緋鳥物語   作:蟲鳥獣

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第4話

「そのコーヒー・・・俺の能力だ」

 

 俺と同一の代物だと分かって、ついそう口に出してしまった。

 

「なに?」

 

 白衣の男は怪訝な顔をする。

 こうなっては仕方が無いので、思い出した事を説明する事にする。

 

「俺の能力で出現したフィクションだ」

 

「なんだと、コレがか?」

 

 白衣の男はコーヒーの無くなったコップを持ちあげて見せた。

 

「そうだ、そして同時にそいつはあんたが望んだものだ」

 

 きっと白衣の男の脳内で、コーヒーを飲む自分をイメージしたに違いない。

 だからコーヒーが、あの机の上に突然出現した。

 まさか能力影響下の人間も、俺と同じ事が出来るようになっているとは思わなかった。

 いや、そもそも忘れていたんだから、そんなこと思う事も出来ていなかったか・・・

 

「あぁ、確かにコーヒーがあればなと思ったが」

 

「そいつが原因さ、ただし現実に起きている事じゃない」

 

 そう現実に起きている事では無い。

 能力影響下にいない第三者が、さっきの状況を見れば、パントマイムをやっているようにしか、見えていないだろう。

 しかし逆に言えば、それだけ本物に近い幻想を、認識していると言う事だ。

 

「あんたの飲んだコーヒーは幻想、俺の能力影響下から離れればコップは消えるし、飲んだ感触も無くなるだろうな」

 

「・・・・・・規格外だな」

 

「おいおい、そんな事を言うな。まだ良心的だろ」

 

 他の奴らと比べれば、まだまだ良心的だと思うね。ほんとに

 例えば、トカゲとか、シャイで(ナイス)ガイな奴とか・・・うん、この話題は止めておこう。

 

「そういや自己紹介していないな、あんた名前は何て言うんだ?おっと俺に名は無いぞ、もう既に捨てたからな。いや、意味が無くなったが正しいのか?」

 

「最後の言葉が気になるが、まぁそうだな。俺は[削除済]だ。この場所で、主任をやっていた。今ではお前のせいで、この有様だがな。ぜひ■■とでも呼んでくれ」

 

 露骨に強調したな、こいつ・・・

 

「へぇへぇ、わるぅございました。んで■■、これからどうするんだ」

 

「こいつ・・・はぁ、まぁいい。そうだな、外に出て他の支部との連絡手段を探さす事だな。ここは、辺境中の辺境、[削除済]に存在しているからな」

 

 俺の情報が出ていかない様に施設は完全停止、機動の為の発電施設は崩壊し、生き残って使える予備バッテリーはもう僅か。精々記録しかできないパソコンで、記録を残すだけらしい。

 今いるのは、地下130m地点の部屋だとのこと。

 

「・・・ちょっと失礼」

 

「おい、どこに行くんだ」

 

「能力影響下入った人間?が、今しがたこの上に」

 

 俺はこれ以上の返答は聞かずに、飛び上がった。

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