レベルアップで世界最強   作:奈落兎

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転職

 死神………死神とな。

 ハジメの脳裏に刀を2段階開放する和服姿の男達と、りんご大好きでノートを落とすヴィジュアル系バンドのボーカルみたいなのや眼鏡をかけた捜査官が思い浮かぶ。

 いや、こういうのでは無いんだろう。恐らく骨が黒いマントを羽織ったあれ。

 

「…………うーん?」

 

 だが、どうにも想像できない。

 所謂職業武装(ジョブウェポン)があるのだとしたらそれは鎌になるのだろうか?

 父の作ったゲームには職業に合わせた武器などもあるのでううむ、と考えるハジメ。

 とはいえ、選択肢は無し。一応取るか取らないか選べるようだが職業ありとなしでは能力値に影響があるかもしれない。職業による能力値補正がある。

 

「転職する………」

 

転職しました

 

 ハジメの言葉にピロンと電子音が響く。

 

会得したポイントにあわせ

さらに上位クラスの職業に

転職する機会が与えられます

 

 さて、どの程度ポイントを得られたか。

 

予想プレイ時間を超過しました

加算点が与えられます

 

 まあこれは、そうだろう。なにせペナルティークエスト中の時間も含まれているのだから。

 

即時帰還石を使用しませんでした

加算点が与えられます
 

体力が50%以上残っています

加算点が与えられます

 

敵を全て倒しました

加算点が与えられます

 

 ピロンピロンと電子音が鳴り響き視界をメッセージが覆う。これなら上位クラスに転職出来るかもしれない。

昇給ポイントの合計が

限界値に達しました

 

【死神】から【冥王の影】に転職します

 

「冥王の影?」

 

 死神の次は冥王と来た。とりあえず上級職になれたようだがやはりどんな事に向いているスキルなのかさっぱり分からない。

 

【職業専用スキル】を習得しました

 

【ボーナス能力値】を獲得しました

 

 シューと音が響きハジメの体から黒いオーラが溢れ出し、すぐに消える。ハジメは早速スキルを確認する。

 

【スキル∶影の衣】

職業専用スキル

必要マナ なし

 

物理耐性30% 魔法耐性40%の衣を纏えます

冥王の影の一部から作られし衣です

バフの解呪効果を確率で無効化します

『呪い』系統を無効化します

相手との能力値差で成功率変動

 

【スキル∶冥王の宝物庫】

職業専用スキル

必要マナ なし

 

冥王より貴方に与えられた権限です

宝物殿の中の部屋の一つを貸し与えられます

影を通し物を収納できます

 

【スキル∶死神の伴侶】

職業専用スキル

必要マナなし

 

冥王より貴方に与えられた権利です

距離を無視し【宝物庫】内部の空間を

契約した伴侶と共有できます

 

「………お、これいいな」

 

 ハジメはスキルを一つ一つ見ていき、3番目のスキルに目を止めた。現在ハジメは恵里の操った死体をインベントリに入れているが、何らかの理由で恵里と逸れたら恵里が孤立してしまう。しかしこのスキルを使えば死体を【宝物庫】に入れておく事で恵里が何時でも死体を呼び出せる。

 

【スキル∶死神のオーラ】

職業専用スキル

必要マナなし

 

己より能力値が劣る相手を

【恐怖】【混乱】【発狂】

状態にします(対象任意選択可能)

同スキルで何れかの状態となった

敵を【即死】させます(任意発動)

─【恐怖】∶全ての能力値−50%

─【混乱】∶能動的行動の成功確率変動

─【発狂】∶精神完全破壊

 

 最後の最後に物騒なの来た。

 これ、効果も任意にできるだろうか?

 上2つはともかく発狂はヤバすぎる。

 とりあえず使う機会が無いことを祈ろう。後は、ルーン石によるスキルを吸収する。

 

【スキル∶着氷霧】

アクティブスキル

必要マナ 80

 

触れた対象を凍りつかせる

冷気の霧を発生させます

 

【スキル∶濃霧】

アクティブスキル

必要マナ200

 

環境変化スキル。一度の仕様で

周囲一体を霧で包みます

魔力を足すことで濃度上昇

感覚値−30%

 

【スキル∶霧の兵士】

アクティブスキル

必要マナ 一体30

 

霧を様々な兵士に作り変えます。

兵士の強さは術者の能力値に依存します

【着氷霧】との合成可能

 

 一度に3つも有用なスキルが手に入った。この【濃霧】。感覚の能力値を下げるということはさらにハジメを見つけにくくするという事だ。

 【影の衣】を合わせればハジメを見つけられる者などかなり限られるのではないだろうか?

 とりあえずここで習得できるものは習得した。さっさと帰ろう。

 

 

 

「おっ帰り〜」

「………恵里」

「へえ、それが話に聞いていたダンジョンの入り口かい? あ、消えた」

 

 ダンジョンから出ると恵里が待っていた。

 なんかデジャヴ。

 恵里はハジメの背後の光の渦を興味深そうに見る。渦は小さくなりながら消えていく。

 

「……ボロボロだね」

「まあ………」

「そ……まあ、心配は、してないけどね」

 

 そう言いながら杖の先端でガリガリと地面を削る恵里。拗ねたようにハジメと目を合わせようとしない。

 

「悪かった………」

 

 ハジメがそう言って抱き寄せるとムッと眉間にシワを寄せる。

 

「僕の事チョロいと思ってる?」

「まあ、ぶっちゃけ………」

「なら、もっと抱きしめてくれ」

「ああ」

 

 恵里の言葉に大人しく従うと恵里は漸く目を合わせてくれた。腕の中から見上げてくる恋人の姿に、愛らしさを覚える。

 

「さっきの、嘘。心配した………」

「そっか」

「君が強いのは知ってるよ。でも、君を強くしようとする『システム』が与える試練は、きっと君に合わせてある」

「……………」

「何も言わずに行ったのは、死ぬかもと思ったから?」

「……………それもある」

 

 実際死にかけたし。

 

「……君が死んだら、魂魄だけでもこの世界に留めてやる」

「……………そうか」

「でも、触れ合えないのは嫌だ」

「気を付ける」

 

 そう言って、恵里から離れるとハジメは【蒼氷の指輪】を取り出す。

 

「詫びの品って訳じゃねえが、受け取ってくれるか?」

「…………綺麗」

 

 透明感のある蒼い指輪を見て思わずと言ったふうに呟く恵里。精巧な花の装飾があるその指輪は恵里の心を奪うには十分。

 

「『システム』の用意したアイテムだけど、俺には必要ないからな。受け取ってくれるか」

「………『システム』が?」

 

 ハジメの言葉に、恵里がピクリと反応する。嫌だったのだろうかと思えば、恵里はニタリと笑った。

 

「いいね。それ、欲しい」

「そ、そうか?」

「その『システム』には意思があるんだろ?」

「多分な」

「そんな存在が、君だけに影響を与える存在があると聞いた時から、僕は気が気じゃなかったからね………でも、これで『システム』に関わったのは君だけじゃない………僕が、僕だけが君の特別だ」

「そうだな………お前は、俺の特別だ」

「当たり前さ。僕以外の特別なんて二人しか認めない」

 

 二人は認めるのかと、ハジメは少し複雑な気分になった。

 恵里はそんな心境を理解してかニッコリ笑うと左手を差し出してくる。これで察せぬほどハジメは恋人の想いに鈍感ではない。恋人相手にはたまに鋭くなるのだ。本当にたまにだが。

 

「…………ふふ」

 

 左手の薬指に嵌り淡く輝く指輪を見て、恵里は嬉しそうに微笑んだ。

 

「ところで、さっきから気になってたんだけどその模様、何?」

「ん?」

「右目に、Vが書かれてるよ」

 

 

 その後、視力に影響が無いことから取り合えず放置することにして、起きたユエを連れ階層を移動する。

 途中恐竜にハジメのテンションが上がったりした。

 100階層では、7つの首を持つヒュドラが出たが霧のモンスター達で数の暴力で殲滅し恵里の軍団に加えた。

 

「んじゃ、行くか。多分あそこがゴールだろ」

 

 ヒュドラの死体を影の中にしまい、奥にあった部屋に入るハジメ。中は広大な空間に住み心地の良さそうな住居があった。

 上を見上げれば太陽のような光源が浮かんでいた。

 魚の泳ぐ川や、畑まである。自給自足が可能そうだ。というか畑が管理されているということは人がいるのか?

 と、建築物に目を向ける。中には様々な部屋があった。風呂もあった。後で入ろう。

 3階には、一部屋しかないようだ。奥の扉を開けると、そこには直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。いっそ一つの芸術といってもいいほど見事な幾何学模様である。一体どれだけの情報量の魔法陣なのか。錬成に一部似た作りがある。

 しかし、それよりも注目すべきなのは、その魔法陣の向こう側、豪奢な椅子に座った人影である。人影は骸だった。既に白骨化しており黒に金の刺繍が施された見事なローブを羽織っている。

 その骸は椅子にもたれかかりながら俯いている。その姿勢のまま朽ちて白骨化したのだろう。魔法陣しかないこの部屋で骸は何を思っていたのか。寝室やリビングではなく、この場所を選んで果てた意図はなんなのか……

 

「……怪しい……どうする?」

「……………んん?」

 

 ユエが警戒し、恵里は死体に対してなにか違和感を覚える。それが何かは解らない。ハジメは、警戒しながらも魔法陣に踏み込む。

 この家、ハジメの錬成を弾くのだ。何かを調べるにしてもまずはここから。と、魔法陣に踏み込んだ瞬間、魔法陣が輝きだした。

 

『……………ああ』

「────!」

 

 カタリと目の前で、骸が動く。

 

『とうとう現れたんだね。はじめまして、新たなる『プレイヤー』………』

 

 骸は、青白い光を纏いながら起き上がる。何処からともなく現れた黒い傘の先端で、とんと床を叩いた瞬間床が開いた。

 

「っ!?」

 

 仕掛け、ではない。錬成!

 ハジメと骸を飲み込む穴ほ深さは30mほどで、ハジメは地面に着地する。そのハジメの視界の中で穴が広がっていき、巨大な広間が作られていく。微かな光は緑鉱石だろう。

 

『すまないね。実は期待しつつも諦めていたんだ。専用の場を用意していなかった』

「………あんたは、『プレイヤー』を知ってるのか?」

『私達の仲間にもいたからね…………ああ、自己紹介がまだだったかな? 私はオスカー・オルクス。反逆者と呼ばれる存在の一人だ』

 

 そういえばオルクス大迷宮は反逆者が作った場所だったか。

 

『さて、急増で申し訳ないが、これより『プレイヤー』専用試練を始める。君達には、クエストと言ったほうがわかりやすいかな?』

 

 さて、と骨だから表情は分からぬが、オスカーが笑う。

 

『クエスト開始だ』

 

 オルクス大迷宮臨時クエスト。

 解放者オスカー・オルクスの試練、開始。




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