1人と1匹   作:takoyaki

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四十七話です。



気分がノリノリです。



てなわけで、連日投稿してみました。

では、どうぞ!


眠れる森の………?

「ん………ここは?」

まだ、辺りが暗い中ローズは、目を覚ました。

さっきまで、炊事場にいたのにいつの間にか、こんな暗いところでベッドの上に寝ていれば誰だって混乱する。

「あ、ローズ起きた?」

「レイア?」

レイアは、声を潜めながら、部屋に入る。

「びっくりしたよ。ホームズ共々血だらけで帰ってきたんだもん」

そう言って、レイアは綺麗に洗濯した服を渡す。

「ありがとう」

ローズは、お礼を言って服を受け取る。よく見ると、ローズの服は寝間着の様なものになっている。

とりあえず、着替えるため布団をどかそうとする。

「ん………て、うわぁ!」

「ローズ、静かに」

布団の妙な動かしづらさを感じて見てみると、そこには、ローズの布団に頭を乗せて寝ているホームズの姿があった。

ヨルもその近くで丸くなっている。

思わず驚いた声を上げたローズにレイアが注意する。

「ホームズ、ローズが起きるまでは側にいるって言ってね…………」

「ずっと?」

「うん。ついさっきまでおきてたんだけどね」

「………なんで?」

「『もっと側にいてあげなきゃいけない時にいられなかった』だって」

ホームズは、グースカピースカ寝ている。

そう言ってレイアは、鏡を渡す。

ローズは、首を傾げる。

「え、何?」

レイアは、少し間を置いてから話す。

「あのね、血だらけで帰ってきたって言ったでしょ」

「うん」

「ホームズがね、全部、と言っても顔だけだけど、拭いたんだよ」

ローズは、布団で眠りこけている、ホームズを見る。

そして、再び顔を確認する。

確かに血の痕は、何もない。

「結構、心配そうにしてたよ。何回、『大丈夫かなぁ』って言葉を聞いたか分からないもん」

「………どういう反応すればいいのよ」

ローズは、顔を赤らめそっぽを向いて、鏡をレイアに渡す。

レイアは、鏡を受け取ってローズに言う。

「ありがとうって言ってあげれば?」

「『君がお礼をいうなんて、明日は雷でも降るのかな』って言われそうだけど」

簡単に想像できるホームズにレイアは、言葉に詰まる。

「じ、じゃあ、心配かけて、ごめんねってのは?」

「『その通りだから、反省したまえ』」

容易に想像できる。というより、ホームズは、謝られても決して、「いいよ」とは、言わない。

レイアも言われた事があるので、ローズの言わんとしてる事がよく分かる。

レイアは、ローズの事をメンドくさい子だなぁと思った。

しかし、今その認識を少し改めなければならない。

 

 

 

 

(ホームズも、すっごいメンドくさい!)

 

 

 

 

 

二人の顔に暗い影が差す。

レイアは、無理やりそれを振り払う。

「そ、そ、そこで、ぐっと我慢して、大人の余裕を見せれば………」

レイアは、拳を握り引きつった笑顔を見せながら力説する。

ローズは、クスクスと笑いながらホームズのアホ毛を触る。

「まあ、アドバイスとして聞いておくわ。活かせるかどうかは保障できないけど」

「……容易に想像出来るね」

ローズが、それを出来るなら、ローズの大暴れは起こっていない。

レイアは、ふぅっとため息を吐く。

「………というか、ずっと思ってたんだけど………」

ローズは、呆れながら呑気に寝ているホームズを見る。

「………普通逆じゃない。女の方が待つべきでしょ」

レイアは、頬を引きつらせる。

「いや、でも、眠ってるお姫様を起こすのは、王子様の役目だよ?」

「………王子様、寝てるんだけど」

ホームズの寝息と共にアホ毛が動く。

「決まらないなぁ………ホームズは、本当に」

レイアは、やれやれという風に頭を抑える。

ローズは、そんなレイアを見て少し笑いながら肩をすくめる。

「まあ、今まで散々待たされたから、これでちょうどいいのかもしれないわね」

ローズは、ホームズの寝顔を見て優しく微笑むと真剣な顔を向ける。

「それで、私が気絶してる間に進展は?」

「えっとね……」

レイアは、そう前置きをするとミラの話を始めた。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「アルクノア……ね……」

「知ってるのローズ?」

「ええ」

ローズの顔から表情が消える。

 

 

 

 

 

 

 

「私の家族を皆殺しにした連中よ」

 

 

 

 

 

 

 

レイアは、突然のローズの告白に息を飲む。

しかし、思い当たる節は、いくつもある。

ローズの過去の話で、実家が、商売をやっているのが分かった。

しかし、レイア達は何回か街を周ったというのに、そんな場所は、全く見当たらなかった。

また、ここが、ローズの故郷だというのに、ローズの家族には、一度も会っていない。

上げだせば、キリが無い。

そんな思考の渦に沈んでいると、ローズから声をかけられる。

「……ホームズから、何も聞いてなかったの?」

「へっ?あ、うん過去に辛いことがあった、程度だけど……」

それ以上は、ホームズは語らなかった。どうしても知りたかったら、本人に直接聞けと言われたのだ。

「相変わらず妙な筋を通すわね……というか、なんでホームズがこの事知ってるのか、謎なのよね………」

「まあ、ホームズだから」

「その一言で説明出来るわね」

レイアと話すとローズは、少しため息を吐く。

「知っての通り、私には父、母、年の離れた姉、がいたわ。

前も話したけど、家族全員忙しくてね。両親だけでなく、姉さんも手伝っていたから、本当にいつも一人だった。よく、イスラが相手をしてくれたといっても、毎日って訳でもなかった………だから、よく寂しい思いもしていたのよ」

レイアは、ある幼なじみの事を思い出した。

彼も両親が忙しく、同じ思いをしていたのだ。

「ああ、勘違いしないで。私は別に両親達が嫌いだった訳ではないわ。確かに一緒にいる方が少なかったけど、それでも両親が休みをとった時はそれこそ一日中遊んでもらったり、食事をしたり、楽しい時間を共有してきたから」

ローズは、とても楽しそうに話す。

「だからこそ、寂しかったともいうべきね。嫌いだったら、そんな思いもせずに済んだんでしょうけどね……大好きだったから、とても寂しかったわ………」

レイアは黙って聞いている。

「そんなある日よ。

その日は姉さんの誕生日だった。

姉さんはね、何と無く、察しはついてると思うけど、なんていうか、こう、愉快な人だったわ。いつも、あの手この手で人を驚かそうとするの。ま、要はいたずら好きなの。おまけに、頭もまわる。

私も何回もやられたわ……ほら、私がホームズに色々言われて落ち込んだ時があったでしょ?あの時、私を元気づけようとして、一度ホームズのお母さんとタッグを組んだ事があっんだけど………聞きたい?」

「遠慮しとくよ………」

レイアは、ホームズから、ホームズの母親がどんな奴なのか断片的とは言え、聞いている。

そんな奴と、いたずら好きな奴がタッグを組んだなんて話聞きたくもない。

「………妥当な判断ね…………話を戻すわ。

そんな姉だからね、今日はサプライズパーティを仕掛けて逆に驚かしてやろうと家族全員息を巻いていたの。

私の役目は、合図が来たらプレゼントを持って華々しく登場する、それまでは、マーロウさんの所で隠れている、そんな手はずだったわ」

ローズの顔から表情と言う表情が全て消える。

目も何処を見ているのかよくわからない。

レイアは、そんなローズに少し背筋を寒くする。

 

 

 

 

 

 

 

「でも、いつまで経っても合図が来ない。もう、いい加減待ちくたびれちゃってね、マーロウさんを連れて家に戻ったの。そしたら………」

ローズの歯がカチカチとなり始める。それに気付いたローズは、何とか歯を食いしばろうとする。

辛い記憶も、悲しい記憶も思い出せばそれだけで、心を蝕む。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ローズ、辛かったら………」

 

 

 

 

 

 

「私の家族が血の海に沈んでた」

 

 

 

 

 

 

心配そうに言ったレイアの言葉に被せる様にローズは言う。

 

 

「優しかった母さんも、厳しく、でも、少しぬけてた父さんも見た事のない表情をして、血だらけになってピクリとも動かなかった。

怖かった。悲しいとか、それよりも怖いという気持ちが、真っ先に出て来た。

部屋は至るところに、

 

 

 

全てのところに、

 

 

 

目に付くところに、

 

 

 

全部に血があった。

 

 

 

何度吐いたか、わからないわ。

そして、ようやく、胃の中のものがなくなって、吐く物が消え失せた時、姉さんの手が目に入った。

姉さんの手は少しだけ動いた。

それを確認すると、マーロウさんの制止を振り切っておぼつかない足取りで、必死に駆け寄たわ。姉さんをどうにか、抱えるとうっすらと目を開けて、精一杯の笑みを作ってた。

『………ふふ……サ……プラ……イズは失敗……だね……ザマ………ミロ…私を………驚か……そうなん……て100年早いん……だよ』

姉さんは、弱々しく笑いながら勝ち誇ってたわ。

涙が止まらなかった、本当に。

私は、泣く事が好きじゃない。

だというのに、本当にずっと泣いてた。ホームズの時なんて比べものにならない程に。

姉さんは、笑った後すぐに辛そうな顔をした。

『あぁ………ヤダなぁ……死にたくないな………貴方とホームズ………の関係をもっと見……てたかった……もっと、ニヤニヤして……たかった……』

そう言って、私の顔に手を伸ばす。

『趣味が悪いにも程があるわ………』

震える声で精一杯の言い返しをしたわ。

姉さんは、私の言葉を聞くと、薄っすらと笑みを浮かべた。

『わがまま………言わせてもらうね』

姉さんは、私の頬を撫でる。

『笑って……ちょうだい……最後に見るのは………大好きな妹……の笑顔が………いいなぁ』

本当にわがまま以外の何物でもなかったわ。

こんなに涙が出て、こんなに悲しいのに、寂しいのに、辛いのに、笑えるわけがない。

でもね、上のわがままに付き合うのが、下の役目なのよ。

だから、その時私はグチャグチャの顔のまま、精一杯の笑顔をしたつもりだった。

私の答えに姉さんは、それを見ると満足そうに笑ったわ。

姉さんは、消え入りそうな声で最後の言葉を繋ぐ。

『バイバイ』

それっきり姉さんは、何も喋らなかった。

体温もどんどん下がっているのが分かった。

この時に私は家族全員を失った。

今でも思い出すわ。人の命が腕の中で終わる、あの、感覚。

もう二度と体験したくなかったのにね」

ローズは、ついさっきの出来事を思い出す。

思い出したくない、味わいたくないものだ。

話を聞いていたレイアは、ローズに尋ねる。

「…………アルクノアが犯人だっていつ知ったの?」

「マーロウさんが教えてくれたわ。その後に私は、リリアルオーブをもらったの」

そう言って、リリアルオーブを見せる。

 

 

「ほう、なるほど」

ヨルが金色の目を光らせる。

「わぁ!!ヨル君いつから起きてたの?!」

レイアは、思わず声をあげる。

「『ん………ここは?』ぐらいから」

「最初っからじゃん!!」

レイアのツッコミがヨルに炸裂する。

「やかましい、ムスメだな」

ヨルはウンザリした様に言うと扉の方に視線を向ける。

「そんな所に居ないで出て来い」

その言葉を合図にジュード、ローエン、が入ってきた。

「ばれてた?」

ジュードは、申し訳なさそうに言う。

その後、近くのベッドで寝ているエリーゼ達に目を向ける。

「狸寝入りもその辺にしとけ」

エリーゼとミラは、気まずそうに起き上がる。

『ごめんねー、聞くつもりはなかったんだよー』

ティポは、シュンとしながら、謝る。

そんなティポにローズは、優しく言う。

「いいわ、別に。いずれ話さなくちゃいけない事だから……」

『らぶしーんが見れると思ったんだけど………』

「………………」

ローズは、無言でティポを締め上げる。

「あぁ……ティポ!!」

「ティポも懲りないねぇ……」

ジュードは、呆れている。

エリーゼは、ティポを取り返そうと必死だ。

 

 

 

 

「ん………?」

そんな大騒ぎをしているとホームズが目を覚ます。

そして、ティポを締め上げるローズをボンヤリした目で見つめる。

「……ローズ、起きたんだね」

「ん、あ、あ、うん、まあ」

ローズは、ティポから手を離してホームズの方を向く。

ホームズは、結局(寝落ちしたとはいえ)ローズが起きるまで側にいたのだ。

 

 

 

 

 

『ありがとうって言ってあげれば?』

 

 

 

 

 

 

レイアの言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

『相変わらず、素直じゃねーな』

 

 

 

 

 

マーロウの言葉を思い出す。

 

 

 

(よし……)

顔を赤くして、どうにかこうにか口を開こうとした瞬間、

 

 

 

 

 

「何か元気そうだね、おやすみ………ほら、ヨル、行くよ」

 

 

 

 

 

ホームズは、そう告げると眠い目を擦りながら、部屋を後にした。

 

 

「…………」

後に残されたローズは、間抜けに口を開けている。

レイアは、何と無くローズの気持ちを察し、ポンと肩に手をおく。

ローズは、捨てられた子犬の様な目を向ける。

 

 

「レイア………」

「ローズ………次がんばろっか」

「うん」

 

 

夜はいつだって更けていく。

 

 





テレビの調子がおかしくて、オチが分からない!!



何の話かって?


棒幽霊番組です!!




テレビが暗闇を映さないんです!



幽霊もののオチが分からない!!



幽霊ものなので、オチが暗闇なんですよ…………


でもね、何も見えないんですよ


調子悪いから………



では、また四十八話で( ´ ▽ ` )ノ

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