何だか、色々と予定が立て込んでます…………
てなわけで、どうぞ
「待っていたよ。お仲間は先についているよ」
ホームズ達が着くとそこには、すでにローズ達が来ていた。
レイアは、ジュードの方に歩いて行った。
恐らく、先程の観光で、手に入れた情報を交換するのだろう。
ホームズは、それには参加せず、1人でポツンと立っているローズに声を掛ける。
「やっほー」
ホームズは、緊張感無く手振る。
ローズは、ため息を吐く。
これから、試合だというのにホームズからは、全く緊張感というものを感じない。
「余裕そうね、随分と」
「いやいや、これでも緊張しているだよ」
そう言って大あくびをする。
「気楽ね、貴方は」
ローズは、馬鹿にする様に言う。
「いいだろう、別に……」
その時ホームズは、気付いた。
ローズの手が震えている事に。
「……君、もしかして緊張してるのかい?」
「………悪い?」
キッと凄い勢いで睨まれる。
ホームズは、何と無く猛獣を目の前で相手にしてる気分だ。
「そういう時は深呼吸をすれば……」
「もう、何度やったか分からないわ」
唇は、白く乾いている。
「ヨルの肉球でも触る?」
「……冗談は、顔だけにしなさい」
「……傷付くから、やめて」
ホームズは、泣きそうだ。
ヨルはクスクスと笑っている。
ホームズは、目元を拭うと、ローズに言う。
「目をつぶっておくれ」
「は?」
ローズは、突然の事に訳が分からないという顔をする。
「いいから、いいから」
ローズは、言われるがままに目を閉じる。
何をされるのか、ローズには全く見当がつかない。そう思い、目を薄く開ける。
しかし、それに気付かないホームズでは、ない。
「目を閉じてと言ったはずだよ」
そういうと、ヨルに指示をだし、目を閉じさせる。
ローズは、肉球の感触を感じながら、動揺していた。
目を薄っすら開けたあの一瞬、ホームズが、両手をローズの両頬に伸ばしているのが見えた。
何をされるのか、考えだすと止まらない。
ローズは、自分の顔が熱くなっていくのを感じる。
次の瞬間、その熱が最高潮に達する。
思わず目を開けると、そこにはローズの両頬をつねっている、ホームズがいた。
「……何してるの?」
ローズの質問には、答えない。
「たてたて♪」
代わりにローズの両頬をつねったまま、上下に動かす。
もちろん、痛い。
「よこよこ♪」
次は、横に引っ張る。
もちろん痛い。
「まーるかいて、チョンッ!」
最後に、頬をぐるっと回して強く引っ張る。
もちろん……
「───!」
痛い。
ローズは、両頬を抑えている。
対するホームズは、誇らしげだ。
「どうだい、緊張は?母さん直伝なんだけど」
ローズは、返事をしない。
代わりに、右ストレートで答える。
「っうお!」
ホームズは、ギリギリでバックステップして、躱す。
「……躱したか」
「危ないじゃないか!」
ホームズは、冷や汗をかきながら、叫ぶ。
試合前に怪我なんてするわけにはいかない。
「なんだか、よく分からんが、地雷を踏んだ様だな」
「分かりきってる解説をありがとう。君が居てくれて、おれは、幸せだよ」
ヨルの呑気な物いいに青筋を浮かべながら、ホームズは、返す。
そうこうしてるうちに、今度は飛び蹴りが、飛んで来る。
ホームズは、全力ダッシュで、ローズから、逃げる。
そんな、ホームズをローズは、全力で追う。乙女心を無自覚とはいえ、弄んだ罪は重いのだ。
「……誰か止めたら」
一部始終見ていたジュードは、ポツリと呟く。
もうそろそろ、試合が始まるのだ。
いい加減にして欲しいのだが、2人は、こちらに気付かない。
「任せろ、ジュード」
ミラはそう言うと、胸に手を当てる。
「天杯溢れよ……」
「み、ミラ?」
「スプラッシュ!!」
突如現れた水亀から、ローズとホームズに大量の水が降り注ぐ。
しかし、
「完全にとばっちりじゃねえか」
ヨルは巨大な生首状態になってその精霊術を丸呑みにした。
その後すぐにその生首は、揺らぎ始め、いつものヨルの姿に戻った。
ホームズとローズは、げんなりとした様子で、ミラを見る。
どこの世界に、喧嘩を止めるのに精霊術を使う奴がいるのだ。
しかし、ミラは詫びれもせず、しれっと言う。
「そこまでだ、2人とも」
「……ミラ、もう少し別の止め方はなかったのかい?」
「1番、手っ取り早かったので、この方法を取らせてもらった」
「……ああ、そう」
ホームズは、ため息を吐く。
ローズも同じ様な顔をしている。
「さあ、行くぞ」
ホームズ一行は、会場へと、歩きだした。
ローズだけ止まり、自分の手を再び見てみる。
「……感謝しないと、ね」
不服そうに、そして、ほんの少し嬉しそうに呟く。
「ローズ、早く行くよ!」
「了解」
ホームズの言葉に手から視線を逸らす。
今なら負けそうに無い。
ローズは、すっかり震えの収まった手を刀に掛けながら、心に思った。
◇◇◇◇
【続いての登場は、キタル族代表だ】
一行が、辿り着くと会場の扉が、重々しく開いた。
扉の開かれた先にはこの前見た円状の会場が広がっていた。
ただし、前と違い、客席にお客がたくさんいた。
恐らく、ありとあらゆる部族が居るのだろう。
「こんなに大勢……」
ジュードは、息を飲む。
「過度な緊張は、本来の能力を低下させると言う」
ミラは微笑む。
「気楽にだ、ジュード」
「う、うん」
戸惑いながら、それでも力強く頷く。
その様子を見ていたホームズは、ローズの方を向く。
「大丈夫そうかい?」
「おかげさまで」
ローズは、おどけて言う。
そう言葉を掛け合い、それぞれが、入場する。
【今回の登録選手の中で魔物を操らないのは、彼らだけです。その実力は、未知数。いかほどのものなのか】
「え、魔物?」
場内アナウンスにレイアは、おののく。
自分達には無いもので攻め来るのだ。
ローエンもヒゲを触っている。
「おいおい、何を言ってるんだい、レイア?こっちには、化け物がいるんゼ」
そう言ってホームズは、ヨルを指差す。
ヨルは、フンと鼻を鳴らす。
【おーっと、ここで相手選手の入場だ】
相手選手が蟹の様な魔物を引き連れてやって来た。
その瞬間、ヨルのヒゲがピクリと動く。
「どうしたんだい?」
ホームズが、それに気付きヨルに尋ねる。
「あの鎧を着込んだ人間が見えるか?」
「ん、まあ、当然。おれ、別に目は、悪くないもの」
ホームズの言葉を聞くとニヤリといたずらっぽくヨルは笑う。
「あの人間、お前を昔いじめていた奴だ。
「へえー……」
ホームズも、ヨルと同じ様な笑みを浮かべる。
レイアは、そんな彼らを見て、何だか、やな予感がして来た。
「さあ、行くぞ!」
ミラの掛け声と共に一行は、走り出した。
「レイアちゃん」
今まで体験した事も無い様な寒気をレイアは、感じた。
ホームズが、ちゃん付けで呼んだのも大きな要因だが、それだけではない。
顔だ。
ホームズは、見た事も無い様な邪悪な笑みを浮かべている。
「クイックネス、お願いしてもいいかな?」
レイアとしては、そんな顔をしてる奴に絶対にかけたくないのだが……
「待てホームズ」
そんなホームズをヨルが止める。
ヨルの行動にレイアは、涙を禁じ得ない。
ヨルのおかげで対した事にはなりそうもない。
「スピードを強化してどうする。ここは、剛照来で、攻撃力の強化だろ」
「…………」
レイアの顔から血の気が消える。
ヨルのせいで、とんでもない事になりそうだ。
「あいつには、石を投げられた恨みがあるからな」
「奇遇だね、おれもだよ」
「いざとなれば、さっき喰った精霊術の分がある。黒い球なら、出せるぞ」
「心強いね」
ホームズは、拳を握り腰を落とす。
「剛、照、来!」
ホームズから、碧い目は、爛々と輝き、身体からは、赤い湯気が出る。
「程々に、と言っても聞きそうにないね………」
「よく分かってるじゃないか、ムスメ」
レイアの言葉にヨルは、満足そうに微笑む。
何を言っても無駄だと判断したレイアは、ため息を一つ吐く。そして、胸を張ると、ホームズに、友人にエールを送る。
「思いっきりやっておいでよ、ホームズ」
ホームズは、レイアのエールに目を丸くする。
「………嬉しい事をいってくれるね」
そういうと、ホームズは、相手に向かって構えをとる。
「いくゼ!」
言うが早いか、ホームズは、
そのホームズから主人を守る為にに巨大な蟹の様な魔物達が、ワラワラと、前に出てくる。
「邪魔だァァァァァァア───、ボケェェェエ!!」
ホームズは、何のためらいも無く、その魔物を蹴り飛ばす。
剛照来の恩恵だろう。魔物の甲羅には、ヒビが入っている。
一息吐く間もなく、次の魔物が、ホームズの背後から、巨大な鋏を振り下ろしにかかる。
「ホームズ!!」
ローズは、思わず叫ぶ。
助けに行きたいのだが、自分達の魔物を倒すのに精一杯だ。
何より距離がある。
ローズが歯噛みしている中、ホームズは、振り下ろされた鋏を後ろを向いたまま蹴り上げる。
「まさか、勝ったつもりだったのかい?」
ホームズは、ニヤリと笑うと、その後蟹の魔物と向き直ると、右脚に黒い気配ではなく、闘気を纏う。
そして、その脚を思いっきり、蟹の魔物に蹴りつける。
「獅子戦哮!!」
その瞬間、ホームズの脚に纏っていた闘気は、獅子の形を成して魔物に襲いかかる。
魔物は、そのまま二、三頭巻き込みごちゃごちゃと倒れた。
おかげで、
「ご主人様、はっけ〜ん」
鎧の人間を守る壁がなくなった。
他の魔物を呼ぼうにも、他の連中は、皆、ジュード達と戦っている。
つまり、ホームズとは自分が戦わなければならないのだ。
しかし、あんな化け物の様な戦いをした、ホームズ相手に鎧の人間は、冷静だ。
その理由は、時間だ。
剛照来には、制限時間がある。
ホームズの今回の戦いは、それのおかげというのが大きな要因だ。
しかし、今剛照来の効果時間は過ぎた。
(つまり、恐れる必要はない)
「と、思うだろう?」
ホームズは、余裕の笑みを浮かべる。
そして、そのまま顔面に蹴りを入れる。
「グオッ!!」
衝撃が頭の中で響き渡る。
ホームズの脚には何も纏っていない。
「悪いね、ヨル。やっぱり、こいつにはおれが、文字通り蹴りをつけたいんだ。だから、黒い球は、無しだよ」
「………ま、いいだろ」
ホームズからのお願いにヨルは、不服そうだ。しかし、了承する。
「助かるよ」
「ただし!」
「はいはい、分かってるよ。言われなくても……」
ホームズは、ニヤリと笑う。
「勝つさ」
言うが早いか、ホームズはふたたび仕掛ける。
相手もそれに答える様に盾と槍を構えて突撃してくる。
槍も盾も、破壊できそうにない。
「だったら、破壊しなきゃいいのさ」
ホームズは、右脚を高々と上げ、かかと落としを槍に決め、踏みつける。
そして、その槍を踏みつけた右脚を軸にして、盾に回し蹴りを放つ。
「輪舞旋風!」
盾ごと、ホームズは、彼を吹き飛ばす。
鎧の人間は、飛ばされた拍子に盾を手放してしまった。
そこを逃すホームズではない。
追撃をかけると、もう一度兜に攻撃をする。
今度は兜を思いっきり蹴り上げる。
兜は、天高く舞い、顔が露わになった。
「久々に見るねぇ、その顔。
なるほど、成長しても気付くもんだ……」
ホームズは、そう言うと顔にアイアンクローを決める。
「ま、待て、お前おれの知り合いか?」
どうやら、向こうは、ホームズだと気付かなかったようだ。名前も変えたので当たり前と言えば当たり前なのだが。
いや、それだけではないのだろう。何しろホームズは、その顔に見覚えがあったのだから。
子供の頃どんな遊びをしたか、全て覚えている人間は、いない。
結局、ホームズにとっての辛い記憶は、彼らにとってはその程度のもの、つまり、遊びだったのだ。
ホームズは、彼の質問を無視して、薄っすらと笑みを浮かべ、逆に尋ねる。
「ねぇ、何で戦争がなくならないか知ってるかい?」
顔を握る力をさらに強める。
「それはね、
ニヤリと笑ってホームズはそのまま、その人間を地面に叩きつける。
鎧の人間は、そのまま白眼を向いて気絶した。
【勝者キタル族代表!】
アナウンスが、闘技場にこだまする。
「結局、こいつは最後まで気付かなかったな」
ヨルは馬鹿にする様に見ている。自分のした事に気付かない愚か者には、相応しい残念な顔をして気絶している。
よく見ると歯が二、三本折れている。
「いいさ、別に。誤って欲しい訳じゃないもの」
ホームズは、肩をすくめる。
「単純に、あの時出来なかった事をやりたかっただけなんたからさ」
最後にホームズは、頭を
大会は、まだ始まったばかりだ。
新作のキャラ紹介PV、続々と出て来ましたね!
期待で胸が膨らみまくってます。
それでは、発売日を楽しみにしつつ、この辺で。
では、四十四話で( ´ ▽ ` )ノ