地上に出て思ったことは自身をなんと呼称するかだった。
アンドロイドとして生まれ変わった自分に新しい名前を付けたいそんな理由だ。
今まで研究一筋で自分のことなど何も考えてなかったのだ。
ふととある物語を思い出した、『オズの魔法使い』だ、それに出てくる主人公の名前なんてどうだろう。
「そうです、ドロシーなんてどうでしょう。うん流石私ネーミングセンスも完璧です」
周りを見渡すとボロボロになったビルが多数あることが確認できた。
「地下の研究所にこもってから数千年たっているはず、それなのにこれほどまでに構造物が残ってるなんて、これらを管理するものがいるということでしょうか」
ドロシーはひび割れだらけのアスファルトの上を歩きだす。辺りを確認するため、あまり壊れていないビルを選び階段を使い屋上まで登る。
鳥の鳴き声、風の流れる音、植物が揺れる音。とても和やかな空気が流れる。
これからどこに行こうか、何を探究するか、ドロシーがそんなことを考えていると遠くの方で爆発音がなるのが聞こえた。
和やかな雰囲気を切り裂く爆発音にドロシーは目を輝かせる。
「あそこになにがあるんでしょう!気になります、立て続けに爆発音が聞こえてくるといことは、爆発物が連続で爆発しているか誰かが争っているということ!」
ドロシーはビルの屋上から飛び降り、魔法による重力操作で安全に着地する。
「人でしょうか、それともアンドロイド、はたまた新たな知的生命体かもしれませんね」
そうしてドロシーは音のなる方へ気持ちの昂るまま走っていった。
「あれは、なんでしょう」
そこには機械の大群と白く丸い顔の付いた大群が戦っていた。
「すごいです…今までみたことがありません!」
機械たちはミサイルや粒子法エネルギー弾を撃っている、丸く白い顔の方は魔素を使った魔法を駆使していた。
一回り大きな爆発が起こると大型の機械と丸く白い顔が落ちてきた。
大型の機械はまるで蜘蛛のような姿をしていた。白く丸い顔の方は小型の車に顔が付いたようなフォルムをしている。
「おお!なんて私は運がいいのでしょう!」
重力操作の魔法を使いその二つを浮かせ回収するとドロシーは小型のドローンを配置した。
「これがあればどこでもこの戦いが見れます!視覚の端にでもウィンドウを配置しておきましょうかね」
アンドロイド化したドロシーの視界はVRのようになっており様々なGUIが浮かんでいた。
自身の耐久度を数値化した物やリアルタイムで周囲をスキャンしその情報を表示するためのウィンドウなどが複数出ていた。
視界の端のウィンドウを見ながらドローンを遠隔操作する。
「ふむふむ、どうやら顔付きの方の魔法は純粋なエネルギーのようですね、魔素を元に起こせる、そうゲームのような魔法は使わなんですかね」
機械相手なら熱を発生させればオーバーヒートを起こせるだろう。防水されていなければ大量の水でもかければいい。絶縁されていなければ電気を生み出し回路を乱せばいい。
瓦礫を高速で打ち出せば速度と質量によってはただではすまない。
「もしかして、双方頭が悪いのでは?」
まぁ私より頭がいい存在なんていないでしょうけど、自信ありげにドロシーは考える。
そんなこんなで地下研究所のハッチについてしまった。ハッチの上にはビルが倒れ伏しており、ドロシーの撃った魔法により真ん中に大きい空洞が出来上がっていた。
ハッチの蓋はドロシーのドローンによって再設置してあった。
「いやぁこのドローンつくってよかったです!清掃用建造用戦闘用偵察用etc.etc。便利ですねぇ」
すでにドロシーは偵察用と回収用ドローンを飛ばしており、周囲の情報を集め始めていた。
ハッチを降り大型の機械を顔付きを降ろす。顔付きを小型の車と分離させると顔を研究台の上へと置いた。
「さて、結構堅そうですね」
手の甲でたたいてみると中身の詰まった音が鳴った。
「さて、頭上部を切ってみましょうか」
レーザーカッターに設置しようと手を伸ばすと、
「わあああ!待って!待ってください!」
頭が大声を上げた。