1人と1匹   作:takoyaki

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六十話です




気分がいいので、連続投稿です!




てなわけで、どうぞ


風に流す

「いた。でも………」

レイアは、見つけたが、言葉を失うを

そこには、エリーゼとジャオがいた。

ミラ達は思わず身構える。

「安心せい、たまたま会っただけじゃ」

ジャオは、そう言うと離れて行った。

レイアは、一歩前に出る。

「さっきは、ごめんね。エリーゼ、ティポの事で寂しい思いをしてたのにね」

一旦言葉を切るとレイアは、下を向く。

「ほら、わたしってさ、遠慮なく言っちゃうところ、あるでしょ。許してよ」

ホームズは、黙って見ていたが、ローズに小突かれ、口を開く。

「いや、まあ、その、アレだ。ピンタしたのは、やり過ぎだったよ、ごめん」

ホームズとレイアの言葉にエリーゼは、答えるべく口を開く。

 

 

 

 

 

 

「いやです」

 

 

 

 

レイアは、再び固まってしまう。

ホームズは、やっぱりという風にため息を吐く。

「そんな事言わないで、ね……」

レイアは、困ったようにエリーゼに頼む。

エリーゼは、険しい顔で、振り返る。

「レイアもミラも………ホームズも嫌い!友達だと思ってたのに!」

「エリーゼ、わたしはあなたの事が心配で………」

レイアは、叫ぶエリーゼに戸惑いながら、言う。

「ウソ!本当は、私の事なんてどーでもいいくせにっ!」

「そんな訳ないだろう。この前からそう言ってるじゃないか」

ホームズは、言い聞かせるように言う。

「いつも隠し事だらけのホームズの言葉なんて、信じられません!」

ホームズは、ウッと言葉を詰まらせる。

普段の態度のツケが物の見事に今きている。

もう少し、好青年だったら、今の様な事を言われる事もなかったかもしれない。

言い返せないホームズと戸惑うレイアにエリーゼは、次の言葉を告げる。

「もう、友達やめる!!」

エリーゼは、そう言って走り出した。

ホームズは、止める事ができない。

「エリーゼさん!!」

そんなエリーゼをローエンが止める。

「みんな、貴方の事を思って優しくしているのですよ」

「ホームズは、叩きました………」

「エリーゼさん、貴方はヨルさんに対して何か酷い事を言おうとしましたね。ヨルさんにそんな事言ってしまえば、どうなるか、分かっていますか?」

人間とは、違う自他共に認める化け物。

そんな奴の逆鱗に触れれば、恐らく関係の修復は、不可能だろう。

「……あ」

エリーゼも気づいた様だ。

「何で、ローエンがその事知ってるの?」

「ジジイの耳は地獄耳何ですよ」

「はははは………」

ホームズは、乾いた笑いを浮かべる。

そんなホームズに構わずエリーゼは、思考を巡らせる。

「じゃあ………ホームズは……私をかばって?」

ホームズは、目を逸らす。

「エリーゼさん、これでも優しくしていないと思いますか?」

「…………」

今度はエリーゼが黙る番だ。

「エリーゼさんは、自分の心が傷付けられたと言っていましたが、貴方はどうですか?」

ローエンは、更に言葉を続ける。

「ティポさんの言葉に、エリーゼさんの行動に、レイアさんとホームズさんが、それぞれ心を痛めた事に気付いていますか」

エリーゼは、目を開く。

段々と自分のした事に気づき始めている。

「本当ですか……二人とも」

レイアとホームズは、それぞれの方を向く。

「いや、傷ついたって言うか……へこんだって言うか……」

レイアは、頭を掻きながら、苦笑いをしている。

因みにホームズは、何とも言えない表情でポリポリと頬を掻いている。

「ホームズは?」

「んー……女の子に嫌われんのも、渡したプレゼント捨てられるのも慣れっこだからなぁ」

肩を竦めてヘラヘラと笑いながら答えるホームズ。

「ホームズだって人の子よ。傷ついてるわ」

しっかりと答えないホームズに代わりローズが答える。

「ちょっと、ローズ。勝手に気持ちを捏造しないでおくれよ」

「じゃあ、喜んでるの?」

「まさか!人を変態みたいに言わないでおくれよ!」

ローズは、ピクリと眉を上げホームズを一瞥すると、エリーゼを見る。

「ね?ホームズも傷ついてるのよ」

「あ……えーっと……」

ローズの口車に見事乗せられてしまい、ホームズは、二の句が続かない。

エリーゼは、俯く。

「私、レイアとホームズが傷ついてるなんて、思わなかった………」

ジュードは、そんなエリーゼに近づくと屈んで目線を合わせる。

「それじゃあさ、二人に謝っちゃおうか」

「でも、私酷い事を言っちゃったし、しちゃった……」

「ちゃんと謝れば許してくれますよ………ホームズさんは、少し怪しいですが………」

当の本人は、目を逸らす。

「しかし、それが、友達です」

ローエンは、ちらりとホームズを見る。

ホームズは、苦虫を噛み潰した顔をしている。

許さなければならないと、釘を刺された感じだ。

「レイア、ホームズ、ごめんなさい。許してくれますか?」

「うん。でも、これからは、エリーゼの口からエリーゼの事を教えて欲しいな」

レイアは、にっこりと微笑むとホームズの方を向く。

「さあ、次はホームズだよ」

ホームズは、ため息を一つ吐く。

「みんなが君の事を心配しているのが分かっただろう」

エリーゼは、コクリと頷く。

「んじゃあ、よーく、反省したまえ」

ホームズは、そう言ってハンカチを渡す。

エリーゼは、先ほどの自分の行動を思い出し、苦い顔をする。

受け取らないエリーゼをしばらく見るとホームズは、頭に乗せる。

「おれからの、お詫び。それと『仲直りの証』」

ホームズは、ウィンクをする。

 

 

 

 

 

───────「あの……これ……」

「いいよ、別に返さなくても。そんなもの、たくさんあるしね」

「でも……」

 

「じゃあ、こうしよう。これは、お詫び」

 

「お詫び?」

 

「そ。さっきは、まあ、おれもやり過ぎたし、そのお詫び。これなら、文句ないだろう」

 

「……分かり……ました。これは、もらっておきます」

 

 

 

「仲直りの証……です」───────

 

 

 

 

「………はい」

エリーゼは、シャン・ドゥでの出来事を思い出すと、嬉しそうに微笑み、ハンカチを受け取る。

ホームズも微笑みながら頷くと、直ぐに、先ほどの優しい笑みを遠い彼方に消し去って、代わりに底意地の悪い笑みを浮かべる。

「もう、燃やすんじゃないよ」

「ホ、ホームズ!!」

『一言余計だよー、バホー!!』

怒るエリーゼ達に、ホームズは、ニヤニヤ笑いながら、手を振る。

ティポは、それからむっとして口を開く。

『それにしても、二人とも三歳しか違わないくせに偉そうだなぁー』

「ティポ!!」

余計な事を言うエリーゼが慌てて抑える。

レイアは、腰に手を当て不敵な笑みを浮かべる。

「エリーゼ。それでも私の方が年上だから」

『ひぃー、こわー』

ティポは、恐れおののいている。

その様子に満足げに頷く。

しかし、ホームズは、半眼で、エリーゼを睨む。

「つーか、エリーゼ。おれ、十八だよ、君の六歳上だよ」

「『えっ………あ、そう言えば……』」

ティポとエリーゼは、声を揃えてホームズを見る。

「何だい、その目は!!」

「ホームズ、落ち着いて!!」

ジュードが後ろから羽交い締めにして止める。

ローズは、そんな様子を遠くから眺める。

「なんか言ってやれよ」

アルヴィンが、そんなローズにやれやれと言った風に言葉をかける。

「なんて言っていいか、分からないわ………アルヴィンは?」

アルヴィンは、肩をすくめる。

「ほっとくに限るな」

いつの間にやら、レイア達のそばに来ていたヨルは、どうでも良さそうに呟く。

「ふふ、はははは」

さっきまでの緊迫した雰囲気がウソの様な空気にミラは思わず笑みがこぼれる。

ホームズは、それを見るとため息を吐くとやれやれと言ったふうに肩をすくめる。

「娘っ子、友達を大事にな」

ジャオは、そう言うとそのばから去っていった。

それを見送ると、ジュードは、ローエンの方を見る。

「僕たちは、どうしようか?ユルゲンスさん、まだ戻ってこないけど……」

「直接王城に乗り込んでみる?」

アルヴィンは、不敵な笑みを浮かべながら言う。

「いいなぁ、それ。分かりやすくて」

ヨルもニヤニヤしながらいう。

ジュードは、ため息を吐く。

「だから、ユルゲンスさんに迷惑かけちゃダメなんだって……」

「ダメか……アルヴィンのその案は、しっくりくるのだが……」

ミラの言葉に皆は呆れ顔だ。

「取り敢えず、宿に戻ろうよ……ここにいても寒いだけだし」

ホームズの提案に誰も特に反対する事なく宿に歩きだした。

 

 

 

 

 

 

─────── 『んー……女の子に嫌われんのも、渡したプレゼント捨てられるのも慣れっこだからなぁ』───────

 

 

 

 

 

 

ローズは、先ほどのホームズの言葉を思い出す。

「あ、あのさ………ホームズ……」

「ん?」

ローズは、顔を赤くしながら、ホームズを呼ぶ。

「わ、私は、捨ててないわよ……貴方からの、プ、プレゼント」

「プレゼント……ってあれ?」

ホームズが、渡したプレゼントと言えば、あの別れ際に渡した花冠だけだ

ローズは、コクリと頷く。

ホームズを元気付けようと思い、ローズは、勇気を振り絞って言った。

因みに言うと、近くにレイアとアルヴィンがいるのだが全くローズは、気付いていない。

「(おい、レイア……どうすればいいの、俺たち?凄く気まずいだけど……咳払いとかしていい?)」

「(何言ってるの!わたしたちにできる事と言えば黙って様子を見守るだけだよ)」

「(わかった。じゃあ、叫んでいい?)」

「(何も分かってないじゃん!いいから、黙ってるの!ローズがホームズに対して珍しく素直なんだから!)」

二人は、小声でボソボソと言い合う。

(オイ……一番気まずいの誰だと思ってるんだ)

ホームズの肩にいるヨルが目で語っているのを見て二人は、苦笑いをして黙る。

 

 

 

 

「ローズ…………君………」

ホームズは、ローズをじっと見つめる。

ローズの頬は、どんどんと赤くなっていく。

アルヴィンとレイアは、身を乗り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「気持ち悪い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームズの予想外の言葉に思わずローズは、聞き返す。

 

 

 

ホームズの顔は、真っ青だ。

「気持ち悪い!君凄く気持ち悪い!アクセサリーとかの小物とかなら、ともかく、花の冠だよ!十年も前のもの何で取ってあるの!枯れてるでしょ!そんなものどうして、まだ持ってるの!!」

ようやく、ホームズの言い分がわかったローズは、先程とは別の意味で顔を赤くする。

「ちっがうわよ!!その花の一つを押し花にして、栞を作ってあるの!それを取っておいてあるの!」

「あぁ、何だ。そういう事」

ホームズは、ホッとため息を吐く。

「おれ、君の引き出しの中に枯れた花の冠が入ってるの想像しちゃたよ………」

「……………」

「いやぁ、良かった。これから、どう接していこうか考えちゃったよ………」

先程、オモクソ気持ち悪いと連呼しておいて何を今更という話だが……

「いやぁ、良かった良かった」

ホームズは、そう言うと固まっているローズを放置して、宿屋に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、ローズ」

「なに?」

取り残されたローズの側には、アルヴィンとレイアがいる。

「もう一度聞くけどよ………」

アルヴィンは、一度言葉を切る。

「あいつのいい所ってどこ?」

「…………えがお?」

ローズは、斜め下を見つめながら、疑問形で返す。

せめて、ありがとうの一言ぐらい言えばいい様な所なのに、ホームズの言ったことと言えば………

三人は、思い出してため息を吐く。

「あんなんだから、ホームズは、モテないんだろうね………」

レイアは、目の前を意気揚々と歩く友人、ホームズを見つめながらポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

カン・バルクの冷たい風がローズ達の前を通り過ぎて行った。

 

 

 

 









実はストックを確認したら、十話を超えてました。



びっくりです。



テンションが高い時は、バシバシ進みますからね……



後、音楽が書きたいシーンにぴったりなのが流れると更に、筆が進みますね!



もう、びっくりするくらいに。


音楽の力は偉大だ………



では、また、六十一話で( ´ ▽ ` )ノ





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