Moon Knights IS~外伝 血族の系譜   作:アマゾンズ

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地球で貴族が僅かに生きていた時代の英国。

その時代に一人のフューリーが眠りから覚めた。

その男こそが後にこの世界の融和派の先駆者であり、この世界のエ=セルダ・シューンなどに影響を与えた人物であった。


プロローグ 血族の始まり

この世界にはフューリーと呼ばれる異星人が存在している。だが、彼らの多くは自種族至上主義および純血至上主義に凝り固まってしまっていた。

 

純血派の多くは過激派であり、柔軟な考えを持ち地球人類との融和を口にする者は徹底的に忌避された。

 

だが、それも最早、過去の出来事である。今現在は融和派が多くなり、地球人類の異性を愛する者。友人、親友などの友情を育む者、騎士としての在り方を教育する者、地球の文化を学び、楽しむ者などが着々と増えている。

 

そうした中、この世界において誕生したマルチフォーム・スーツであるインフィニットストラトス、通称ISに対して最高の教育機関とも言えるIS学園においてフューリーの血を受け継いでいる者達が居た。

 

 

イギリスの代表候補生であり、同国の名門貴族の出自でもあるセシリア・オルコット。

 

中国の代表候補生である凰 鈴音。

 

そしてフランスの代表候補生であるシャルロット・デュノア。

 

判明しているのはこの三名である。その中で最も古い血筋を受け継いでいるのがオルコット家である。

 

まだフューリーにも融和反対派が存在し、地球にも貴族が少なからず存在していた時代。

 

その中で、シャナ=ミア・エテルナ・フューラの親御。すなわち先代の皇が存命かつ純血派の勢力が強かった時代。そこに一人の騎士がラースエイレムの機能を応用して作られたステイシス・ベッドから目覚めた。

 

その者の名はレ=クス・ナトゥーラ。後にアル=ヴァン・ランクスなど騎士達の思想にも影響を与える人物として語り継がれることになる。

 

 

 

 

 

「む・・・ぅ」

 

「お目覚めですか?レ=クス様」

 

ステイシス・ベッドの管理者である一人の担当者が声をかけた。それと同時にフューリア聖騎士団の衣服を用意している。

 

「ああ、目覚めた時間と今の時代は?」

 

「今現在は2XXX年でございます。時代は地球人共が宇宙にやっと出てこれる頃かと」

 

「そうか・・」

 

レ=クスはステイシス・ベッドから出て着替えるとすぐさま、自分の機体であるヴォルレントを見に行った。

 

「な!?私のヴォルレントが無い!?」

 

「ああ、お目覚めですかレ=クス様。貴方様のヴォルレントは眠っておられる間に解体されました故」

 

「なんだと!?どういう事だ!」

 

レ=クスは機体の整備責任者の胸ぐらをつかんで問い詰めた。責任者は苦しみながらも答える。

 

「お・・・落ち着いてくだ、さい!貴方・・様の・・ヴォル・・・レント・・・は騎士機・・ラフト・・・クランズ・・・貴方様の・・・為の・・・ラフト・・・クランズ・・の礎に・・なったので・・・す!」

 

「!?」

 

ラフトクランズと聞いて手を離してしまう。ラフトクランズは騎士機とも呼ばれ、騎士団の中でもある程度の戦闘力がなければ開発・譲渡もされず、更には絶対数が少ない為、新たに開発するには準騎士の持つヴォルレントを解体して開発する場合もあると眠る前の記憶の中にあった。

 

「ゲホッ!ゲホッ!私の言葉が足らずに申し訳ありませぬ」

 

「いや、私も済まなかった」

 

「いえいえ、長年愛用されていた貴方様の専用機にも等しいヴォルレントが解体されたと聞けば、当然の行動でございます」

 

ハンガーを見ると解体された紫色のヴォルレントを基に新たなラフトクランズは完成間近であった。

 

自分のカラーリングである紫と薄いワインレッドの装甲を持ったラフトクランズはまるで母星の夕日を思わせるカラーリングであった。

 

「先の調査員達からの情報ですと地球人共も兵器開発は我等とほとんど同等、近頃はインフィニット・ストラトスなどと、ふざけた名称を付けた機体が頭角を現したとの事です」

 

「インフィニット・ストラトス・・無限の成層、か」

 

「無限などと烏滸がましい程にもある。そうは思いませぬか?」

 

「・・・・」

 

レ=クスは何も答えずただ開発が進む、騎士機ラフトクランズを見上げていた。

 

 

 

 

 

目覚めてから一ヶ月後、レ=クスは地球への調査を命じられた。地球での人類の技術進歩を纏め、報告しろとの事だ。期限は時間にして五年という長い時間だ。

 

「レ=クス・ナトゥーラよ」

 

「はっ」

 

「そなたはどう思う?地球人との融和を」

 

「・・・はい?」

 

三番隊隊長であるロ=クイー・ウェトゥムは突然、そんな言葉をつぶやいた。胸元から取り出したのは懐中時計、それも女性の写真が蓋の内側にはめ込まれていた。恐らくは彼の妻だろう。

 

「それは?」

 

「そなたの前だからこそ明かそう。私は正直に言って融和も一つの答えだと考えている」

 

「!」

 

隊長格の言葉にレ=クスは呆気にとられていた。融和派は今現在、少数派であり純血派に抑えられているのが現状だ。ロ=クイーはその中で三年間の地球の調査に出向いており、その影響もあったのだろう。

 

「地球にな・・・?妻に・・・本当に妻と生き写しとも言える女性が居たのだ」

 

「ロ=クイー隊長・・・」

 

「分かっている。彼女は妻ではない・・・」

 

「・・・・」

 

そう、ロ=クイーは母星での内乱の折、自分の妻を病気で亡くしていた。地球の病名で言うのなら癌である。説得はしたがこれも運命と真の死を受け入れ、亡くなってしまった。それ以降、彼の前で妻の話は禁句とされてきたが・・・。

 

「その女性を我が妻と重ねてしまうのは申し訳が立たない・・・だが」

 

「貴方様の奥方様とソックリの地球人の女性を愛してしまった・・・違いますか?」

 

「その通りだ・・・」

 

「その方は、今は?」

 

「・・・・妻と同じ病でヴォーダへと逝ってしまった」

 

「・・・っ!?そうでしたか・・・」

 

「レ=クスよ。もしも、地球人の女性を愛し見初める事になれば、私が我らフューリーの仲人になって構わないか?」

 

「ええ、構いません」

 

「そうか。では、しっかりやってくるといい」

 

ロ=クイーからの見送りと完成した自身専用の騎士機ラフトクランズと共にレ=クスは地球へと降下した。

 

 

 

 

 

降下したのは地球のイギリスと呼ばれる国であった。共通言語とされているらしい英語は学んでいた為に日常会話、読み書き程度ならこなせる。

 

指定の電話番号に電話をかけると会社であったらしく、自分はロートスという会社でクレム・バートニアという名で今は有給休暇中とのことらしい。

 

「まさかの有給休暇とは・・・ひとまず、日数はかなりあるようだ。探索してみるか」

 

イギリス紳士らしい服装が仮住まいの家の中に用意されていた。こういう事に関しては準備がいいと苦笑しながら着替えていく。

 

着替えを終えると街へ繰り出す。穏やかで人々が行き交う街には活気があり、賑わっている。

 

「賑やかだな。むっ!?」

 

「きゃあああ!?」

 

「オルコットの娘、お前の親父のせいで!」

 

依れた服を着ている男性が煌びやかなではないが美しいドレスに身を包んだ金髪の女性に襲いかかろうとしてた。それを見過ごす程、騎士としての己は愚かではない。

 

殴りかかろうとしていた男性の手首を掴み、それを止める。

 

「ぐ、テメエ!何をしやがる!」

 

「男が女を殴ろうなど、余程の事があったのだろうが見過ごせなくてな」

 

「なら、テメエをボコってやる!」

 

男は掴まれた手を外すと殴りかかってくる。これは現代で言う所のボクシングの技術だろう。

 

だが、クレムはそれを弾くようにして受け流してしまう。フューリーの軍事格闘の一つではあるが、その捌き方は空手と酷似している。

 

「ぐっ!」

 

「へっ!貰ったぜ!!」

 

軽いジャブを受けてしまい、トドメと言わんばかりの右ストレートを放ってきた男であったが、クレムはその勢いを利用して背負い投げを決めると男の顔面に足刀を振り下ろし、男の顔のそばに地面を踏みつけていた。

 

「がは・・・ひっ・・!?」

 

「無闇に力を振るう事は愚か者のする事だ。心を鎮められよ」

 

「う、うわああああ!」

 

男は起き上がると同時に逃げ出し、クレムは服装の乱れを整えると女性に対し手を差し出した。

 

「大丈夫ですかな?」

 

「は、はい。失礼ですがお名前は?」

 

「私はクレム・バートニア。貴女は?」

 

「私は・・・ユーフェミア。ユーフェミア・オルコットと申します」

 

この出来事が後の子孫であるセシリア・オルコットの曾祖母、曽祖父となる二人の出会いであった。




血筋に関する事を書きたくなって書きました。

逆に開き直ってフューリー(スパロボ)とISを組み合わせる作品を書いていこうと考えています。

一回目はセシリアの家族にフューリーの血筋がどうして入ったのかを書きました。

二話くらいでまとめていく予定で、かなり短めになります。
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