異世界にて、烈海王、復ッ活ッ!!烈海王、復ッ活ッ!! 作:浦井朝時
マイク(………………)
観客(………………)
どうなってんだ!? 一体!?
キリク「な、なんだよ!? どうなってんだよ!? これ!?」
ガキンッ
ガキンッ
キリク「止められてんのか!? 俺の剣が!?」
ガキンッ
グググググ―――
キリク「押し込んでも何かに防がれているように体まで届かねぇ!」
キリク「何をしたんだ!? 中国武術家!?」
ミネルバ「―――当たり前じゃない」
キリク「………………!?」
キリク「……ミネルバ、お前、何かコイツに防御魔法をかけたろッ!? そうなんだろ!?」
フッ
ミネルバ「馬鹿ね……身体的な強化魔法ならまだしも、剣撃を身体に触れさせずに宙で食い止めるような防御魔法を使える魔導士なんて、私はおろか、このマギリカーゼに存在しないわよ」
ミネルバ「………ある一人を除いてね」
キリク「そ、それがコイツだっていうのかよ!?」
烈「………………」
ミネルバ「正確には『魔導士』ではないけどね……」
ケンジ「ちょ、ちょっと待ってくれよ!?」
ミネルバ「?」
ケンジ「確か、転生者は魔法は使えないんじゃないのか?」
ラン「それに、烈さんはつい先日こちらの世界に転生してきたばかりの方ですよね? 詠唱はおろか、魔法の存在そのものも詳しく知りえないと思うのだけれど……」
レガロ「―――転生者には魔法は使えない」
レガロ「そんな風に考えていた時期が私にもありました」
ラン「レガロ……!」
レガロ「しかし、現実には存在したんですよ。現に今、烈さんが使っているように」
レガロ「魔法……というか、膨大なマナの蓄積によって発生したマナの障壁」
レガロ「それが、あのバリアの正体です」
ケンジ「……し」
ケンジ「質問に答えられてねぇよ!?」
ケンジ「じゃあなんでオッサンがマナを体に蓄えられてんだよ!?」
レガロ「そ、それは……」
???「それなら、私が答えるわよ!」
四人(!?)
レガロ「あ、あなたは……」
アテナ「いや~ 高密度のマナにあてられて発生源の闘技場まで来てみたら、まさかあの転生者のものだったとはね~」
ミネルバ「………お」
ミネルバ「お姉ちゃん!?」
三人「え!?」
アテナ「久しぶりだね~ 我が妹よ」
レガロ「お、お姉さん!? マギリカーゼ随一の天才魔道博士、アテナ・グラディウス様とミネルバが姉妹!?」
ミネルバ「ま、まぁね……」
ラン「そ、そういえば名字一緒だったね……」
アテナ「―――そんなことよりもさ」
アテナ「なんであの転生者―――烈さんだっけ? 彼が体内にマナを取り込めているのか聞きたくないかい? 少年?」
ケンジ「えっと、その……はい」
フフン
アテナ「いい返事だぞ、転生者の少年」
・
・
・
アテナ「要は、この『吸収』『蓄積』『変換』『放出』『形式化』の五段階を経て魔法というのは発現するんだけど、烈さんの場合はチュウゴク武術における『気』の概念が私たちでいうところの『マナ』と同等の関係にあるわけね」
レガロ「なるほどッ! つまり、烈さんが転生前の世界で既に身に着けた『気』との親和性が、今回『マナ』に置き換わることで、あのような現象が起きたという事かッ!」
アテナ「正解ッ!」
ミネルバ「いや、それでもあのマナ量は化け物過ぎるけどね……」
アテナ「でも、『吸収』『蓄積』『放出』に関してはとんでもない練度に達しているけど、『変換』『形式化』に関してはからきしね」
アテナ「文献に記載された転生者から得たチュウゴク武術の項目によれば、『気』は自然と己を一体化させること、自然の力をあくまで『借りる』ということみたいだから、己の力に『変換』するという概念がそもそもないのかもね」
アテナ「あと、『形式化』に関しては言わずもがな、詠唱も魔方陣の知識もない彼が私たちの知るような魔法を出せるとは考えられないわ」
チラッ
烈「………………」
アテナ「―――彼から発せられるマナ自体からは敵意や属性的なものは感じられないし、本当にただ自然本来の中性的なマナで全身を包み込んでる……そんなところね」
キリク「―――なるほどな」
キリク「勉強になったよ。流石最年少でブリュミエール学園の博士号を取得した天才女魔導士だ」
四人「!?」
ケンジ「キリクッ! 盗み聞きしてたのかッ!?」
キリク「失礼だな。あんな大声で話していたら、闘技場内の全員に聞こえてるよ」
ミネルバ「れ、烈選手は!?」
キリク「心配しなくていいよ。ほら、あそこにいるから」
烈「………………」
キリク「なんでも、自分に起きた現象を知りたいから一時休戦して考えさせてくれないかだってさ。ハッ、健気だよね」
烈(……成る程)
烈(転生後から感じていた違和感……この地に存在する『気』に代替する自然エネルギーである『マナ』によるものだったか)
グググ―――
烈(道理で打撃による破壊力が段違いなわけだ。よっぽどこの世界の『マナ』は純度が高いらしい……)
烈(―――さて、どうしたものか……)
キリク「…………ククク」
烈「?」
キリク「ククク、いやぁ、焦ったよ」
キリク「もしアンタのそのバリアが【補正】能力だったら、流石にヤバかったかもしれないけど」
チャキン
キリク「マナによるものだったらどうという事は無し……心から良かったと思うよ、僕に『二つ目』の【補正】武器があってさ」
レガロ「!?」
レガロ「ま、不味いッ!?」
ケンジ「そうかッ! キリクの持つ二本目の【補正】武器、『あらゆる魔法を切断する』【冥刹剣】なら、マナによる障壁も切り裂けるのかッ!?」
ミネルバ「―――大丈夫よ」
ミネルバ「案だけ策を弄してようやく烈さんに斬りこめたのよ?」
ミネルバ「二回目が烈さんに通用するとは思えないし、烈さんも許さないはず……」
烈「……キリクよ」
キリク「あん?」
烈「その片方の剣は、『物体を確実に切断する』わけではないのかね?」
キリク「……あぁ、【補正】武器に能力は基本一つだからな。左手のこの【冥刹剣】は『あらゆる魔法を切断する』だけだ」
キリク(まぁ、切れ味はそこらの剣よりははるかに優れているけどな)
烈「そうか―――」
バサッ
キリク「?」
ラン「烈さん?」
アテナ(何をする気? 上半身裸になって?)
烈「では……」
その剣にて、私の体に一太刀浴びせてもらいたいッッッ
キリク「!?」
アテナ「は!?」
ミネルバ「れ、烈さん!? 正気なの!?」
ラン「い、いくらなんでもそれはッ!」
レガロ「無茶すぎますよッ!?」
ケンジ(……いや、もう驚くのも疲れたわ……)
キリク(……ホント、あんたには舐められっぱなしだよ)
キリク(さっきまでの俺だったら即ブチギレてるところだが)
キリク(―――もう、怒る気力すら起きてこねぇ)
キリク「男に二言はねぇな? もう取り消せねぇぞ?」
烈「かまわん」
キリク「どうなっても知らねぇぞ? もちろん死んでも」
烈「かまわん」
キリク「―――後悔するなよ?」
烈「私は一向に構わんッ」
―――ダダダダッ
キリク「なら死ねぇッッッ!!!」
ブンッ
キリク(正面からブッタ斬るッ!)
――ヒュるり
キリク(!)
キリク(突破したッ! マナの障壁ッッ!!)
ザンッ
キリク(そして手ごたえありッッッ!!!)
キリク「本当にこれで終わりだぁぁぁァァァァッッッ!!!」
ブァサァアアアアアッッッ
ギュルルルルルルルルルルルルンッッッ!!
ギュルルルルルル―――
―――スタッ
キリク「……な」
カランカランカラン―――
キリク「うそ、だろ……」
烈「………………ふぅ」
烈「どうやら、成功のようだな」
烈「満足には程遠いが、一応の成果は得られた……というべきか」
『対剣術 消力 完成ッッッ!!!』
遂に活かせたッッッ!!