1人と1匹   作:takoyaki

61 / 242
六十一話です。




本編へ行くまでの箸休め期間です。




まあ、サブイベントだと思ってください( ̄+ー ̄)



てなわけで、どうぞ


休憩中
ボーイズトーク


「ボーイズトークをしましょう」

ローエンは、ジュードと共に部屋に帰ってくるなり、そう宣言した。

「「………は?」」

ホームズとアルヴィンは、訳の分からない申し出に疑問を浮かべる。

「どうしたんだい突然?」

「さっきね、エリーゼとレイアとローズがガールズトークをしてたんだ」

「へぇー……それで?」

ホームズは、どうでも良さそうに尋ねる。

「でも、僕たちは、話に入れなかったたんだ」

「まあ、男だしね」

ガールズではない。

ボーイズだ。

「それで、ボーイズトークをしようと思ったんだけど………」

「だけど?」

「盛り上がらなかったんです」

ローエンが言葉を引き継ぐ。

話を聞くと、人生相談やら、身体の不調やらで、中々話が盛り上がらないらしいのだ。

「しかし、諦めてはいけません!!女性陣が羨むくらいの楽しいトークを繰り広げましょう!」

ホームズは、呆れた目で見ている。

「アルヴィン、どうする?おれ、凄いめんどくさいんだけど………」

「……普段ならおたくが真っ先に言いそうことだよな」

アルヴィンが、しみじみと言うのでホームズは、頬を引きつらせるが、その通りなので、反論出来ない。

「じゃあ、やるか!」

「「おー!!」」

アルヴィンの掛け声にローエンとジュードが声を合わせる。

 

 

 

 

 

「………乗り遅れたなぁ………」

ホームズは、ポツリと呟いた。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「で、何を話す?」

アルヴィンは、周りを見渡して尋ねる。

「やっぱり、ここは、妥当に恋愛話じゃない?」

「それでいいと思うよ」

ホームズの言葉にジュードは、賛成する。

「意義なし」

「私もそれで」

「ヨルは?」

「俺も参加するのか?」

「当然」

半ば無理やりヨルを引っ張り込むことに成功する。

「それでは、言い出しっぺのホームズさんから、いきましょう」

話を振られたホームズは、頬を引きつらせる。

「えーっと、おれの恋愛話は……」

ホームズは、頭を捻って思い出す。

しかし………

「………ごめん、ロクなものがない」

そう、ちょくちょく、話しているが、ホームズは嫌われたり、無視されたりと、ロクな目にあっていない。

「えーっと、ドンマイ」

ジュードは、涙を堪える、ホームズの肩に手を置く。

「今日ほど君の友情に感謝した事はないよ」

ホームズは、目尻に浮かんだ涙を拭き取る。

「………そういうジュードは………やっぱいいわ」

ホームズは、途中で話を振るのを止めた。

「えっ?何で」

ジュードは、不思議そうだ。

(((だって、どうせ、ミラの話だし………)))

一同の心の声が一致した瞬間だった。

「ローエンは?」

話を遮られたジュードは、少し不服そうにローエンに話を振る。

「私ですか?」

ローエンは、懐かしむ様に目を細める。

「あるだろう、ローエン。隠し事は、無しだよ」

「ホームズが言うんだ………」

ホームズの言葉にジュードが思わず突っ込む。

「ありますよ」

ローエンは、そう前置きをして話す。

ホームズとジュードは、興味深そうに身を乗り出す。

「実は私には、将来を誓った女性がいました」

「ほうほう………ん?」

ホームズは、面白そうに頷いて、首を傾げる。

「『いました』?過去形って事は、振られたの?」

「いえ、二十年前の津波に巻き込まれて………」

そこから先を想像出来ない程ホームズは、馬鹿ではない。

「あ……うん。その辺にしとこうか………」

「そうですね、こういう場で話す事ではないですね」

ローエンも途中で気付いた様で話を止める。

「アルヴィンは、ロクな事してなさそうだよね」

「おい……」

ホームズの失礼な言い草にアルヴィンがこめかみを引きつらせる。

「ヨルにいたっては………」

「あると思うか?」

「だよね………」

早速、行き詰まった。

僅かな望みをかけて、ホームズは、一応ジュードに尋ねる。

「ジュードの話そうとした恋愛話は?」

「あ、うん、初恋の話をしようと思って………」

ホームズは、目を輝かせる。

こういう話を待っていたのだ。

「相手は誰?レイア?」

「ううん、違うよ」

「ごめん。やっぱやめよう」

ホームズは、友人の事を思うと可哀想なので話を止める。

「え、なんで?」

「うん………また、そのうち気が向いたら話すよ……」

ホームズは、そう言葉を濁す。

すると、話を二度も中断されたホームズに対して不服そうに聞き返す。

「それなら、ホームズの初恋の話をしてよ。まず、初恋の相手は、誰だった?」

 

 

 

 

「え"っ?」

 

 

 

ホームズの顔がどんどん赤くなる。

「いや、それは、ほら、別に」

ジュードの質問にしどろもどろで誤魔化そうとする。

「なんか、言いづらい訳でもあるの?」

ジュードの追撃にホームズは、更に話を逸らそうとする。

何としても知られたくないのだ。

 

 

 

「ローズだろ」

「ローズさんですね」

 

 

 

アルヴィンとローエンが、ホームズに言う。

 

 

「べ、別にそんな訳ないだろう!」

あからさまに、動揺するホームズに一同は、ため息を吐く。

「ホームズって、隠し事は、得意だけど、嘘つくの下手だね………」

「待って、ジュード!ローズが初恋の相手だって言うのは、決定事項なの?」

ホームズの決死の言い返しにアルヴィンがため息を吐く。

「ファーストキスされた相手が、初恋の相手じゃない訳がないだろ………」

「いや、でも、あれは、ローズが騙されてやった奴だし…………」

「おや、ファーストキスは、認めるのですか?」

必死に食い下がろうとする、ホームズにローエンが追撃する。

「ついでに言うなら、一番最初に、お前の瞳の色を褒めた女だもんなぁ」

ヨルも意地悪く言う。

「………君たち覚えてろよ」

反論のできなくなった、ホームズは、膝を抱えてしまった。

そんなホームズを見てジュードは、口を開く。

「ローエン……」

「何でしょう?」

「ちょっと楽しいね」

「奇遇ですね、私もです」

「俺も。もうちょっと、ホームズの初恋の話をしようぜ」

「やだよ!!」

ホームズは、立ち上がる。

「ふざけんなよ!!楽しいの君たちだけじゃないか!!こっちは、全然楽しくないんだよ!!何が悲しくて幼い頃の記憶をさらさなきゃいけないんだよ!!」

ホームズは、ギャーギャーと騒ぎ立てる。

「もういい!この話は、これで終わり!」

「えぇー、俺はおたくの話をもう少し聞きたいぜ」

アルヴィンがニヤリと笑ってホームズを見る。

「絶っっ対ヤダ!おれだけが恥をかくだけじゃないか!!」

ホームズは、顔を赤くして、じたんだをふむ。

「もう別の話にいくよ!今度のお題は、『友情』でいこう!何か話は、はい、ジュード!」

「え、え?」

ジュードは、少し考える。

「なんかあるだろう?医学校に通ってたんだから、何か友達との友情の一つや、二つぐらいさ」

「えっ………と、僕、指名手配になってるから………多分友達は、僕の事をもう………」

「あぁ…………」

そう、忘れがちだが、ジュードとミラはお尋ねものなのだ。

「後、『あそこまで、いい人をやるとね……』て、陰で言われたよ」

お人好しの性格は、人によっては、そう見えてしまう。

「………ロクなものがないねぇ……」

ホームズは、頬を引きつらせる。

「………ホームズは?」

昔の事を思い出し、ジュードは、落ち込みながらも、ホームズに尋ねる。

「いや、イジメられてた記憶が強いなぁ………まあ、友達になった子もいない訳じゃなかったけど、そのまま再会する事なく別れた連中もいっぱいいるからなぁ………」

「あぁ、うん。そう言えばホームズは、そうだったね」

「ローエンは?」

「えぇ、ナハティガルの話でもしますか?」

「やめとく」

何が悲しくて、敵の王様の話を聞かなければならないのだろうか

「アルヴィンは?」

「俺もロクな子ども時代を送ってないからなぁ………」

 

 

 

 

友情話終了。

 

 

 

 

「おい!いい加減にしろよ!何にも話が進まねーぞ!」

「そうだねぇ………」

ホームズもため息を一つ吐く。

基本的にロクな目にあっていない面子が多すぎる。

今度はアルヴィンが提案する。

「じゃあ、アレだ、ウチのパーティーの女性陣の話をしよう。これなら、誰もトラウマを抉られねーだろ」

「ですね」

「だね」

「そうしよう」

男面子は、全員頷く。

「じゃあ、行くぞ、まずは、『付き合うなら誰?』!」

アルヴィンの言葉にホームズが真っ先に手を上げる。

「はい!ホームズ!」

「とりあえず、エリーゼは、除外しようよ。ウチのパーティーから、犯罪者は、出したくないし」

「だな。じゃあ、エリーゼ以外で」

ここに当の本人がいたら、どんな目に会うか分からない台詞を平気で吐く二人にジュードとローエンは、引きつり笑いをする。

「じゃあ、ホームズは、ローズか?」

「いやぁ………」

ホームズは、微妙そうな顔をする。

早速つまづく。

「いやいや、そんな顔するなよ……初恋の相手だろ?ロマンチックじゃん」

アルヴィンは、そんなホームズに言葉を続ける。

「んー……何か付き合った時のイメージがわかないんだよね」

「じゃあ、レイア」

「もっとないね。友達だもん」

「ミラ」

「想像したくないね。無自覚な一言にどれだけ傷つけられると思う?」

「エリーゼ」

「それは、選択肢から、外そうって言ったじゃん!」

アルヴィンはホームズの返答を聞いて考える。

「じゃあ、次。次は………」

「待って、今思ったんだけど……これ、後々気まずいよね」

女性陣の誰と、付き合いたいと言う様な物だ。

「………確かに、そうだな……じゃあ、こうしよう!好みのタイプは?!はい、ローエン!」

アルヴィンは、ローエンに話をふる。

ホームズの忠告を聞いて話題は、改善されていた。

「そうですね……家庭的な人ですかね」

「なるほど、悪くないな……次、ジュードは………」

話を振っておいて、アルヴィンは、言い淀む。

「年上だな」

「絶対そうだね」

アルヴィンとホームズは、ウンウンと頷き合う。

「ねぇ、何でさっきから、勝手に決めるの?」

ジュードは、こめかみをピクリと動かすと、後ろにいる、ヨルの方を見る。

「そう言えば、ヨルは?」

「マナの保有量の多い奴だといいな……エサとして」

「何で、ヨルに聞いたの?」

ホームズは、頬を引きつらせながら、ジュードに尋ねる。

「ごめん、うっかりしてた……」

ジュードは、ため息を吐く。

「そう言うホームズは?」

ジュードからの、質問にホームズは、考え込む。

「そうだねぇ………髪が黒くて、ちょっとつり目だといいかな」

アルヴィン、ローエン、ジュードは、1人の女を思い浮かべる。

(((ローズだなぁ………)))

「んで、素直な子がいいなぁ」

(((ローズじゃないなぁ………)))

三人は、ため息を一つ吐く。

「何だい、その顔は………」

ホームズは、イライラしながら、三人を睨む。

とはいえ、初めてまともな会話ができた気がする。

「うーん………なんか、もうだいたい出尽くしたね……」

ホームズは、ポツリと呟く。

「疲れたね………」

ホームズの言葉に皆が頷く。

話をするよりも、話題を作り出す方が大変だった。

ここで、休みを取るのもいいかもしれない。

「なんか、飲み物を持ってくるよ」

ホームズは、そう言って扉を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、エリーゼがティポを抱えて佇んでいた。

 

 

 

 

「………エリーゼ?」

ホームズは、だらだらと冷や汗を流す。

いつから、いたのか凄く気になるのだが、怖くて聞けない。

願わくば、ついさっき、好みのタイプあたりだとありがたいのだが…………

 

 

 

 

「どうして、私は選択肢に入らないんですか?ホームズ?」

 

 

 

ホームズの希望は、潰えた。

まあ、エリーゼとしては、別に彼らの事はどうとも思っていない。

しかし、真っ先に恋愛対象から、外されて怒らない女性は、まず、いない。

そこの所は、子供と言えど、女である。

単純に言うと、ホームズは、女のプライドを踏み躙ったのだ。

「いや、何というか、ね、アル………」

助けを求めて、後ろに顔を向けるとアルヴィンは、どこにもいなかった。

(あの野郎!)

ホームズは、拳を握りしめる。

後ろから、怒気を感じてホームズは、顔を戻す。

そこには、輝かんばかりの笑顔のエリーゼがいる。

「エリー……」

「でも、いい事を聞きました」

ホームズが、エリーゼと呼ぶ前に、エリーゼが言葉をかぶせる。

 

 

 

 

 

 

 

「ホームズの初恋って、ローズだったんですね」

 

 

 

 

 

ホームズは、一瞬にして、顔を赤くすると、直ぐに青くなる。

「あの………エリーゼさん?」

『みんなに伝えてきてあげるよー!』

 

ティポは、ふよふよと浮かびなからホームズに言う。

「いや、ちょっと、待っ………」

しかし、時すでに、遅し。

ティポは、勿論、エリーゼも女子部屋の方に走り出していた。

『ホームズの、は………』

「わぁぁぁぁあ!!待て待て待て………」

 

 

 

 

走りだしたエリーゼを追いかけ、ホームズも駆け出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

「………行った?」

アルヴィンは、ベットの下から這い出てくる。

ジュードは、無言で廊下を指差す。

 

 

 

「エリーゼぇぇぇ!止めておくれぇぇ!頼むからっ!お願いだからっ!後生だからっ!」

「うるさい、ホームズ!!何エリーゼに絡んでるの!」

『あ、ローズ、いい所に。実はね……』

「させるか!!」

『ふごー!!伸ーーびーーるーー』

「ちょ、ホームズ!」

「ティポに酷い事しないで下さい!」

「おれに酷い事しないで下さい!!」

 

 

 

 

「………」

宿の廊下は、大騒ぎだった。

アルヴィンは、引きつり笑いを浮かべる。

心底巻き込まれなくて良かったと、アルヴィンは、胸を撫で下ろした。

「アルヴィン、どうするのアレ」

「ほっとくに限るだろ。巻き込まれたくないし」

「アルヴィンにも責任の一端は、あると思うけど……」

とことん可哀想なホームズにジュードは、同情を禁じ得ない。

「いつもの事だ」

ヨルは、一つあくびをして、丸くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ!えーっと、アレだ!何か、一つだけ、お願い聞くから!!だから、頼むよぉぉぉぉお!!!」

 

 

 

 








やはり、こう言うべきでしょう………




ざまみろ、ホームズ(笑)






まあ、アレです。
エリーゼを叩いておいて、この私が何事もなく終わらせるわけがありません(笑)




エクシリアの見所の一つとして、溜飲が下がる展開がちゃんとある事だと思っています。



なので、ホームズには、少し痛い目にあってもらいました。


今回の話は、サブイベントを見て思いつきました。
ガールズがあるならボーイズがあってもいいだろう……せっかくだし、やらせてみよう……と
まあ、書きませんでしが、現実のボーイズトークは、ほぼ、下ネタですよね……
それにしても、ガールズトークて何を話してるんでしょうね?






では、また六十二話で( ´ ▽ ` )ノ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。