レベルアップで世界最強   作:奈落兎

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降霊の先

 奈落へと落ちる途中、壁から水が吹き出す場所があった。恵里を抱き締めながら流れを見極め壁際に移動した。途中見つけた横穴に入り、ここに出た。

 かなり薄暗い階層で、魔物の強さも段違い。後ろから襲ってきた脚の発達した兎にカウンターで蹴りを決めようとしたら、空中で蹴りを躱されたのだ。まあ、すぐに裏拳に切り替え、壁へ叩きつけたが。

 その後狼や熊を倒して今に至る。

 

有害成分を検出しました

バフ∶免疫で解毒しました

 

 魔物の肉には毒が含まれている。ハジメならば問題なく食える。念の為ステータスプレートを見たが状態には一切の変化はない。

 

「ん、うぅ…………」

「よお、起きたか」

「あいたたたた! こめかみをグリグリするなよ」

 

 目を覚ました恵里にハジメはこめかみを押す力を強める。

 

「死ぬかもしれねえ自殺紛いやっといてこの程度の痛みで済むんだ。感謝しろ」

「乱暴だなあ」

「死んだらどうするつもりだった」

「別に…………」

 

 ハジメがもし助けてくれなかったなら、もう生きる気もなかった。ハジメが助けてくれても命が助からなかったとしても、幸せの絶頂で死ねるのだから悪くない。

 ハジメは眉間にシワを寄せ、恵里のデコを指で弾いた。

 

「あぅ……!」

「死なせてしまうかもと、思った………」

「………………」

「二度とやるな」

「…………ごめん」

 

 恵里はそう言って黙り込む。ハジメは、はぁとため息を吐くと壁に手を当て錬成で穴を開けていく。取りあえず恵里を休めるための拠点づくりだ。途中、何やら変な鉱石を見つけた。神秘的で美しい石だ。アクアマリンの青をもっと濃くして発光させた感じが一番しっくりくる表現だろう。

 『システム』を通して鑑定してみる。派生技能の《鉱物鑑定》よりも性能がいいのだ。

 

アイテム∶人工神結晶

入手難易度∶A+

種類∶魔道具

製作者∶オスカー・オルクス

人工的につくられた神結晶です。魔力を溜め込み成長し、飽和した魔力を『治癒の水』として排出します

アイテム∶治癒の水

入手難易度∶A

種類∶秘薬

あらゆる病症、毒、状態異常を癒やし傷を塞ぐ神秘の秘薬。トータスにおいて【神水】と呼ばれる。

栄養失調を抑えることも可

 

 超強力な回復アイテムを序盤で手に入れた。

 恵里に説明すると、なら魔物の肉が食べられるのかと聞いてくる。

 

「一応、ストアにゃ食料も売ってるが………」

「ストア?」

 

 こうなれば恵里は運命共同体だ。ハジメは己の抱える秘密を話す事にした。

 

「ふぅん。まるでゲームみたいだね………でもそっか。だから何処か人間離れしてたんだ」

 

 因みに知能ってなんの意味があるの? と聞いてくる恵里。ハジメは魔法関連だと思うと説明した。

 魔法らしき魔法が使えぬハジメからすれば確認しょうもないことだ。まあ心なしか知能に能力値を振れば錬成の速度や消費魔力が変わった気がする。

 

「それで、その『システム』の機能の一つ、ストアで色々買える、と?」

「食料はパンぐらいしかないな」

「うーん。ならそうしようかな………美味しくなさそうだし。あ、でもちょっと試したい事があるんだ」

 

 恵里はそう言って、己のステータスプレートのある一点を見つめる。ハジメは何をすれば良い、と尋ねた。

 

 

 

 

「おお、気持ち悪」

 

 2つの尾を持つ狼、脚の発達した兎、爪の長い熊。それらの死体を前に恵里はヘラヘラ笑う。

 

「で、試したい事って」

「魔法って、魔法陣で発動するじゃないか。だけど魔物はそれを持たない」

 

 恵里の言葉にハジメはそういえば自分は魔法陣で発動してなかったなあ、と改め目思い返す。

 

「でもこれ、人間も行ってると思うんだよ。ほら、『魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている』って、メルドさんも言ってたろう?」

 

 それは即ち身体強化という魔法を使っているという事。そして、降霊術で操った死体も魔法を使えることから考えれば、降霊術は死体の魔力の流れも操れると言う事だ。

 

「それを写し取る。そうだね……闇魔法───魄奪(ハクダツ)

 

 ゆらりと魔物たちの死体から黒いオーラが溢れ出す。それらは生前の形を取ると苦しみを訴えるように蠢き、恵里へと吸い込まれていく。

 が───

 

「あれ?」

 

 パシュンと蹴り兎と爪熊のオーラが弾けて消える。吸い込まれたのは、二尾狼だけ。この中では最弱の魔物。それが関係しているのだろうか?

 

「っ!? あぐ、くああああああ!!」

「恵里!?」

 

 恵里が突然苦しみだし、ハジメが慌てて神水を飲ませるも、落ち着いたのは一瞬。すぐに苦しみだす。

 どうも再生と破壊を繰り返しているようだ。ハジメは錬成と同じ要領で恵里の中に魔力を流し込み体内で暴れる魔力を整えていくが、恵里が暴れてやりにくい。下手に力を込めればハジメの力では壊してしまう。

 

「っ!」

「うぅ! うぅぐううう!」

 

 暴れらぬように抱きしめれば恵里はハジメの首に噛み付く。舌を噛むよりましだし痛くもない。されるがままにされていると、恵里の体に変化が起きる。

 再生と破壊を繰り返すうちに徐々にだが背丈が伸び、髪の一部が白く染まっていく。全てが白く染まる前に魔力が安定し、恵里は気を失った。

 

 

 

『中村恵里 17歳 女 レベル:15

 

天職∶降霊術師

筋力∶230

体力:190

耐性:340

敏捷:320

魔力:560

魔耐:360

技能:降霊術[+魂魄魔法]・炎魔法・闇魔法・風魔法・魔力回復・魔力効率化・魔力操作・纒雷・言語理解     』

 

「ステータスがすごく上がった。おまけに、見てくれよ。成功だ、魔物の魔法を手に出来た」

「魔力操作ってのは?」

「魔法陣を介さず魔力を操る技能だね。魔力の流れを生むのに必要な魔法陣が必要ないし、詠唱も使わず魔法が使えるみたいだ」

 

 指の先に炎を灯しユラユラ動かす恵里。身長が少し伸び、前髪の一部が白髪のメッシュになっている。

 

「で、この魂魄魔法ってのは?」

「うーん。よくわかんないけど、何だろうね…………生命エネルギーというか、魂と言うか、そういうのに干渉できるみたい。次はもう少し上手くやれる」

 

 死体を操るのではなく、死体に残された魔力を取り込むオリジナル魔法『魄奪』は、明らかに降霊術の、死体に残った残留思念に干渉するそれを超えた。

 それに加え急激に魔力が上がり魔法が進化したようだ。

 

「ところでそれ何?」

「お前が気絶してる間に作った」

 

 ハジメがそう言って見せたのはリボルバー式の拳銃だ。攻撃力のない恵里のために作ったのだが、雷を纏えるしレールガンに改造する事にした。

 

「というわけで渡すのは少し待て」

「あ、うん………」

 

 

 

 

 暫くして恵里専用ピースメーカー型レールガンが完成した。名前はドンナー。

 

「ハジメのぶんはいらないのかい?」

「殴った方が強い」

「それもそうか」

 

 

 

 

 そして、恵里のステータスとハジメのレベリングの為にその階層の魔物を狩る。

 絶滅させても暫くしたらリスポーンするらしく、時間を置いて殺し、恵里が残留魔力を食らう。残留魔力と思念を取り込んだ死体はどうやら通常の降霊術では操れないようだが魂魄魔法なら擬似的な魂魄を生み出し操る事が出来るようだ。生前と同じ魔法を使える様にするには多少時間がかかるが。

 

「この階層の魂にも慣れてきてしまったよ。簡単に言うならこれ以上強くはなれない」

「そうか………じゃあ、次の階層に………ん?」

 

 と、ハジメは倒した魔物の死体の近くにあらわれる『システム』によるドロップアイテムを回収していると、妙な物を見つける。

 

ルーン石∶天歩を発見しました

 

「…………ルーン石?」

 

   『スキル∶天歩』

ルーン石を割るとスキルが吸収出来ます

 

 小さな、文字らしきものが書かれた石。ハジメが握り砕くと、赤いオーラが溢れ絡みついていく。

 

スキル∶天歩を習得しました

 

 その日、再び魔物の悲鳴が階層各所から響き渡ったと、生き残った一匹の蹴り兎は語った。

 

 

 

『中村恵里 17歳 女 レベル:22

 

天職∶降霊術師

筋力∶350

体力:390

耐性:450

敏捷:410

魔力:1080

魔耐:430

技能:降霊術[+魂魄魔法]・炎魔法・闇魔法・風魔法・魔力回復・魔力効率化・魔力操作・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解     』

 

 

 

 

名前∶南雲 ハジメ  レベル∶28

職業∶なし      疲労度∶0

称号∶竜殺し(他3)

 

HP∶8560

 ──

MP∶3150

────────────────

筋力∶520 体力∶520

速度∶520 知能∶429

感覚∶429

────────────────

   分配可能ポイント∶0

 

 

保有スキル一覧

・纒雷

・天歩《+空力》《+縮地》《+豪脚》

・風爪




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