1人と1匹   作:takoyaki

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六十五話です。




遅れましたm(_ _)m



とりあえず、変身ポーズは出ましたね。


テンションが上がりました


てなわけで、どうぞ


ガイアス王
目上の者には、礼儀を尽くせ


「いい加減そろそろ行かないか?」

宿屋で、待つことにしびれを切らしたミラは、そう提案した。

「ん〜……まあ、それもそうね」

ローズも賛成する。

いくら何でも時間がかかり過ぎだ。

色々とやって、時間を潰しては、いたがそれもそろそろ限界である。

「……さてと……なら、そろそろ行くかね、ほい、『ロイヤルストレートフラッシュ』」

「あぁ!また、負けた!」

ホームズは、ローズに10、J、Q、K、A、のスペード五枚を机に広げる。

対する、レイアは、10のワンペアだ。

「何、ポーカーやってたの?」

ジュードの質問にレイアは、答える。

ホームズは、手を止めているレイアの代わりに、カードを片付ける。

「そうだよ。それがさ、ホームズ、強いんだよ。さっきから、ずっと、ストレートフラッシュやら、ロイヤルストレートフラッシュやら、の大役ばっか揃えるんだよ」

レイアの発言を聞いて、ジュードは、ため息を一つ吐いて頭を押さえる。

「………ホームズ…」

「いや、どこで気付くかなっと思って………軽いいたずらのつもりだったんだけど、全然気付かなくてね………」

「………何の話?」

レイアは、不思議そうに首を傾げる。

ホームズは、トランプをしまうと、ジュードに渡す。

代わりにヨルが口を開く。

「イカサマをやっていたんだ」

レイアは、目を丸くするがすぐにホームズを睨む。

ホームズは、肩をすくめる。

「……というか、常識的に考えろ。そんな手が、そうそう揃うわけないんだよ。そんなのが連続で揃ったら、絶対おかしいだろ」

ヨルが、さらに言う。

「ホームズ!どんなイカサマしたの!」

「何の話だい?」

「とぼけないで!」

「証拠がないだろう?」

そう、ホームズが真っ先にトランプを片付けてしまったのだ。

証拠も何もない。

「………なんか、コテンパンに負けた気がする……」

イカサマを仕掛けられ、おまけに証拠も消されてしまった。

ため息しかでない。

「でもね、ホームズ!次は勝つ!」

「じゃあ、ポーカーは、やめたほうがいいね。君、顔に出るから」

正直に言うと、イカサマをしなくても勝てたのだ。

しかし、それはつまらないから、と言う理由で途中から、イカサマをしていたのだ。

イカサマがバレたら即負け。

ある意味緊張感は、半端じゃなかった。

「じゃあ、いつか、また、私が勝負の内容を提案するよ」

「はいはい。ほら、早く支度をしたまえ」

力強く意気込むレイアにホームズは、おざなりに返す。

レイアの支度も整い、全員は、城に向かった。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

城門に一行が、辿り着くと、そこには、王に謁見しようと、大勢の人々が、列を連ねていた。

「こりゃあ、時間がかかる訳だねぇ……」

ホームズは、納得するように呟く。

「あれ?ユルゲンスさん?」

ローズの声に前を見てみれば、そこには、城から出てくるユルゲンスが目に入る。

「おお、みんな来たか」

ユルゲンスは、にこやかな笑顔でやってくる。

「話が通ったんですか?」

ジュードの言葉にユルゲンスは、頷く。

「君たちの名前を出したら、すぐに許可が下りたよ。それどころか、向こうから会いたいと言ってきた。君たち何か心当たりは?」

ジュードとミラは、互いに顔を見合わせる。

「もしかしたら、我々の闘技大会の結果が、ガイアス王の耳に入ったのかもしれないな」

ユルゲンスは、とても嬉しそうにしているが、ジュード達は逆に渋い顔をする。

ユルゲンスは、そんな二人に構わず一行に告げる。

「それじゃあ、私は先にシャン・ドゥに帰ってるよ」

ユルゲンスは、そう言ってその場から立ち去った。

「どう思う?」

「あまり、いい予感は、しませんね」

ジュードの質問に、ローエンは、あごひげを触りながら答える。

「……行くしかないだろう。エリーゼのこともあるしな」

エリーゼの実験のことだ。

「ミラ……」

エリーゼは、ミラの言葉に少し嬉しそうな顔をする。

それから、ホームズの方を見る。

「ホームズの言った通り……ですね」

ホームズは、肩をすくめる。

「だから、言っただろう。おれは、嘘は、言わないよ」

「……ホームズ、何か言ったのか?」

「……みんなエリーゼの事を心配してるよって、言ったの」

そう言うと、ホームズは、エリーゼの頬を軽くつねる。

「まあ、この子は、全然信用してなかったけど……」

前と違い、痛くはないのだが、エリーゼは、むっとするとティポを飛ばす。

ホームズは、直ぐにエリーゼから、離れるとティポに向かって構える。

「やめなさい」

そんなホームズをローズから後ろから叩いて止める。

彼らを見てミラは、呆れると、先ほどから無言のアルヴィンを見る。

「……アルヴィン、どうかしたのか?」

「ん、いや、別に」

「また、いつものか?」

アルヴィンは、ミラの言葉に静かに微笑む。

「あったりまえだよ。だから、俺は魅力的なんだ」

ミラは、アルヴィンの台詞を聞いて考え込む。

「どういう意味だ?」

「ホームズが、よく言ってるでしょ。男は秘密があった方がかっこいいって」

「おお、言ってるな」

ミラが納得するのを見届けると、ジュードは、アルヴィンを見る。

「………アルヴィン、嘘は、嫌だからね」

ジュードの言葉にアルヴィンは、背を向ける。

「おたくらが、俺の事を信用してるってのは、知ってるよ」

アルヴィンの言葉を聞くと一同は、謁見の間へと、歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「………何してるの?」

謁見の間の前でなにやら、城の兵と話しているローエンとエリーゼを見て、ジュードは、不思議そうに尋ねる。

「いえ、王様に会うのに、ヌイグルミは、どうかと思いまして」

ローエンは、微笑みながら答えると、エリーゼは、城の兵にティポを預ける。

「なるほど、ホームズは?」

「おれは無理だよ。君知ってて言ってるだろう」

何せ、ホームズとヨルは離れられない。

ジュードは、クスリと笑う。

そんなジュードにホームズは、頬を引きつらせる。

そんなやり取りの後、ホームズ達は謁見の間の扉を開ける。

広々とした、部屋。真ん中には、赤い絨毯が引いてあり、その先の台座の上に、一人の男がいた。

その出で立ちは、一目で王と分かるそれだ。

その近くには、見たことある大男がいた。

「ジャオさん?!どうして、ここに?」

ジュードは、驚いて声を上げる。

「儂は、フォーブが一人、『不動のジャオ』」

「まさか、貴方が……」

ローエンは、恐る様に呟く。

「フォーブ?」

「王直属の戦士です。あの方が、そのひとりだったとは……」

ミラの質問に、ローエンが、声を潜めて答える。

そんな事を話していると、玉座の後ろの扉が開いて男二人が出てきた。

黒を基本とした服と、そして、もう一人は、見ただけで王と分かる風格を持ち合わせた男だった。

黒髪の男は、ローエンを見る。

「これはイルベルト元参謀長殿。お会いできて光栄だ。」

ローエンは、黒髪の男を見て思わず息を飲んだ。

「……まさか、ア・ジュールの黒き片翼『革命のウィンガル』」

ローエンは、驚きの声を漏らす。

「あの人もフォーブとか言う?」

そんなローエンを視界の端に捉えながら、ローズが首を傾げると、ホームズが、隣で耳打ちをする。

「そうだよ。伝説の聖獣にフォーブってのが、いるんだ。四つの武器があってね、爪を意味するプレザ、角を意味するジャオ、針を意味するアグリア、翼を意味するウィンガルって、なっているんだ」

「……つまり、後二人いるって事?」

「そういう事」

ホームズの説明に納得すると、改めてガイアスの方をローズは、見る。

目を逸らしたら、それだけで殺されそうな勢いだ。

それだけで、ローズは、今自分がとんでもない所にいる事を自覚した。

「お前が、ガイアス?」

ミラの質問に、ガイアスは、頷きもせず、ミラを見つめる。

「我が名は、ア・ジュール王ガイアス。よく来たな、マクスウェル」

ガイアスが紹介を終えると、次はウィンガルが口を開く。

「お前達は、ガイアス王に謁見を申し入れたそうだな?」

ガイアス王の質問に、ジュードが答える為に口を開く。

でなければ、何しにきたのか、分からない。

「ア・ジュールで作られた、増霊極(ブースター)が、既にラ・シュガルに渡っています。

もし、両国が戦争になってしまえば、取り返しのつかない事になってしまうと思うんです」

ジュードの言葉にガイアスは、目を細める。

「ほう。それを伝えるために来たのか」

何かしらの反応が、あると思った。

 

 

拒否か、協力の意思か。

しかし、ガイアスから、返ってきた反応は、そのどちらでもない。

予想外の事にジュードは、言葉が続けられず、下を向いてしまう。

そんなジュードの言葉に続く様に、レイアが口を開く、

「それで、私達、ラ・シュガルの兵器を壊そうと思っているんです。

そうすれば、ア・ジュールに進行出来ないから………協力して貰えませんか?」

レイアは、手を組んで頼む。

ウィンガルは、そんな事は気にも止めず、感情のこもっていない声で尋ねる。

「お前達の話はそれだけか?」

「もう一つだけ」

ローエンが、最後の質問をする。

「かつて、王の狩り場にあった、増霊極ブースターの研究所についてです」

ジャオが暗い顔をする。

そんなジャオをヨルは目ざとく見つける。

「(ふむ……当たりを引いたか)」

「(まだ、わからないよ)」

ホームズとヨルは、声を潜めて観察する。

ローエンの言葉を引き継ぐと、今度は、ミラが喋る。

「あの場所に親を無くした子供達を集めて実験利用しようとしていたのは、本当か」

ガイアスは、ミラの言葉を聞き、鼻で笑う。

「何を言いだすかと思えば……精霊のお前に関係があるのか?」

「私はマクスウェル。精霊と人間を守る義務がある」

ガイアスの言葉にミラは、臆することなく、時間を空けることなく返す。

しかし、ガイアスも引かない。

「精霊が人を守るだと……実に面白い事をいうな」

ミラは、更に顔を険しくする。

「お前は、王でありながら、守るべき民を弄んだ、違うか?」

「その件に関しては、私に一任されている」

「へぇ〜貴方が……」

ガイアスに代わり発言した、ウィンガルをホームズが品定めするように見る。

ウィンガルは、ちらりとそんなホームズの方を見ると再び続ける。

「そうだ。あの場に集められた者たち他に生きる術を知らない子供たちだった。あなた方思うような非道な行いは、していない」

「それを信じろというのか!」

ミラの剣幕にウィンガルは、身じろぎひとつしない。

「行き場のない人間のガキ共をいいように使ったってわけか。いつの世も人間ってのは、無駄がないな」

ヨルは、肩で馬鹿にするようにウィンガルを笑い飛ばす。

「何とでも言えばいい。所詮、シャドウもどきには、関係のない話だ」

「あぁ?」

ヨルは、ギロリとウィンガルを睨みつける。

ホームズは、それを目で制する。

そして、考える。

確かに、非道な行いは、なかったかもしれない、しかし、エリーゼは、一人ぼっちだと言っていた。

(……なんか、まだ、情報が足りない)

「でも、私は!」

そう、実験場にいたエリーゼは、ずっと一人だったのだ。

ホームズの疑問をジュードが、エリーゼの言葉を引き継ぐように声を荒げる。

「エリーゼは、ハ・ミルにずっと閉じ込められていたんですよ!それじゃあ………」

「非道だと?」

ガイアスが、ジュードにかぶせるように尋ねる。

「え……はい」

口を挟んだガイアスの口調は、尋常では、なかった。

その迫力に飲まれたジュードは、次の言葉が出てこない。

「ジュード、それ、本当?」

ジュードの様子にホームズは、構わず尋ねる。

「……そうだよ、ホームズが仲間になる前、エリーゼは、そういう目にあってた」

ホームズは、一層眉をひそめる。

ガイアスは、そのままジュードに尋ねる。

「………お前は、民の幸せとはなんなのか、考えた事はあるか?」

「えっ………」

「人の生涯の幸せ、何を持って幸せというのか……お前は、答えられるか?」

そんなもの普通は考えはしない。

答えに詰まっていると、ミラが口を開く。

「己の考えを持ち、選び、生きること」

答えに詰まったジュードの代わりにミラがスラスラと答える。

「そ、そう。僕もそう思う」

ジュードは、便乗するように言うと、ホームズは、呆れたようにため息を吐く。

まあ、ある程度どう答えるかは、想像出来ていたのだが……

そんなホームズを目ざとく見つけるとガイアスはホームズに矛先を向ける。

「ならば、お前はどう思うのだ?ホームズ?そんな顔をするなら、何か考えがあるのだろう」

突然話題を振られたホームズは、少し、眉を上げしれっとした顔で聞き返す。

「『民の幸せ』でしたっけ?」

「そうだ」

ホームズは、肩をすくめる。

まあ、答えは決まっている。

ホームズの考えている解答は、至ってシンプルだ。

普通に言えば、何も起こらない。

しかし、ホームズが普通に言うわけがない。

 

 

 

 

 

忘れがちだが、ホームズとヨルの巻き込まれた原因の八割がヨルで、二割がホームズなのだ。

その事を今ジュード達は理解する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「愚かな王がいないことだと思いますよ」

 

 

 

 

 

 

 

残りの二割が発動した。

 

 

 

 

 

 

瞬間、謁見の間の空気が凍った。

 

 

 

 

 

 

 





更新が遅れた言い訳を……



友達から、突然電話をもらい、そして、そのまま片道四時間かけて隣県まで連れてかれました。
そして、その日の内に帰ってきました。
いや、楽しかったですよ!
こういう無計画なのもいいなと思いました。


ただ、朝9時に突然言われると驚きしかないです。


ここ最近じゃ一番驚きました。



「今から○県行くぞ!」



((((;゚Д゚)))))))
て感じてしたからね。


では、また六十六話で( ´ ▽ ` )ノ

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