異世界にて、烈海王、復ッ活ッ!!烈海王、復ッ活ッ!! 作:浦井朝時
(いまさらですね)
「………」
烈「………………」
シュュュュューーーーーー
―――闘技場地下 烈永周選手 個別控室
烈(……そろそろ一時間か)
烈(【ドラゴン】のクラスマスターの提案によって設けられた一時間の準備猶予時間)
烈(別段やることもなく、ただ站椿をとりながら瞑想をしていたが)
―――一体どういうことだ?
・
・
・
―――遡ること約一時間前、
キリク「………とは言ってみたものの」
キリク「烈選手、君はガーゴイル、そして楊選手との連戦で体力を消耗している」
キリク「そのような状態で僕との対戦に望むのは、あまりにも酷すぎる」
烈「私は一向に構わんが?」
キリク(…………イラッ)
キリク「君が良くても僕が良くないんだよ。魔法生物ならまだしも、人間相手に弱っている者をいたぶるというのは僕の流儀に反する」
キリク「それに、後からそれを言い訳にして勝負の結果をうやむやにされたり」
クルリッ――
キリク「どうやら君のファイトに傾倒した様子の闘技場内観客の皆さんによる、勝負の不公平さから来る猜疑の視線を以降受けることになるのは僕としても避けたい」
キリク「よって、これより闘技場内の整備を含め一時間の休憩を取りたいと思う」
キリク「これは現【ドラゴン】クラスマスターである僕の決定事項だ。君に異論をはさむ権利はない、いいね?」
烈「……了解した」
・
・
・
―――闘技場地下 キリク選手 個別特別控室
女魔導士1「―――あの、今なんて?」
キリク「だ、か、ら」
キリク「強化魔法を俺にかけろよって言ってんの」
女魔導士1「………」
女魔導士2「………」
女魔導士3「………で、ですけど」
キリク「ん?」
女魔導士3「確か……闘技場規定では出場選手自身以外による選手への強化魔法の使用は禁止されていたはずでは?」
キリク「そうだけど?」
女魔導士2「そうだけどって……」
キリク「―――おい!」
女魔導士2(ビクッ)
キリク「今口答えしたよな? お前」
女魔導士2「く、口答えってそんな……」
ヒュッ
スパッ
プシャアーーー
女魔導士2「………………ッ」
女魔導士1「ゆ、ユズちゃん!?」
口答えするんじゃねえよアバズレがッッッ!!!
キリク「いいか? お前らは所詮自分達だけじゃガーゴイル一匹すら倒せないザコ人種なんだよ」
キリク「転生して【補正】武器を持った俺とは人間としての格が違う」
キリク「そんな奴が俺に対して口答えすることが許されると思ってんの?」
女魔導士1「……だったら」
女魔導士1「だったら私たちの強化魔法なんて必要ないじゃないですか」
女魔導士1「自分の手だけであの烈選手に挑めばいいじゃないですか!?」
女魔導士3「ちょ、ちょっと!?」
キリク「………………」
ガッ
女魔導士1(!?)
キリク「何勘違いしてんの?」
キリク「俺がお前らを必要としてるんじゃねぇよ」
お前らが俺たち転生者のことを必要としてるんだろ?
キリク「お前らの魔道力では到底倒せない魔法生物を倒し」
キリク「その補佐として、お前らの強化魔法をわざわざ使ってやってるんだよ。分かる?」
キリク「それに―――」
キリク「今回強化魔法を使うのも、別にアイツに勝てそうにないとか言う陳腐な理由じゃない」
圧倒的な勝利ッ!
完膚なきまでの勝利ッ!
生まれ持った才能の勝利ッ!
キリク「その手伝いをさせてやってるんだ。むしろ感謝してほしいね」
女魔導士2(……無茶苦茶よ)
女魔導士1(堪えて! ユズちゃん!)
女魔導士3(今までだって散々耐えてきたじゃない!)
女魔導士2(…………)
キリク「ほら、分かったらさっさと詠唱してよ」
三人(………………)
【腕力増加】
【脚力増加】
【肉体強度上昇】・・・・・・・・
烈選手、ごめんなさい………………
・
・
・
時は戻り、現在―――
闘技場地下 烈永周選手 個別控室
ギィ―――
烈「!」
ケンジ「おっさん、そろそろだぜ~」
ケンジ「てか、アッツ! そして湿気スゴッッ!?」
ケンジ「おっさん! 汗まみれでなにしてんだよ!? そろそろ試合始まるぜ?」
烈「……あぁ。済まないな、ケンジ君」
スゥ―――
発ッ!!!
ビシャビシャビシャビシャ――――
ケンジ「………………」
ポタポタポタ……………
ケンジ「……きたねー」
・
・
・
闘技場 選手入場口付近 通路
ケンジ「お~い、みんな~」
ラン「あ! 遅いですよ! 烈さんは呼んできてくれましたか?」
ケンジ「あぁ、もうすぐ来るよ……て、そっちの二人はどうした?」
ラン「そ、それが」
ミネルバ「………………」
レガロ「………………」
ラン「二人共15分前くらいからずっとこの調子で……」
ケンジ「オイ! 二人ともどうしたんだよ!? 顔真っ青じゃねぇか!?」
レガロ「……!」
ミネルバ「近づいて来る!」
レガロ「えぇ! 先刻から感じた気配の主で間違いありません!」
ケンジ、ラン「?」
ケンジ「オイオイ……ホント顔真っ青にしてどうしたんだよ」
トタ――トタ――
ラン「あ! 烈さん! 試合そろそろですよ!」
烈「あぁ、向かおうか」
レガロ、ミネルバ「!?」
―――い……
一体どういう事なんだッッッッッッ!!!???
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・
・
マイク「……それでは、笑っても泣いても、これが本大会最後の試合です」
烈「………………」
キリク「………………」
マイク「前代未聞の【ドラゴン】クラス挑戦、それを転生者でありながら【補正】能力でなしえた謎の中国拳法家 烈永周選手」
マイク「その挑戦を受けるは……」
マイク「僅か一太刀によって決着した【ドラゴン】クラスマスター挑戦後、一度もその座を他に譲ることなくその座に君臨し続ける 二刀竜鬼 キリク選手」
マイク「もはや、これは彼らの身の対決ではなく」
【補正】 VS 非【補正】
マイク「それを代表した戦いといえるでしょう……」
マイク「―――それでは、蛇足はこのくらいにして」
スッ―――
チャキ―――
レディイッッッッッファイッッッッッ!!!!!
最終試合、遂に始まるッッッ!!!