1人と1匹   作:takoyaki

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六十三話です。




連続投稿もそろそろ終わりかな………


てなわけで、どうぞ


仲良くなろう

「はぁ……酷い目にあった……」

ホームズは、ため息を吐きながら、ボソリと呟いた。

流石にもう『ついんてーる』はとっている。

あれを付けて街を歩いたホームズは、心に大きな傷を負った。

「お疲れ、ホームズ」

そんな、ホームズにレイアが紅茶を差し出す。

先ほど、宿から貰ってきたのだ。

今、部屋には、レイアとホームズとヨルしかいない。

他の面子は、それぞれの部屋にいる。

「誰か言ってくれてもいいじゃん」

「似合い過ぎてて、違和感なかっから………その、気づかなかったんだ」

「そう………」

ホームズは、紅茶をちびちびと飲んでいる。

「注目の的だったな。良かったじゃないか、人気者だぞ」

「励ましどーも。君の気遣いに涙が止まらないよ」

ヨルの言葉にホームズは、半眼で返す。

「ま、まあ、それはともかく……どうだった?一応恋人つなぎで、ローズと街を歩いたんでしょ?」

「どうって言われても………」

ホームズは、困った顔をしている。

何せ自分の格好が恥ずかしくてそれどころではなかったのだ。

「何かないの?!仮にも女の子と手を繋いだんだよ!」

「いや、そう言われても………」

ホームズの態度にレイアは、ため息を吐く。

そんな事をしていると、アルヴィンが部屋に入ってくる。

「よ……って、何だもう格好を元に戻したのか」

「当たり前だろう……あんなのいつまでもしてたくないよ……」

ホームズは、元凶となったアルヴィンを睨みつける。

アルヴィンは、肩をすくめると話題を無理矢理変える。

「ま、それは、ともかく、何の話してんの、おたくら?」

「ホームズと、ローズ一緒に歩いたでしょ、手を繋いで」

「あぁ、そうだな」

「その時の感想を聞いてたの」

「それで?」

「特に何もだって」

「おたく、本当にモテたいの?」

アルヴィンが、半眼でホームズを見る。

ホームズも半眼で睨み返す。

「あんな格好で歩けば大体の人がそれどころじゃないだろう」

「というか………」

そんな二人に構わず、レイアは、ホームズに尋ねる。

「前から聞きたかったんだけど……ホームズってさ、ローズの事をどう思ってるの?」

「どうって言われても………」

ホームズは、困ったように頭を掻く。

ローズが、ホームズの事をどう思っているのか?

そんなものは、明白だ。

けれども、ホームズがどう思っているのか、というのは正直微妙なところだ。

「十年ぶりにあった友人だけど………」

「………まあ、ある程度は、予想してたけど………」

レイアは、ため息を吐く。

「会えて嬉しかった?」

「当然だろう」

この質問には、ホームズは、ノータイムで返した。

「何てったって、初恋の相手だもんなぁ?」

「それは、もういい」

アルヴィンの言葉にもホームズは、ノータイムで返す。

若干頬が赤いのは、ご愛嬌だ。

ホームズは、ゴホンと咳払いを一つする。

「まあ、ローズがどう思っているのかは、知らないけれど、おれとしては、嬉しかったよ」

「……ローズも嬉しかったと思うよ」

レイアが控え目に主張する。

「だったら、もう少し感動の再会が良かったなぁ………何、飛び蹴りって、ハイタッチとかじゃないの、普通?」

「あ〜そう言えば、ホームズが勘違いする前に蹴ってたね………」

その後のホームズの行動は、ともかく、前半は、確実にローズの方が悪い。

レイアは、そんなホームズを見て一つ思いつく。

「あのさ、ホームズ」

「何だい?」

「一つ思いついたんだけど」

「何を?」

「伝えてみたら?」

「だから、何を?」

「また会えて嬉しいよって気持ちをさ」

ホームズは、レイアの言葉を聞いて考え込む。

「………伝わってない?」

少しショックを受けた顔をしながら、ホームズは、尋ねる。

「うーん……というか、そう言う事は口で言ってもらいたいと思うよ」

レイアの言葉にホームズは、考え込む。

「ヨシ!分かった。じゃあ、いってくるよ。ローズは、確か隣の部屋だよね?」

「うん、そうだよ」

レイアの言葉を聞くとホームズは、部屋から出て行った。

レイアとアルヴィンは、それを見送る。

 

 

 

 

「さて……」

「行きますか」

二人は、ホームズの後を追って部屋を出て行き、扉の影に隠れて、経過を覗き見する。

 

 

 

「ローズ!」

「な、なに?」

突然のホームズの来訪にローズは、少し驚き、読んでいた本から顔を上げる。

 

 

 

 

 

「君に会えて嬉しかったよ」

「は?」

 

 

 

 

時間が止まる。

 

 

 

ローズの冷たい視線が、ホームズに突き刺さる。

 

 

 

 

 

「ちょっとごめん………」

ホームズは、ダッシュでローズの部屋から出て、元いた部屋に戻る。

 

 

 

「………戻るか」

「そうだね」

 

 

 

 

レイアとアルヴィンは、元いた部屋に戻る。

 

 

するとそこには、膝を抱えて窓を見つめているホームズがいた。

「………見てただろう」

ホームズの言葉に二人は、無言で頷く。

気のせいでなければ、声が震えている気がする。

ホームズは、二人の返事を受けると振り返る。

「全然ダメじゃないか!!見た?ローズのあの目!レイア!君には分からないかもしれないけどね女の子にああ言う目を向けられる事がどんなに辛い事かわかってるのかい!!」

ホームズは、句読点が何処にあるか分からずいほど全力で叫ぶと、ゼーハーと息を大きく吸い込む。

「あぁ……ドンマイ」

レイアは、迫力に押されて一応そう言うが直ぐに、ホームズを見据える。

「でもさ、突然会えて嬉しかったって言われても、困るよ普通は………」

ホームズは、レイアの言葉にピクリと固まる。

「そう?」

「そりゃあね………ホームズだって、今突然『会えて嬉しかった』なんてわたしから言われたらどうする?」

「君の頭を心配する」

「とても友人に向ける言葉とは思えないけど……まあ、ローズもそういう事だよ」

レイアの言葉を聞いて、ホームズは、ようやく納得した。

因みにレイアは、ホームズの奇行は、予想してなかったが、アルヴィンは、分かっていた。

「うーん………ホームズは、ローズと仲良くなりたいんだよね?」

「そうだね………再会と同時に飛び蹴りを喰らわないくらいには……」

ホームズの言葉にレイアは、考える。

「アルヴィン君、何かない?」

「あぁ………」

アルヴィンは、考える。

そこで、ふとある考えが浮かぶ。

その考えに気付いていない二人を少し哀れむ様に見てしまう。

(なんで、真っ先にこれが出てこないんだよ………)

「褒めてみたらどうだ」

「は?」

「いや、だから、ローズの事を褒めてやったらどうだ?褒められて嬉しくない女なんていないだろ」

「なるほど……」

ホームズは、納得すると同時に尊敬の目をアルヴィンに向ける。

しかし、直ぐに目が曇る。

「でも、ローズのいい所って何処だろう………」

「……おたく……」

アルヴィンは、呆れた目で見る。

「待って……えっと………」

悩み出したホームズをアルヴィンは、無言でしばらく見た後、レイアを見る。

「レイア」

「なに?」

「前も見たことあるんだけど……この光景」

「……奇遇だね。わたしもだよ」

二人揃って似たような悩み方をし出しているので、レイアとアルヴィンは、ため息を吐く。

「………ホームズ、レイアのいい所は?」

「元気な所、前向きな所、頑張り屋な所。ざっと、こんな所じゃない?」

「……仲良いな、お前ら……」

アルヴィンは、スラスラとレイアのいい所を出すのを見て、前回レイアが、ホームズのいい所をスラスラと言ったのを思い出した。

レイアは、引きつり笑いをしながらホームズに忠告する。

「ホームズ………もう少しローズの事を見てあげようよ………」

友達に褒められて嬉しくない訳がないのだが………ローズの事を考えると微妙である。

ホームズは、考える事を止めるとアルヴィンの手をガシッと握る。

「ご教授を!アルヴィン先生!」

「諦めんなよ!」

「だって、ローズのいい所出てこないよ!なかなか!」

「イジメから、庇ってくれたじゃないの?」

「その話をすると、おれの罵倒も思い出しちゃうと思うんだけど………」

「アルヴィン君何か適当に任せた」

「おたくも諦めんなよ!」

「……ねぇ、やっぱりやめないこれ……」

諦めた事を言うホームズに取り敢えず、チョップを一発食らわせてから言う。

「もう、めんどくせーな!可愛いねとか、綺麗だね、とかぐらい、言っときゃあ良いんだよ!」

アルヴィンのアドバイスを聞き、ホームズは、悩む。

そして、悩んだ末

「………うーん、ローズって、綺麗いかなぁ?」

「………本人の前で言うなよ」

「どっちかって言うと可愛いと思うけど………」

「………本人の前で言えよ」

「まあ、おれが『ついんてーる』つけた方が可愛いんだけどね」

「………本人の前で言うなよ、絶対」

アルヴィンの言葉にホームズは、再び考え込む。

そんな中レイアが、思いついた様に手を叩く。

「じゃあ、もうまどろっこしいこと抜きで、二人で何処か買い物にでも行ったら?」

「ふむ……悪くないね」

ホームズは、賛成の様だ。

「ヨシ!それじゃ、ちょっくら行ってくるよ!」

ホームズは、そう言って部屋を出て行った。

 

 

 

「上手くいくかな?」

「行動にオチがつくのが奴だからな………」

 

 

 

アルヴィンとレイアは、考える。

 

 

 

 

「行くか」

「そうだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ローズ」

「なに?」

ローズは、ホームズの声を聞くが本から顔を上げない。

先程の訳の分からんやり取りの事を思い出すとあまり、顔をあげたくない。

「一緒に買い物に行かない?」

その言葉でローズは、ようやく顔を上げる。

「どうしたのよ、突然?」

「いや、折角空き時間もある事だしさ……」

「ま、まあいいけど」

ローズは、そう言うと本を閉じる。

「で、何買うの?」

 

 

 

 

 

再び、ホームズは、固まってしまう。

買い物に誘う事に手いっぱいで、何を買うのか全く考えていなかった。

「えーっと………」

ホームズは、早く何か言わなければと焦る。

しかし、焦れば焦るほど、ロクな案は、出てこない。

ホームズは、焦る事をやめなかった。

 

 

 

そして、答えをだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おれのパンツを買いに行きたいんだけど…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈍い音が響き渡った。

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ホームズ、何か反省は?」

「いや、流石に今回は自分が悪いって、はっきりと分かりました」

レイアの問いにホームズは、頭のタンコブを触りながら答える。

本でしっかりと叩かれたのだ。

「ここまで、盛大なオチをつけるとは、思わなかったぜ」

アルヴィンもあきれ顔だ。

「………まあ、こういう所なんだろうな」

ヨルは、ホームズの肩で馬鹿にした様にため息を吐く。

「………さて、ローズとホームズが仲良くなる様に色々やって見たけど……ホームズ、感想は?」

「遂に武器を使うようになったんだけど………」

ホームズの目標は、『再会と同時に飛び蹴りを喰らわないくらい』の仲なのだ。

しかし、素手から、凶器()を使うようになってしまった。

ホームズは、ため息を一つついて立ち上がる。

「まあ、取り敢えず、買い物には、本当に行こうかな。必要な物もあるし………レイアとアルヴィンも来ない?」

「パンツを買いに?」

「いや、ちゃんと持ってるよ………」

「テンパった時に真っ先に出てきた単語が、パンツって……」

ホームズとアルヴィンの会話を聞いて、レイアは、少し呆れている。

「で、どうするんだい?」

答えが出ていない二人にホームズは、問いかける。

「ま、せっかくだし、行くか」

「わたしも!」

「ヨルはどうする?」

ホームズは、意地悪くヨルに尋ねる。

「流石、いい性格してるぜ」

悪態で返したヨルをホームズは、連れて外へと出て行った。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「それで、何を買いたいんだ?」

「ん………酔い止め。ほら、おれって、船酔い酷いから……」

ホームズは、頬を引きつらせながら答える。

船酔いには、思い出したくない事でいっぱいだ。

「ここって、空中滑車があるでしょ。だから、酔い止めもなかなか効きがいいのが揃ってるんだよ」

ホームズは、そう言って空を行き交う空中滑車を見る。

「そんなに効く薬をどうして、もっていないんだ?おたく、この街に来た事あるんだろ?」

「切らしてたんだよ………」

ホームズは、ため息を吐く。

カバンの中にいつも入れてあるのだが、切らしていたのだ。

まあ、今はそのカバンがないのだが…………

「あ、あった。これだ」

ホームズは、お目当ての薬を見つけるとそのまま精算し、店を出て行った。

「後なんか買うものあるの?」

「うーん……まあね」

レイアの質問にホームズは、そう言って小物を売っている店に歩みを進める。

ホームズは、その店に入るとハンカチを手に取り考える。

そんな中、レイアは、ある事に気付いてアルヴィンを呼ぶ。

「(アルヴィン君、これ、チャンスじゃない?)」

「(………確かに……ここでローズへのプレゼントを買わせれば)」

ここで、アルヴィンとレイアは、すっかり諦めていた『仲良し作戦』を再びやる事に決めた。

「ねえ、ホームズ」

「何だい?」

レイアは、ホームズを呼び止めるとイヤリングを見せる。

「こういう、イヤリングをとか、ローズに買ってあげれば?」

「こっちのネックレスとかどうだ?」

アルヴィンもそう言って、ネックレスを見せる。

しかし、ホームズは、一瞥するとハンカチコーナーから離れる。

「両方とも買わないよ」

意外な一言にレイア達は、言葉を失う。

そして、ホームズのダメさを改めて認識する。

ここで、買わなくて、いつ買うんだ。

そう思ったレイアは、少し語気を強めて詰め寄る。

「ちょっと、ホー………」

「髪留めの方がいいから」

「へ?」

ホームズの言葉にレイアは、喉まででかかった言葉を飲み込む。

「だから、髪留め。正確には髪留めの紐」

ホームズは、そう言って輪になって並んでいる髪留めを選ぶ。

試しに黒色を手にとってみる。

しかし、直ぐにもとの位置に元に戻す。

「君も見ただろう?あの子髪を纏めてないんだよ」

今度は、やたら煌びやかなものを手に取る。

「イスラにもらった奴は、投げつけちゃったからね……」

「そうなの?!」

「うん。そこではっきりと決別してた」

レイアは、その場にいたから知らない。

しかし、気持ちは分かる。

「……やっぱり、持ってられないよね……イスラさんからもらったものだから……」

レイアは、闘技場でのローズとの会話を思い出す。

あの時、ローズは、宝物だといっていた。

しかし、宝物には、なり得ない理由が出てきてしまった。

「……ま、だからさ、代わりと言ってはなんだけど、髪留めを買ってあげたいんだよねぇ」

何てことはない。ホームズは、ホームズなりにローズの事を考えていたのだ。

そう思うとレイアは、なんとなく微笑んでしまう。

自分たちが、ワザワザ手を出さなくても、良かったのかも知れないと思った程である。

「うーん……この色はないね」

ホームズは、そう言って元に戻す。

「レイアは、どれがいいと思う?」

「ホームズが、選んであげなよ……」

やっぱり、もう少し世話を焼こうと思った。

こういう物は本人が選ばなくてはならないのだ。

レイアのアドバイスを聞くとホームズは、再び悩む。

「うーん……黒は、目立たないなぁ………白は逆に汚れが目立つだろうし……」

ホームズは、そう言って茶色の物を手に取る。

「ふむ……よし、これにしよ」

ホームズは、そう言うと清算した。

それを見ていたレイアは、ホームズに尋ねる。

「というか、ホームズ……ローズ連れてくれば良かったんじゃないの?」

そうすれば、好みだって一発で分かっただろうに。

「値段を見て遠慮とかすることになるだろう?」

「………いくらだったの?」

ホームズの言葉を聞いて、レイアは、恐る恐る尋ねる。

「──────ガルド」

レイアは、血の気が引く。

「高い!そんな物買ったの?」

「おたく……それは、一周回って重い……」

アルヴィンも呆れ顔だ。

しかし、ホームズは、不敵に笑っている。

「ばれたらね。バレなきゃ、タダのプレゼントさ」

ホームズは、そう言って髪留めの入った袋を店員から、受け取る。

「………そうか……ホームズは、こうやって、隠し事を増やしてくんだね」

レイアは、大きくため息をついた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「ヤッホー、ローズ」

ホームズは、手を上げながら部屋に入る。

それに続くように、レイアとアルヴィンも入ってくる。

しかし、ローズは、本から顔を上げない。

先ほどの事を怒っているのだろう。

((き、気まずい………))

レイアとアルヴィンは、同じことを考えていた。

「はい、どうぞ」

そんな他の面子に構わず、ホームズは、ローズに買ってきた物を渡す。

「なに……これ?」

ローズは、戸惑いながら、紙袋を開ける。

中に入っているのは、ホームズが先ほど買った髪留めの紐だ。

予想外の事に、ローズは、目を丸くすると、ホームズの方を見る。

「あ、ありがとう……」

ローズは、珍しく素直にお礼を言うと、早速使ってみる。

久々の一つ縛りだ。

「ど、どうかしら?」

ローズは、恥じらうように確認する。

「似合ってるよ、ローズ」

「いい感じだと思うぜ」

レイアとアルヴィンは、口々に褒める。

「ホームズもそう思うよね」

「んー……」

突然、そして、強引に話題をホームズは、話題を振られた。

「やっぱ、そっちの方がしっくりくるね」

しかし、特に困る様子も見せず、微妙な返事をする。

「………ホームズ……」

レイアは、呆れ顔だ。

せっかくだから、褒めればいいいというのに。

ヨルも同様にため息をつく。

「そういう時は嘘でもいいから、似合ってるって言うもんだ」

「なるほど……」

ホームズは、そう言われてローズを見る。

 

 

 

 

 

 

 

「似合ってるね」

 

 

 

 

 

 

 

鈍い音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「はぁ……」

レイアは、床で伸びているホームズを見る。

どこまで行っても決まらないホームズを見て、二人は、ため息を吐いた。

「っとに、こいつは………」

アルヴィンも同じような顔をしている。

ローズは、先ほどまで結んでいた髪を解いてブスッとした顔をしている。

「ローズ、あのさ………」

「………………」

完全にご立腹だ。

アルヴィンは、ホームズの首根っこを掴むと引きずり出した。

「取り敢えず、こいつは、俺が部屋に連れてくわ………」

そう言ってアルヴィンとホームズ、は、消えて行った。

詰まる所、『後は任せた』と言う奴だ。

ヨルもいるが、頼りになりそうにない。

レイアは、引きつり笑いをしてローズの方を再度見る。

「つけてみたら、ローズ?」

「似合ってないんでしょ」

(拗ねてるよ……めんどくさいな……と言うか、わたしより年上だよね?)

レイアの方が泣きたくなってきた。

ヨルは、そんなローズを見ると、髪留めの紐を尻尾で、ひょいと掴み上げる。

「……!」

驚いているローズに構わずヨルは、尻尾でクルクルと回す。

「付けないんだったら、寄越せ。売って金にする」

「な………!」

ローズは、信じられないという顔をするとヨルに殺意を込めた視線を送る。

「返しなさい。それは、私がホームズから、貰った物よ」

「ハァ……」

ヨルは、ため息を吐く。

そして、直ぐにローズに投げ返した。

「……だったら、使え」

ヨルに言われるがローズは、しばらく見つめる。付けようかどうしようか迷っているのだ。

「似合ってたよ、ローズ」

これは、間違いなく本心だ。

ローズにだってそれぐらい分かる。

ただ、その度に出てくるのが、ホームズの、あの間の悪い一言なのだ。

「……いや、気持ちは分かるけど……」

でも、とレイアは、続ける。

「ホームズは、嘘はつかないよ」

ローズは、口をへの字にして徐々に顔を赤くする。

冷めた目で見ているヨル。

そして、暖かい目で見ているレイア。

ローズは、ぷいっと目を逸らす。

「あーもう!分かったわよ!私も少し大人げなかったわ………」

そう言うとローズは、髪を一括りにして、後ろに垂らす。

いつものスタイルの完成だ。

「これでいいでしょう!?」

ローズは、赤くなった顔を隠すように後ろを向くと再び読書に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

「ヨル君」

「なんだ、ムスメ」

「ホームズがモテない理由が、よーく分かった」

「なにを今更」

レイアは、大きくため息を吐いた。

 








はい、以上で馬鹿騒ぎは、お終いです。
次回は、スキットになります。



今回の三つの話には、珍しくテーマがありました。
テーマは、ズバリ!「ホームズとローズの関係性」です。


………まあ、結果は見ての通り、ホームズがひたすら残念な目にあう羽目になりました。
レイアには、相変わらず面倒くさい役目ばかりが回ってきますね…………





あの馬鹿二人は、もう少し彼女に感謝してもいいと思います。





では、また六十四話で( ´ ▽ ` )ノ








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