人形と研究者   作:鋭い縫い針

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研究者と第一村人達

エミールから様々なことを聞いた、どうやら人類は滅びたらしい。

「へ~さすがに滅んだんですね、まあ白塩化症候群などありましたし、それにしてもゲシュタルト計画ですか」

無謀としか思えなかったが人類はそこまで追い詰められていたのだろう。

たった一人の人間と思考の自由を許したアンドロイド達に任せるなんて人類の存続にやる気があるのかないのか。

それにしても困った。世界に、人類がいる世界に自身の研究結果を認めてもらおうと思っていたが、絶滅してしまったのなら認められるものも認められない。

「人類の遺産であるアンドロイドに認めてもらうのもありですね」

顎に手を置きドロシーは考える。技術というのは万人が使えなければ意味がない。

馬鹿でも理解できるようにしなければ伝わらないし、馬鹿でも使えるようにしなければ意味がないのだ。

馬鹿に合わせるのはくだらないが相手はアンドロイド、思考速度も技術レベルを人類より上のはず。

思考の自由を許した結果アンドロイドに感情が芽生えたらしいのできっと興味深いことになっているだろう。

そんな奴らに自身の技術を発揮できればなんと気持ちの良いことか!

まずこの魔法を使いやすくしなければ、これは個人の力量に頼りすぎている。

さてどうするか、魔素を収集する機械を作り法則を作成、それで魔法を動作させるシステムを積んだ道具とかどうだろう。

いや、魔素を使って粒子データに働きかけ転送装置を作る?

自身出る変えるような魔法の研究に没頭していたため他者に使えるようにする方法は研究していなかった。

研究内容が増えたことに笑みを浮かべてしまう。

急ににやにやし始めたドロシーに困惑するエミール。

「あの、もしよければアンドロイドで構成されている『人類軍』に会いませんか?」

「アンドロイドが作った人類軍ですか、確かにいいですねぇ、見たことのない機械や武器、技術があるかもしれませんし、それにアンドロイドが自ら行動したとなると興味深いです」

エミールは魔法を使い宙に浮く。

「では!早速行きましょう、案内はぼくがします」

浮いたことに対して驚きを見せないドロシーは一度頷くと、

「では!出発です!」

と張り切って声を上げた。

 

二人は荒れ果てたアスファルトの上を進む。

他にいる動くものといえば動物しかいない。

「イノシシにシカですか、ずいぶん大型ですね独自に進化したんでしょうか、そういえば植物も巨大化してますね」

キョロキョロと辺りを観察しながら歩くドロシーの前をエミールが先導する。

「この先に人類軍のキャンプがあったはずです、ええと、機械生命体から隠れるためか全然みつからない」

「しょうがないですねぇ」

ドロシーは気体中の魔素にアクセスをするため魔法を使う。

「どうするんですか?」

「魔法の一つです。空気中の魔素を操作して周囲の物体を読み込むんですよ」

手元にホログラムのように小型の立体地図が構成される。ミニチュアの動物が動いているのがリアルタイムで動いている。

ドロシーが索敵範囲を拡大すると人型の動く物が複数体いることが分かった。

「おや、アンドロイドのキャンプを見つけましたよ」

手元のホログラムを拡大してみると、破損しているアンドロイドがちらほら見える。

このアンドロイド達には感情があるのだろうか、誰もかれも浮かない顔をしていた。

武器は全員が小銃とサーベルを装備しており、隙がないかと言われれば皆疲れているようであった。

「アンドロイドなのに疲労感ってあるんでしょうか」

ドロシーはアンドロイドになってから身体的疲労を感じたことはない、確かに数年間も休憩なしに作業をすると心的疲労のためか作業効率が落ちることはあったが、ここまでではなかった。

このアンドロイドたちは随分人間らしい。

「だとしたら効率が悪いし、無駄ばかりですねぇ」

疲れないことが機械の特徴なのに感情のせいで疲れてしまうだなんて、そんなの失敗作だろう。でも人間に近づけることが目的なら成功なのかもしれない。

だがそれは戦闘用の兵器に必要なことなのだろうか、疲れを感じさせるほどの感情があるだなんて。

でも個性は生まれる、多様性があるなら柔軟な思考もできる。そのための代償なのか。

「とりあえず会ってみましょうか」

「友好的にしてくれるでしょうか」

「もし敵対的なら研究の材料になってもらいましょう!」

戦場の状況を変える天使か、それとも敵味方区別せず自身の目的のために暴虐を尽くす悪魔か、それはドロシーの気分次第であった。

 

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