早いもんだ………本当に
てなわけで、どうぞ
「てな感じだ」
ヨルは、全ての話を終えた。
『つまり、ホームズとローズは、キスしてたんだ。わーお』
ティポは、にやにや笑いながら床でのびている二人を見る。
「そりゃあ、二人とも必死に隠すよね」
レイアは、呆れている。
しかし、今回の話のメインは、それだけではない。
ホームズの無茶がかなり目に付く話だ。
友達を遠ざけ、自分にだけ被害を被るようにし向ける。
ホームズは、馬鹿な行動が目立つため、忘れがちだが、決して頭が悪い訳ではない。
しかし、今回とった行動は、馬鹿そのものだ。
自分よりも人を優先させた、と言えば聞こえはいい。
しかし、そんな程度のものではない。
今回は、偶々、ローズの姉と言う存在がタイミングを見計らって真相をぶちまけたから良かったが、下手を打てばローズとの友情を全てぶち壊していたのだ。
人との繋がりを断つというのは、生半可な覚悟ではやってはいけない。
そんな覚悟をホームズは、たった七歳で決めたのだ。
レイアは、そんな事を考えながら気絶しているホームズを見る。
ジュードは、そんなホームズをおぶる。
「僕は、ホームズを寝かせてくるよ。ヨルも来るでしょ?」
「まあな」
そう言うとジュードは、ホームズを背負い、ヨルはてくてくと後をついて部屋を出て行った。
「んじゃあ、俺たちも……」
「そうですね、本当は、今日打ち合わせをしときたかったのですが………まあ、明日の朝にしましょう」
アルヴィンとローエンは、ジュード達の後を追って出て行った。
「さて、ローズをベットに運ばないと」
「自分で出来るわ」
ローズは、むくりと頭を抑えながら起き上がる。
「………」
痛みに耐えるその表情は、若干ではあるものの、つり目であるローズの顔つきを凶悪な物に変える。
「ひっ………」
『に、睨んだって怖くないぞー!』
エリーゼとティポに、ローズは何も言わず、ふらふらとベットに腰掛ける。
「で、何処まで聞いたの?」
ローズは、レイアに尋ねる。
「えーっと………」
どう答えればいいのか、レイアは必死に考えている。
何せ、下手をすればローズに多大なダメージを与えて仕舞うのだ。
「ホームズとの別れまで聞いた」
しかし、レイアの考えとはお構いなしにミラが答える。
案の定、ローズは顔を真っ赤にする。
「だから言いたくなかったのにーー!」
ローズは、雄叫びを上げる。
「どうどう………」
「そりゃあ、私だってさ、き、き、キスの意味ぐらい知ってたわよ!でも、姉さんが、『いい、同性同士ならあり得ないけど、男女の友人相手の仲直りなら、これが一番手っ取り早いんだよ。貴方だって仲直りしたいでしょ?』って言うのよ!………そんな言い方されたら、やらないなんて言えるわけないじゃない!!『いいから、騙されたと思って』って、本当に騙す奴がいるかー!」
「いたんだろ」
ローズの心の叫びにミラが当たり前のように呟く。
ミラに向かっていきそうなローズをレイアが後ろから羽交い締めにして止める。
因みに誰も口に出さなかったが、騙される奴も騙される奴である。
しばらくすると、ローズも大分落ち着いて来た。
どっかりと腰をベットに落とす。
それを見ると、レイアは、ローズに聞く。
「あのさ、ローズ。やっぱり、辛かった?ホームズにあんな事言われて………」
「当然ね」
ローズは、苦虫を噛み潰した顔になり、ノータイムで返す。
「もしかして、自分が優越感に浸りたかっただけなのか、弱い者を助けるという行動に酔いたかっただけなのか………自信が持てなかった。あの時の私の言葉が実は嘘なんじゃないのかと、建前だったんじゃないかと思わざるを得なかった」
ローズは手を組む。そして、指に力が入る。
「自分が信じられなくなった。
…………怖いものよ、自分を信じられなくなるって。何より、もうホームズと遊ぶ事が出来なくなった。当然と言えば当然よね。あんな事を言われて、一緒に遊ぼうなんて思えないもの」
ローズは、ポツリポツリとその時の気持ちを語る。
「姉さんは随分前から気づいていたみたいでね、前日の夜に教えてくれたの。
全部の種明かしを聞いた時、ホッとするよりも先に、とても悔しくなった。
だって、そうでしょ?
私がイジメのターゲットにならないくらいの力があれば、ホームズは、あんな事を言わなくて済んだ………あんな自分から味方を減らすような最悪な一手を打たなくて済んだのよ。
自分の無力さが憎かった。本当に………」
「だから、ローズは………」
「そう、剣を習ったの。マーロウさんにね」
そう、ローズは、ホームズと別れてから剣を習ったのだ。
ホームズがローズの戦闘スタイルを知らなかったのも無理はない。
「まあ、リリアルオーブを手にいれたのは、もう少しあとなんだけどね」
そう言ってチラリと自分のリリアルオーブを見せる。
「………ていうか、マーロウさん剣使えるの?剣を持ってる所見た事ないんだけど………」
何度思い返しても、キセルをふかしているところしか出てこない。
「あの人、大抵の武器ならなんでも使えるわよ。もちろん、格闘技も」
「恐ろしい人だね……」
レイアは、思わず頬が引きつるのを感じた。
「まあ、ね」
ローズは肩をすくめる。
「ふむ、ではお前はホームズの為に剣術を習ったのか………」
その言葉にローズは、珍しく顔を赤くしない。
「んー、ちょっと違うわね。………私はね、もう自分に力がないばかりに自分の傷を人に押し付ける様な事をしたくなかったのよ」
ローズは、ベット脇にある刀を掴む。
「姉さんに言われたの。これから先、こんな事は、自分の無力を嘆く事は山程あるって。だったら、減らせるだけ減らそうってそう思ったの」
鞘から刀を抜き光にかざす。
白く光る刀身を見ながらローズは、それからの日々を思い出す。
「まあ、そうそう、上手くは行かなかったけどね」
辛そうにローズは微笑む。
ミラは何と無く見ていた。
結局、力をつけたからと言って全てが思い通りには、ならない。幸せになるとも限らない。
むしろ、力をつけた事により、更に自分の力の無さを自覚する羽目になったりする。
また、力を本来の目的とかけ離れた理由でふるってしまう事もある。
結果として不幸になってしまう事なんてよくある事なのだ。
「ローズ……その選択に後悔はなかったか?」
ローズは首を横にふる。
「ないわ。お陰で貴方達に会えたもの」
ローズはにっこりと微笑む。
そんな事ばかり考えていたミラはローズの笑みで少し毒気をぬかれる。
「そうか」
「ええ。ピコハンを食らったけれど、なかなか楽しい時間を過ごせたわ」
レイアは、少し考える。
「もしかして、ローズがわざわざ自腹切ってまで泊まった理由って………」
ホームズが目的ではない。
ローズは、ミラやエリーゼ、そして、レイア達とワイワイガヤガヤするためだったのではないのだろうか?
レイアのそんな疑問を察した様にローズは、ウィンクをし唇に一本立てた指を持って行く。
「言わずが花ってね」
そう言うとローズは刀を鞘にしまい布団に潜り込んだ。
そして、暫くすると、可愛らしい寝息が聞こえ始めた。
レイア達は、ポカンとしていた。
「………何処かの誰かを思い出すな」
ミラの言葉にポンチョを羽織ったアホ毛男が頭に浮かぶ。
「結局、似たもの同士なんだろうね」
レイアは、ため息を吐く。
「年上って、やっぱりすごいなあ」
最後の最後でローズは、レイアに年上の実力をまざまざと見せつけて来たのだ。
たかだか、二年の違いなのだが、なるほど、これが年上かと納得するには十分の事だった。
「なんか……初めてローズの恰好良い姿を見た気がする………です」
『ほんとにー。普段は恋する乙女なのにー』
エリーゼとティポの言葉にレイアは苦笑いする。
そんなローズの寝顔見るとレイアは、ヨシと握り拳を作る。
「ミラ、明日頑張ろうね」
「ああ」
ミラは、力強い笑顔で頷く。
こうして、女の子達の夜は更けて行った。
覚悟とそして、ちょぴり苦く、ちょぴり甘い話と共に。
章タイトルが、ガールズトークなのに、結局野郎共が入ってきてしまいましたね………
挙句の果てに、ヨルが喋るし………
もう、お前黙ってろよ!って言いたくなりました(笑)
さて、悪態は、この辺にして、
次回から本編に入ります!お楽しみに!
では、また、四十一話で( ´ ▽ ` )ノ