本編へ行くまでの箸休め期間です。
まあ、サブイベントだと思ってください( ̄+ー ̄)
てなわけで、どうぞ
ボーイズトーク
「ボーイズトークをしましょう」
ローエンは、ジュードと共に部屋に帰ってくるなり、そう宣言した。
「「………は?」」
ホームズとアルヴィンは、訳の分からない申し出に疑問を浮かべる。
「どうしたんだい突然?」
「さっきね、エリーゼとレイアとローズがガールズトークをしてたんだ」
「へぇー……それで?」
ホームズは、どうでも良さそうに尋ねる。
「でも、僕たちは、話に入れなかったたんだ」
「まあ、男だしね」
ガールズではない。
ボーイズだ。
「それで、ボーイズトークをしようと思ったんだけど………」
「だけど?」
「盛り上がらなかったんです」
ローエンが言葉を引き継ぐ。
話を聞くと、人生相談やら、身体の不調やらで、中々話が盛り上がらないらしいのだ。
「しかし、諦めてはいけません!!女性陣が羨むくらいの楽しいトークを繰り広げましょう!」
ホームズは、呆れた目で見ている。
「アルヴィン、どうする?おれ、凄いめんどくさいんだけど………」
「……普段ならおたくが真っ先に言いそうことだよな」
アルヴィンが、しみじみと言うのでホームズは、頬を引きつらせるが、その通りなので、反論出来ない。
「じゃあ、やるか!」
「「おー!!」」
アルヴィンの掛け声にローエンとジュードが声を合わせる。
「………乗り遅れたなぁ………」
ホームズは、ポツリと呟いた。
◇◇◇◇
「で、何を話す?」
アルヴィンは、周りを見渡して尋ねる。
「やっぱり、ここは、妥当に恋愛話じゃない?」
「それでいいと思うよ」
ホームズの言葉にジュードは、賛成する。
「意義なし」
「私もそれで」
「ヨルは?」
「俺も参加するのか?」
「当然」
半ば無理やりヨルを引っ張り込むことに成功する。
「それでは、言い出しっぺのホームズさんから、いきましょう」
話を振られたホームズは、頬を引きつらせる。
「えーっと、おれの恋愛話は……」
ホームズは、頭を捻って思い出す。
しかし………
「………ごめん、ロクなものがない」
そう、ちょくちょく、話しているが、ホームズは嫌われたり、無視されたりと、ロクな目にあっていない。
「えーっと、ドンマイ」
ジュードは、涙を堪える、ホームズの肩に手を置く。
「今日ほど君の友情に感謝した事はないよ」
ホームズは、目尻に浮かんだ涙を拭き取る。
「………そういうジュードは………やっぱいいわ」
ホームズは、途中で話を振るのを止めた。
「えっ?何で」
ジュードは、不思議そうだ。
(((だって、どうせ、ミラの話だし………)))
一同の心の声が一致した瞬間だった。
「ローエンは?」
話を遮られたジュードは、少し不服そうにローエンに話を振る。
「私ですか?」
ローエンは、懐かしむ様に目を細める。
「あるだろう、ローエン。隠し事は、無しだよ」
「ホームズが言うんだ………」
ホームズの言葉にジュードが思わず突っ込む。
「ありますよ」
ローエンは、そう前置きをして話す。
ホームズとジュードは、興味深そうに身を乗り出す。
「実は私には、将来を誓った女性がいました」
「ほうほう………ん?」
ホームズは、面白そうに頷いて、首を傾げる。
「『いました』?過去形って事は、振られたの?」
「いえ、二十年前の津波に巻き込まれて………」
そこから先を想像出来ない程ホームズは、馬鹿ではない。
「あ……うん。その辺にしとこうか………」
「そうですね、こういう場で話す事ではないですね」
ローエンも途中で気付いた様で話を止める。
「アルヴィンは、ロクな事してなさそうだよね」
「おい……」
ホームズの失礼な言い草にアルヴィンがこめかみを引きつらせる。
「ヨルにいたっては………」
「あると思うか?」
「だよね………」
早速、行き詰まった。
僅かな望みをかけて、ホームズは、一応ジュードに尋ねる。
「ジュードの話そうとした恋愛話は?」
「あ、うん、初恋の話をしようと思って………」
ホームズは、目を輝かせる。
こういう話を待っていたのだ。
「相手は誰?レイア?」
「ううん、違うよ」
「ごめん。やっぱやめよう」
ホームズは、友人の事を思うと可哀想なので話を止める。
「え、なんで?」
「うん………また、そのうち気が向いたら話すよ……」
ホームズは、そう言葉を濁す。
すると、話を二度も中断されたホームズに対して不服そうに聞き返す。
「それなら、ホームズの初恋の話をしてよ。まず、初恋の相手は、誰だった?」
「え"っ?」
ホームズの顔がどんどん赤くなる。
「いや、それは、ほら、別に」
ジュードの質問にしどろもどろで誤魔化そうとする。
「なんか、言いづらい訳でもあるの?」
ジュードの追撃にホームズは、更に話を逸らそうとする。
何としても知られたくないのだ。
「ローズだろ」
「ローズさんですね」
アルヴィンとローエンが、ホームズに言う。
「べ、別にそんな訳ないだろう!」
あからさまに、動揺するホームズに一同は、ため息を吐く。
「ホームズって、隠し事は、得意だけど、嘘つくの下手だね………」
「待って、ジュード!ローズが初恋の相手だって言うのは、決定事項なの?」
ホームズの決死の言い返しにアルヴィンがため息を吐く。
「ファーストキスされた相手が、初恋の相手じゃない訳がないだろ………」
「いや、でも、あれは、ローズが騙されてやった奴だし…………」
「おや、ファーストキスは、認めるのですか?」
必死に食い下がろうとする、ホームズにローエンが追撃する。
「ついでに言うなら、一番最初に、お前の瞳の色を褒めた女だもんなぁ」
ヨルも意地悪く言う。
「………君たち覚えてろよ」
反論のできなくなった、ホームズは、膝を抱えてしまった。
そんなホームズを見てジュードは、口を開く。
「ローエン……」
「何でしょう?」
「ちょっと楽しいね」
「奇遇ですね、私もです」
「俺も。もうちょっと、ホームズの初恋の話をしようぜ」
「やだよ!!」
ホームズは、立ち上がる。
「ふざけんなよ!!楽しいの君たちだけじゃないか!!こっちは、全然楽しくないんだよ!!何が悲しくて幼い頃の記憶をさらさなきゃいけないんだよ!!」
ホームズは、ギャーギャーと騒ぎ立てる。
「もういい!この話は、これで終わり!」
「えぇー、俺はおたくの話をもう少し聞きたいぜ」
アルヴィンがニヤリと笑ってホームズを見る。
「絶っっ対ヤダ!おれだけが恥をかくだけじゃないか!!」
ホームズは、顔を赤くして、じたんだをふむ。
「もう別の話にいくよ!今度のお題は、『友情』でいこう!何か話は、はい、ジュード!」
「え、え?」
ジュードは、少し考える。
「なんかあるだろう?医学校に通ってたんだから、何か友達との友情の一つや、二つぐらいさ」
「えっ………と、僕、指名手配になってるから………多分友達は、僕の事をもう………」
「あぁ…………」
そう、忘れがちだが、ジュードとミラはお尋ねものなのだ。
「後、『あそこまで、いい人をやるとね……』て、陰で言われたよ」
お人好しの性格は、人によっては、そう見えてしまう。
「………ロクなものがないねぇ……」
ホームズは、頬を引きつらせる。
「………ホームズは?」
昔の事を思い出し、ジュードは、落ち込みながらも、ホームズに尋ねる。
「いや、イジメられてた記憶が強いなぁ………まあ、友達になった子もいない訳じゃなかったけど、そのまま再会する事なく別れた連中もいっぱいいるからなぁ………」
「あぁ、うん。そう言えばホームズは、そうだったね」
「ローエンは?」
「えぇ、ナハティガルの話でもしますか?」
「やめとく」
何が悲しくて、敵の王様の話を聞かなければならないのだろうか
「アルヴィンは?」
「俺もロクな子ども時代を送ってないからなぁ………」
友情話終了。
「おい!いい加減にしろよ!何にも話が進まねーぞ!」
「そうだねぇ………」
ホームズもため息を一つ吐く。
基本的にロクな目にあっていない面子が多すぎる。
今度はアルヴィンが提案する。
「じゃあ、アレだ、ウチのパーティーの女性陣の話をしよう。これなら、誰もトラウマを抉られねーだろ」
「ですね」
「だね」
「そうしよう」
男面子は、全員頷く。
「じゃあ、行くぞ、まずは、『付き合うなら誰?』!」
アルヴィンの言葉にホームズが真っ先に手を上げる。
「はい!ホームズ!」
「とりあえず、エリーゼは、除外しようよ。ウチのパーティーから、犯罪者は、出したくないし」
「だな。じゃあ、エリーゼ以外で」
ここに当の本人がいたら、どんな目に会うか分からない台詞を平気で吐く二人にジュードとローエンは、引きつり笑いをする。
「じゃあ、ホームズは、ローズか?」
「いやぁ………」
ホームズは、微妙そうな顔をする。
早速つまづく。
「いやいや、そんな顔するなよ……初恋の相手だろ?ロマンチックじゃん」
アルヴィンは、そんなホームズに言葉を続ける。
「んー……何か付き合った時のイメージがわかないんだよね」
「じゃあ、レイア」
「もっとないね。友達だもん」
「ミラ」
「想像したくないね。無自覚な一言にどれだけ傷つけられると思う?」
「エリーゼ」
「それは、選択肢から、外そうって言ったじゃん!」
アルヴィンはホームズの返答を聞いて考える。
「じゃあ、次。次は………」
「待って、今思ったんだけど……これ、後々気まずいよね」
女性陣の誰と、付き合いたいと言う様な物だ。
「………確かに、そうだな……じゃあ、こうしよう!好みのタイプは?!はい、ローエン!」
アルヴィンは、ローエンに話をふる。
ホームズの忠告を聞いて話題は、改善されていた。
「そうですね……家庭的な人ですかね」
「なるほど、悪くないな……次、ジュードは………」
話を振っておいて、アルヴィンは、言い淀む。
「年上だな」
「絶対そうだね」
アルヴィンとホームズは、ウンウンと頷き合う。
「ねぇ、何でさっきから、勝手に決めるの?」
ジュードは、こめかみをピクリと動かすと、後ろにいる、ヨルの方を見る。
「そう言えば、ヨルは?」
「マナの保有量の多い奴だといいな……エサとして」
「何で、ヨルに聞いたの?」
ホームズは、頬を引きつらせながら、ジュードに尋ねる。
「ごめん、うっかりしてた……」
ジュードは、ため息を吐く。
「そう言うホームズは?」
ジュードからの、質問にホームズは、考え込む。
「そうだねぇ………髪が黒くて、ちょっとつり目だといいかな」
アルヴィン、ローエン、ジュードは、1人の女を思い浮かべる。
(((ローズだなぁ………)))
「んで、素直な子がいいなぁ」
(((ローズじゃないなぁ………)))
三人は、ため息を一つ吐く。
「何だい、その顔は………」
ホームズは、イライラしながら、三人を睨む。
とはいえ、初めてまともな会話ができた気がする。
「うーん………なんか、もうだいたい出尽くしたね……」
ホームズは、ポツリと呟く。
「疲れたね………」
ホームズの言葉に皆が頷く。
話をするよりも、話題を作り出す方が大変だった。
ここで、休みを取るのもいいかもしれない。
「なんか、飲み物を持ってくるよ」
ホームズは、そう言って扉を開ける。
そこには、エリーゼがティポを抱えて佇んでいた。
「………エリーゼ?」
ホームズは、だらだらと冷や汗を流す。
いつから、いたのか凄く気になるのだが、怖くて聞けない。
願わくば、ついさっき、好みのタイプあたりだとありがたいのだが…………
「どうして、私は選択肢に入らないんですか?ホームズ?」
ホームズの希望は、潰えた。
まあ、エリーゼとしては、別に彼らの事はどうとも思っていない。
しかし、真っ先に恋愛対象から、外されて怒らない女性は、まず、いない。
そこの所は、子供と言えど、女である。
単純に言うと、ホームズは、女のプライドを踏み躙ったのだ。
「いや、何というか、ね、アル………」
助けを求めて、後ろに顔を向けるとアルヴィンは、どこにもいなかった。
(あの野郎!)
ホームズは、拳を握りしめる。
後ろから、怒気を感じてホームズは、顔を戻す。
そこには、輝かんばかりの笑顔のエリーゼがいる。
「エリー……」
「でも、いい事を聞きました」
ホームズが、エリーゼと呼ぶ前に、エリーゼが言葉をかぶせる。
「ホームズの初恋って、ローズだったんですね」
ホームズは、一瞬にして、顔を赤くすると、直ぐに青くなる。
「あの………エリーゼさん?」
『みんなに伝えてきてあげるよー!』
ティポは、ふよふよと浮かびなからホームズに言う。
「いや、ちょっと、待っ………」
しかし、時すでに、遅し。
ティポは、勿論、エリーゼも女子部屋の方に走り出していた。
『ホームズの、は………』
「わぁぁぁぁあ!!待て待て待て………」
走りだしたエリーゼを追いかけ、ホームズも駆け出して行った。
「………行った?」
アルヴィンは、ベットの下から這い出てくる。
ジュードは、無言で廊下を指差す。
「エリーゼぇぇぇ!止めておくれぇぇ!頼むからっ!お願いだからっ!後生だからっ!」
「うるさい、ホームズ!!何エリーゼに絡んでるの!」
『あ、ローズ、いい所に。実はね……』
「させるか!!」
『ふごー!!伸ーーびーーるーー』
「ちょ、ホームズ!」
「ティポに酷い事しないで下さい!」
「おれに酷い事しないで下さい!!」
「………」
宿の廊下は、大騒ぎだった。
アルヴィンは、引きつり笑いを浮かべる。
心底巻き込まれなくて良かったと、アルヴィンは、胸を撫で下ろした。
「アルヴィン、どうするのアレ」
「ほっとくに限るだろ。巻き込まれたくないし」
「アルヴィンにも責任の一端は、あると思うけど……」
とことん可哀想なホームズにジュードは、同情を禁じ得ない。
「いつもの事だ」
ヨルは、一つあくびをして、丸くなった。
「そうだ!えーっと、アレだ!何か、一つだけ、お願い聞くから!!だから、頼むよぉぉぉぉお!!!」
やはり、こう言うべきでしょう………
ざまみろ、ホームズ(笑)
まあ、アレです。
エリーゼを叩いておいて、この私が何事もなく終わらせるわけがありません(笑)
エクシリアの見所の一つとして、溜飲が下がる展開がちゃんとある事だと思っています。
なので、ホームズには、少し痛い目にあってもらいました。
今回の話は、サブイベントを見て思いつきました。
ガールズがあるならボーイズがあってもいいだろう……せっかくだし、やらせてみよう……と
まあ、書きませんでしが、現実のボーイズトークは、ほぼ、下ネタですよね……
それにしても、ガールズトークて何を話してるんでしょうね?
では、また六十二話で( ´ ▽ ` )ノ