レベルアップで世界最強   作:奈落兎

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転職クエスト中編

交戦時間の長さに合わせて

上位クラスへの転職に必要な

 ポイントが付与されます

 

 00:00:10 

 

 ポイント、つまり無制限ウェーブと言う事か。

 

 00:00:08 

 

 数字が減る。白いモンスター達が僅かに身を落とす。まるで何時でも走り出せるよう準備するかのように。いや、おそらくそうなのだろう。

 

  00:00:03 

 

 ハジメもまた、息を吐いてモンスター達を見据える。

 

 00:00:00 

 

「「「──────っ!!」」」

 

 タイマーが0になった瞬間、モンスター達が襲いかかってくる。真っ先に飛び出してきた狼の頭を蹴り飛ばす。

 コイツラは、弱い!

 白い騎士達はそれなりに硬いが動きは遅く、疲労が溜まったハジメでも対処できる。問題は、数だ。

 

 00:00:17 

 

 数字が増えている。現段階では17秒。

 ハジメは早速手にしたアイテムの効果を発動する。

 『隠密』の発動。マナ消費は無し。暗殺者にとってこれ以上ないほどのアイテム。

 交戦時間の長さだから、撃破数は必要ない。が、次から次へと現れているのを見るに対処したほうが良いだろう。

 

『悪霧の幻影 ベリンダ』が『解呪の霧』を使用しました

 

『隠密』が解除されます

 

 ハジメの『隠密』が解け、今もなお増え続ける白いモンスター達が一斉に振り返る。

 攻撃を避けながら柱の上に移動し短剣を付きたてぶら下がったハジメが白い女達を睨めばケタケタと笑っているのが見えた。

 

「あんにゃろう………」

『キエェェェェッ!!』

 

 と、白い鷹型のモンスターが突っ込んで来る。すぐに柱からナイフを抜いて斬り殺し、地面で待ち構えていた騎士の槍を避けて頭を踏み砕くとベリンダと言うらしい女の一体に向かって跳ぶ。

 

『アハ───!』

 

 ギィン! という金属音。巨大な盾を持った重戦士がハジメの攻撃を身を挺して防ぐ。

 能力値の差で盾も腕も、その向こうの胸元すら吹き飛んだがハジメの勢いは完全に死んだ。その隙をメイスを持った重戦士が攻める。

 

「チィ!」

 

 腕の骨がミシミシと音を立てる。まだエリヘルとのダメージが抜け切っていない。ボス戦後に無制限ウェーブとか父にエイプリルフールでやらされたゲーム以来だ。

 ハジメが吹き飛ばされた先では別のベリンダがスッと指を掲げ、白いモンスター達が迫る。

 

「ふっ!」

 

 回転蹴りで全て吹き飛ばし、着地隙に足を狙って来たワニをかわす。死体は、ない。殺した………否、()()()()()()()()()()()()

 『悪霧の幻影 ベリンダ』………その名の通り霧を操るモンスターなのだろう。そもそもがベリンダとはシルフの一団が仕えていた女の名で、シルフとは今でこそ精霊として神聖なイメージが高いがアレキサンダー・ポープの詩の中では、癇癪や虚栄に満ちた女性は、その魂は天に昇ることのできない暗黒の霧となるために、死後になるものとされた悪霊だ。

 

「はっ、上等だ! その笑みを恐怖に引き攣らせてやるぜ!」

 

 とはいえこの状況、虚勢に縋りたいのはむしろハジメだ。精一杯獰猛な笑みを浮かべ白い……霧のモンスター達を壊していくがベリンダ3体を中心に発生する霧はどんどん濃くなっていき比例するようにモンスターの数、強さが上がっていく。

 これで無制限ウェーブとかクソゲー過ぎる。ただでさえベリンダに攻撃が届かないのに、更に遠のく。

 

「が、ああああ!」

 

 ドゴォ! と熊型の霧のモンスターを蹴り飛ばし数体巻き込ませる。先程までならそれで死んだが巻き込まれた内数体が起き上がろうとして、その前に踏み殺していく。と………

 

『─────!!』

「っ! この!」

 

 一体が足を掴んでくる。直ぐに踏み殺すが影が指す。オーガ型のモンスターが棍棒を振り降ろしハジメの頭蓋を揺さぶる。

 

「─────っ!!」

 

 周りに武器を持ったモンスター達が殺到してくる。轟音が響く。

 立ち上がったハジメが殴り飛ばし、斬り殺した音だ。

 

疲労が一定値を超えました。能力値がダウンします!

 

 体が重い。呼吸するだけで喉も肺も痛い。足が震える。だが、ハジメは力を込める。帰還石は使わない。逃げない。

 必ず、勝つ。勝って、自分の足で出て行く。

 叫び声を上げるのすら億劫なハジメは無言で霧のモンスター達を相手する。気のせいかベリンダ達の顔に焦りが生まれ、霧のモンスターの勢いが増す。

 

「─────っ!!」

 

    クエスト案内

デイリークエスト─強者を目指して

       目標

 

─腕立て伏せ   【0/100】

─腹筋     【0/100】

─スクワット   【0/100】

─ランニング  【0/10Km】

 

注意─すべて完了できない場合

未完了度に応じてペナルティーが

科されます

 

「あ?」

 

【残り時間8秒】

 

【残り時間7秒】

 

 新たにタイマーが現れカウントを刻む。一瞬の硬直に、霧のモンスター達は一斉に殺到するも奏者が3人もいるからか連携が取れずぶつかりあい、ハッと我に返ったハジメが直ぐに対処する。

 

【残り時間1秒】

 

【残り時間0秒】

 

 

 

     お知らせ

デイリークエストが未完了です!

 

 

ペナルティーゾーンに移動します

 

 

 

 ザァ、と砂混じりの乾いた風が吹く。ハジメの視界に写ったのは、どんよりとした霧が立ち込める月明かりだけが頼りの廃墟ではなく、オレンジの空と沈みかけのくせにそれ以降全く動かない太陽が照らす砂漠だった。

 

「…………ペナルティーゾーン?」

 

 これまでペナルティーを避けていたハジメだったが、ペナルティーはクエストだったのかと周囲を見回す。完全に転職クエストダンジョンとは別の場所。

 

「ん? てことは………! ストア!」

 

 ハジメの言葉にストア画面が開く。やはり、ここではストアが使える!

 

【HP∶63/15630】

【MP∶0/10580】

【疲労度∶92】

 

 HPも残り少ない。ストアで購入した最高級のポーションを飲む。

 

疲労が回復します

 

「………?」

 

 疲労が回復しても体力が回復しない。HPを見る限り、死にかけのままだ。ポーションの限界を超えたのだろう。

 と、そんな事を考えていると砂が擦れる音を耳が拾い、砂の中を蠢く複数の気配を感じ取る。

 

「キエエエエエエエッ!!」

 

 砂を巻き上げ飛び出して来たのは百足だ。低いビルほどもある巨大な百足の名は巨大毒牙砂ムカデ。

 虫のくせに歯茎のある口からベロリと舌を出す。

 

     お知らせ

 ペナルティークエスト∶生存

目標∶ペナルティー時間終了まで

   生存してください

 ペナルティー時間∶4時間

  残り∶4時間00分00秒

 

「上等。ストアが使えるって事はレベルアップで体力も回復すんだろ? こいよ。ムカデども!」




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