人形と研究者   作:鋭い縫い針

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研究者と兵器

頭が話した、最初は驚いたが次第に探究心が湧き出てくる。

「しゃ、しゃべった」

「ええと、その」

ドロシーは笑みを浮かべる。

「興味深いです!頭部だけであるのに会話ができるだなんて、もしや機械の一種でしょうか、ですが構成物質の詳細がわかりませんね、会話ができるということは」

ギラギラとしたと目を向けられた顔はおびえたように震えた。

「あ、あの」

「ええ!ええ!好きなだけ話してください!あなたは誰ですか?この機械のことはどこまで知っていますか?なぜ彼らと戦っているのですか?お仲間は?」

「ま、まってください!一つずつ話すので」

顔の名前はエミールというらしい。何と、戦っていた相手はエイリアンが作り出した機械生命体といってそう、エイリアン!

エイリアンは地球を侵略しに来たらしく、エミール達が防いでいるそうだ。

解剖したいがサンプルないらしい、本体は出てこず機械生命体に任せっきりらしく、ドロシーはとてもがっかりした。

数で圧倒する機械生命体に対抗するため増殖能力を生み出し対抗しているらしいが、記憶が欠けたり精神や魔法が弱体化したりするデメリットがあるそうだ。

ドロシーはエミールから情報を聞けるだけ聞き出し大型機械生命体を調べる。大型だけであってスキャンする量も解体するポイントもパーツも多かった。

人類が作り出す機械とにた構造をしているところは驚いたが一番違うのはコアであった。

構造を調べてみたところ植物細胞ににた物質が使われているらしく、機械と植物細胞が上手く混ざり合っていた。

「すごいですね!有機物と無機物がうまく調和されています!」

手に持ち様々な角度見る、黒い球体の中に高エネルギーの結晶が見える。

植物細胞と金属を元に作られているのなら変動制を持ち合わせているのだろうか、これなら様々なものに流用できるかもしれない。

がちゃがちゃと大型の機械生命体を解体していくドロシー、オイルで汚れるのも構わず作業を続ける。

ドロシーは魔素で工具を創造し手際よく解体する、手の中でくるくると変わる工具を機械の隙間からエミールはそれを眺める。

「器用ですね、魔素をこのように使うなんて」

「数千年魔素について研究していますからね、大抵のことはできますよ」

「数千年…」

ドロシーは機械を解体する手を止めエミールに向き合う。

「私は一人の研究者でした、ですが紆余曲折してアンドロイドとなったのです!」

誇らしげに胸を張るドロシーの言葉に驚いたように、

「人間、だったんですね、ぼくもこんな姿だったんですけど」

元人間同士仲間意識が芽生えたのか互いに微笑み合う。

「んじゃ、私は作業に戻りますね」

 

エミールは考える、今後のことだ。ボディは取られてしまった、頭部だけでできることは限られてるし、彼女の方が強いのが分かる。

仲間たちは戦っているのに自分だけ何もしていない罪悪感と、今は戦わなくていいという安心感にさいなまている。

「どうしよう…」

もしかしたら解体されてしまうのかもしれない、ぞわぞわと恐怖も湧く。

爆発に巻き込まれた衝撃で意識が飛んでしまい気づいたらこのような事態になってしまった。

ふるまいも言動もどうみても人類にしか見えないアンドロイドだったが人間の記憶を丸々移したアンドロイドだというなら理解もできる。

「本当にどうしよう…あの、ぼくいつ帰っていいんですか?」

「ん~だめですよ、あなたは私の研究対象なので」

帰れないらしい、戦場に戻れないなんて、自信の存在価値は何なんだろう戦うために生み出されたのに。

「ちなみにこの子を解体し終わったら次はあなたですよ」

さらに絶望した。

 

数日間かけて解体が終わる。広い地下研究所の中にぎりぎり入るくらいの大きさの機械生命体を解体するのは一苦労だが、楽しくて休憩もなしに作業してしまった。

「あ、あの」

エミールが話しかけてくる。また有益な情報を話してくれるのか、そう思うと胸がときめく。

「もしよければぼくを助手として扱いませんか?ボディさえあれば何でもできますし、作業効率だって上がるはずです、それにそれに」

つらつらと話し続けるエミールにドロシーは気づく、あぁ解体されたくないんだなと、でも同時にこう思う、ナビゲート役にはぴったりなのでは?

「ふ~ん、まぁいいでしょう。助手として雇ってあげますよ、そのかわり、あなたの価値がなくなったら即解体ですからね」

がちゃがちゃと両手の工具を打ち鳴らし脅すドロシーに器用にエミールはうなずく。

こうして新たなコンビが誕生したのであった。

 

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