キャンプ地は建物に囲まれた場所に機械生命体から隠れるように存在しており。
四本の支柱で支えられたテントが複数設置されていた。
テントの下にはアンドロイド達が休息とっており、皆疲れ果てているように見える。
そこに不用心にドロシーは近づいていく。エミールは恐る恐るその後ろをついていった。
「っ、誰だキサマ!」
一人のアンドロイドがドロシー達に気づき声を上げると一斉にアンドロイド達が武器を構える。
ドロシーはそれを気にせず話し始めた。
「こんにちは!私はドロシー、こっちの浮いているのはエミールです。まぁしがない研究者ですよ、今回は皆さんに挨拶をしに来ただけです」
ドロシーの見た目は汚れた白衣を羽織る軽装の女性型アンドロイド、それに比べて彼らはがっちりと重装だった。
「手を上げて大人しくしろ、識別番号を送れ」
一人の男性型アンドロイドが警告する。識別番号、各アンドロイドに渡された味方を識別するための番号であるが、個人で作られたアンドロイドであるドロシーが持っているはずがない。
「すみませんが私はオンリーワンでナンバーワン、識別番号は存在しないんですよねぇ」
アンドロイド達の警戒が高まる。ドロシー達を囲む範囲網がすこしづつ形成されていく。
「なぜなら私は個人が作ったアンドロイドなので、政府が作った量産型アンドロイドと違うんですよ」
量産型、それを侮辱だと受け取ったのか先ほど声を上げたアンドロイドがドロシーの足元に発砲する。
エミールはおろおろとしているがドロシーは涼しい顔だ。
「我らを侮辱するか!敵に鹵獲され改造されたアンドロイドの可能性がある、捕獲か破壊しろ!攻撃開始!」
そのアンドロイドの掛け声とともに銃弾が発射される。だが銃弾がドロシーに到達する前にドロシーが張ったバリアに塞がれてしまう。
一心不乱に撃ち続けるアンドロイド達をドロシーは観察する。
「ふむふむ、一人ひとりに個性があるんですね、的確に急所を狙ってくるものもいればでたらめに当ててくるものもいる。そもそも全然当たっていないのもいますね」
「ど、どうするんですかぁ!?」
エミールは銃弾に当たらないようにドロシーの後ろに隠れている。
「う~ん」
ドロシーは少し悩み、
「じゃあ両手両足もいでお話ししましょうか」
アンドロイド達にとって地獄の始まりであった。
ドロシーは戦闘システムを起動させる魔法使い自身が生み出し倉庫代わりに使っている空間から先端に瓶のようなものが付いた杖を取り出し右手に持つ。
頭上には360度の情報が収集できる天使の輪もしくはギザギザの角に見えるものに鈴のような補助演算装置の付いた戦闘補助装置を浮かべた。
どこからともなく杖の瓶に90度ごとに丸い穴が開いた美しい装飾のカバーが被せられる。
ドロシーが杖に魔素を集め起動させると穴から黄色く光るとげが生えた。
「さあて、大人しく研究材料になってくださいね」
「あの、ぼくは…」
「援護よろしくお願いしますね!」
ドロシーは一歩踏み出しリーダー格なのであろう声をかけてきたアンドロイドの目の前まで一気に移動する。
驚き連射が止まるアンドロイドの両腕を右から左に薙ぎ吹き飛ばす。
勢いで後ろに倒れるアンドロイドの両足も逆方向に戻るように杖を振ることで吹き飛ばした。
破損個所から赤い液体と火花が散る。
「これは血…?いや血を模した液体ですか、もしや人間に近づこうとしているんですかね」
同じように距離を詰め四肢をもいでいくドロシーにエミールは何もできずおびえていた。
人間の記憶が強く残っているのにもかかわらず人型のモノを淡々と破壊するドロシーに異質を覚えたのだ。
ドロシーは特別制、ナノマシンや自己改造を行い常に内外問わずアップデートを繰り返してきた。
鋼鉄をも素手で引き裂けるドロシーの怪力によって振るわれる魔法で強化された杖はアンドロイド達を破壊するのに十分であった。
戦いはすぐに終わった、ドロシーの虐殺であった。
周囲には四肢が破壊されたアンドロイド達が転がっており痛みでうめいていた。
「へぇー痛覚があるんですね、私にもにたような機能はついていますが人間のように苦痛を味わう機能ではないんですよね」
「おやおや、こちらは完全に壊れてしまいましたか、コアは、ふんふん、内部もこうなっているんですね」
「全体的に人間に寄せているようですね、なるほど人類は尊く神のような存在であるから模範するのは当たり前だと、それでは進化の停滞を促すだけですよ」
「この液体何の意味があるんですかね、明らかにアンドロイドには必要ないと思うのですが」
ドロシーはすぐ観察を始めた、稼働している状態で腹部のユニットを引き裂きアンドロイドの悲鳴と血を浴びながら解剖をし壊す。
ほしい情報があれば拷問をし吐き出させる、それでも話さないならハッキングしデータを根こそぎ奪い、システムを調べ内部をぐちゃぐちゃにして壊す。
痛覚テストのため様々方法で痛めつけ、ハッキングしながらどのような反応をするのか調べて壊す。
気づけばドロシーはアンドロイドの血やオイルで汚れ、周りにはむごたらしく壊されたアンドロイドが転がっていた。誰もかれも苦痛の表情を浮かべている。
エミールはドン引きしていた、道徳観も倫理観も何もないサイコパスに出会ってしまったこと、きっと逃げても追いつかれてつかまって解剖されてしまうことに絶望した。
「さあて、比較的綺麗なものを持ち帰って引き続き調べましょうか、さあ帰りますよ」
「は、はい」
ドロシーは綺麗なアンドロイドの遺体を浮かべるとエミールとともに地下研究所へと向かった。