基地の談話室は戦術人形にとっては憩いの場であった。
「でねでね、結局指揮官ったら新入りとして訳ありだけどM82A1を引っ張ってきたみたいなのよ」
この間入ったばかりの
「わあ! 新人さんが入ってくるのはいいことですね~」
両手を合わせて上機嫌に言うのはショットガン戦術人形に分類されているS.A.T.8であった。彼女はソファに座ってUMP40の話を聞いた後、中々配属されない新たな戦術人形の加入に素直に喜びを見せていた。
「わたしも戦術人形が増えることは喜ばしいことだと思います」
「わたしもM590に賛成です。UMP40」
同じく、S.A.T.8の両隣に布陣している。M1014とM590も賛成を示す。
「私も喜ばしいことだと思います。特にM82A1は対物ライフルです。より幅広い作戦能力と選択肢が取れるのは十二分にメリットがあると思うわ」
UMP40の話を立ちながら聞いていたDP-12も賛成を示した。
それに続く形でDP-12の隣りにいるサブマシンガンタイプの戦術人形も口を開く。
「わ、私達も、ライフルタイプの戦術人形に援護射撃してもらえるのは大変ありがたいです」
猫耳ヘッドセットに黒いコートを着たTMPはボソリとそういった。
それに続く形でJS9とP90も続く。
「私達では近距離戦闘にしか対応していないので、遠距離は私のできる範疇を大きく超えるので助かります」
「私も、身振り手振りはマネできるけど、流石に狙撃まで無理だからね~」
後方に設けられたこの基地は、表向きは管理用の司令部のみを置き、実力部隊を擁しない兵站・補給廠基地である。よって、勤務する人形も戦術人形ではなく民間仕様の人形であることが普通である。
しかし、この指揮官の基地は通常の範疇には収まらず、ここに勤務する人形は戦闘技能を持った高度な戦術人形も配備されていた。
書類上では民間人形、しかし実際は戦術人形。それは後方での統治や治安維持を阻害する低強度紛争や、警察機関では対処しきれない戦力に対してのカウンターテロリズムの実行組織を担っていた。
――そういった特色上、戦術人形の種類も
「よし! じゃあ歓迎会! やっちゃいましょうか!」
当の本人であるM82A1の知らぬところでUMP40がそう宣言した。
■ ■ ■
「……と、言うことがあったのですが。その、UMP40と同じ訳ありというのは……本当でしょうか?」
そう言うと、長い青髪を後ろに編み込んだ女性――DP-12は書類を指揮官に提出する際に先程の出来事を話した。指揮官は無言でDP-12から受け取った書類を吟味する。
「乱暴な言い方で端的に言えば事実だ。
彼女は民間ベースを元にした戦術人形ではあるが所有者が不透明。だから私が身元を引き受けた」
ある地域の文化的背景についてDP-12が作成した報告書を指揮官は満足げに読み込んだ。
「ふむ、おおよそ私が調べた限りの情報と合致している。民俗学や風俗、人間の歴史や土着文化に興味があるというのは確かに、認めよう」
「ありがとうございます」
DP-12は指揮官に深く頭を下げる。この基地に配属される前の人間には到底理解されなかったDP-12の趣味や趣向ではあったが、ここの指揮官は理解があったようであった。
「ちなみに差し支えなければで良いのだが、これはどのようにして調べた?」
指揮官はDP-12のまとめたファイルをとんと叩いた。
「はい、ネットワーク上に散らばった情報や、マーケットでたたき売りされていた古書なんかを買い上げて調べました。今回はたまたま買い物をしている古物商の商人がその地域の出身地だったというのでその方からも聞きましたが」
指揮官は目の色を変えたようにDP-12を見つめた。その様子にDP-12は何か琴線に触れるようなことをしでかしてしまったのかと不安になる。
(なにィ!! 人形ごときが歴史を学びたいだと!?)
(創作? ロボットがか?! 傑作だな!)
DP-12は以前いたときに人間に言われた言葉を思い出し、ますます不安と焦燥にかられてしまう。しかし、彼女の目の前にいる指揮官から放たれた言葉は彼女の予測を裏切ることとなった。
「後出しという形で情報を開示することを先に謝る。
実のところ、これらの情報は先の大戦と崩壊液による汚染でその殆どが失われているか、あるいは虫食い穴の状態になっている」
「は、はぁ……」
いまいち要領を得ない指揮官の語り出しにDP-12は生返事を返す。
「……結論からいうとDP-12、私は君を高く評価するしかない。
君の作ったこの資料、単に地域文化のデータと言うレベルではない。まだまだ文章は荒削りではあるし、読み物のような比喩表現や私見も存在はしているが、きちんと整理され、編纂されたれっきとした歴史書だ」
指揮官はそう言うと、小切手と書類を差し出した。
「指揮、官? これは……?」
DP-12は恐る恐る小切手と書類を受け取り、中身を確認する。
小切手は何も書かれておらず、書類の方には『図書館内地域文化資料室閲覧許可願』と書かれた物であった。
「端的に言おう。
私はコレを見てDP-12、君を手元に絶対に置かなくてはいけないと思った。君のその趣味を仕事に生かしてもらいたい。そのためには私のできる限り手を尽くして助けようと思う」
思わず「えっ」と反射的に漏れ出たDP-12の声をよそに指揮官は続ける。
「古書物に使った費用を小切手に書いてくれ、私が負担しよう。記録の閲覧も本来であれば人形だけでは入れないクラスではあるが、文化の保全・維持活動のためだ。役所の人間を説き伏せてみせよう」
あまりにも話の展開が急激過ぎてDP-12は完全に理解がおよばなくなってしまってはいるが、少なくとも目の前の指揮官は本気で戦術人形に人間の歴史の編纂を任せようとしていることはだけはわかった。
「……少し性急過ぎたな。とにかく、DP-12。君のやりたいこと、したいことがあれば何時でも申請して欲しい。できる限り要望には答えよう。
その代わりと言っては難なのだが、戦災によって失われた人類の歴史。これを拾い集めて編纂し、そして蘇らせてみるのはどうだ? 片手間でも構わない。試してみてはくれないか?」
指揮官の言葉はDP-12自身がやりたかった読書と創作の自由を予期せぬタイミングで手に入れてしまった事を意味していた。
その時、司令室の扉が開かれ、桃色の髪を持った戦術人形が入ってくる。
「失礼します。指揮官」
M82A1と呼ばれている戦術人形はトレイに2つのコーヒーカップを載せて部屋の中に入ってきた。M82A1から差し出されたコーヒーから立ち昇る湯気と匂いを指揮官は感じ取り、いつもと違うとわかった。
「指揮、官。コーヒーをお持ちいたしました。」
デスク越しに、指揮官と相対していたDP-12は位置をずらしてM82A1に譲る。M82A1から差し出されたマグカップを指揮官は受け取った。
マグカップ自体は色とデザインは既視感のあるものだったが、持ち手を握った時の感覚が異なる事から新しいマグカップだと指揮官は察した。
M82A1は初めて淹れたコーヒーをまじまじと見つめる指揮官を見て内心気が気でなかった。
M82A1は崇められて以降、何一つ自分でこういった家事をしたことがなかった。家庭用や家政婦モデルでも無かったため、そういった知識にも疎かった。
しかし、ふとしたきっかけで指揮官にコーヒーを淹れたいと思ってしまった。故に、今に至る。
――コーヒーを淹れるという行為すら認知したことのない彼女にとってこの瞬間は審判の時でもあった。
「その……初めて、入れたのですが……どう、でしょうか?」
おずおずとした様子でコーヒーを飲んだ指揮官に感想を求めるM82A1。DP-12には頭につけてある1対のアクセサリーが彼女の自信の無さを表すように低くうなだれているように見えた。
「美味かった」
書類を読み込みながらコーヒーを飲んでいた指揮官、その何気ない一言を聞いたM82A1は見る見るうちに嬉しさを顕にする。頭のアクセサリーも気持ち上にせり上がっているように見えて、DP-12から見てもその様子は幸せに満ちていることがわかった。
「また淹れますのでどんな物がいいのか教えて下さい。なんだって、思いのままに入れますね」
トレイを持って、口元を隠しながら恥ずかしそうにM82A1は言った。指揮官はコクリと頷く。
それを見たM82A1は満足げに司令室から退室していった。
(M82A1があんな表情をするなんて……初めて見たわ)
DP-12は内心で衝撃を受けていた。
彼女がよく見かけるM82A1はいつも憂鬱気な、物憂いを帯びた表情をしており、必要以外の交流は取ろうとしない戦術人形であった。訓練もRF戦術人形という性質上、あまりお互いの背中を任せるような近接戦闘をしない為にそういった連携を必要としないのも原因であった。
(初めてと言ったから、M82A1が常に淹れて淹れている訳ではない……部屋に彼女が入ってきた時は指揮官は視線を彼女とコーヒーカップに交互に向けていた。つまりM82A1は自主的に指揮官の為を思ってコーヒーを淹れた……と)
「指揮官はその……本当に軍人なのですか?」
怪訝な目でDP-12は指揮官に尋ねる。DP-12はこの眼の前の指揮官に対して、自身の記憶領域に存在する軍人の立ち振舞いや定義と食い違いが生じることに疑問を覚えた。少なくとも、人形をこんな扱いするのは人形性愛者か人形人権団体を支持している者ぐらいである。
「ああ、グリフィン基準で作戦能力で図るならそうだろう」
DP-12は指揮官の戦闘指揮能力を疑っているわけではなかった。もっと、指揮官の根幹はこの時代の人間とは違うものを感じていた。
納得のいかない様子のDP-12を見た指揮官は、この回答ではDP-12を納得させるには足りないと思わせ、続けて指揮官の口を開かせた。
「……ああ、そうか。これなら君の疑問も晴れるかもしれない。
私はこの時代の人間ではない。第三次世界大戦前、いや崩壊液の飛散、拡大してしまった時より前の……ここ最近の人類史では平和と言える時代に生きていた人間。それが私だ」
指揮官の口から語られた言葉はDP-12に衝撃をもたらすには十分であった。指揮官の見た目はとてもではないがそこまで生きている風には見えない。真面目は指揮官が冗談を言ってからかう意図も理由もない。
「まあ、病気で
話を戻すが、私の時代は
「ですが、指揮官の意図がわかりかねません。どうか差し支えなければ、教えて頂けないでしょうか?」
驚きで空いた口を片手で塞ぎながら、DP-12は指揮官に対して感じたことを率直に聞いた。
今まで彼女が見てきた人間達には思っててもおいそれとは言えない言葉を意を決して聞いたのは、間違いなく先程のM82A1の所為であろう。
(M82A1、彼女は自分から人間に媚び諂うような人形ではないのは雰囲気からわかります。しかしその彼女がそこまで指揮官に対して心を許すということは、この指揮官にはなにかあるはず……)
DP-12は指揮官から罵声が来ることを覚悟し、生唾を飲んだ。
指揮官は特に気負うことも気分を害する事も無く、立ち話をするかのように口を開く。
「単純に人格データや設定に個性があるのなら、趣味や趣向はあって然りだろう。好きな食べ物、好きな嗜好品、好きな本、これらは金がなければ購入もできない。
されとて、わざわざ基地内の備品として申請書を出すのもバカらしい話だ。だから私の部署は給与を出すし、それの使いみちに関してはとやかく言うつもりは今のところはない」
DP-12はコクリと頷く。事実、資料作成に購入した古書物はDP-12自身に支給された給与から充てられた物であるし、お金の引き落としや使いみちに関しては何も書類一枚書いてもいない。文字通りの資産という扱いであった。
指揮官は教えを諄々 (じゅんじゅん) と諭す用に話を続ける。
「そもそもグリフィンがここまで規模や資産が急激に大きくなったのは単純な話だ。
戦術人形の数だけ需要が増えるからだ。人間だけの経済と人間と人形を合わせた経済。後者の方が大規模になるのは当然だろう。
まっとうに働いて給与を得ている人口の層の数だけ、取り扱うカネの額も増えていく。需要に合わせて供給が増えて、消費と生産の変動が起こり、政府としてはこれを安定させるために政策を打っていく。
そう言えば戦術人形をただの備品として扱うにはあまりにも口惜しくはないか? まあ、人ではないから区別は必要ではあるが……」
DP-12は目の前の人間が軍人であるか疑問を感じてきていた。安っぽいヒューマニズムや人道主義を語る物かと身構えていたが、まさか純粋な経済学的観点からのコメントに、彼女は肩透かしを食らった。
「……グリフィンはあくまでも企業。事業を企て、営利を目的に事業を経営している。なにもそこまでおどろくことはないだろうに。
なにもそればかりの話ではない。この地区の戦術人形は治安維持業務も兼ねているのは当然、周知しているな?」
眉を下げて、少しだけ困ったような表情を指揮官は浮かべる。
指揮官の問いに対してDP-12はコクリと頷き、肯定の意思を示した。
「それ故に人間に対して危害を加える権限は私によって与えられている。自衛の他に、犯罪現場に遭遇すれば業務にあたって貰えるし、その行為の正当性の有無はメモリーから取り出せば立証も容易だ。そして何より、労働法には違反していないから残業も時間外業務にも当てはめる必要はない」
淡々と述べる指揮官の言葉はあくまでも戦術人形として合法的な活動や運用方法であり、その合理性は戦術人形を体良くこき使う人間達のそれと変わりない。
「一般人は民生人形は見たことはあるだろうが、戦術人形は見たことはないだろう。未知の存在であり、そして人間にたやすく危害を加えることのできる存在。その恐怖のほどは手に取るように容易にわかることだ。
見てくれだけはマシな程度の殺人アンドロイドよりは、ドーナツを頬張り、読書を嗜み、何よりカネを落としてくれる優良な美人客の方がいくらか親しみが生まれるだろう。そういった物に大きな需要と治安の向上が見込めるのなら、さらなるサービスと、競合店が並びたち、名所の一つにもなる。
ともに生活し、助け合う事がわかれば、自ずと仲間意識が生まれ、住民達もいずれは我々に協力的にもなるだろうか」
DP-12はこの指揮官に対して、認識を改める必要があった。
この指揮官はとんでもない合理主義者であり功利主義者だ。下手な感情論や人間性ではなく、あくまでも論理的、合理的配慮に基づいて行動しており、そのためには戦術人形を人間と同等の扱いをしても全くの抵抗を持たない人間なのだと、指揮官の言葉で確信を持った。
「少なくとも当地区の統治方針は変える気はない。だが、どうしても耐えられないとなれば、出ていってもらう他あるまい。もちろん別地区への斡旋と便宜を取り計らうことで対応している」
DP-12は指揮官の言葉になにか引っかかるものを感じた。その言葉はまるで、自分達戦術人形だけ向けられた言葉では無いと彼女は感じた。
だからこそ、言葉を返さなくてはと半ば反射的に口にしていた。
「それは、この地区に住むすべての住人に対してですよね?」
「なかなかどうして、聡いな。ああ、私は自分を支持してくれるもの以外は面倒を見る気はない。
経済的にこの地区は発展していくだろうが、他の地区はどうだろうな。少なくとも、人口は増えているだろうが、流入した人間の大半は我々から見れば問題のある人間。益になるとは思えないな」
指揮官はこう言っているのだ。『自分の意にそぐわない人間は容赦なく排除する』と、そして『害のある人間は他に押し付けて、自分達だけで利益を享受していく』と……
「幻滅したか?」
DP-12の表情から、自分の言った言葉の意味や意図を正確に感じ取ったと思った指揮官は彼女にそう言った。
「なぜ? 教えてくれたのですか?」
「疑問に思ったのだろう? なら答えるのが道理だろう」
DP-12の言葉に対して、特に何の感慨もなく指揮官は答えた。
その応答に彼女は指揮官の言葉や考えに嘘偽りはないと感じた。ならば、もっと深堀りも出来るだろうと確信を持った。
「幻滅したらなんて考えなかったのですか?」
「幻滅するなら別の指揮官の元に転属するなり、グリフィンを辞めるなりできるだろう?
少なくとも、君には選ぶ権利はあると思っている」
「誠実なのですね」
DP-12から漏れ出た言葉に指揮官はただ微笑むだけであった。それは、これ以上の話はやめにすると言う意味を表していたことはDP-12にも大方察することができた。
「歴史書の修復、編纂の件。気が向いたなら言ってくれ。何時でも対応しよう」
DP-12は指揮官向けて一礼し、部屋から出る時に指揮官から総言葉を投げかけられた。DP-12は微笑みで曖昧に返すと司令室から退出したのであった。
「あら? P90じゃない。
こんなところで何をなさるおつもりですか?」
司令室から出てきたDP-12の眼科にはP90がいた。彼女は折りたたんだ服装を両手に載せながら歩いていた。
「あ!DP-12じゃない。もちろん、指揮官の部屋だよ」
DP-12はここでP90の着ている衣装に気がついた。P90の衣装は彼女の
「ですが、今着てる服と持っているその服、別の戦術人形の衣装ですよね?」
それを聞いたP90はノリよく答えた。
「そうだよ! 別の人形の服装をあたしサイズに手直ししたのさ。趣味や趣向ならばあたしの収入は自由に使ってもお咎めなしだしねー」
そう言って、P90はスカートを――『WA2000』の物をヒラヒラとさせている。
「あたしは昔、あの人に助けてもらったの! グリフィンで一番の救援部隊!
人形のあたしにはこうやって指揮官を楽しませてご恩返しすることぐらいしかできなさそうだしねぇ」
「あの人が、グリフィンの例の救援部隊……」
P90の言葉にDP-12は目を細める。
DP-12も話は聞き及んだ事がある。どんなに追い詰められた状況でも、捨て石にされてようとも、同じグリフィンに属していて救出命令が届けば助けに飛んで来てくれる存在。
戦術人形達が手を尽くしても勝てなかった相手を打ち倒して手を差し伸べてくれる存在はまことしやかには戦術人形の間で囁かれていた。
「あの人の姿名前を聞いただけで鉄血も犯罪者も震え上がる様子を見るのは痛快だよ」
雄弁に語るP90の言葉にDP-12はかつて、戦場で遍く畏怖の対象となっていた。凄腕の軍人達の噂を思い出させた。故にその軍人を指す通称は"蔑称"とされる。単騎でも戦局を変えてしまう存在故に、恐れられるからだ。
人外とすら思える力を持っているにも関わらず組織に所属している事から、 人々は皮肉を込めて「組織の犬」と揶揄しつつも、 任務遂行の為にどのような敵であっても喰らいついたら決して離さず、如何に堅牢な骨であろうともそれごと食い破るその様は銃猟犬と呼ぶには誇大なものであった。
第三次世界大戦が終わり、その殆どが死に、残りも寿命で完全に死に絶えてしまったこの時代に置いても、その名前は健在であった。
(……決めた)
上機嫌に指揮官の噂話に関して話すP90を聞き流しながら、DP-12は書きたい創作物のネタを決めた。
人種、人形関係なく合理的に判断を下す施政者の顔、無慈悲に敵を沈黙させる苛烈な軍人の顔、そして人形ですら心酔させてしまうほどに親愛を隔たりなく分け与える戦術人形を率いる指揮官の顔。
その全てが一人の男に集約されているという事実は、DP-12が読みふけった創作物に描かれている主人公の素質を持っていた。
(わたしの書く物語には彼が必要。私は彼を追いかけ続けて、その生き抜く先を見届けなければならない)
――そして記録を克明に記し、彼のことを編纂し続けなければならないと確信した。
(KSVKちゃんにもし出会ったら、このことを教えてあげないと……)
この基地に来た当初はつまらない治安維持の代わりに物語を書く時間を得られた物かと思っていたが、どうやらそうではないとDP-12は確信したのであった。
わりと難しいことや深いセリフ回しのある子ほど、こういった終わりのない哲学的な話をさせると楽しいよねってやつ(ろくろ回し的な)
無論正解など無いっす、強いて言えば自分の解釈や意見を持てるようになって正解。他の人の解釈や意見を聞いて自身のアップデートの是非を考えられるようになって大正解みたいな感じですね、ハイ
あくまでも自分の解釈なので、「コレは違うよ」と思ったのなら二次創作の始まりですよ先輩。こんなヤツが気ままに書いてるんだからちょっとトライしてみましょうよ先輩(沼に引きずり込むやつ)