1人と1匹   作:takoyaki

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七十四話です



自分の前話の前書きのテンションに若干引きました………




てなわけでどうぞ


疑信暗鬼

「着いた………」

「サンキュー、レイア。助かったよ」

最後に背負ったのは、レイアだった。

ホームズは、そういうとレイアの背中から降りる。

ふらふらとしているがとりあえず、地面に足をつける。

ミラはそんなフラフラとしているホームズを見て眉をひそめる。

ミラがこれからどうしようか考えている時、ユルゲンスがやってきた。

「謁見は、どうだった?」

ミラたちは、顔を見合わせる。

どうだったもクソもない。

どこかの垂れ目は、ガイアス王に喧嘩を売り、その後一行で、四象刃(フォーブ)相手に大立ち回りだ。

とてもじゃないが、報告できない。

「すまない、話は後だ。直ぐにでも発ちたいところだが………」

そう言って、ミラはホームズを見る。

どう考えても、今のホームズの状態では無理だ。

傷も怪我も全て直したとは言え、体に溜まったダメージまでは、消えていない。

ついでに言うなら、血液も足りない。

「……別に出来なくはないが……どうした」

不思議そうにユルゲンスは、尋ねる。

『うん、ぼくたち、ガイアスに……』

余計なことを喋り出したティポをローエンとジュードで止める。

ユルゲンスは、不思議そうな顔をしている。

 

 

 

 

 

「急ぐ必要は、なくなったよ」

 

 

 

 

後ろから聞き覚えのある声が聞こてきた。

 

 

 

 

「アルヴィン!」

「よっ」

驚くジュードにアルヴィンが適当に返事をする。

「奴ら、今頃せっせと山狩りをしてるからな」

ミラは、顔を険しくすると、アルヴィンに近づく。

「お前が……?手土産のつもりか?」

ミラの言葉に、アルヴィンは、肩を竦める。

「土産も何も……仲間だろ?俺たち」

そんなアルヴィンを一行は、不信な目でみる。

アルヴィンは、涼しい顔をして歩み寄る。

「お前達が、俺の事を信じてるのを知ってる、そう言っただろ」

そう言って、アルヴィンは、ジュードと肩を組む。

「まだ、俺の事を信じてくれるよな?」

ジュードは、迷いながら俯く。

「……うん」

「サンキューな、ジュード」

そんな二人をヨルは、冷めた目で見る。

何処までも軽薄なアルヴィンに、エリーゼとレイアは、不満げに睨む。

「お、おかえり……帰ってきて……嬉しい………です」

棒読み口調のエリーゼにアルヴィンは、笑う。

「なんだ、それ」

そう言って、ホームズを見る。

「どう思う、ホームズ」

同じ裏切ったもの同士、という意味を込めて目を向ける。

そんなアルヴィンにホームズは、肩を竦めてみせる。

「さてね。ま、おれとしては、感謝してるくらいだよ、時間稼ぎしてくれてね」

ホームズは、そういって、真っ赤に染まったポンチョを見せる。

「……なるほど」

そう言って、納得する。

「とにかく、大分時間は稼げそうですね。ホームズさんの具合も悪そうですし、丁度いいかもしれませんね」

「悪いね、どーも」

ホームズは、青白い顔で微笑む。

ユルゲンスは、そんな面々を見てにっこりと笑う。

「君達といると、本当に退屈しないな。詳しくは、聞かないどくよ」

「助かるわ、ユルゲンスさん」

ローズは、そう言って微笑む。

「なら、とっとと、宿に行こうぜ。俺、疲れちまった」

アルヴィンの言葉と共に皆は宿に向かった。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「待って、アルヴィン」

宿に入る前にジュードが呼び止める。

アルヴィンは、やれやれといった風に頭を掻く。

「まーだ、納得いってないってか」

そう言ってアルヴィンは、振り向く。

「他の連中も大体同じだな……しゃーないか」

アルヴィンは、そう言って、いつからの事なのか説明をする。

「三人で、初めてニ・アケリアに行った時だよ。社から俺一人で何処かに行ったろう?」

「確か、私が社から出ると、ジュード一人だったな」

ミラが腕を組む。

「ニ・アケリア?何しに行ったんだい?」

ホームズは、首を傾げる。

ミラは、ホームズの方を向く。

「色々あるが、まあ、四大を再召還する為だったのだ……失敗したがな」

「だろうな」

ヨルは、鼻で笑う。

ホームズは、そんなヨルの顔を掴む。

アルヴィンは、パンと手を叩いて話を戻す。

「ま、その時に、ウィンガルと出会った訳だ」

アルヴィンの言葉にローエンが一つ考えを提示する。

「密約を交わしていたのでは?いざという時は、ミラさんを引き渡すと……ホームズさんのように」

「グサッときた……でも、あり得る話だねぇ、アルヴィン」

ホームズは、一瞬顔を歪めるが直ぐにアルヴィンに質問する。

「ふむ、貴様が言うと説得力が違うな………」

ヨルの言葉にホームズは、再度顔の影を濃くする。

「アルヴィン君、ひどい!

やっぱり、ミラやジュードを裏切ったんだ!」

ホームズは、ウッと胸を押さえる。

アルヴィンへの裏切り関係の台詞は、全てホームズにも降りかかる。

勿論、全て自業自得なのだが。

「待てよ!」

ホームズが、罪悪感の渦に巻き込まれている中アルヴィンがレイアの言葉にストップをかける。

「確かにあの時は、色々考えてたけど、今回は、それが利用できると思ったんだ」

「………どういうことだい?」

罪悪感の渦から、戻って来たホームズが首を傾げる。

「ワイバーンの事。アレの許可が下りたのだって、事前に話を通してからなんだぜ」

アルヴィンの説明にエリーゼが、ハッとする。

「え……それって、ガイアスの前で裏切ったのって……」

「そ、あの場で裏切ったフリしてなきゃ、ワイバーンも使えなかったって事。

だから、シャン・ドゥとは、真逆に逃げたってウソをついたんだ」

ローズは、腕を組んで考える。

アルヴィンの手腕は、賞賛すべきところだ。

しかし、素直に褒める気になれない。

「ホームズへの手紙は、何時どうやって受け取ったの?」

ローズの質問に、アルヴィンは肩を竦める。

「オレの相棒、ま、鳥が運んできたんだ」

ローズが不審そうに眉を潜めるとジュードが横からフォローを入れる。

「本当にアルヴィンは、その鳥を持ってるよ。いつも手紙のやり取りを誰かとやってるから」

そう言ってジュードは、アルヴィンを見ようとするが、直ぐに俯く。

「僕は、アルヴィンを信じたい、けど、……まだ………」

ジュードの言葉を聞きミラが頷く。

「そうだったな。あのプレザという女だ。キジル海瀑の時といい、知った仲のようだったぞ」

アルヴィンは、ミラの言葉を聞き気まずそうに頭を掻く。

「何が聞きたい」

少し怒気を込めてアルヴィンは、尋ね返す。

「あのプレザって人、どういう人なの?」

「………」

アルヴィンは、ここで初めて言葉に詰まる。

今までのスラスラと答えていたのが嘘のようだ。

「アルヴィンっ!!」

ジュードは、それに痺れを切らしたように怒鳴りつける。

その剣幕にアルヴィンは、ジュードを見る。

「なんだ、お前……泣いて……」

「泣いてなんかない……ただ、僕は……僕は……」

「アルヴィン、本気には本気で返すべきよ……」

ローズは、アルヴィンを睨む。

しかし、それはまるで自分に言い聞かせているようにも聞こえる。

「はぁ……出会いは、俺がラ・シュガルの情報機関に雇われていた時の話だよ」

アルヴィンは、思い出していく。

「あいつは、ア・ジュールの工作員として、イル・ファンに潜入中だったけどな」

「それで?」

「その後、個人的に色々あってよ……まあ、詳しくは聞かないでくれや」

「なんだ?浮気でもしたか……」

「聞くなっつたろうが……つーか何で、真っ先にそれが出てくるんだよ……」

ヨルの言葉にアルヴィンは、とても嫌そうに顔歪める。

「誠実そうに見えないからだろう」

「お前も人の事言えねーだろ」

不誠実な(裏切り者)二人は、お互いにダメージを与えながら言い合っていた。

そんな二人に構わず、ジュードは、アルヴィンの説明に頷く。

「納得は、した。でも、まだ、信用したわけじゃないからね」

ジュードの下した決断を聞くとアルヴィンは、笑う。

「くくく、ジュード君は、かわいいね」

ジュードは、顔を険しくする。

「なんだよ!それ!僕は、怒ってるんだよ!」

「わかったって……」

アルヴィンは、そう、適当に返事をする。

「最後に一つ聞いていいか?」

「なんなりと」

ミラの質問にアルヴィンは、腕を組んで答える。

「お前が私達に肩入れをする理由を教えて欲しい。メリットがあるのか?」

そう言うってミラは、ホームズを見る。

「ホームズは、ある意味それがはっきりしている。だから、理由を聞けば信用できる……だが、お前は分からない」

ミラの言葉にホームズは、首を傾げる。

「……褒められてる?」

「微妙なラインだな」

頭の上に、はてなマークを浮かべているホームズにヨルは、そう答える。

「今更聞く?」

アルヴィンは、ミラの質問に対して一旦言葉を切る。

 

 

 

 

 

 

 

「優等生や、みんなが大好きだからに決まってるでしょーが!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつてない、冷たい空気が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

『ウソつきやがってー!』

 

 

 

 

 

 

 

ティポが、エリーゼだけでなく全ての人間を代弁する。

 

 

 

「なんだ、それ、ちょっとヒデーじゃねーか!!」

 

 

 

流石にアルヴィンも傷ついたようだ。

ヨルは、欠伸をする。

「さて、下らないオチがついたところで、そろそろ宿に行くぞ」

ヨルの言葉に、ホームズとアルヴィンは歩みを進める。

しかし、ローズは止まっている。

「私は、マーロウさんの所に行くわ。少し、話がしたいし」

ローズは、そう言うと宿とは、別方向に歩き出した。

「ふむ、彼女のダメージも軽いものでは無いと思うんだけどなぁ」

ホームズは、少し心配そうにローズを見送る。

蹴った本人のお墨付きだ。

ローエンは、ポンと手を叩く。

「ホームズさん、何故、ローズさんを蹴り飛ばしたんですか?」

わざわざあんな無駄な体力を使うよりも、もっと他にした方がいいことがたくさんあったはずだ。

「………別に、どうだっていいだろう」

ホームズは、肩を竦める。

「当ててやろうか、ホームズ?」

面白そうに言うヨルをホームズが睨む。

「まあ、なんとなく私も分かっていますけどね」

「……ローエン、君ね……」

分かってるくせに聞いたのだ。

ローエンの言葉にホームズは、頬を膨らませ、ため息を大きく吐くと、頭をボリボリとかく。

「あぁ、もう!おれは寝る!ローエン、余計な事を言うんじゃないよ!」

ホームズは、拗ねたようにそう言うと宿の中に消えていった。

ホームズが宿に入るのを確認すると、ローエンが口を開く。

「さて、ホームズさんがローズさんを蹴った理由ですが……」

「余計な事言うなって言われたばかりでしょ………」

ジュードの引きつり笑いにローエンは、不敵に笑う。

「ええ、これから話すのは、余計なことではありませんよ」

「………」

言葉のないジュードに代わりにローエンは、言葉を続ける。

「あの場で、ローズさんは、戦うことができませんでした。

しかし、思い出してください。

あの時の敵はホームズさんだけではありません。

城兵達も私たちの敵でした」

ローエンの言葉に、ジュードは、何かに気付いたようだ。

「もしかして、ホームズは、それの相手をローズにさせようとしていたの?」

ジュードの答えにローエンは、頷く。

「役目のない彼女に、役目を与えようとしていたのですよ、そして、私たちが城兵にやられないようにね……まあ、悟らせるわけにもいかなかったでしょうが」

「………確かに、ローズのおかげで、城兵の存在に気付けたもんね」

ジュードは、思い出すように呟く。

ジュードの言葉にみんな納得する。

レイアは、納得するとホームズの入っていった宿を見て呆れたように呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本っ当、分かりづらいったらないよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 









酔っ払いのテンションっで、投稿するとああなるんでしょうね……

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