転生するならせめて人がよかった… 作:真島信之(まじまのぶゆき)
「……ゑ?」
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ…!
日々の疲れか俺はベッドに入り込み数秒で眠った次の瞬間、
な、何を言っているのかわからねーと思うが俺も何が起きたのか分からなかった…
アタマがどうにかなりそうだ…超スピードとか催眠術だとかそんなチャチなもんじゃ断じてねェ、もっと恐ろしいものの片鱗を今現在味わっている…
と言うか、ここどう見てもウユニ塩湖だよな?どこを見渡してもあるのは空を鏡のように写す広大な塩の地面。しかも木や草等の植物が何故か海面?から生えている、ものすごく違和感しかない。
「この場所は全ての生命の始まりである「海」をイメージして作られた場所だ、他の生命がいるのも不思議ではあるまい。」
「うぉっ!?」
背後から急に声が聞こえた!?…ってなんだ子供か。いやまてよ、なんで子供?
「誰が子供じゃい!!」
「うわ、近づくとちっこいな。」
「ちっこい言うな──!!」
黒髪黒目のTHE、日本人といった容姿をした小学校低学年ほどの女の子がいた。子供の時点でもうすでに美人なんだから将来はもっとすごいだろう。
あと十数年かな…
「だから子供と言うなと言っとろうが!」
「いや、そのロリボディで大人はちょっと…」
いやぁ~流石に…ねぇ?
「ぐぬぬぬ…ならば!」
すると女の子は持っていた杖(?)をクルクル回して地面(海面?)に叩き付ける。
すると幼女の全身が発光し始めた。
「ファッ!?」
「ならば、これならどうじゃ!」
目映い光が収まった時、俺は目を疑う光景にまたもポルナレフ状態になりかけた
「な、ナニィィィ─────ッ!?」
「むふふ…」
「幼女から美女になった…だと?」
「言い方!…コホン、これで文句はあるまい」
そのバストは豊満であった…じゃなくて、急に現れた大和撫子な美女はたわわな実の前に腕を組みなんともけしからん服装で俺に近付いてきた。歩く度にその実は揺れ男のロマンを感じさせる。
しかし格好がエチチチすぎる。例えるなら風呂上がりのバスタオル一枚を彷彿とさせるような格好をしている。
痴女かな?
「なんなのじゃお前は!?何かに対して文句言わんと死ぬ病気なのか!?」
「あ、やっぱり心の声読めるんだ。」
「…もうついていけん…」
えっもうそんなに疲れたの?体力ないな~
「ハァ…さて、唐突じゃがお前にはとある場所に転生してもらう。」
「いやいきなりだな!?」
唐突すぎて付いていけないゾ。
「簡単に説明するならばお前の世界は今魂で溢れ過ぎておるのだ。」
「秒速理解、つまり人が増えすぎたから他の世界に移動させようって話だな?」
「なんじゃ、結構頭が回るな。」
つまりこの大和撫子っぽい美女は先程の日本一なんとかに出てきそうな幼女だった訳だ。不可能なハズの体の急激な成長、そしてそれを可能とする存在はただ一人…
「あんた神様だったわけだ」
「その通りじゃ。」
迫真のドヤ顔。そのドヤ顔は先程の出来る女感が無くなりまるで可愛らしい子犬を見ているかのようだ。
これはかわいい、これぞまさに『守りたい、この笑顔』と言われるべき十点満点の笑顔だ。
「さて、本題に入ろう。」
「俺が別世界に転生するんだろ?」
「そうじゃの。」
「一つ質問あるんだけどいい?」
「なんじゃ?」
「なんではじめから溢れた魂って奴をソイツが産まれる前に別世界に送らねぇの?」
そこが疑問だった。
世界に存在していい魂の数が定められていると言うのなら、はじめから産まれた魂を別の世界に送ればいい。そうすればこんな面倒な面接モドキをしなくて済むし効率よく世界を管理できるだろう。
「…残念ながら魂と言うのは生物の子宮の中で生まれるのだ、それは人間とて例外ではない。それが出産によって生か死かを選び、無事に産まれた時初めて魂がソコにあると定められる。そしてその者は複雑に絡み合う未来を選び自分の道を進むのだ。」
「あー、つまり?」
「…すまない、実はお前達の未来は最初から『死』しか無かったのだ。無数に存在する未来を意図的に動かしいずれ死ぬように定めていた。罪無き命を意図的に死なせた謝罪としてお前達にもう一度、今度は真っ当な人生を生きてほしい。」
「はぇ~…」
なるへそなるへそ、通常魂と言うのはその場で産まれるものなのね。それを管理するのが神様の役目って訳か…ん?
「なんで魂には数の限界があるんだ?」
「コップから溢れるほど水を入れる奴が居るのか?」
「なるへそ、数には上限があるのねん。」
納得した!
「それで転生って具体的に何するの?」
「ランダムに世界と特典が選ばれ最終的にそこに転生します」
「は?(困惑)」
ちょっと何言ってるのかわからない、て言うか何故いきなり敬語になった?
「それでは早速いこうか!」
「ちょっwwwおまっwww」
ドゥルルルルル…
謎の効果音がどこからともなく聞こえてくる。ルーレットの効果音だろうか?
デンッ!
パァァンッ!
今度はクラッカーか?
「おめでとうございますー」
「……何が出たの?」
「シン・ゴジラに転生です。」
「は?(全ギレ)」
え、まって?嘘でしょ?俺の来世化け物に転生することになるの!?冗談だろ!?いやだって明らかにダメなやつじゃん!航空陸自衛隊とかに攻撃されたりするんだろ!?核攻撃されたり空爆されたり人間に攻撃されてカチコチに固められて死ぬ運命なんだろ!?
勘弁してくれよ…(オルガ並感)
「まって、ルーレットもう一回回してくれない?」
「すまんな、このルーレットは一回用なのだ。」
「ス○夫ォォォォ──!!!」
ガバッと足の下に穴ができる、もちろん物理法則に従い俺はその穴のなかに落ちて行く。それはまさしく……
「何にそのテンプレートォォォォォォォォ…」
「では、よい人生を。」
俺の来世が「人」生では無い件について。
俺は穴の下に落下して行く。その穴の中は深淵に包まれており日の光を通すことは決して無かった。光が入り込むことができないとでも言うようなその穴の中はうすら寒い雰囲気に包まれている。落下の空気抵抗は感じなかった、だと言うのに落ちているという感覚が途絶えることが無い。未知の見えない現象と感覚が恐怖を駆り立てる。
時間の流れがずれているのだろうか、もうずっと落ち続けているように感じてくる。深淵は今もなお続いており上を見てもその光を見ることは出来なかった。その深淵を見続けているといつしか自分が何者であったか忘れて行き、次第に意識も薄れて行く。それが十年、百年、千年と続いている気がする。
意識が朦朧とし最早これが死なのではと錯覚し始めた頃俺はついに目を閉じ眠ってしまった。
(…あ)
次に目を開けたとき、あの深淵とは違う暗闇の場所に居た。
(なんだ?俺は無事に転生したのか?)
暗い視界に困惑しながらも周囲を見渡す。当然真っ暗なので何か見えるわけがない。
(…冷たい?少し動きに抵抗を感じる…宇宙とかじゃなくて、海の中だったわけだ。)
一瞬宇宙に産まれたんじゃないのかと絶望したがどうやら海の中に産まれたようだ。と言うかさっきからなんか体がチクチクする…
(ファッ!?)
俺の視界に何故か体だけが見えた。そしてその体は…まあ当たり前だがゴジラ第一形態である。
しかも今進化し始めたのか体の色がうっすら黒くなり始めている。
(ヤベッ!とりあえず本家と同じ感じに進化したいよな…あっそうだ(唐突))
進化が本家からかけ離れるのはマズイと考えた俺はとある発想に至った。イメージする、そうイメージするのは常に最強の自分自身…じゃなくて、映画で見たあの恐怖心を煽る巨体。
あの姿をイメージし続ければ体の進化もそちらに釣られて変化するのでは?と俺は考えたのだ。
海中でそのまま進化するなど海中で生活することに特化することになる。ならば海から出れば?と思うだろうが進化し始めたのでそんな時間無いです。
と言うか正直に言えば一か八かの賭けである。
(アデデデデッ!?待って!?進化ってこんなに痛いの!?)
そりゃそうである。進化と言うのは一瞬で行えるほど簡単なものではない、ゴジラが異常なだけで進化と言うのは数百年以上掛けて行うものであるのだ。
(痛い痛い痛い痛い!例えるなら全身が筋肉痛に追い込まれている感じだ!)
筋肉が勝手に伸縮し骨が伸ばされ骨格が変わる。肉体の体積も変わり筋肉の量も増え内蔵も変わっているのだろう。
体に痛くない部分なんて無かった。
(アダダダダダダダッ!?ヤバイ!死ぬ!痛みが強すぎてショック死して二度目の死を迎えてしまう!そんな情けない死に方嫌だァァァァッ!!)
~そんなこんなで五時間後~
進化による長時間の激痛との奮闘は正に拷問だった。全身を突き刺すような痛みは長く続けば続くほど増して行き次第に何も感じなくなっていった。
少ししてようやく進化が終わったのだと悟った。
(…終わった……よな?)
体を動かして確認する。どうやら俺は無事にゴジラ第四形態(推定30メートルから40メートル)に進化できたようだ。尻尾の長さを含むと全長50メートルを越えるのではないだろうか?それほどに大きいと実感できる。
体をくねらせ海蛇やウツボのように海中を進む。速度は出ないがそれでもいい。少しずつだが確実に海上へと向かう。
一度海中で止まって体がどちらへ沈むかを試し沈む逆方向に泳ぐ事で上がどちらか判別する、これを先程から続けている。しかし光は未だに見えない、この巨大な体でさえも完全に包み込む広大な海に今更ながら畏怖を感じ始めていた。
しばらく登り続けていると周りが少しずつ明るくなってきた。そしてキラキラとした日光が棒のようになって上から差し込んできた。間違いないあれは太陽の光だ!
(ウオォォォァァァッ!!久しぶりの太陽だァァァ!!太陽万歳ッ!!)
久しぶりの光にテンションが振りきれる。そして唐突に何か食べた方がいいのだろうかと考え付いた。落ち着いたからか頭が判断したのだろう。
しかし今さらな話だ。今までの行動でこの体は疲れることなく動くことができた。体の最深部からエネルギーが沸き出ている感覚が先程からあり腹が空く事も喉が乾くこともない。
まさしく完全生物と言えるだろう。
(…そうだ、人間は俺の姿を見て怯える事だろう。俺だって人生を20年近く無駄に生きた訳じゃない、人は必ず
冷静に考えてみればそうだ。
この姿の俺が人に受け入れられるだろうか?
そんなの無理な話だ。未だに人間は同じ種族で争っているのにソコに新な種族が追加されてみろ、迫害を受けるのは明白いわゆる「火を見るよりも明らか」と言う奴だ。
泳ぐのを止めた俺はゆっくりだが下へと体が落ち始める。海面まであと数十メートル、だというのに上がる意欲が沸き上がらない。
(このまま海中で過ごし続ければいいんじゃないか…?そうすれば俺は人間に迫害されることなく生き続けられる…)
本当にそうか?
人間は陸地を進行し、ついには海にもその領土を進めた人種だ。
映画では深海調査中に怪物を見付けた、なんて展開もある。あれはゴジラにもあった。
ゴジラだけじゃない、他の怪物でもそうだ。
海中は安全か?いいや違う。「完璧」と言う言葉があり得ないように海中が、深海そのものが危険だ。
『深海探索で未知の生物を発見した』、だったらそれを探すしかないよな?
人間は好奇心も強い生物なのだから。
ふと、妙な振動が海中に伝わってきた。
ドン…ドン…
(何かが…爆発する音?海の上で?…と言うことは軍艦の攻撃か?)
瞬間何故かミリタリー好きの友人の大興奮を思い出した。発情して暴れている牛が隣に居るじゃないかって恐怖したのが一番の思い出だった。
《ホレ見ろッ!!戦艦の主砲はあの壮絶な音と共に発射される強力な砲弾が命なんだよッ!!クソ映画のちっぽけな音と破壊力とは天と地ほど違うんだッ!!!》
《わ、わかったから落ち着け、近所迷惑だからさ?な?》
《うるせぇ!!バト○シップ最高ッ────ッ!!!》
…トラウマが蘇る。
しかし、彼の言葉で俺は希望が見えてきた。
シン・ゴジラは第四形態の時点で戦車の主砲やヘリのミサイルやガトリングがまったく通用しなかった。それならさらに一段階進化すれば戦艦などの主砲も防げるのでは?と俺は考えた。
先程から振動は途絶えることなく現れ続けている。演習にしては派手すぎるし空砲とも考えにくい、これは明らかに殺意をもって攻撃しているのが分かる。これは今が戦時中である事に繋がる。
つまりこの戦争で日本軍に味方すれば過去の日本軍は神風やらなんやらに勘違いしてくれるかもしれないのだ!戦時中にタイムスリップ転生したのはラッキーだったかもしれない。
そうと決まれば介入だ────ッ!!
~数秒後~
「な、なんだ…この怪物は…ッ!?」
(なんでこんなところに女の子居るの??)
早速なんか失敗(?)したでござる。