悪いよね………」

会話のキャッチボールぐらい成立させて欲しい所だ。

しかし、レイアは、ふと思いつく。

「でもさ、お互いがお互いして、相手のセリフを覚えてるって事は………」

レイアの言葉にジュードが頷く。

 

 

「うん、きっとお互いにとって忘れらない事だったんだよ。もちろん、いい意味で」

 

友達のいなかった、ホームズにローズが言った言葉。

 

 

自分の事を受け入れてくれた、ホームズの心からの言葉。

 

 

お互い、その時言ってもらったセリフが、とても印象に残っているのだろう。

 

 

「けどまあ、あいつらは、認めないと思うけどな」

アルヴィンは、やれやれと言った風に今だケンカしているホームズとローズを見る。

「だいたい、君も何で宿にいるんだい?自分の家に帰りなよ」

「いいでしょ、別に!ユルゲンスさんにどうぞって言われたんだから!」

しかし、レイアは、知っている。

わざわざ、自分の宿代を払っていた事を。

(理由は………まあ、後で聞こう)

レイアは、何となく予想出来ているので、取り敢えず、突っ込まない。

「まあ、精々可愛く『えへへ』て笑えるよう、練習する事ね、ホームズちゃん」

ブチっとホームズから、何かがきれる音がした。

「君!いい加減にしたまえよ!人の恥ずかしい過去を的確に狙ってきやがって!」

「貴方に言われたくないわよ!今の騒ぎは、貴方が悪いんじゃない!」

「おれが?どこが?」

「全部」

「よーし、勝負だそこになおれ」

ホームズは、今にも蹴りをかましそうな構えだ。

そんな二人を無視して、ヨルはティポに話しかける。

「おい、ヌイグルミ。何処まで聞いた?」

『えとねー、ホームズとヨルが友達になった所までだよ』

ヨルは、ティポの話を聞いて、ふむ、と考える。

「なら、あの話は、聞いていないのか………」

『あのはなしー?』

ティポは、訳が分からず頭をかしげる。

その様子にヨルは、満足した様にニヤリと笑う。

「知らない様だな。なら、話してやろう。聞きたいだろ、人間ども」

 

 

「「ヨル!!」」

ホームズとローズは、ヨルの怪しげな行動を察し、協力してヨルに攻撃を仕掛ける。

ヨルは、華麗にそれを躱すと箪笥の上に着地した。

「ホームズには、いつもろくでもないめにしか合わせられていないし、そこの小ムスメには、今日散々な目に合わされたからな」

今日、ヨルはローズの不機嫌に完全に巻き込まれ、気まずい思いをしていた。

「貴様らの幼少期の話をしてやろう」

「ヨル、そんな事おれ達ががさせると思うかい?」

ホームズとローズは、完全にヨルを敵として、ロックオンしている。

しかし、ヨルは不敵に口角を吊り上げて笑う。

「俺じゃ無理だろうな………俺じゃあ、な?」

 

 

 

「『ピコハン』」

 

 

 

エリーゼとティポの精霊術が発動し、オモチャの用なハンマーが、ホームズとローズの頭に落ちる。

ホームズとローズは、そのまま気を失った。

「分かってるじゃないか、ジャリ」

ヨルは、満足そうに言う。

エリーゼは、ジャリという言葉に少し不服そうだ。

 

「え、エリーゼ、容赦ないね……」

レイアは、少し頬が引きつっている。

エリーゼは、そんな言葉を聞いて申し訳なさそうな顔をしている。

「そう、気にするなエリーゼ。お前がやらなかったら私が水をかけていた」

ミラの言葉に全員言葉を無くし、ため息を吐く。

 

ヨルはそんな一行を見渡すと、口を開いた。

 

 

 

 

「さて、話してやろう。こころして聞けよ」

 

 

 

 

 

 

 




枕投げ………

なんか、疲れるまでやり切って、そして、その時、舞った埃のせいで鼻が詰まって眠れない'………


そんな修学旅行を一度経験しました。


もう二度と体験したく無い。











今更ですが、感想をくれた皆さんありがとうございます。


感想を貰うと、嬉しくていつもにやにやしながら、読んでいます。


ては、また、三十六話で、( ´ ▽ ` )ノ



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