1人と1匹   作:takoyaki

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四十一話です。


色々ありまして、遅れました。
まあ、たいした事では無いのですが……


本当は、三連休中に上げたかったんだけどなぁ………



てなわけで、どうぞ


闘技大会
喧嘩片成敗


「よく休めたようだな」

「……お陰様で」

ユルゲンスの言葉にホームズは、不機嫌そうにエリーゼを睨みながら返す。

「何かあったのか?」

「………色々」

ユルゲンスの言葉にもホームズは、ふくれっ面で返す。

ユルゲンスは、そんなホームズに顔を引きつらせると、一行に告げる。

「さ、さっそく本日の予定だが、参加数の関係で本戦は、今日一日で全て行うことになりそうだ」

その言葉にジュードは少し面食らう。

「今日だけですか。ずいぶんハードなんですね」

ユルゲンスの後を引き継ぐ様に近くにいた男が口を開く。

「何戦あるかは、今日の組み合わせ次第だ」

「鐘がなったら、闘技場にあつまってくれ。開始の合図だ。私達は、闘技場で待ってるよ」

ユルゲンス達はそう言って、宿屋を出て行った。

アルヴィンは、それを見送ると口を開く。

「さて、時間ができたみたいだけど、どーするよ」

ミラが真っ先に言う。

「私は広場を見て来る。少し、気になるのでな」

「あ、わたしも行く!じっとしてても緊張するだけだし」

レイアの言葉にアルヴィンは、少し考える。

「んー。じゃあ、おれも行くか」

レイアは、少し驚いてアルヴィンを見る。

ジュードは腕を組んで考える。

「僕は……」

『ジュード君!観光しよーよー!』

ジュードが悩んでいると、ティポから、声がかかった。

「私も……色々……見たい……です」

「エリーゼは、街に見覚えがあるんだっけ」

ジュードの言葉に、ホームズは首を傾げる。

「そうなのかい?おれ、知らないんだけど……」

『ホームズがいない時に、そういう話をしたんだよー』

ティポが、少し意地悪く言う。

ホームズは、みんなが危なかった時にそばにいなかったのだ。

ホームズは、ティポの言い草に肩を竦める。

「へいへい、悪かったよ」

『埋め合わせぐらいして欲しいなー』

「昨日の仕打ちを棚に上げて何を言ってるんだい……」

しかし、ティポとエリーゼは、そんなホームズの悪態に構わず、曇りなき眼で、ホームズを見ている。

「………」

ホームズは、しばらく目を離さないで睨む。

しばらくすると、ホームズは、大きくため息をつく。

「…………わかったよ。ついて行くよ……」

結局、ホームズが折れるハメになった。

『やったー。これで、ホームズ君も友達だねー』

ティポは、大喜びでホームズの周りを飛び回る。

しかし、ホームズは、イマイチ釈然としていない。

「『これで』って、今までは何だったんだい?」

「胡散臭い人……です」

「甘いな、ジャリ。正解は、雑魚だ」

エリーゼの言葉にヨルは至って真面目な口調で言う。

「……君達、おれになら何を言っても許されると思ってるだろう」

ホームズは、半眼で言う。

「悔しかったら否定してみるんだな」

ヨルのその人を蔑んだ物言いにホームズは、こめかみをヒクつかせると、ヨルに向かって攻撃態勢をとる。

そんな彼らを見て、エリーゼは、オドオドしている。

ローズは、ため息を吐くとどうしようかと考え始める。

レイアの方を見ると、何だかよく分からないが、応援しているように見える。

(ホームズと一緒に周りなよ!)

よく、口の動きを見てみると、レイアはローズにそう言っていた。

ローズは、さらに考えると、

「……じゃあ、私はレイアと一緒に周るわ」

レイア達の方を見てそう言った。

レイアは、落胆しているし、アルヴィンは、含み笑いをしている。

すると、ローエンが、すっと前に出る。

「では、私はエリーゼさん達と行きましょう。ジュードさんも一緒にどうですか?」

ジュードはローエンの誘いに頷く。

「うん、そうするよ」

アルヴィンは、それを見届けると口を開いた。

「それじゃ、鐘がなったら、闘技場直行って事で」

ホームズは、アルヴィンに手を振るとローエン達と街に繰り出した。

 

◇◇◇◇

 

 

「なるほど、ジュードさん達と、ホームズさんはそんな出会いをしていたのですか……」

「うん、まあ……」

「俺もな」

横から口を挟むヨル。

道すがらローエンら、ジュードから、ホームズ達との出会いについて聞いていた。

ホームズは、ため息を吐いている。

「本当に死ぬかと思ったよ……それもこれも、このちんちくりんが悪いんだ!」

そう言うとエリーゼのほっぺたをつねる。

「ホームズ?!」

ジュードの声が裏返る。

「さっきの、暴言と昨日のピコハンを含めてこうしてやる、こうしてやる!」

すると、ティポが飛んできてホームズに噛み付く。

 

 

 

「んぼほぉ!!」

 

 

 

 

ホームズは、一生懸命引き剥がそうとする。

しかし、健闘虚しく伸びるだけだ。

「取れないんだよな、これ」

ヨルは肩からホームズの惨状をみている。

「いい気味……です」

エリーゼは、ほっぺたを痛そうに抑えながら、ホームズを見る。

ホームズは、スポンとティポを外す。

「死ぬかと思った……」

ホームズは、肩で息をしている。

『エリーをいじめるからだー、このロクデナシー!』

「んだと、このムラサキダルマ!」

ホームズは、ティポに掴みかかろうとする。

そんなホームズをジュードは後ろから羽交い締めにして止める。

「あーもう!やめなよホームズ」

そんな中ティポを助け出した、エリーゼは、ホームズに向かって舌を突き出している。

 

 

 

「本当にいたよ、まあ、あの元気な嬢ちゃんの予想とは少し違うようだが………」

 

 

すると、突然キセルを持った男が煙を吐きながら近づいてきた。

 

 

 

 

「………で、お前は何してんだ?」

 

 

 

キセルを持った男、マーロウはキセルを咥えて、ふらふらと近づいて来た。

そして、ホームズにデコピンを放つ。

「──────!いってぇー……何をするんです!?」

マーロウは、やれやれと言う風に煙を吐く。

「お前こそ、何、大人気ない事やってやがる」

そう言うと、マーロウは、エリーゼの頭にポンと手を置く。

「大丈夫だったか、嬢ちゃん?」

「はい」

『お陰様でねー』

エリーゼとティポが話す。

そんなティポに、マーロウは、目を丸くする。

「おっどろいた……本当に喋りやがる。ナニもんだ、お前?」

『ティポだよー。そして、こっちがエリーゼ。僕はエリーって呼ぶけどね』

そう言って、ティポはマーロウに自分とエリーゼの紹介をした。

マーロウは、少し困った顔をしている。

「そういうわけじゃねーんだが……ま、いっか。俺はマーロウ。よろしくな、ティポ、エリーゼ。ついでにその奥の2人もな」

マーロウの言葉にジュードとローエンは、それぞれ名乗る。

「ジュード・マティスです」

「ローエンと言います。こちらこそ、よろしお願いします」

「よろしく……です」

『よろしくー!これで、マーロウも友達だねー』

「友達?」

マーロウは、思わず聞き返す。

『だって、ホームズの魔の手から救ってくれたんだもん。ホームズよりもずっといいよー』

「……なんだろ、たかが、ぬいぐるみごときの戯言なんだけど、凄く心にくる………」

ホームズは、顔に暗い影を落としながら、エリーゼを見る。

「ティポの言うとおり……です」

ホームズの心は完全に折られた。

その様子をマーロウは、笑いながら見ている。

「くくく。フられたな、ホームズ」

「うるさい!」

掴みかかるが、簡単に頭を押さえられる。

そんな様子を見て、ヨルは言う。

「で、お前は何しにきた?」

マーロウは、ホームズへの手を緩めずに返す。

「エールを送りに、な。さっき、そこでローズ達と会ってな、ホームズ達も出るって聞いたものだから、一言激励してやろうとしていたら……」

「さっきの騒ぎが、目に入った、と?」

「そう言う事だ。さて、お前はどうする?」

「何がです?」

ホームズは、聞き返す。

そんなホームズに、マーロウは、やれやれといった風に肩を竦める。

「お前は、仮にも立ち入り禁止の身だ。こうやって、俺と会う程度なら問題ないが、闘技大会なんて、公の舞台に立つんなら話は、別だ」

その言葉にローエン達は驚く。

「ホームズ、立ち入り禁止って……」

『どうして、そんな大事な事を黙ってたんだよー!バホー!』

ジュードとティポは、口々に言う。

ホームズは、そんな文句は、どこ吹く風と言ったように、

「だって、聞かれなかったからね」

しれっと言った。

マーロウは、ため息を吐く。

「っとに相変わらずだな。そういうところ。ローズには、言えないだろうが、こいつらには、言っとけや……まあ、いいや。小言は、後にしてやる」

マーロウは、キセルをホームズに向ける。

「適当な偽名を今考えろ。俺がそっちで、提出させる」

「貴方にそんな力があるとは知りませんでしたよ」

ホームズは、要らない茶々を入れると少し考える。

どうせなら、少し意味深でかっこいいものがいい。

そんな事をくだらない事を真剣にやっていた。

しかし、なかなか、いい案が出てこない。

「めんどくせー。ワトソンでいいだろ」

ヨルが、横から適当に言う。

「いや、もう少し別の……」

「残念だが、時間切れだ。手続きには、時間がかかるんでな」

ホームズの反論虚しく、マーロウは、ヨルの案である、ワトソンを採用してしまった。

「んじゃあ、そういう事で手を打っとくから、それとホームズ」

最後にホームズの方を向く。

「お前、その生き方どうにかしろよ。でないと、いつか取り返しのつかない事になるぞ」

マーロウの言葉に、ホームズは、肩を竦める。

「小言じゃなくて、エールがほしいですね」

いつものように軽口を叩くが、マーロウの真剣な顔を見て、ホームズは、ため息を吐く。

「………一応、注意しておきますよ」

「………ま、今のお前じゃ、そう言うのが精一杯だろうな」

マーロウは、そう言うとホームズの横を通り過ぎる。

「頑張れよ、色々とな」

最後に頭をポンと叩いて闘技場の方に消えて行った。

ホームズは、マーロウに叩かれた場所を仏頂面しながら、触っている。

どうやら、子ども扱いされた事が不満だったようだ。

「へいへい、頑張りますよ」

歩き出そうとすると、ローエンに呼び止められる。

「ホームズさん、聞いてもよろしいですか」

「何をだい?」

「貴方が、この街に立ち入り禁止になった理由です」

この言葉は、ホームズにとって予想通りだ。

だからこそ、このセリフがでる。

「内緒。男は、秘密があった方がカッコいいからね」

人差し指を口に持ってくる、ホームズ。

ジュードは、またか、と言う顔をしている。

「言うつもりはないんだね」

「まあね、こればっかりは……」

ホームズは、大きくため息を吐く。

そして、ホームズは、手を一つ叩くとエリーゼを見る。

「そんな事より、今はエリーゼだろう?何か思い出したかい?」

強引にホームズは、話を変えた。ローエンは、少し納得していない。

そんなローエンにホームズが、耳打ちする。

「あーなったら、ホームズ、喋ってくれないよ」

「なるほど。訳ありと言うわけですか……」

「というか、訳しかないよ……」

「君達、聞こえてるよ」

ホームズは、半眼で2人に言う。

「で、ジャリ、思い出したか?」

ヨルは彼らに構わずに言う。

『ジャリ』と言う言葉にエリーゼは、顔を顰めるが答える。

「いいえ……」

『僕も覚えてないなー。というか、ヨルが心配するなんて、どういう風の吹きまわしー?』

ティポの質問にヨルは顔を邪悪に歪める。

「ククク、心配だと?馬鹿言え。どうして俺が、んな事をせにゃならんのだ」

ヨルは尻尾の先をエリーゼの顔に向ける。

「単純に興味があるんだ、俺はお前にな」

「私……にですか?」

エリーゼは戸惑う。

ヨルは白い歯を見せる。

「どう考えても不自然だろ。お前の精霊術の実力。

才能とか、努力とかで片付けるには、無理がある。まさに、謎だ」

ヨルはそこで一旦言葉を切ると再び話す。

「謎を解きたいのは、知らないことを知りたいと思うのは、知性のある生物の本能、いや、欲望と言っても間違いじゃないな。お前もそうだろう、ホームズ?」

「……おれに振らないでおくれよ」

突然の事にホームズは、ため息を吐く。しかし、否定はしない。

ホームズの行動原理でもあるのだ。

ポカンとしているエリーゼの方にホームズは、顔を向ける。

「ま、つまり、ヨルに心配(そんなもの)を期待するのは間違いって事さ」

ホームズは、ヨルの言葉をそうまとめた。ジュードは納得すると、兼ねてからの疑問をティポに尋ねる。

「そう言えば、ティポはいつからエリーゼと一緒にいるの?」

『わすれちゃったー。でも、エリーとは、研究所にいた時から一緒だよ』

さらりと、とんでもない事を言うティポ。

「え、研究所……」

「………」

ジュードは、驚いているし、ヨルは興味深そうにしている。

ジュードの言葉に今度はエリーゼが、答える。

「ティポは……研究所の人が連れて来てくれたんですよ、ね」

「ローエン、ホームズ、研究所って……」

ホームズは顎に手を当てる。

「十中八九、エリーゼの精霊術に関係していると思うけど……所詮は、推測だからなぁ……」

「証拠がない、という訳か……」

ヨルは納得する様に言う。

「そゆこと。ローエンはどう思う?」

ホームズは、ローエンに振る。

「うーむ……」

ローエンは、あご髭をなぞりながら考えている。

その様子をティポが興味深そうに見ている。

『ローエン君は、そうやってよくヒゲを触ってるよねー?』

その問いにローエンは、静かに返す。

「こうしていると、落ち着いて考えがまとまるもので」

そう言うと少し、いたずらっぽい笑みを浮かべる。

「どうですか、ティポさん?ほらジュードさん達も……」

「え……僕は……」

「おれだって……」

ジュードとホームズは、引いている。

「ほら、遠慮なさらずに、ジジイのヒゲは嫌いですか?」

しかし、ずいっと顔を前に出すローエン。それに押し負けたジュード達は大人しくローエンのヒゲを触った。

触り終えると、エリーゼは、うかない顔をする。

心配になったジュードは、エリーゼに尋ねる。

「エリーゼ、どうしたの?ヒゲが気持ち悪かった?」

「すごいね、ジュード君……」

ローエンは、ジュードの言葉に少しショックを受けると、ヒゲを再び触る。

「おかしいですね。手入れは怠っていませんが……」

そんな事をしているとエリーゼは泣き始めた。

ホームズは、思わず顔を顰める。

「………」

「え、え、え?どうしたのエリーゼ?」

ジュードは突然の事にあたふたとして、尋ねる。

「………お父さん………」

涙なからに絞り出した言葉は、自分の父親のことだった。

「お父さん?エリーゼのお父さんにもヒゲがあったの?」

ジュードからの問いにエリーゼは、しばらくしてから頷いた。

「お父さん……お母さんに会いたい……うっ……ひっく……」

 

 

その時、闘技大会の開始を知らせる鐘が鳴り響く。

 

 

「鐘が……!」

「始まりだねぇ……でも……」

ホームズは、そうこぼすと、エリーゼを見る。

ローエンは、泣き止む気配のない、エリーゼに静か尋ねる。

「エリーゼさん。ご家族がどこにいるか思い出したのですか?」

エリーゼは、涙を拭きながら首を横に振る。

「なんだ、使えないな」

すぐさまヨルにアイアンクローをかけるホームズ。

そんな彼らに構わず、ローエンはエリーゼに尋ねる。

「この街なら、エリーゼさんを知っている人がいるかもしれません。ミラさん達とお別れして、探してみますか?」

あやすように、しかし、厳しい言葉をローエンは投げかける。

そんなローエンの問いに直ぐに涙を拭いて顔をあげる。

「み、みんなと一緒がいい。と、友達だもん」

『僕もエリーの友達だから、一緒だよー』

ティポもエリーゼを励ます。

「ティポ、ありがとう」

元気になったエリーゼを見て、ジュードは、身を屈めて声をかける。

「じゃあ、闘技場に行こっか。歩ける、エリーゼ?」

エリーゼは、必死に涙を堪える。

ホームズは、ため息を一つ吐くとポケットから、ハンカチを出して渡す。

「ほら、どうぞ」

エリーゼは、おずおずとハンカチを受け取ると、涙を拭く。

「はい……頑張ります」

エリーゼの決意が固まると一行は、闘技場へ歩き出した。

 

 

 

「あの……これ……」

エリーゼは、先程のハンカチを返そうとする。

「いいよ、別に返さなくても。そんなもの、たくさんあるしね」

「でも……」

まだ引き下がるエリーゼにホームズは、ため息を吐く。

「じゃあ、こうしよう。これは、お詫び」

「お詫び?」

「そ。さっきは、まあ、おれもやり過ぎたし、そのお詫び。これなら、文句ないだろう」

「……分かり……ました。これは、もらっておきます」

うんうんと、ホームズは満足そうに頷く。

 

 

「仲直りの証……です」

 

 

そう言ってハンカチをティポの中にしまった。

 

 

「………なに、あれ?」

「さあ?」

「私に聞かれても……」

「良かったじゃないか、大切にしてもらえて」

 

 

ホームズは、最後にため息をもう一つ吐く。

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃあ、闘技場に行きますか……」

 

 

 

 

 

こうして、ジュード組は、闘技場へ向かった。

 

 

 




自分の投稿ペースは、一話書き上げたら、ストックの中から一話投稿、という感じなのですが………


三連休中………

「SAO見ようぜー」



「ワンピース見ようぜー」


「ちょっと、手伝ってー」


「恐い話、録画しといてー」


「恐い話見ようぜー」




「寝てたら起こしてー」





日曜日の八時………
「仮面ライダーの面白さが全く分からない……どの辺が面白いの?」
((イラッ))


ひっきりなしに友人達が来ました



執筆全く進まねえー!


いや、楽しかったですけどね……(最後以外)ゴールデンウィークの事を考えれば遥かに充実していました





ではまた、四十二話で( ´ ▽ ` )ノ

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