異世界にて、烈海王、復ッ活ッ!!烈海王、復ッ活ッ!! 作:浦井朝時
マイク(……残念ながら)
マイク(キリク選手の言っていることは大方間違いではない)
マイク(近年の魔法生物の凶暴化・繁殖区域の拡大、それに伴って増大したギルドハウス並びに所属冒険者たちへの討伐クエスト)
マイク(そのような状況の中でもずば抜けた成績を残していたのは他でもないキリク選手を始めとした転生者たちであるのは周知の事実……)
マイク(王族とのつながりもあると噂されるキリク選手―――俺に彼の反則を指摘し、試合を無効にする判断権は存在しない)
マイク(……故に、烈選手の仲間と思われる女魔導士には申し訳ないが、この試合はキリク選手がいかなる反則を行おうと、続行せざるを得ないッ)
マイク「―――それでは、キリク選手も試合続行可能という事で、続けさせてもらいたいと思います……」
ミネルバ(!?)
ミネルバ(くそ! 解説も見てみぬフリかッ!?)
キリク「フッ……当然だ」
キリク「―――さて」
いくぜッッ!
ダダダダダダッッ!!
烈(!?)
マイク「キリク選手ッ! 猪突猛進に烈選手のもとへと駆けていくッ!」
マイク「先ほどにもまして移動速度が遥かに上昇しているのは目の錯覚でしょうかッ!?」
キリク(【動体視力向上】に【脚力増強】による移動速度上昇……)
キリク(お前の一挙手一投足は俺には止まって見えるぜ!)
烈「………………」
烈(―――魔法という存在)
烈(ものの数分にて、あそこまで人間の身体能力を向上しうるのか)
烈(……本当に、いい勉強になる)
ダンッ
マイク「烈選手も拳を構えて応戦態勢に入ったぞッ!」
キリク(無駄無駄無駄ァッ! さっきとは比べ物にならない俺の動きを目で捉え、あまつさえ防御するなんて不可能ッ!)
キリク(そもそも拳で剣に勝とうなんていう発想自体ナンセンス!)
キリク(念のため、女魔導士共に保険をかけておいたが……)
ダダダッ!!
ジャキリ―――
そんなものも使わず、一気に決め――――――
烈「………………!」
グワッ!
キリク(!?)
キリク(み、見切られてる、のか!?)
キリク「く、クソッ!」
ダンッ!
シュタッ――――
烈「………………」
キリク「ハァ、ハァ……」
マイク「どうしたッ!? キリク選手!?」
マイク「果敢にも切り込んだものの、寸でのところで後方に飛びのき、およそ二人の攻撃がともに届かない間合いへと再び下がってしまいましたッ!?」
キリク(ど、どうなってんだ?)
キリク(アイツの構えはさっきと変わらない……移動速度も強化した……)
キリク(それなのに……)
ま、まるでアイツを斬れるイメージが湧かねぇッッッ!!!
烈「………なぜ」
キリク(!?)
烈「なぜ自分が飛びのいたか、君は分かるか?」
キリク「………………」
烈「………それは」
君は既に私に負けているからだッ
烈「対魔法生物においては『戦闘力』という観点のみで容易に戦えたのかもしれないが」
烈「対人間においてはもう一つ、闘争における重要な要素が存在する」
『精神力』
烈「私が過去にそれを身に染みて感じたのは―――」
私と同じ「海王」の位を持ち、潜在能力という面では私をはるかに上回る大男が
全身を負傷し、医者からも体を動かすことすら禁じられていた再起不能であるはずの青年に『精神力』にて圧倒され
赤ん坊のように泣きじゃくり許しを請うという異常事態ッ!
烈「それはもはや身体的能力を超え、『武』への執念と努力によってのみ構成される純粋な『闘争能力』」
烈「―――優れた【補正】武器持つ君にはないものだ、キリク君」
キリク「………………ッ」
烈「先の交戦において、君の精神は既に再起不能にまで陥っている―――」
烈「いくら不可思議な力を使う魔道も傷は癒せても、心までは癒せない……か、いい勉強になった」
キリク「………………」
スゥーーー
フゥウウウウウーーーー
キリク(お、落ち着け―――ペースを乱されるな)
キリク(虚言だ、あんなのは、俺の冷静さを乱す虚言だ)
キリク(精神力で負けている? オレが? この国でも随一の剣士である俺が?)
キリク(―――そんなことはもはやどうでもいい!)
キリク(俺の【補正】武器で切れば決着がつく! その事実はいかにアイツが強かろうとも変わらないッ!)
キリク(どんな手段を使ってもアイツを斬るッ! 考えることはそれだけだッ!)
―――ギロッ
女魔導士たち(!)
キリク(やるぞ。しっかり合わせろよ?)
………………コクリ
キリク(―――よし)
行くぞッッッ!!!
ダダダダッッ!!
マイク「キリク選手、再び烈選手へと駆けていくッッ!!」
烈「………………!?」
烈(先程とは纏う雰囲気が異なる………)
何か来るのかッ!?
バッ
烈「!?」
烈(目元を覆い隠した?)
キリク(オラッ! やれっ!)
女魔導士1(………………)
【閃光】
ビカァァァァァッッッ!!!
烈「なに!?」
マイク「うぉ!? 眩しッ!」
キリク「オラァ!」
ブンッ!
烈(!?)
烈(右か!)
ヒラッ―――
女魔導士1(躱した!? 目が一切見えないあの状況で!?)
女魔導士1(………だけど)
烈(………………!)
烈(気配が左にも!?)
女魔導士2(………………)
【虚影】
女魔導士2(実物と同じ質量と姿を持つ虚像の生成………)
女魔導士2(………ごめんなさい烈さん、あんな言葉をかけてもらったのに)
女魔導士2(………妹のためにも、許して―――)
烈「…………くッ!」
ダンッ!
烈「破ッ!!!」
ズガァン!
女魔導士2「嘘………まだ反応できるのッ!?」
女魔導士2「―――悔しいけど、アイツの作戦はビビりすぎじゃなかったわけね」
ブワン――――――
烈「なッ!?」
これもフェイクかッ!?
女魔導士3「………………」
【虚影】
キリク(掛かった!)
キリク(本体は………………)
ブンッ!!!
烈(!?)
烈「………しまった!」
後ろだッッッ!!!
キリク「これで終わりだぁァァァァッッッ!!!」
ズンッ!!!
起きてはならぬことがその時起こった!!!
どうなるッ!? 烈海王ッ!?