幻想郷でコ○ナが流行ったようです   作:ゼロん

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思えば初めて純東方の小説書いたわ……
あ、そこ不謹慎とか言わない。

waieple(わいえぷる)さん、アイディア提供ありがとうございます!


前編:天邪鬼、マスクを転売する

 ────幻想郷で新型ウィルスが大流行! 

 

 そう見出しに書かれた新聞をお馴染みの烏天狗がばらまく中、一人の人間が拾って読み上げる。

 

「……これは間違いないわ。い、異変ぇ、ぇえ……ぇぇっくちゅぃ!!」

 

「うわっ!? ツバ飛ばすなよ霊夢!!」

 

「ごめん……ぇちゅい!」

 

 すでに楽園の素敵な巫女もウィルスの魔の手に落ちていた。

 

 それを陰で笑う者がいる。

 

「なるほどなるほど……さすがの紅白もウィルスには形なしのようだなぁ……きししっ」

 

 最近では動物霊の大騒ぎの件ですっかり忘れられているが、かつて幻想郷全員を敵に回し現在もひっそり指名手配中の天邪鬼、鬼人正邪である。

 

「これはまたとない絶好の機会……! この様子じゃあ白黒もアウトだ。明らかに症状が出てるやつの前でマスク無しでうろつきやがって、馬鹿め……くく」

 

 正邪はうぉっしゃ、とガッツポーズ。

 

 平時なら今にも異変を起こしそうな危険分子を八雲家が放っておくはずもないはずなのだが……

 

「らぁ〜ん……私のご飯はまだなのぉ〜……くちっ」

 

「らんさまぁ……あついですぅ……」

 

「待ってください紫様! あぁ橙! 今お粥ができるからな! 氷水を取り替えるぞ!」

 

「なんなのよぉ〜この扱いの差ぁ〜っ!」

 

 紫と橙がウィルスでダウンし無事な藍は二人の世話にかかりきり。幻想郷自動防衛機構はほぼ停止状態である。

 

「さぁて、そうとなればまずは資金繰りだ! 無一文からなんとかして脱却せねば」

 

 ぐふふ、しかし大半がマスクを持っていないのも無理はあるまい。

 

「こんな時に備え、マスクを道具屋から無くなるまで買い込んだのよ……!」

 

 大感染は正邪のせいか。

 

「あとはこいつを高値で売りつけて大儲け……ぐひひ……笑みが止まらんなぁ!」

 

「これ、正邪!」

 

「びくぅ!?」

 

 突如お椀が正邪の背後から現れ、背中を針で突き刺す。

 

「ぎゃっ!? きさまぁ、お椀姫!! 急に出てきて何をする!」

 

「だまらっしゃい! それよりも皆にマスクを分け与えなさい!」

 

 現れたのはかつての付喪神異変の主犯にして正邪の被害者、小人、少名針妙丸である。

 

「へん! だーれが! これは私が小銭を拾いに拾いに拾い集め、0円で飯を凌いで全財産で買ったもの! そう簡単に配ってたまるかよ!」

 

「う……なんかそう言われると確かにタダで配れと言いにくい……な、なら妥当な値段で販売しなさい! ひゃ、一枚100円でどう!?」

 

「はぁ!? ふざけるな! 3枚セットで900円だ!」

 

「たっ、たかっ!? たかがマスクに何よその値段!」

 

「たかがマスク……されど今は必需品だ!!」

 

 往来で人が通り過ぎるなか、正邪と針妙丸は指を突きつけ、互いに一歩も譲る気はないと喧騒を飛ばす。

 

「はっ、さすがは姫様。もうすでに富裕層の仲間入りってか! そりゃ心に余裕があるでしょうなぁ! 住処もあって、世話をしてくれる巫女もいて、毎日ご飯が出てくれるとありゃあ、そりゃあ分け合おうなんて発想が出てくるわけだよ、甘ちゃんめ!」

 

「なっ、なによその言い草! だったら私と輝針城に来れば良いでしょ!? そしたら毎日私がご飯を作ってあげるのに!」

 

「だーれが姫の施しなんて受けるかバーカバーカ!」

 

「なによ、そっちこそ! バーカバーカ!!」

 

 バカバカバカバカ! と言いあう間にダンボール箱の切れ端に値札を書き始める正邪。長年逃亡してきたあって器用だ。

 

「施しを受けず、貧しくありながらも他人を見下す! なんとも快感だ! さぁ持たざるども、ほれみろ! マスクだ! ほしいか! 欲しいなら私から買うんだなぁ!」

 

「あっ!? こら正邪! やめなさい!」

 

「うるさいぞ! 姫は黙っててくださいねっ、と!」

 

 正邪は針妙丸をお椀に閉じ込め、デコピンで弾き飛ばす。

 

「あぁぁぁぁぁぁ──────っ」

 

「よし、これで邪魔者は消えた」

 

 騒ぎで人が多く集まるなか、正邪はほれほれとマスクをぶら下げる。

 

「さぁさぁ永遠亭印のマスクだぞ! さぁ買った買ったぁ、はははははっ!」

 

 マスクには(竹)と紋が大きく口元に貼ってある。ダサい。

 

 

「正邪、今すぐにマスクを置いて逃げなさい!」

 

「ちっ、針妙丸め。もう戻って……はぁ?」

 

 正邪は動きを止めた人間たちを不審に思う。集まってくるのは人間だけではない。妖怪や妖精もだ。みんな何かに取り憑かれたかのように正邪の方へ向かってくる。

 

「マスク〜……ぅ」

「まぁすぅクゥゥ……!」

 

「な、なんだ……来るなよぉ……っ」

 

『マスクぅぅ!!!!!!』

 

「ひぃぃぃぃっ!?!?」

 

 周りにいた人々がマスクを求めて正邪に襲いかかる。何も知らないものが見れば、一人のマスク片手の少女に大の大人たちが飛びかかるというヤバい光景だ。

 

「ぬわああああ!? なんだぁ!? お前ら何をする!! 強盗とはなんと反逆心のある奴らだ!」

 

「転売もいけないことだよ!? ていうか褒めるな!!」

 

「よっしゃぁ!! マスクゲットだぜ!!」

 

「魔理沙!?」

「げげっ!? 泥棒白黒! 私のマスクを盗みやがって!! 返しやがれ!!」

 

 バーゲンセールのおばちゃん達のごとく突進してくる人混みの中には魔理沙も含まれていた。

 

「はぁ!? 天邪鬼のお前が商売だと!? 生意気な事言いやがって。どうせ盗んできたんだろ!」

 

「お前に言われたくねーよ白黒泥棒! お前と違って私は全部金を払って買い占めたぞ!」

 

 ふんと胸を張る正邪。背景を知ればそれもそれで悲しい。魔理沙の如く泥棒に走る方が遥かに楽だろうに。

 

「『今回』は……?」

 

 しかし同情は禁物。

 針妙丸がジト目で正邪を睨む。

 対する正邪は素知らぬ顔だ。口笛まで吹いている。腹立つ。

 

 盗みで入手したわけではない正邪に魔理沙は驚愕する。

 

「ええ!? ……ど、どちらにせよロクでもない事考えてるんだろ! こ、これは私が使った方が何倍も役に立つってもんだ! 三人分もらうぜ! あばよーっ!!」

 

 魔理沙はホウキに乗って逃げていった。その速さは光と見まごうほどのものだった。

 

「あっ!? 結局盗むのかっ! どろぼーっ!! 金払えーっ!!」

 

「天邪鬼とは思えぬほどまともなこと言ってる……」

 

「姫も少しは役に立て! 追いかけろ!!」

 

「無理」

 

「諦めんなよお前!」

 

 迫りくる人々の中には明らかに人間とは思えないものもあった。例えば金色に光る九つの尾とか。

 

「……何してんだ。お前」

 

「ゆ、紫様と橙にマスクが必要なのだっ! お願いだ早く三枚分……いや、十五枚分売ってくれぇ!」

 

 藍……まさか幻想郷の指名手配犯からマスクを懇願しなければならないとは。

 

「金ならいくらでも出す! どこの店にももう売ってないんだっ!」

 

「まいどーっ……9000円になりまーす」

 

 望外な値段に針妙丸は目を丸くする。

 

「ちょ、正邪!? さっきは三枚で900円って言ったでしょう……!? そしたら4500円じゃない!?」

 

「バカ。こういう時はな、絞れるだけ搾り取るんだよ……。お高くとまってる奴らがプライドかなぐり捨てて懇願する姿が笑えるんだよ、きひひひ……っ」

 

 藍には聞こえぬように耳打ちし、邪悪な笑みを浮かべる正邪。

 

 うわまさに鬼畜正邪。いやゲス邪だ。おのれゲス邪。人の弱みにつけ込む外道の鏡である。相手は人じゃないけど。

 

 そもそも両者とも人道には類さない。

 

「そ、そこをなんとか……もうこれだけしかないんだ……っ!」

 

「ん〜っ、じゃ。とられんのも嫌だし破っちゃおっかな。いやせっかくだ! 使えぬよう紐を抜いてやろう!」

 

「や、やめてくれ!!! マスクがないと私は安心して主人と式の看病ができない! 私もウィルスに侵されてしまう!」

 

 誰も二人の面倒を見ることができない、と悲鳴を上げて泣く藍。

 

 正邪は彼女の手のひらに乗っかった金をひぃ、ふぅ、みぃと数える。

 

「じゃあしょうがない。半額にしてやろう。品数が少ないのもあって十五枚4500円な」

 

 それでも高い。安物マスク一枚で300円。

 普段の状態だったら妖怪の賢者の式神としての高度な演算処理能力をもつ藍には激おこブチ切れ案件だ。

 

「あぁ…………っ! 感謝するよ、天邪鬼!! これで安心して二人の看病ができる!」

 

 しかし橙がやられた今、藍はポンコツと化していた。

 

 平時は主人に刃向かう汚物を見るような目で正邪を見ていたのに、今の藍はまるで聖母を見るが如く、この小悪党の化身を拝んでいる。

 

「今帰るぞ、橙ぇ────ーっん!!!!」

 

 藍は金を渡しマスクを片手にものすごい勢いで飛び去っていった。その速度はまさにジェット機さながらである。

 

「まいどーっ……きっひっひっひ……」

 

「……絶対にバチが当たるよ、正邪」

 

「はっ、知ったことかよ。世の中騙されるほうが悪い。悪賢い奴が最後まで生き残るのさ」

 

 ちなみに後日、

 

『待てよ……これクソだ! クソな買い物だ!』と、我に返った藍に正邪が殺されそうになったのは……また別の機会に語るとしよう。

 

「────そこまでよ天邪鬼!! イナバソルジャーズ!! 囲みなさい!!」

 

 誰かの命令を合図に妙な白ヘルメットを被った妖怪ウサギたちが群がる人々を退け、最後に正邪を取り囲む。服の色と相まってまさに彼女らは白の兵隊である。

 

「ん……んわぁ!? なんだ、また変なのが!!」

 

「師匠! 取り押さえました!」

 

 唯一と言って良いほどまともな格好をしている鈴仙・優曇華院・イナバ。略して鈴仙。

 

「お前は……げげっ!? 永遠亭のとこの!?」

 

「……ちょ、正邪! 一体何をしたの!?」

 

『────簡単よ。我がイナバマスク製造所の商品を大量に買い上げて、転売しようとする輩がいると耳にしたからよ』

 

「き、きさまはっ────!!」

 

 永遠亭の鈴仙が師匠と呼ぶ存在は一人しかいない。かつての月の賢者であり輝夜の側近である八意永り、

 

『……こー……っほーっ……コー……ホーッ……』

 

「……誰?」

 

 現れたのは黒い宇宙服に生命維持装置的な何かをつけた黒仮面の人物。

 

 なんだか非常に息苦しそうだ。

 

『私は……ダース・ヤゴコロ……。お前たちを、始末しにきたわ……コーホーッ……』

 

 永琳……もといダース・ヤゴコロは黒手袋でグッと正邪の首を締め付けるそぶりを見せる。

 

「すみません。師匠がどうしても……医師が病気になるわけにはいかないと言い張って……」

 

「……いや、過剰すぎだろ」

 

『うどんげ……我が弟子。よくぞ反乱軍の場所を特定したわ。────しかし』

 

 ダース・ヤゴコロは正邪から鈴仙へと身体の向きを変える。

 

『あなたは一つ誤ちを犯したわ』

 

「────あっ!? お、お許しください! ししょ……ま、マスター!!」

 

 ダース・ヤゴコロは腰に下げたレーザーソードを抜き払う。

 

『マスターと呼べと言っているでしょーっ!!!』

 

「今言ったのにぃ────!?!??!?」

 

「つ、つけ耳うさぎ──────っ!!」

 

 身体を真っ二つに両断された鈴仙は力なく地面に転がる。

 

「つ、つけ耳じゃ、な、────がくっ」

 

「つけ耳ーっ!!!」

 

「せめてウサギをつけなよ……正邪」

 

 鈴仙は力尽きた。

 

「お、お前! おふざけみたいな格好で何ヤバいことをしてるんだ!? 些細なミスで自分の弟子両断するとか鬼畜か!?」

 

「さっき苦しむ人に高額ふっかけて転売しようとした奴の言うことか、それ……」

 

『イナバの暗黒卿にアホは必要ない……コーホー』

 

 ダース・ヤゴコロは鈴仙にポケットから取り出した薬瓶の中身をぶちまける。

 

『……それに心配はない。我が弟子はこの薬さえかければ、たちまち蘇るように改造してある』

 

「ヤベェ、ダース・ヤゴコロ、もっと鬼畜だった!!」

 

 ダース・ヤゴコロのなんとも言えぬ威圧感に、正邪は彼女の一挙一動をただ見ていることしかできない。

 

『さぁ、私の可愛いうどんげ……私の血を浴びて蘇るのだ』

 

「血!? 血なのか、さっきの!? 蓬莱人になったりしないだろうな!?」

 

『……。すこしの間、不死身になるだけだ』

 

「ダメじゃん!!」

 

 ヤバいなこのサイコ・ヤゴコロ。

 しばらくするとたちまち鈴仙の身体はくっつき始める。

 

『……これでよし。あとは三分待つだけだ。さてここまで話したのだ────』

 

 正邪は息を飲む。先ほどから見せられている光景から嫌な予感しかしない。

 

『────You’re next (次はお前たちだ)』

 

 知識人らしく発音の良い英語である。

 

「に、逃げろーっ!!!」

 

「うわぁ──ん!!!」

 

『GOGOGO!!』

 

 正邪たちは反則アイテムをおとりにイナバ部隊から逃げ出した。

 

 

 ***

 

 

「ふうっ、ふうっ……ここまで逃げれば大丈夫だろう……はぁぁぁ……」

 

「……し、しぬ……死んじゃう……」

 

「お前、途中から私の肩に乗っかってただけじゃん……」

 

 なんとか魔法の森まで逃げ込めた……ここなら隠れられるところが沢山ある。

 

「なんとかなりそうだな。逃亡生活数年目。舐めるなよっ────」

 

『You can’t hide for ever!! (ダースベーダー、スターウォーズ6のセリフ)』

 

 なんとダース・ヤゴコロは音を立てずに正邪に急接近していた! 今にもビームソードが正邪の首をかっ切ろうとしている! 

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??!?」

 

『さぁれんだぁぁぁぁぁっ!!! (surrender 遊戯王経験ある人ならわかる『降参』の意)』

 

 

 ***

 

 

「……で? 捕まえたこいつらはどうしますか? ヤゴコロ卿」

 

『コーホー……』

 

「……全員、このサイコのおふざけにノっているのか……本当に頭大丈夫かお前ら?」

 

「うるさいこの転売厨め! 恥をしれ恥を! このっ! このっ!!」

 

「べっ!? あぐ!?」

 

 さすがは妖怪ウサギのお山の大将、てゐ。

 立場が下の相手にはとことん強気である。どっかの誰かさんといい勝負だ。

 

『このまま殺すか……しかしそれではあまりに生産性がない。……エンプレスの判断を仰ぐか……?』

 

「お尋ねもの。しかも天邪鬼に生産性とか無いと思うウサ。さっさと斬ったほうがいいんじゃ? どうせお咎めもないでしょーし」

 

 なんてことを言うんだ、てゐ。

 しかも、なんだよエンプレスって。あ、姫か。略すと女帝だけど。

 

「姫様ならたぶん永琳様に任せると言うと思うけどね」

 

『……ならば新規事業のアレをやらせよう』

 

「あぁ、あれですね!」

 

 てゐが正邪たちの方を向く。

 

「お前たち、感謝するがいい! 寛大なるダース・ヤゴコロは許してくださるそうだ」

 

『コーホー……コーホー……』

 

「下っ端妖怪風情が……どうせ裏があるんだろ?」

 

「き、きさま! ヤゴコロ卿! もうぶっ殺しちゃって!」

 

「うわー、なんだよ。その煽り耐性の無さは? こーっもの! こーっもの!」

 

「むきーっっ!! 死ねー!!!」

 

「正邪だって小物でしょうに……」

 

 キレて暴走したてゐは今にも手に持った銃器を発射しようとする。が、ヤゴコロに静止。

 縄で縛られたまま、正邪はダース・ヤゴコロを睨む。

 

「ちょ!? 正邪! 許してもらえるんだから礼の一つでも……」

 

「こういう奴らはただで解放なんかしない。ロクでもないことに使って有効活用しようとか考えるんだ。ほら見ろ、いかにも悪って面」

 

『コーホー……その通りだ。話が早いわね。じゃあ、さっそくあなたには働いてもらいましょうか……コーホー』

 

 ダース・ヤゴコロは指を鳴らす。すると先ほどまで二つになって転がっていたはずの鈴仙が普通に歩いてきた。何かを持っているようだ。その何かをダース・ヤゴコロは握る。

 

『あなたは我が帝国の新規事業……「兎ー葉ーイーツ」の第一派遣社員として働いてもらうわ……うどんげと同じ……このウサ耳をつけてね!!』

 

「な、なにぃ!?」

 

「師匠……」

 

 某、帝国のマーチが流れそうだ。

 正邪につけ耳をつけようとじりじりとダース・ヤゴコロは詰め寄る。

 

「や、やめろっ! それ以上よるんじゃあない!! つけ耳をつけようとするなぁ!!」

 

『Accept your Destiny.……my son』

 

「ここは幻想郷だ! 日本語を話せ!!」

 

「師匠は『運命を受け入れよ』とおっしゃています」

 

 鈴仙が永琳の通訳を務める。

 

「や、やめろ──ーっ!! 私はそんな……しなびた大根のようなつけ耳なんぞつけたくない────っ!」

 

「私、あなたに恨まれるようなことしましたか!?」

 

『……Do not resist!! Accept the power of the dark side.!! コーホー……!』

 

「はぁ!? 何言ってんだお前!」

 

「『抵抗するな、イナバの暗黒面を受け入れよ』……とのこと」

 

 ダース・ヤゴコロが正邪の首をくっと締める動作を行うと、正邪は宙に浮く。

 

『You disappointed me』

 

「あぐっ、か……っ!?」

 

 急に正邪の首がキリキリと締め付けられる。

 

『die』

 

「正邪ぁぁ!」

 

「な、なん、だ……! こっ、の超能力、は……っ」

 

『Power of the darkside』

 

 どう見てもフ○ースです。ありがとうございました。

 

「どうですか、天邪鬼! これがイナバの暗黒面です! さぁあなたも全てを受け入れて! そうすれば姫様になでなでしてもらえますよ!」

 

「特典低いなおい!? うぐっ!?」

 

『I can feel your fear.Seija』

 

「だ、誰が……」

 

『.』

 

 急にヤゴコロは黙る。

 

『Sister……!?』

 

「え!? なんで私を見るの!?」

 

「し……マスターは従わないなら、あなたを殺すとおっしゃいました。……針妙丸さん」

 

「いや、今の一言で絶対にそんなこと言ってなかったよね!? ひぃっ!?」

 

 鈴仙は腰からレーザーソードを抜く。その刃の色は赤く煌めいていた。

 

「わ、私を殺したら霊夢が黙ってないよ!?」

 

「さすがに私は殺しませんよ……殺すとしたらあなたが懇願した時。この月の武器……イナバセイヴァーは非常に痛いんです。それに非常に拷問にも適しているんです……! この刀身は肉を焼くので血は出ないように作られていて……さぁ、まずはどこを切り落としましょうか」

 

『次は耳だ』

 

「かしこまりました、マスター」

 

 蘇った影響か、鈴仙はより暗黒面に寄っているようだ。目の血走りようがおかしい。

 

「わ、わか、った! わかったぁ! 働く! 働くカラァ!!」

 

『……finally。ついに運命を受け入れたようね、Seija』

 

「いい加減お前も日本語か英語かキャラ固定しろよ!!」

 

 

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