異世界にて、烈海王、復ッ活ッ!!烈海王、復ッ活ッ!! 作:浦井朝時
ケンジ「――――そ……」
ケンジ「そりゃあそうですよッ」
ケンジ「烈さんみたいな超絶【補正】受けてる人から見れば――――」
烈「――――これは、私が生きていたころに出会った二人の男の話だが」
ケンジ(おいおいおい、語りだしちゃったよこの人?!)
烈「一人は、生まれながらにして『喧嘩師』としての才を持ち、「鍛えない」ことを信条として無類の強さを誇り、その「鍛えたことのない」握力は束ねたトランプの一部を平気で引きちぎるまで至り、【握撃】と呼ばれる彼の攻撃は、素手で人体一部を爆発させる域にまで達していた」
レガロ(じ、人体の爆発って? というか、素手?)
烈「――――もう一人は」
《フゥッ》
烈「もう一人は、生まれ落ちたその時から『地上最強の生物』として君臨し、自分以外一切を弱者として捉え、その戦力は大国一つの全軍隊と匹敵するともといわれていた」
ミネルバ(一国の戦力と同等って、そんなの伝説上の存在じゃない……)
烈「つまり――――」
私は過酷なこの世界に住む君たちよりも以前に
「圧倒的暴力」を持つ生物に遭遇しているッッッ
四人(……………………)
ケンジ「ぎ、ギャグっすよ――」
烈「大真面目だッッッ」
烈「事実、先程君にかけた言葉はその『地上最強の生物』が、わが師と戦うまさにその最中に宣言した言葉だ」
(……………………)
ラン「そ、それで……」
烈「ッ」
ラン「それで、その戦いってどうなったんですか? 烈さんのお師匠様対……『地上最強の生物』」
烈「………………」
烈「――――――――「武」の勝利……」
ラン「……ていうことは、烈さんのお師匠様の――――」
烈「試合自体は、わが師の「死亡」によって幕を閉じた」
四人「………………は?」
烈「フッ、まぁ、そうなるだろうな」
ミネルバ「イヤイヤイヤイヤ」ブンブンブンブンッ
ミネルバ「どう考えてもそれって……負け、でしょ?」
烈「――――確かに」
烈「「試合」の勝ち負け、という意味ではそうだったかもしれない……」
烈「しかし――――」
烈「試合後、師はその悠久の時間をかけて培った「理合」によって、息を吹き返したのだッ」
四人「………………え?」
レガロ「そ、その「理合」っていうのは、魔法とか呪術とか、そういう類のものではなくてですか?」
烈「ハハッ、師が用いたのがそのような類のものであったのなら、私も魔導士の端くれ、というわけだな」
ミネルバ(いやむしろ、超絶強化魔法の使い手といってくれた方が私的には納得できるんだけど……)
ラン「……てことはさぁ?」
三人「?」
ラン「そんな常識はずれなことをしちゃう人がお師匠様だったらさぁ?」
ラン「さっきの烈さんの蹴りって、ひょっとして【補正】によるものじゃなくて、元からあった「武」とか「理合」の力、だったりして……」
全員(…………………………)
四人(ど、どぉ~~~~~だぁ~~~~~~ッッッ??)
烈「そ、そうなのかッ? たしかに、君たちが言うような【補正】による変化は、この地に降り立ってからあまり感じないのだが……」
レガロ「……本来、【補正】というのは【転生者】に身体能力のわずかな上昇と、この世界の魔導士にはない特別な能力や武器を付与するというもの……後者についてはこの地に降り立ってすぐにその変化に気が付くといいます」
ラン「うん! 私も転生したとき、周りの殺気を持った魔法動物の気配とかがなんとなくわかったから、能力も自動的に発動するし、発動したら気付くと思うよ!」
ミネルバ「武器だったら真っ先に気付くし……確かに今まで『身体能力の向上』っていう【補正】における+αの効果が著しかったという例は今までみたことないわね……」
三人(じゃあ、烈さんの本当の【補正】能力は……)
まだ発揮されてないってこと? ――――――――
ケンジ「は、話し戻すけどさぁ!!!」
他四人(!?)
ケンジ「さ、さっきの「武」対「暴力」の話だけどさぁ……」
(……………………)
ケンジ「け、結局は相手を倒せてないから負けなんじゃ……」
烈「ッッッ!!」
ケンジ(ビクッッッ!?)
烈「……ケンジさん」ガタッ
ケンジ「ちょっ、ちょっと待ったッッ取り消しますッ今の質問なしッッ」
烈「私もそう思うッッ!! (ニコッ)」
ケンジ「はぁ~~~~~~~~~?!」
烈「いくら生き返ったとはいえ、勝負は勝負。それに、相手が力を緩めず死亡後もなお攻撃を続けていれば、師に生き返るための余力は残されていなかっただろう――――」
しかしッッッ
生き残ったのもまた事実ッッッ
烈「「技」というもの、「武」というもの、あるいはこの世界でいう「魔法」というものが、不当な暴力に対する弱者の抵抗手段だとすれば、あの時「武」は勝利していた、いや、もっと正確に言えば、目的を果たしていた、そういえるのではないだろうかッ」
四人(――――――――ッッッ)
余りにも現実離れすぎる烈の経験と「武」への思想――――
それは、異世界という「非現実的」な環境に住む者たちであっても、
到底、すぐには飲み込めるような代物ではなかった――――
しかし――――
そのような話を聞いてもなお、
若き冒険者ケンジに残る、残ってしまう一つの子供じみた『わがまま』――――
ケンジ「……でも、烈さん」
烈「んッ?」
ケンジ「おれ、勝ちたいッ」
ケンジ「ちゃんと、相手に勝ちたいッッ」
勝負が終わった時、自分の頭が相手の頭より高いところでありたいッッッ
烈「!!!」
ケンジ「証明したい! 先天的暴力に後天的技術が勝ることッ!」
このとき――――
烈 永周海王の心にある一つの
烈(――――或いは……)
烈(或いは、これを証明するために、私はこの地に降り立ったのかもしれんな)
烈「――――ケンジさん」
ケンジ「!」
烈「残念ですが、あなたが今からそれを成し遂げるには、いささか時間がかかりすぎるのではないだろうか?」
ケンジ「ッ……」
烈「だから、その代わりに――――」
この地でッ私が証明しようッ!
「技」が「力」に勝ることをッッ!
志、定まるッッ!!