1人と1匹   作:takoyaki

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九十三話です




京都に行ってきました。



やっぱり楽しいところですね!



てなわけで、どうぞ


王を射と欲すればまず馬から射よ

「いくぞ!」

ホームズは突撃槍(ランス)を持つナハティガルに単身で挑む。

どの戦いにせよ、切り開く者は必要不可欠だ。

「貴様が先鋒か……よかろう!」

ホームズの眼前に突撃槍(ランス)が迫る。

ホームズは、身体を入れ替え避ける。

 

 

 

 

 

『いいかい、槍使い相手に戦うなら、三倍の実力が必要だよ』

 

 

 

ホームズは、難なく躱す。

 

 

 

 

『……まぁ、昔から言われているのは、相手の初撃から三発は躱すこと。

それが出来れば相手の三倍の実力があるってことになる、らしいよ』

 

 

 

 

(まず、一発!)

 

 

 

ホームズは、ナハティガルが引き戻した槍を見つめる。

そして二撃目が腹を襲う。

その二撃目もホームズは、難なく躱し、槍の先端では無く腹の辺りに移動する。

(二発目……!次も……)

ホームズは、ナハティガルが突撃槍(ランス)を引き抜くのを待つ。

 

 

 

 

しかし、次の瞬間視界がひっくり返る。

 

 

 

 

 

ナハティガルは、突撃槍(ランス)を戻さず、その腹でホームズを横殴りにしたのだ。

 

 

 

 

 

 

「……カッハ!!」

予想外に響く衝撃にホームズは、思わずえづく。

 

 

『あぁ、そうそう。因みに行っておくと、経験が上ってのは、それだけで実力だからね』

 

 

 

(あの人は……!!忠告は、多いけど肝心の対処法なんて、滅多におしえやしない!!)

母の忠告を思い出しながら、ホームズは胸の内で悪態を吐く。

しかし、直ぐに転がると体制を立て直す。

「どうだ?コレの威力は?」

「さてね」

痛みを噛み殺し胡散臭い笑みで返す。

聞かれるまでもない。最悪だ。

もう少し時間が稼げれば、何とか回復も出来るところだが、ナハティガルがそれを許さない。

ホームズの軽口を聞き流し、突撃槍(ランス)を構える。

「これで終わりだ」

突撃槍(ランス)に纏うマナが少し強まる。

「瞬迅槍!!」

目の前に迫る突撃槍(ランス)

しかし、ホームズはその場から動こうとしない。

そんなホームズに更にナハティガルが一歩近づいた瞬間、ホームズの口が開かれる。

「アルヴィン!!」

「あいよ……」

ホームズの声に答えるよう、アルヴィンが引き金に指をかける。

「ヴァリアブルトリガー!!」

放たれた銃弾は、ホームズの後頭部を目掛けていく。

しかし、その弾丸がホームズに届くことはない。

ホームズは、後ろ向きのまま首を振り、背後からの弾丸をかわす。

そして、ホームズに当たらなかった弾丸は代わりにナハティガルを目掛けて飛んで行く。

「ぬん?!」

弾丸が当たり煙が舞い上がる。

「でかしたわ、ホームズ!」

ローズは、いつものように刀を足元でバツ印に交差させず、左手に持つ刀をナハティガルに向ける。

「省略!フォトン!!」

煙に包まれるナハティガルに光の玉が炸裂する。

「なるほど、リリアルオーブの恩恵か……」

ヨルはホームズの頭の上で、そう呟く。

「出番よ!エリーゼ!」

『まかせろー!!』

エリーゼにマナが収束して行く。

「『ブラック・ガイド!!』」

堕天使が現れ鎌で切り刻む。

「こんだけやれば………」

ローズは、そう言って息を漏らす。

勝ちを確信したのだ。

 

 

 

 

しかし………

 

 

 

 

 

「考えは悪くない」

 

 

 

 

 

煙が晴れるとそこには、以前と変わらないナハティガルがいた。

「嘘!」

ローズは、勝ちを確信しただけに驚きを隠せない。

「お前らごときの物差しで儂をはかるな……」

ナハティガルは、そう言って突撃槍(ランス)を構える。

 

 

 

 

「……儂は、王だぞ!」

 

 

 

 

繰り出される突撃槍(ランス)

ローズは、ワンテンポ遅れたものの身体を捻り何とか躱す。

「ゔっ!」

しかし、肩をかすめ血が腕をつたう。

「ローズ!」

ホームズは、袖から流れる血を見て声を上げる。

「大丈夫。刀を振るうのに何の問題もないわ」

ローズは、歯を食いしばって答える。

そして、傷を負ったローズに代わりジュードが拳をぶつける。

ナハティガルは、突撃槍(ランス)で拳を防ぐ。

「こんのっ!」

ジュードは、空中に僅かに飛び上がり回し蹴りを放つ。

しかし、ナハティガルはそれも防ぐ。

「貴様ら如きに、つく膝もないわ!!」

ナハティガルは、そう言うとジュードに槍を振るう。

 

 

 

 

 

 

ホームズは、ジュードの戦いを見ながらアップルグミを口に放り込んでいた。

「エリーゼの精霊術を防ぐなんてね……」

「まあ、あの槍のおかげだろうな」

ヨルはホームズの肩でそう分析する。

「やっぱり?」

「そして、次いでに言うならあいつもそれ頼りじゃない」

「どういうことだい?」

ホームズがヨルの言葉に首を傾げる。

「ナハティガル自体がそれなりの実力者ということです」

ローエンが代わりにホームズの疑問に答える。

ホームズが知らないだけで、ナハティガル自身武術もそれなりの実力だ。

「経験、武器、フィジカル……なるほど、全部あっちの方が上ってことか……厄介な事だ」

ホームズは、ため息を吐く。

「でも、やるしかないよ!」

「そりゃあ、そうだ」

レイアの言葉にホームズは、ニヤリと笑って返す。

「負けっぱなしほど、腹立たしいものは、ないからねぇ……」

「ホームズ、武器の破壊を頼む」

ホームズは、ミラの言葉にこくりと頷くとヨルを見る。

「食ったと思ったら、いきなり消費か……やれやれ、健康的な事だ」

ヨルはため息を吐くとホームズに向かって黒い球を吐き出す。

ホームズの右脚は、それを纏う。

「レイア」

「任せて!悲霊壮活!クイックネス!!」

ホームズの体が軽くなる。

ホームズは、軽くその場でジャンプをする。

「ついでに、鶏足刃の如く、シャープネス!」

そして、レイアは自分にも身体強化の精霊術をかける。

「よし!」

 

 

着地と同時にポンチョをはためかせナハティガルに向かって滑るように走る。

「どきたまえっ!ジュード!」

言葉と同時に左足で踏み込む。

「瞬迅脚!!」

クイックネスのスピードを乗せたホームズの霞を纏った脚がナハティガルに向かって放たれる。

突然の面子の入れ替えにナハティガルは、避けることも叶わず、突撃槍(ランス)で防ぐ。

ホームズの脚と、ナハティガルの突撃槍(ランス)が火花を散らす。

そう、火花を散らしているのだ。

ホームズの黒霞の脚を受けながら、 突撃槍(ランス)が壊れることもなく、火花を散らしている。

「マジかい……!!」

「ぬん!!」

ナハティガルは、そのまま槍を振り抜く。

「うおっ!!」

壁に向かって吹き飛ばさせれるホームズ。

何とか壁にぶつかる前にジュードが、ホームズを抱えて軌道をそらす。

「はぁっ!」

「おらぁ!!」

追撃をしようとするナハティガルにレイアとアルヴィンが襲いかかる。

「なんだい、アレ?この状態の脚で壊せない武器なんて初めてなんだけど……」

ホームズは、そう言って紫色に輝く突撃槍(ランス)を睨む。

「考えられるのは、やっぱり……」

「ま、あのマナだろうな」

ヨルはそう言いながら、考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨル、出来ればあのマナは食べて欲しくない」

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームズは、そんなヨルの考えを見透かしたように告げる。

あのマナは、クルスニクの槍からの部分転用だと言っていた。

と言うことは、あのマナは、先ほどの人々の命、ということになる。

つまり、あのマナを食べるという事は、ホームズにとって人の命を食べる事に相当する。

ヨルは呆れたようにため息を吐く。

「あのな、そんな悠長な理想論を言ってる場合じゃないだろ。食わなきゃ殺されるぞ」

「文字通り食うか食われるかって奴だね」

ホームズは、適当にそう返すとナハティガルを睨みつける。

「ヨル。おれはあの馬鹿に勝ちたい」

「だったら、手段を選んでる場合じゃないだろ」

「そりゃあね……でもさ……」

そこで言葉を切る。

そして、ホームズはあのヨルの苦手とする目をする。

誰もが尻込みするものを強い覚悟で選ぶあの目だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妥協もしたくない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうなってしまえば何を言っても無駄だ。

その力強い目で紡がれたホームズの言葉を聞き、ヨルは舌打ちをする。

「腹に穴を開けたり、進んでいらんハンデを背負ったりするくせに……」

そう言ってヨルはホームズの肩に乗る。

「いつか、お前にとっての妥協って奴を是非とも聞きたいもんだ」

「機会があったら、教えてあげるよ……て、ことなんだけどいいかい?」

ホームズは、そう言ってミラの方を振り向く。

「何故私に聞く?」

「君は俺の雇い主。だったら、意向を聞こうとするのは、当然だろう?」

ホームズの言葉にミラは不敵に笑う。

「……侮られては困るな、ホームズ。私を誰だと思っている」

ミラは、そう言って胸を張る。

「精霊の主、マクスウェルだぞ。

第一ヨルに食わせる(そんな手)を使ったら、報酬の話は無しだ」

「そりゃあ、恐ろしいことだねぇ」

ホームズは、両足を肩幅に広げ腰を落とす。

「剛……」

赤い霞がホームズから噴きだされる。

「……照来!!」

赤い霞を身体に纏い、足には黒い霞。

準備は出来た。

「もう一度」

ヨルを肩に乗せ、目の前でレイア達と戦っているアルヴィンを見る。

「いっっっっっ……」

右足を前に出し力を集中させる。

そして……

「……くぞぉぉぉおお!!」

床にヒビを入れる程の強い右足の踏み込み、一歩で距離を詰める。

「レイア!」

リリアルオーブの光がレイアに届く。

レイアは、棍を立たせる。

ホームズは、立っている棍を足場にしそこから更に前転しながらナハティガルに向かって飛ぶ。

「「月華追尋脚!!」」

遠心力という力が加わったホームズの踵がナハティガルに向かって落ちていく。

先程とは威力が段違いだ。

しかし、相変わらず突撃槍(ランス)には、ヒビ一つ入らない。

「だったら……!」

「ホームズ!!」

レイアが棍をホームズに向ける。

ホームズは、光るリリアルオーブと差し出された棍を見て、ニヤリと笑う。

「…………どうなっても知らないゼ」

そう言ってホームズは、向けられた棍の先を掴む。

ホームズが、棍の先を掴むのを確認するとレイアは、持ち上げる。

「ゔっ!重い……けどっ!………」

「おたくら……何する気?」

アルヴィンの質問に答えずレイアは、棍を回し始める。

「ハァァァァァアッ!!」

最初は、横に回していたホームズの掴んだ棍が最後には縦の斜めになる。

「行くぞ!!」

遠心力とホームズの体重を乗せ、棍と言うよりは鎚となった武器を振りかぶる。

 

 

 

 

 

 

「「爆砕……」」

 

 

 

 

 

暗い部屋で更に暗い黒の槌が振り下ろされる。

 

 

「「……ロック!!」」

 

 

 

 

引力、重力、遠心力、全ての力を集結させた大槌が、ナハティガルの突撃槍(ランス)に振り下ろされた。

鳴り響く音は、どう優しく言っても、安全靴と突撃槍(ランス)がぶつかった音ではない。

鉄骨と鉄骨が全力で、ぶつかりあった音だ。

その音は、暗いがらんどうの部屋を震わせる。

 

 

 

 

「ッあ"ああああ!!」

ホームズは、更に脚力を込める。

対するレイアは、 共鳴術技(リンクアーツ)とは、いえ、今ので力を使い切った為、床に膝から崩れ落ち倒れそうになる。

それをアルヴィンが慌てて、受け止める。

「無茶し過ぎだ、おたくら」

アルヴィンは、先程の二人の技に呆れている。

まだ、逆でやった方がマシというものだ。

確かにリリアルオーブの力を借り、更にシャープネスをかけているとはいえ、男の体重を女の腕力で振り回すなど無理がある。

「行け……ホームズ……」

レイアは、アルヴィンの文句には、答えず聞こえるか聞こえないか分からない声で言う。

「ッだぁあぁああら!!」

更に力を込める。

 

 

 

 

 

その時飛び散る火花の中に、ヨルは、あるものを見る。

 

 

 

 

「ヒビが……!」

「えっ?」

「なめるなっ!小僧!!」

ナハティガルは、無理矢理ホームズを弾き飛ばす。

「……ぐっ!!」

ホームズは、地面の少し上一直線に飛んでいく。

(嘘だろ!渾身の一撃だったのに!!)

アルヴィンは、それを見ると舌打ちをする。

「ジュード!レイア頼んだわ」

そう言ってレイアをジュードに投げる。

そして、ホームズの飛ばされる方向に立つ。

「ホームズ!発射の用意してろ」

「無茶言うねぇ……」

ホームズは、地面に手をつきそれをバネに跳ね上がる。

そして、そのままアルヴィンの大剣を足場にする。

「よし!」

アルヴィンは、柄を持つ両手に力を込める。

「「飛天衝星駆!!」」

そのままホームズは、再びナハティガルに飛んでいく。

「ワンパターンな奴らめ!」

ナハティガルを向かってくるホームズを突撃槍(ランス)で叩き落す。

舞い上がる煙のせいで見えないが、唯一見えるホームズの手は動く様子はない。

攻撃の失敗を悟ったアルヴィンは、ホームズに突撃槍(ランス)を振り下ろし、ガラ空きになっている頭に銃口を定める。

しかし、ナハティガルはアルヴィンに向かって突撃を仕掛ける。

銃を撃つよりも早く迫る槍の切っ先。

アルヴィンは、何とか、かわす。

しかし、

 

 

 

「時練爆鐘!!」

 

 

 

 

 

横薙ぎがふられ、アルヴィンに六芒星の陣が刻まれる。

その六芒星は、徐々に光を増してく。

「やべっ!」

やがて、最大まで輝くとその陣は、爆発した。

「……っくそ!」

アルヴィンが倒れるとナハティガルは、後方でレイアの手当てをするジュード、エリーゼに狙いを絞る。

「まずい!」

ミラは、思わず声を上げる。

途端ナハティガルの動きが止まる。

「っ、これは……」

 

 

見るとナハティガルの体には、よく見たことのある黒い紐が巻きついている。

 

 

 

 

その尻尾の先には、肩に乗せたヨルの尻尾を掴んでいるホームズがいた。

 

 

 

 

 

「ヨルだけの力じゃ、君の勢いを殺すなんて無理だからねぇ……」

幸い剛招来の効果は、きれていないようで、おかげで突撃槍(ランス)の攻撃は何とか防げたようだ。

あくまで何とかだ。

その証拠に額からダラダラと血が流れている。

そう言って、床に倒れているアルヴィンを見る。

「安心しろ、生きてる」

ヨルは、尻尾を伸ばしながらそう言う。

「この……」

ナハティガルは無理矢理拘束を解いた。

しかしその時にはホームズは、ナハティガルまで迫っていた。

(おれが起きるのが遅かったから………)

ホームズは、胸の内でそう呟くと黒霞の右足をもう一度振るう。

もちろん先程のヒビが入った場所だ。

しかし、

(ヒビが……ない?)

ヨルは、眉を潜める。

ホームズも驚いた顔をしている。

「無駄だったようだな。所詮、王に勝とうなど、夢も……」

「やかましい!」

ホームズは、ナハティガルに一言そう叫ぶと右足に気を取られているナハティガルの顔面に左足で蹴りを決め、文字通り一蹴する。

「なっ?」

ナハティガルは、想像以上の威力に何をやられたか分からない。

 

 

 

 

 

 

攻撃力の方が目を引くホームズの黒霞だが、忘れてはいけないのは、どうして攻撃力が異常なのかという事だ。

異常な力を持っているからこそのあの攻撃力なのだ。

つまり、ホームズは異常な力を持っている足を軸足にし、ナハティガルに蹴りを放った。

威力は言うが及ばず。

ナハティガルは、上空からの叩きつけるかのような、回し蹴りにそのまま膝から床に落ちる。

それと同時にホームズの足から黒霞が消えた。

どうやら、時間切れのようだ。

 

 

 

ナハティガルの突撃槍(ランス)を破壊することは叶わなず、レイア、アルヴィンの協力を無に帰してしまった。

しかし、

 

 

 

 

 

 

 

「膝をついたねぇ……ナハティガル」

 

 

 

 

 

ホームズは、見下ろしながら、決してナハティガルが認めたくは無いであろう事を告げた。

 

 

 

 

 

暴虐王は、ついに平民に膝をついてしまった。

 

 

 

 

 

 







山場です!
ホームズにもヨルにもローズにも頑張ってもらいましょう!!


何回も直しました……


勿論この時も音楽を聴きながら書いていました。


自分は、プレイリストをいくつか作って分けていまして

戦闘用、しんみり用、明るい話用、馬鹿な話用etcとなっています。
てなわけで、戦闘用のプレイリストをシャッフルで流していました。
盛り上がってる時に盛り上がってる曲が流れるので進む進む。


前も言いましたけど、本当音楽の力って偉大ですよね




ではまた九十四話で( ´ ▽ ` )ノ
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