レベルアップで世界最強 作:奈落兎
無数の屍が砂漠を埋める。
| レベルがアップしました! |
「ふぅ〜……」
ストアで購入したポーションを飲みながらムカデの屍に腰を下ろすハジメ。
ペナルティークエスト∶生存 目標∶ペナルティー時間終了まで 生存してください ペナルティー時間∶4時間 残り∶0時間3分51秒 |
| 名前∶南雲 ハジメ レベル∶51 職業∶なし 疲労度∶0 称号∶殺虫者(他3)
HP∶17350 ── MP∶10870 ──────────────── 筋力∶546 体力∶546 速度∶546 知能∶471 感覚∶463 ──────────────── 分配可能ポイント∶0 |
以前地下鉄駅を利用したインスタンスダンジョンで虫型モンスターを殺しまくり手にした称号、昆虫系モンスターとの交戦時の際に能力値を30%アップさせる称号だが、かなり役にたった。
因みに竜殺しは常時能力値20%アップとドラゴン系モンスターとの交戦時60%アップだ。
指定モンスター以外にも有効なのは仮にも竜殺しなんて英雄しか持たぬ称号故だろう。
「さて、と………」
時間を確認すれば、後2分。準備しなくては。
ハジメはストアから攻撃力の高い短剣を探し、購入する。
| 【アイテム∶アイスタガー】 入手難易度∶B 種類∶短剣 攻撃力+80
効果【氷結】∶斬りつけた箇所から相手を凍らせる属性ダメージを追加します |
相手は霧だ。散られてすぐ新たな兵にされるよりは此方のほうが良いだろう。
後はスキルだ。手に入れたばかりのルーン石を砕いてスキルを吸収する。
| 【スキル∶影渡りLv.1】 アクティブスキル 必要マナ無し
半径500メートル以内の影、または マーキングした影に移動可能。 マーキング移動の場合使用すると 4時間マーキング移動が使用できなくなります。 スキルのレベルに合わせて変動します |
エリヘルの使っていたスキルだ。
マーキング移動とかもあるのか。まああの場面では必要のない機能だったから知らないのも当然か。
残り時間は2秒。ハジメは深く息を吸い、吐き出す。
| 残り∶0時間0分1秒 |
コンディションはバッチリ。これ以上、相手の好きにさせるつもりはない。
| 残り∶0時間0分0秒 |
| ペナルティークエストを終了します |
次の瞬間ハジメの視界に映るのは真っ白な濃霧。その向こうから無数の霧のモンスター達の気配。
霧が蠢き、襲いかかってきた狼型にアイスタガーを突き刺せばパキリと氷付き白い結晶がキラキラと地面に落ちる。
霧には還らない。予想通り。
『『『─────ッ!!』』』
「ハハア!」
向かってくる霧のモンスター達を次々切り刻み氷に変える。少しずつではあるが霧が薄くなる。姿を見せたベリンダ達が慌てて霧を増やそうとしているのが見え、『隠密』を発動。同時に『土中遊泳』を実行。
『────?』
『隠密』を解いたはずなのにハジメの姿が見えない事にベリンダ達は動揺し、霧の生成を思わず止める。
霧のモンスター達には一応自立思考こそあるが標的を見失った今、主達の命令がなければ途端に動かない。
姿を表さぬハジメを警戒し、近くの壁や柱に背を預けようと動くベリンダは、ハジメにとっては良い的だ。
『────!!』
柱を通り現れたハジメが一体のベリンダを背中から斬りつける。傷口の周辺の水分や血が凍りつき、氷の針が内から肉を貫いていく。その痛みに絶叫するベリンダだったが頭部を踏み潰され悲鳴も消える。後に残されたのは透明な血を流す純白の躯。
『────!』
『───────!』
ベリンダ達からの口から隙間風のような、人の声の様な音が溢れる。仲間がやられ戸惑っているようだ。
霧の発生源が1つ失われた事で霧のモンスターの数が減り霧も少し薄くなる。天窓から再び薄らと月が顔を覗かせる。
『─────!』
ベリンダの顔が恐怖に染まり霧のモンスター達をけしかけ、無数の霧のモンスター達が味方をも押しつぶしながら殺到し、ベリンダがホッとした瞬間背後から喉を短剣で貫かれる。
『───? ─────!?』
ピキパキと体の中から水分が凍りついていき白い体に霜が貼る。喉は氷に貫かれ、ハジメが短剣を抜けば力なく倒れ凍りついた顔に亀裂が走る。
『────!』
最後のベリンダが両手を振り上げると、残された部屋中の霧が集まり霧のモンスター達もベリンダの頭上に集まる霧の塊に吸い込まれる。
霧の球体はバサリと翼を広げた。
『オオオオオオオオッ!!』
| 細氷の彫像 アイスドラゴン・レプリカ |
ハジメの目の前に現れたのは白い竜。踏みしめた床が凍り付くそのドラゴンの身を形成するのはダイヤモンドダスト呼ばれる細かい氷の粒だ。
これまでの霧のモンスターと異なり、確かなモンスターとして顕現した。
「バカが………」
だが、悪手だ。巨大なドラゴンは、確かに恐ろしいだろう。それに、凍ったものは凍らせられないのは当たり前。
だがこの場で巨体なモンスターは動きを阻害するだけ。何よりハジメは竜殺しの称号を持つ。
拳の一撃でアイスドラゴン・レプリカは砕け散る。着氷性の霧のようにハジメの腕を氷が覆うが、表面だけだ。
『ア、アア───』
ベリンダが後退る。奥の手だったのだろう。散った細氷は地面へと落ちていく。
『イ──』
ハジメの姿が消える。しかし僅かな黒いオーラを纏って目の前に現れ、ベリンダは慌てて顔の前で両手を交差させる。
『イヤアアアア!』
その防御ごと、ベリンダを脳天から真っ二つに切り裂く。左右に別れ地面に横たわる躯は顔が良いだけにより一層不気味だ。霧は、完全に消えた。
04:31:38 試験部屋内のモンスターを 全て倒したので 転職クエストを終了します |
「……………終わっ、た?」
ボス戦後に無制限ウェーブをやらされたハジメは少しシステム不信になっていた。まだ何があるのでは? と警戒しながら周囲を見回す。
獲得したポイントによっては 更に上位の職業に 転職できます |
どうやらきちんと終わったらしい。ふう、と息を吐いたハジメは幾つかアイテムが落ちているのに気付く。
| 【着氷霧】【霧の兵士】 【濃霧】【蒼氷の指輪】 を得ました |
ベリンダの死体とアイスドラゴン・レプリカの死体からアイテムを得た。
| 【蒼氷の指輪】 入手難易度∶A 種類∶装飾品 アイスドラゴン・レプリカの 核に使われていた指輪です 冷気を操る力を与えます
装備者【 】 同調率ーー% 【着氷霧】 【】 【】 知能+15 |
能力がダブっている。あまり魅力的なアイテムでない。後で恵里にあげよう。それよりも、クエスト報酬だ。
気配を消し、影を渡り、短剣を扱う。
暗殺者、もしくは盗賊を選ぼう。
転職クエストでの活躍を分析し 職業を与えます |
「ん? 選択式じゃねーのか」
とはいえハジメの戦闘スタイルを考えると暗殺者か戦士、ここでは魔法系スキルも手に入れたし魔法剣士、魔法戦士の可能性もあるか。
プレイヤーのいる場所には 常に死が溢れています |
プレイヤーが立ち寄った場所には 屍の山が積まれ 血の川が流れます |
なかなか物騒なことを言ってくる。まあ、否定できないが。
プレイヤーは強くなることを 切に望んでいて 仲間に頼らずとも 己の力で道を切り開きます |
そんな事はないのだが、この転職クエスト内ではソロプレイだから否定できない。
強さを渇望し、さらなる力を求める 貴方の前では亡者すら逃れる事叶わず その思いは冥府の王すら心動かす その関心は貴方にさらなる力を与える |
「…………んん?」
なんか、おかしい。冥府の王?
亡者………は、先程の、というかこの転職クエスト専用ダンジョン内のモンスター達のことだろうか?
何だ、それは。まるで職業を与える為の試練ではなく、与える職業の為に試練を用意したような………。
「っ! これが、俺の職業………?」
| 貴方の職業は【死神】です |
感想お待ちしております